【閲覧注意】助けてくれたフローゼルとボクなら負けない・前編

【閲覧注意】助けてくれたフローゼルとボクなら負けない・前編

オーガポンの面影を宿せ

前回
【閲覧注意】助けてくれたフローゼルがボクを放してくれない
【閲覧注意】助けてくれたフローゼルをボクは忘れられない
【閲覧注意】助けてくれたフローゼルにボクは頭が上がらない
【閲覧注意】助けてくれたフローゼルがボクに暇をくれない
【閲覧注意】助けてくれたフローゼルはボクにはしたない
【閲覧注意】助けてくれたフローゼルとボクは垣根ない
【閲覧注意】助けてくれたフローゼルにボクは冷めたりしない
【閲覧注意】助けてくれたフローゼルをボクは飾れない前編後編
【閲覧注意】助けてくれたフローゼルはボクと替われない


ちょっとえっちです。それでもよろしければ↓↓↓






●あらすじ
 とある休日、海岸をジョギングしていたボク達は、マナフィを発見する。
 弱っていたマナフィを介抱していたら、驚いたマナフィが“ハートスワップ”を使ってしまう。体が入れ替わってしまったボクとフローゼル。マナフィは回復し、無事に帰っていったけど、ボクらは入れ替わったままだった。
 それをいい機会にと、ボクの体に入ったフローゼルに質問する皆。気になる話も出たけど……。
 そして、ボクの体の勃起を納めるため、フローゼルはフローゼルの体に入ったボクのおっぱいで……いや違うな、ボクが体に入ったフローゼルのおっぱい……? とにかく、入れ替わった状態でえっちする事になってしまう。
 ……まぁ、おかげでフローゼルの気持ちを少し味わえたので。今後とも気持ち良くしてあげる所存ですっ。




 ―――ある日、学校にて。


「ゼルル、“アクアジェット”、ダッシュ!」
「ブイルッ! ブイブイブイッ!」

「ヨマワル! “おにび”当ててけっ!」
「マァッ、ワァーッ!」

 ゼルルは、水流のレールを伸ばしながらサマヨールの周りを周回する。
 サマヨールは青白い火の玉を飛ばすが、ゼルルの速度についていけていない。

「くそっ、えっと、えっと……」
「マワッ!? マワッ!?」

「ゴーッ!」
「ブイブイブイッ、ブイッ!」

「ヨマッ!!」

 ゼルルの“アクアジェット”が命中し、弾き飛ばされるようにヨマワルは仰け反り、倒れた。

「うがーっ……テンパる癖が抜けねぇ……」
「今の“おにび”さ、当てようとせずに置いていけばどう?」
「ん……あそっか、来そうな場所に置けば、狙わないで済むな」
「それに、こっちも当たりたくないから近づかないでしょ?
 つまりこういう感じに配置して……」

 クラスメイトに対し、ボクはボクなりの戦術案を話してみる。
 クラスメイトは納得してくれたのか、うんうんと頷いてくれていた。


「アイツ、本当に強くなったよなー」
「ほんと、アローラのナッシーぐらいぐんぐん伸びる」

 あっ、おぼっちゃまとミニスカートだ。

「なんか言った?」
「強くなったなオマエ、って」
「うぇぇっ、そういうのってごまかすモンじゃないの!?」
「オマエに隠し事はもうねェよ」

 まぁ、実際おちんちんを見せ合った仲だけどさ……。

「ゼルルもさ、顔つきがイイ感じよね
 そろそろ進化するんじゃないかしら?」
「うーん、平均レベル26で進化だったよね
 ボクも進化が近いと思ってるんだけどなぁ」

 ゼルルは小首をかしげた後、ふっと後ろ足で立って腕を組む。
 ゼルルが精いっぱい行う、『つよい』ポーズのようだ。

「……うーん、まだ子どもっぽいのよね」
「ボク自身、子どもだと思ってるフシあるなぁ」

 ミニスカートとそう頷き合いつつ、ゼルルを見ていると。

「そう思ってるからかもしれないぞ」

 と、おぼっちゃまが返す。

「どういうこと?」
「ゼルル自身が、『自分は子ども』と思ってるから進化しない
 逆に言うと、大人になったと認識したらなるのかもしれねェ」
「あー……そういう育成の時なのか」

 ボクがゼルルを『子ども』と思い接しているせいで、ゼルルも自身を『子ども』と認識したままになっている。それが、『自分がフローゼルになるイメージ』を阻害し、進化を阻害しているのか……?

「そこまで責任感じなくてもいいと思うぞ
 オレらの思いもよらないタイミングで、急に進化するかもしれん」
「そう、だといいけど」
「そうよ 最近急進化したやつが目の前にいるからねー」

 あぁー、またバカにしやがってぇー……。


 あれ、今のバカにされてたか?

