リブート&リスタート

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※閲覧注意・エ駄死要素あり

特殊装備「S.E.」過去作SS

第0話

第1話

第1.5話(前半)/(後半)

第1.75話

第2話/アビドスサイド視点

ミッション説明

イブキ救出作戦

外伝

FDゲーム化への試練


ミレモブを尊敬するゲヘナモブの手記

個人的にも、あの下江コハルが襲撃された事件は不可解な点が多かった様に思われる。

まず、襲撃自体の計画性の無さである。潜入諜報員からの報告でも、そういった所謂隠密部隊を動かそうとした痕跡が無く、また、目標自体も下江コハルが途中まで駆けつけるまで、無差別攻撃を仕掛けるかの様であった。これではまるで、彼女を最初からターゲッティングして攻撃できるように引きずり出す作戦ではないか。そう思わざるを得なかった。

それに加え、コハルへ銃撃するのに用いられたあの特殊弾頭も謎を深める事になった。構造が既存弾よりも複雑かつ、充填された薬液も明らかに今まで確認された砂糖水よりも濃度が更に高く、それに加えて血漿成分も微量に含まれるという、まるで誰かの分泌液かの様なものであった。こんなものはどちらかというと、調月リオや桐藤ナギサに撃ち込んだ方が効果的ではないのかと思わざるを得なかった。

どうにか実行犯達を尋問してみたものの、既に正気を失いきっているのか不明であるが、「布教」としか口を割らなかった。最早砂糖に対する狂信というレベルに達してしまっており、ミレニアムでは面倒を見きれないという事で矯正局に身柄は移送される事になった。移送用装甲車に載せられる彼女らを見た時に、剣先ツルギが複雑そうな顔をしているのが何故か私の脳裏に焼き付いた。後で知った話であるが、あの面子の中に元正義実現委員会所属や、元シスターフッド所属の生徒が含まれていたらしい。自らの不手際故にこの様な事態を招いたことに思う事があったのか、それとも正義が大きく捻じ曲げられた事についてなのか。私には分からなかった。


中毒治療室にコハルが緊急搬送された時は、それはもう酷い事になりかけた。まず、最初にその報を聞いてしまった聖園ミカと桐藤ナギサが大いに動揺し、同じく動揺しつつも冷静さの欠片を残せた百合園セイアと天童アリスに止められる羽目になった。しかしその後、それ以上の動揺と義憤で突発的に御礼参りに向かおうとした阿慈谷ヒフミと白洲アズサが出てきてしまい、また、コハルの中毒患者との面識も比較的広かったが故に、それによる精神的ダメージで中度パニックが発生。救護騎士団やC&C、それどころかある程度回復してきたからといってリハビリの為に看護手伝いをしていたミカ達も含めた、かき集められるだけの戦力を投入して鎮圧(比較的穏便)をせざるをえなくなった。

幸いにもコハルのヘイローが破壊されたりする事にはならなかったものの、一時的に戦線離脱せざるを得なくなった為に、開発チーム共々お通夜状態になったのは書き残しておくべき内容だろう。


その後、通称治験参加組と呼ばれるミカと早瀬ユウカと伊落マリー、そしてアリス以外のゲーム開発部の内の5人が、文字通り身体を張って創り出すのに協力した新治療薬「コンティニューコイン」を引っ提げて、S.E.装着メンバーとして立候補してきたり、ミカの必死の看護と自らの最早鋼鉄と化した心の芯によって、強引に禁断症状を捻じ伏せて予想以上の速度で回復してきたコハル自身の試験嘆願もあったりした。

あまりに無茶な話に不知火カヤや"先生"もある程度方向が一致したツッコミをしたのには、流石に内心笑わざるをえなかったものの、何か譲れない強い信念があったりしたせいか、万が一に備えたバックアップ体制を整えた上でという条件付きで試験は行われる事になった。が、それが杞憂に終わったのは、トリモブの手記に書いてある通りである。

それに加え、この事件を受けて開発チームやGen1装着組の方向性も1つにまとまりつつあった上、次々と開発メンバーへの参加表明をしてきた生徒が出てきたのも大きな追い風になったと考えている。なんせ、アリウススクワッドや美食研究会の"3人"に、昔の様に戻りつつあるらしい杏山カズサも参加してくる状況であり、カイザーコーポレーションやゲマトリアなる胡散臭そうな連中とも既にある程度の協力関係を築けていたと考えると、まさしく究極の呉越同舟であったと言える。

なお、アリスクが参加表明しようと開発室の扉を開けた時は、偶々試験結果が良好でGen2の開発及び志願組の参加許可が下され、本格的な開発再開の音頭を取った直後であり、「話は聞かせてもらった」的な神がかったタイミングであった事は特筆しておく。しかし本人達は話を途中からしか聞いていなかった為に、その場で先生も含めた皆がずっこける様などこか古臭いリアクションを各々が取る羽目になった上、3人にはネタが通じなかった悲しい一幕も存在した。

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