父の居ぬ間に

父の居ぬ間に

モテパニ作者

シナモン「明日そっちに帰れる事になったよ」

あん『ほんとう!?』

ある日の事拓海の父門平は定期的に行っている妻あんとの連絡でそう告げた。

あん『でも確かあと何週間かクッキングダムに滞在するんじゃなかったかしら?』

シナモン「ようやく後進が育ってきたんだ。まったくではないけど、僕の仕事もだいぶ無くなったよ。とはいえ漁師業はそのままだから頻繁に帰れないのは相変わらずだけどね」

漁師とクッキングダムの内政。どちらか片方でも激務な中両方を務めて超激務から激務へとランクダウンを果たしたようだ。

シナモン「それでなんだけど、今回帰るのは拓海達には内緒にしてくれないかな?」

あん『あら、どうして?』

シナモン「今回は以前のように紹介したい相手もいないし、拓海達を驚かせようと思ってね」

あん『そうね〜たっくん達きっと驚くわ〜』

こうして品田両親によるサプライズ帰宅が実行されるのだった。

〜〜〜

シナモン「さて」

翌日になり門平は自宅の玄関に辿り着く。

あんから拓海達が出かけてないのは聞いている。

拓海とダークドリーム、都合が良ければみなみもいるかもしれない。

拓海達三人が仲良くしてるのもあんから聞いていた。

鍵を開けて部屋に入る。

シナモン「ただいまー!」

拓海「父さん!?」

ダークドリーム「門平」

みなみ「門平さん!?」

のどか「ふわっ!?拓海くんのお父さん!?」

まなつ「そうなの?初めましてー!」

亜久里「おじゃましております」

シナモン「(予想の倍いた…)」

自分が考えていたより多くの人物達がいて逆に少し面食らってしまった。

拓海「父さんどうして?」

シナモン「あ、ああ。クッキングダムの仕事がなんとかなってな」

のどか「あ、あの!拓海くんのお父さん初めましてまして!花寺のどかです!」

シナモン「あ、うん。初めまして」

面食らったところにのどかが大きな声で挨拶してくる。

シナモン「(元気というより緊張しているようだ。人見知りなのか、それとも…)」

ダークドリーム「私からも紹介するわ。この子はのどか、私の妹になった子よ」

シナモン「!?」

みなみ「ダークドリーム、いきなりそんな事を聞かされても混乱するだけだと思うけれど…」

シナモン「どういう事だい?」

みなみ「ええっと、ごっこ遊びのようなもので、いろいろあってダークドリームが姉になりたいと言い出したのでそれに付き合う形でいろいろと」

ダークドリーム「私は常に真剣だけど?」

みなみ「とにかく。ここにいる兄さん以外の四人はダークドリームの妹役をやっていて」

シナモン「兄さん?」

みなみ「あ…」

みなみは口を滑らせる。

普段は拓海とダークドリームしかいない場でしか言わない拓海への呼称をつい告げてしまう。

ここが品田家であったことと門平の雰囲気が拓海と似ていた事が理由だろう。

シナモン「あまり関わらないようなことを言ってたが、どうやら仲良くできてるようだな」

拓海「…まあ」

父親になんだか私生活がバレた感じがして少し恥ずかしくなりそっぽむく拓海。

ダークドリーム「ちなみに、拓海へみなみに兄呼びするように提案したのも私」

まなつ「そうなんだー」

シナモン「ははっ、なんだか娘がたくさんできたような気分だね」

のどか「む、娘…///」

驚かすつもりが逆に驚かされてしまう門平。

しかしそんなハプニング的な空気も薄れて和やかな空気になろうとした時…

シナモン「ッ!?」

門平は感じ取る。

なにか大きな気配が突然現れた事を。

集中したまま周囲に気を回す、周りのみんなが警戒している様子はない。

シナモン「(他のみんなはともかく、これだけの気配に気づかないとは修行が足らないぞ拓海)」

デリシャストーンを手に取り気配に備える。

相手も門平に気づいたのか、気配の質がより高まる。

やがてその者は姿を現す。