 そっか、ボクって強くなったし急進化したのか……。
 ゼルルを育てるんだって意気込んで、その成長を見守るのに夢中になってたけど……。それがボク自身も成長させてたってことか。
 まぁ、そうなると一番ボクを成長させてくれたのは。


「フルルッ」
「ブイブルッ!」

 フローゼルだ。
 クロスホルターの水着は、もはや学校中で見慣れてしまい、無事フローゼルの常識を塗り替えてしまった。普通のフローゼルの写真を見ると、あの水着の落書きを描きたくなるよね。


 ではなく。

 ボクが強くなれたというなら、それは全部フローゼルのおかげだ。
 フローゼルといっしょだったから……ゼルルといっしょに成長できたし、色々なものを乗り越えられた。

 ……そろそろ、挑戦してもいいかもしれないな。
 フローゼルの『トレーナー』としての試み。

 具体的にどうするかさえ決まってないけど、どうあれバトルなら言う事を聞くかどうかから始まる、コンテストなら自分をどう見せたいか知る必要がある。
 戦術の組み立てとかも、話し合ってみたいな。


「……どうでもいいけど、ガキだいしょうって最近大人しくない?」
「ん? あぁ、だいぶ戦績落ちたよな」

 えっ、ガキだいしょうって強くなかったっけ?
 戦績落ちてたんだ……。

「あぁ オマエ、昔のガキだいしょうの印象で言ってるな
 たぶん、今見たら理由分かると思うぞ」
「次突っかかってきたら見せてやりなさいな」

 そうか……まぁ、突っかかってこないなら、それでいいや。
 ボクはボクで忙しいし、平和が一番だからね。


 そう、思ってたんだけど。




 今日は、ボクにとって忘れられない1日になった。




 ―――放課後。

「よう 赤ちゃんの分際で、最近調子に乗ってんな」
「久しぶりだね、ガキだいしょう」

 ガキだいしょうに呼び出され、ボクは校庭で向かい合っていた。
 いつもの取り巻き2人もいるようだ。

「で、用は? ボク忙しいんだけど」
「偉そうな事言ってんじゃねぇ! ……お前に言いたいことがある」
「なんだよ」

 とても鋭い目つきでニヤつきながら、ガキだいしょうは言う。

「お前が最近、調子に乗ってるのは……『ポケモンが強い』からだ
 他の奴らとは違う、特別なポケモンを持ってるってだけだ」
「……ふーん」
「そして……俺が今持ってるポケモンは『もっと』強い
 つまり! お前はもう! 俺に勝てねェ!」

 そう言いながら出したのは……エルレイドだ。
 キルリアが進化する、サーナイトとは対となるポケモン。
 サーナイトとは異なり、近接戦闘を得意としている。

「……同じ授業を受けてるとは思えない話だね
 相手をする気にもなれないよ」

 そう言って、ボクはもう帰ろうとした。


「エルレイド、“サイコキネシス”」
「レッ!」


 ボクの足元の地面が爆ぜた。エルレイドのサイコパワーによるものだ。

 ボクは、ガキだいしょうが恐ろしく思えた。
 ボクに危害を加えようとしたからじゃない。ポケモンに対し、『人に危害を加えろ』と命令できてしまう、考え方のほうこそ怖かった。

 それを放置して去ることは、ボクにできなかった。


「……ごめんゼルル、付き合って」
「ブイルッ! ブッ……!」

 ゼルルは、いつになく闘争心を見せつける。あるいは、ボール越しにさっきのやり取りを見て、ボクと同じ気持ちになったのかもしれない。
 ……それは、『きぼーてき観測』ってやつなのかな。

「やる気になったか……言い忘れたが、俺が勝った場合……
 お前のフローゼルは頂いていく
 強いポケモンは全部、俺のものにするんだ」
「……絶対勝つよ、ゼルル」

 こんなやつに、フローゼルは渡せない。
 ボクの今ある全てを、ガキだいしょうにぶつける。




「ゼルル、“アクアジェット”ダッシュ!」
「“サイコキネシス”!」

「ブイッ! ブイブイブイッ!」
「レッ!」


 ゼルルが水流のレールを引いて突撃する。
 その一瞬後ろの地面が、エルレイドのサイコパワーで爆ぜる。


「当たるまでやれっ! “サイコキネシス”っ!」
「ゼルルっ! 右っ! 左っ!」


 ガキだいしょうは雑に“サイコキネシス”を指示する。ボクは、エルレイドの視線を見ながら、ゼルルに避ける方向を指示する。
 ゼルルは指示に合わせてきりもみ回転しながら中空を泳ぐ。ゼルルのいた1歩前の水流が爆ぜていくが、ゼルル自身には当たらない。


