言葉無き花の解毒剤

言葉無き花の解毒剤

どうか効きますように!

【言葉無き花の解毒剤3】

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“…これはひどい”

私はバッドエンド演算用スパコンが弾き出した新たなシナリオに目を通した

だが、正直読むのを躊躇うレベルで辛い内容であった

もし仮にアイリだけが正気だった場合をシミュレートした結果だが、いくらなんでも救いが無さすぎる

人の心も無さすぎる


“うーん、流石にやめとこっか”

この間演算されて大惨事になったナギサの断翼ルートを思い出す

【↑別作者様の「サヨナラノツバサ」


あの時はモモイが間違えて持っていった事で現場が大変なことになったが…今回こそはちゃんと保管しておこう

【↑サヨナラノツバサと同じ方の光側作品「モモイのミスでした。」



エンジニア部製の電子ロック付きデスクに「言葉無き花の光輪」の台本を入れた

こうすればモモイが間違える恐れもないはず


“…あ!いけない急がなきゃ!”

先生としての仕事に追われていた私は、荷物を纏めて外出する

今日の当番が誰だったかも忘れて…



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コユキ「せんせー!来ましたy…あれ?」

朝シャーレに来た私は、先生がいない事に気づく

「あ、そういや今日は夕方まで戻れないと言ってましたっけ?間違えて朝早くにきちゃいました…」

何時間も待つのは退屈だから一回帰ろうと思ってドアに手をかける

しかしふといたずら心が湧いてきた


「よく考えたら先生秘蔵のお宝を見つけられるチャンスかもですね!にははっ!そうと決まれば探索開始ー!」



私はパソコンのパスワードを容易く解き内部データを我が物顔で見ていく

「先生、他の自治区の復興も手伝ってて大変そうですねぇ〜」

もちろん閲覧がバレないものだけを選ぶ

フォルダも一度開いたら中身は弄らずにただ見ていくだけに留める


…意外にもえっちなフォルダは無かった

「ちぇー、一番のお楽しみだったのに。んっ?なんでしょうこの机?」

つまらないと思い背もたれに体重をかけた時、ふと横のデスクが目に入った

引き出しを見ると電子錠がついている


「…あ!もしやここにUSBが…?」

悪い笑みを浮かべながら引き出しの電子ロックを解除した

しかしその中に入っていたのは束の書類みたいなもの…

「なんだこれも違いましたか…ていうかこれなんですかね?台本…?」



その時

(バターン!)

モモイ「あ゛ー!また遅れたーっ!」

「ふえぇぇっ!?」

突如入ってきた相手に驚く

「ってあれ?モモイさん?」

「あ、コユキ!?何してんの?」

「今日当番だったんですけど先生はもう外に出ちゃってて…」

「ウッソー!?まだ次の台本の内容聞かされてない上に時間ヤバいのに!」


台本…?

「もしかしてコレの事ですか?」

私はさっき電子ロックつき引き出しの中から引っ張り出した書類を見せる

「え?おおこれこれ!ナイスコユキ!」

モモイさんは持っていた書類を見ると、これだと言って取り上げた


「ありがとー!次の収録メンバーを早く集めなきゃだったから助かったよ!」

「そ、そうでしたか!良かったです!」

「んじゃまたねー!コユキの出番あった時はよろしくー!」

「にははは!任せてください!」

モモイさんは超特急で部屋を出て行った


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数十分後


コユキ「うーん暇ですね…収録現場でも見に行きましょうか!どういった雰囲気なのかも気になりますし!」

私は先生の部屋に居続けるのにも飽きたので収録現場へ向かいます

…そういや収録ってどこでやってるんでしょうか?

「あ。」





結局ミレニアムの人達に尋ね歩きながら探し回り、2時間程経ってようやく現場へ着きました


「やっと着きました…さてさてスタジオはどんな様子で…」(ガチャ)