女性のようだが、強者であるのは間違いない。

お互い睨み合いをしていると、ようやく拓海が動く。

拓海「落ち着いてくれ!父さん!姉さん!」

シナモン「…姉さん?」

カイゼリン「…父さん?」

拓海に声をかけられた二人はキョトンとする。

そして先に口を開いたのはカイゼリン。

カイゼリン「お前は拓海の父か?」

シナモン「ああ、あなたは?」

カイゼリン「私は姉だ」

シナモン「???」

知らないうちに息子に姉がいた。

何を言ってるかわからないと思うが門平にもわからない。

なんだか恐ろしいものの片鱗を感じてしまいそうだ。

門平は頭をフル回転させて一つの答えを出す。

シナモン「…ダークドリームちゃん、この人もダークドリームちゃんに付き合ってるのかな?」

ダークドリーム「ううんカイゼリンは私とはだいたい無関係」

シナモン「…どういう事なんだ」

みなみ「えっと、私も話を聞いただけなので詳しくは言えませんけど、去年辺りから兄さんがお姉さんのいる夢を見てて、カイゼリンさんも同じく弟の夢を見てたらしくて、それで姉弟になったらしくて」

シナモン「(聞いてもわからない!)」

話の筋はわかるのだが、素直に飲み込めない突飛な話だった。

あきら「あの、もう入ってもいいでしょうか?」

そこにさらに新たな人物が現れる。

もうなにがなんだか。

まなつ「あきらさんも来てたんだ」

あきら「うん、お義姉さんと一緒にね。それよりもあなたが拓海くんのお父さんですか?」

シナモン「あ、ああそうだよ」

あきら「初めまして。私は剣城あきらと申します。そしてこの写真に映るのが私の大事なとても可愛い妹のみくです」

シナモン「(なぜ僕は初対面の子に妹さんの写真を見せられているんだ?)」

あきら「みくは可愛いだけじゃなくて行儀良くて、わがままも全然言わないいい子でして。この間なんか…」

シナモン「(プレゼンまで始まった!?)」

ダークドリーム「あきらがまたみくの話してる」

みなみ「これで兄さん、ダークドリーム、カイゼリンさん、あんさん、私に続いて六人目ね」

最愛の妹みくのため品田家の面々にみくの魅力を語る。

もはやダークドリーム達には見慣れた光景になっていた。

カイゼリン「あいかわらずだなあきら。タクミの姉を目指すのにそこまで熱心とは」

シナモン「!?」

カイゼリンに加えてあきらもそうなのかと驚愕。

そんな中追い討ちをかけるようにインターホンが鳴った。

のどか「あ、わたしが出てきます」

わちゃわちゃした状況の中誰よりも早くお客への対応に動くのどか。

少しすると訪れたお客が顔を出す。

ゆり「今日はずいぶんと大所帯ね」

まなつ「あ!ゆりさんこんにちはー!」

拓海「来たかゆり。カモミールそろそろ花が咲くぞ」

ゆり「ようやくね…」

去年の拓海の誕生日にプレゼントされたカモミール。

育てていたのがようやく花が咲きそうになっていた。

それを喜びあっている二人の姿はなんとも微笑ましい。

しかし門平は今日いろいろあったせいか沸いた疑問をぶつけずにはいられなかった。

シナモン「…一つ聞くけど、彼女も拓海の姉だったりするのかな?」

ダークドリーム「ううん、ゆりは拓海の姉でも妹でもないわ」

よかった。さすがに誰でもかれでも姉妹なわけが…

ダークドリーム「ゆりは娘」

シナモン「!!!???」

今日1の衝撃発言。

なにをどうすればそうなるのか。

シナモン「どういう事なんだい…?」

ダークドリーム「私が来た頃にはもうそうなってたからよく知らない」

男子三日会わざれば刮目して見よということわざもあるが、会わなすぎてもはや刮目では足りないほど拓海は変わってしまったようだ。

いや、変わったのはあくまで周りの環境か…

〜〜〜

らん「はにゃ〜!なんか大事なイベントに参加出来なかったような気がする〜!」

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