「(単純な動きだ……そうやって近づいていたところを反撃してやる)」


「(……って考えは読めているんだよね)」


 元より、エルレイド相手に接近戦を挑む気はなかったし。

「ゼルル、“みずでっぽう”!」
「はぁ!?」

「ブイルゥー!」
「レッ!?」

「からの、バック!」
「ブイブイッ、ブイルッ」

 ゼルルは水流から飛び出して、口から水撃を放つ。
 その勢いに任せて宙返りし、やや後退する。

 ……ただ、これでできたのはただの先制攻撃。
 心理的には優位なんだけど、エルレイドに“みずでっぽう”はそこまで響かない。
 エルレイドを倒すには“アクアジェット”を直撃させないと難しいだろう。

 エルレイドの得意な接近戦を潜り抜け、それができるだろうか……。


「憎たらしいなぁキサマ……
 エルレイドっ、“かげぶんしん”っ!」
「レッ」「レッ」「レッ」「レッ」「レッ」
「突っ込めぇ!」


 しまったっ。エルレイドがその分身をつくり距離を詰めるため駆け出す。
 強引に詰められたら、エルレイドの攻勢になってしまう。

「ゼルルっ! 交代しながら“みずでっぽう”!
 影をひとつずつ消していくんだ!」
「ブゥイッ! ルゥーッ! ルゥーッ!」

 ゼルルは水撃を連続して放つ。けど……分身は左右に揺れるような詰め方で翻弄し、“みずでっぽう”がなかなか当たらない。

「ならゼルルっ、薙ぎ払うように“みずでっぽう”だっ!」
「ブイッ……、ルゥゥゥーッ!」

 ゼルルの薙ぐような水撃が、“かげぶんしん”したエルレイドを一掃する。
 いや……一歩遅れた本物が、跳びあがってこちらに詰め寄る。
 分身を先行させ、自分を隠していたのか。

 ダメだっ、さっき出し切った“みずでっぽう”は間に合わない。


「ゼルルっ、避けてっ!」
「ブゥイッ」

「“リーフブレード”ぉ」
「レッ!」


 エルレイドは腕を刃状に構え、草タイプの力を纏う。
 その草の刃は地面を抉るが、済んでのところでゼルルは躱す。

「よりによって……“リーフブレード”っ……!」
「懐に入ったァ……詰めてけエルレイド!」

 エルレイドは、草の刃を振り回しながらゼルルに詰め寄る。
 ゼルルは精いっぱい避けているが、時折かすって毛が散るのが見える。
 恐れていた、エルレイド攻勢状態だ。


 避けるなんて長続きはしない。
 “アクアジェット”で強引に攻めたいけど……“リーフブレード”で受けられて反撃されるだろうか。それでは無意味だ。
 こちらにも、草の刃を受けるものがあれば……。

 ゼルルはブイゼルだから……本来“みだれひっかき”を覚える余地がある。
 爪を使って“きりさく”や“れんぞくぎり”を使えるのだろうか。
 ならば、“リーフブレード”を爪で受ける……?

