イブキ救出作戦・小話

イブキ救出作戦・小話


特殊装備「S.E.」過去作SS

第0話

第1話

第1.5話(前半)/(後半)

第1.75話

第2話/別視点/アビドスサイド視点

第2.5話

ミッション説明

イブキ救出作戦

外伝

騒動中

秘する花

騒動後

FDゲーム化への試練


身体を張ったミレモブの手記

アビドスに直接潜入しての要人救出作戦

最初にこの話を聞いた時は、一発逆転の為に無謀な賭けに出たかと思ってしまった。

まず、"先生"達が属するシャーレ自体が今回の騒動で苦境に立たされており、人員的・予算的余裕が無いのが常態化しつつあった。特に人員的な不足は深刻であり、元七囚人やスケバン・ヘルメット団の様な不良とされる生徒に加えて、カイザーやゲマトリア等の胡散臭い連中とも協力関係を構築しないといけない程であった。現在は各学園からの協力者を迎い入れる事で、ある程度は解消されつつあるのが救いだろうか。

もう一つは、現在のアビドス自体が非常に復興が進みつつあり、とても単独組織だけで相手取る事が不可能である事が大きかった。なんせゲヘナの温泉開発部や風紀委員会の一部に加えて、トリニティの正義実現委員会やシスターフッドの一部も抱える様な状況であり、戦力が大幅に増強されているのは目に見えていた。おまけにミレニアムからもあちらに行った奴が少なからず存在しており、その影響が新型防衛用兵器「マハーサンモーハナストラ」として結実していたのであった。仮に三大校が密な連携を取って一斉攻撃を仕掛ければ、このアビドスも粉砕できたかもしれなかったが、砂糖による治安悪化と分断で叶わぬ策になっていたのは目に見えていた。


しかし、トリニティから秘密裏に運び込まれたお姫様達と、ミレニアムの勇者達によって、この問題を解決する糸口が見えてきたのも事実である。実際、砂糖中毒用治療薬の開発と「マハーサンモーハナストラ」用装備「S.E.」の運用について、この2つのグループが与えた影響は大きく、「強力な連合軍による陽動と同時に少数精鋭部隊を潜入させて、工作と救出を行う」という現実的な選択肢が見えてきたのも、彼女達のお陰であると言えよう。

また、先の要人救出を依頼してきたのが万魔殿という事もあり、信用の前払いとはいえ彼女達の戦車部隊も主力陽動要員として参加してくれたのも大きかった。単独では戦車が脅威にならない生徒が居たとしても、それを複数台かつ随伴歩兵を付けた上で、密な連携で突撃してきたら流石に無視できない筈である。

ここまで来れば、後はそこら辺の一生徒が口を挟む様な案件ではなかった。私個人が抱いていた当初の不安や疑念は、既に取り払われていた。

ただ、マコトさんが他学園から送られてきた義勇戦車部隊に頭を抱えているのは、通りがかりに見てしまった。どうやらトリニティや百鬼夜行から送られてきた戦車が名ばかりのものだったらしく、「アーチャー対戦車自走砲」、「短十二糎自走砲」、「長十二糎自走砲」等というフレーズが聞こえてきた。後から知ったが、これらの車輌のほぼ全てが文字通り自走砲の様なものであり、混成部隊にした場合に戦車と同じ立ち回りができないという問題が存在する様であった。流石に今となっては彼女に同情せざるをえない。


作戦時、私は陽動部隊の一員としてゲヘナやトリニティのモブ達と共に分隊を組んで参加していた。実を言うと皆揃って実戦はあまり得意な方ではなく、どちらかというと支援・救護を重視して立ち回るようにしていた。そのお陰もあってかなんとか途中で落伍せずに例の名シーンを生で拝めたのは、ご褒美だったのかもしれない。

勿論メリットだけではなく、諸事情あって途中から参加してきた、ナギサさん率いる砲兵隊の接近阻止砲撃も近くで眺める羽目になった。実際、アビドス側の精鋭陣が複数追跡して来ている状況を打破するのは必要とはいえ、爆風がこちらにまで来るようなギリギリのラインを攻めるのは、最前線としては怖かったのが事実である。


ちなみに各々の所持武器に問題があったのか個人的にはイマイチ分からなかったが、準備段階で何故か実力者の生徒達から心配される事が多かった。どれも中古品という偶然の共通点はあったが、見た目があまりに頼りなかったのが原因だろうか?自分の"油差し"についてはお手入れはしているつもりではあるが…

以下が私達の装備の対応一覧である。

ミレモブ(私):M3短機関銃

先に居たゲヘナモブ:VG−1

トリモブ:ステン短機関銃 MK.Ⅱ

庇われたゲヘナモブ:MP508

この編成で何が問題なのか、誰か教えてほしいものである。

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