モモイ「ぎやややああああああ!!!」

ヨシミ「いいわよカズサ!そのまま押し潰して空き缶にしちゃえー!」

ナツ「魔獣よ、其方の仇敵を滅ぼせ…!我々はおろかアイリを泣かせた咎人へ、厳正なる裁きを…」

カズサ「2人ともうるさい!覚悟はできたかなモモイ?アリスの許可も得た事だしこのまま潰れ空き缶にしてやる…!」

「デジャブ!デジャブだよ!誰かー!」

「え…何事ですか…?」

扉の向こうは、モモイさんが頭を掴まれそのまま下に押し潰されそうになってるという謎の光景が映し出されていました


「あっ!コユキ!?自分から来てくれて助かったー!あなたのせいだよー!」

「へ?どういう事ですか?」

「チッ…あいつがコユキ?」

カズサと呼ばれた人は、モモイさんの頭を掴んでいた手を離す

「あづづづ…頭割れそ…その通り!彼女が台本渡してきた黒崎コユキだよ!」

「台本…?え、あの…近…」

「あんたがあの台本をモモイに寄越した張本人なの?」

カズサさんは、私を見下ろしながら尋問するかのように尋ねてくる

「…はい。そうですけど…何かあったのですか…?」

肯定するもぶるぶる震えながら聞き返す

「ああ教えてあげるよ。あんたが持ってきた台本でアイリがどんだけ傷ついたかをさ…!」


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【収録開始前】

モモイ「早速収録始めるよー!準備いいかな?」

スイーツ部「「「「はーい」」」」

ユズ「それじゃあ始めるね…!」

アリス「題名は【言葉無き花の光輪】…なんだかカッコいいです!熱いバトルが期待できます!」

ミドリ「(なんか内容重いような…)」





【数時間後、コユキが来る直前】

アイリ「うぅ…もう、やりたくないよ…こんな内容…やだぁ…!」

ヨシミ「アイリ…分かったもうやめよ!ちょっとモモイ!収録中止して!」

「えー!?折角いい感じだったのに!」

「お姉ちゃん…もしかして、前と同じく没台本持ってきたんじゃ…」

「そんなわけないよ!だってこれ…」

(バンッ!)

「ひっ!?」

モモイ達のいる部屋に乗り込んだカズサは怒りに満ちた目でモモイを見ていた

カズサ「…よくも、アイリにあんな内容やらせたね?」

「だ、だから違うんだって!」


「………ここに何の変哲もない500mlのペットボトルがあります。種も仕掛けもありません」

カズサが持っているのは出演者に渡した飲み物のペットボトルだ

「……うん」

「コレを両手で挟んでこうします」

(グシャッ!)

「するとどうでしょう。500mlのペットボトルがまるでペットボトルキャップにまで圧縮されましたー」

「すごーい…て、手品かな?」

「コレを今からあんたにするから」

「」


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モモイ「コユキが持ってきたって何度も言ったのに聞いてくれなくて、あのままだと本当に潰れた空き缶みたいにされるとこだったんだよー!」

コユキ「え…あっ?まさかあの引き出しに仕舞ってた理由って…!」

やっと気付いた

カズサ「そっか。じゃああんたを潰せば良いんだね」

「ちょちょ、ちょっと待って下さいっ!私もあの引き出しの中が没台本だなんて思わなかったんです!」

「でも引っ張り出しといて中身確認せずにモモイへ渡したのはあんたでしょ」

(ガッ)

「ひぃぃぃっ!?」

「アイリにあんなものを見せるキッカケを作ったあんたを許さない。ちっこい塊になるまで縦に潰してやるから」

「うあああぁぁぁぁ───!許してええええぇぇ────!」


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モモイ「ふぅ…助かった…」

アイリ「…」

ミドリ「うわっ!?アイリさん?大丈夫ですか…?」

「………も」

「え?」

「モモイさんも許しませんっ!」

「うぇ!?」

「ヨシミちゃん!ナツちゃん!行くよ!私達だけで、モモイさんを潰れた空き缶にしてやるー!」

ヨシミ「よし来た!覚悟しろーっ!」

ナツ「モモイよ、君には途中から泣き始めてたアイリに演技を強制したという罪があるのだ…これより処刑を始める!」

「ぎええええ!?アリスー!ミドリー!ユズー!助けてー!!!」


ユズ「先生に連絡ついたかな…?」

「さっき早めに帰るって言ってたよ」

アリス「おお!カズサとスイーツ部の皆がコユキとモモイのスクラップショーを始めるのですね!アリスは鑑賞モードに入らせていただきます!」


モモイ&コユキ

「「せんせーーー!!!早くたすけてくださーーーい!!!」」



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こうして、ゲルセミウム・エレガンスの解毒剤は存在しないものの

スイーツ部が受けた精神的なダメージの解毒剤は、モモイとコユキを潰す行為で代替品になったのだった


ちなみにこの後先生が仲裁してなんとか取り持った事で2人はスクラップになる前に助かった

それはそうと、ユウカとノアから長時間のお説教をくらったらしい…


先生は没台本や没シナリオをもっと厳重な場所に置くと決めた



この始末☆

はてさてこの先どうなります事やら☆

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