 いや、こんな土壇場で、そんな賭けをしていいはずがない。安定択は、“アクアジェット”でいったん逃げることだろう。


「レッ、レッ、レッ……レッ!」

「ブイッ、ブイッ……ブッ!?」


 考えすぎたっ! 判断が遅れ、草の刃が迫る。これは確実に喰らってしまうだろう。


「……ゼルルっ! 爪で受けてっ!」

「……はぁ……?」


 なんてバカな指示を。ボクは、自分の愚かさを憂いた。

 だけど、ボクはトレーナーだ。

 自分の出した指示を、見守る義務があった。


「……なんだ、あれ……?」

「ゼルル……それは……?」


 ゼルルは、“リーフブレード”を受けていた。




 見たこともない、水の鎌を生成し、爪で受けていた。




「……おいっ! あの技なんだっ!?」
「しっ……、知らないっす! 図鑑にも載ってないし
 先生から習ったこともない……!?」

 ガキだいしょうは取り巻きに説明を乞うが、答えはない。

 だって先生も、大人も、ボクさえも知らない技を、ゼルルは使っているんだ。

「その昔……風のように現れて、人を斬り裂く
 鎌を持ったイタチポケモンがいたって伝説があるよね」

「はぁ……?」

「だから……波に乗って敵を斬り裂く、うみイタチのこの技は……」




「“アクアサイス”」

「ブイルッ!」




 ボク達は、攻勢の切り札を手に入れた。


「ゼルル! “アクアサイス”で詰め寄れ!」
「ブゥイッ! ブイブイブイッ!」

「えっエルレイド! “リーフブレード”で終わらせろっ!」
「レッ!」

 ゼルルは爪先に延びた水の鎌を、まるで使い慣れたように振り回す。
 エルレイドは草の刃で反撃するも、ゼルルはすべてを受け流している。


 あぁ、思い出した。

 ボクが大好きな、ヒーロー番組の主人公だ。
 あんな感じで鎌を振り回しているのを、ボクは定規を握って真似してたっけ。
 ゼルルは……それを“遺伝”したんだ。

 ふふっ、本当の父親みたいだ。


「ゼルルっ、バック!」
「ブイルッ」

 ゼルルを下がらせて、距離をとる。間合いは充分。いける!

「ゼルル、“アクアジェット”、ダッシュ!」
「ブイルッ、ブイブイブイッ!」

「エルレイドっ」

「ゼルル! “アクアサイス”!」
「ブゥイッ!」

 命令させる隙を与えない。
 ゼルルは水流のレールで進みながら、水の鎌を生成してきりもみ回転する。
 その水流は、エルレイドに向かっている。

「えっ、エルレイドっ、避けろっ!」
「レッ!?」

 もう間に合わない。ゼルルの回転は勢いを増し、スクリューのように突き進んでいる。

 “アクアサイス”は命中させやすい技ではなさそうだが……。

 当たれば、ただでは済まない威力となりえる。

「ゼルル……ゴォ―!」

「ブゥゥゥ……イッ!」




「“ゼムゼル・エルンテ”っ!」


「ブイルゥ……ッ!」


 エルレイドの懐に、水の斬撃が炸裂する。
 ボクの見立て通り、“アクアサイス”は致命的な一撃になりやすいらしい。
 いわゆる『きゅうしょにあたった』というやつだ。

 エルレイドは、倒れた。




「……なんっ、で……!?」
「“アクアカッター”……? でも、ブイゼルが覚える前例はない……
 どうであれ、初の事例って事っすか……?!」

「ブゥイ!」
「……」


 ……いや、“ゼムゼル・エルンテ”はちょっと……ないな。
 『死神の収穫』って……なんか、大人になったとき後悔しそう。

 やっぱこの技は“アクアサイススクリュー”とか無難な技名にしよう。


「これでおわりだよ、帰るね」
「……待てよ」

 去ろうとすると、ガキだいしょうはまだボクを引きとめる。

「俺が……俺だけが、強いポケモンを使えりゃいいんだ……
 お前なんかよりもなァ!」
「エレェェェエエエ!!」

 出してきたのは……エレキブルだった。

 ……ゼルルとの体格差は、見間違えたと思うほどだ。

「ブッ……ブイルッ! ブイブイブイッ!」

 ゼルルはボクの指示を待たずに“アクアサイススクリュー”を放つ。

 ……それで致命的な一撃を与えるしか、勝ち筋がなかったからだ。

「“かみなりパンチ”」
「エェ……レェェェ!!」

 まるで叩き落すように、ゼルルは電気を纏うパンチを受ける。

 たった一振りで、ゼルルは弾き飛ばされてしまった。

「ぶっ……ブイッ……」

 それでも、ゼルルは立ち上がろうとしていた。
 勝てそうに思えなくても、それに抗おうとしていた。

「……ゼルル、戻って」
「ブイッ……!? ブゥ……」

 ボクは、これ以上ゼルルを戦わせられなかった。
 ほぼ倒れかけのゼルルを、モンスターボールに戻す。

「これが現実……! 『強いポケモンを使うほうが強い』っ!
 わかったか、じゃあフローゼルを……」
「渡さない」
「はぁっ!?」


「次の相手は……ボクだ」


 ボクは、数歩歩いてバトルフィールドに立つ。


 ゼルルが抗う意思を見せたように。

 アイツのいう『現実』を否定したい。

 この身を使ってでも。


「かぁ~、人間が、お前がポケモンに勝てるかって!
 エレキブル、やれっ」
「……」
「……エレキブルっ! やれって!」

 エレキブルは、見開いてボクを見ている。
 それはまるで、ボクの行動に驚いてるように……。

 でも、ボクはどうすることもできない。

 この状況を突破するには……




 トクンッ。




 ボールが疼いた。それは、ゼルルの隣にあるラブラブボール。

 その中で、「出して」と合図している。


「……認めてくれたんだね、ボクを」
「はぁ!?」

「ボクは……こんなやつに負けたくないっ!
 だから、力を貸して……フローゼル!」


「フルルッ、フルゥゥゥ!」


 ボクは、フローゼルをくりだした!




 後編につづく




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