雑記帳とアドカレに万歳してる

雑記帳とアドカレに万歳してる

Smith Alan(今年は@kumanoshakyo)

 これはKumano dorm. Advent Calendar 2020の5日目の記事です。前日はbo40さんの「資料システムとか熊野寮祭Webサイトの話とか」、翌日は延山知弘さんの記事ということになっております。また、このカレンダーは「その2」がございます。そちらも宜しければどうぞ。

 素晴らしい企画を今年も実施して下さったSKさん及び、企画に賛同して文章を書いて下さっている執筆者の皆様にこの場を借りて感謝を申し上げます。

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 このアドベントカレンダー企画は今年で2年目になり、昨年度も僕は記事を書かせていただいた。きっかけは企画者の寮生が雑記帳で宣伝を行っていたのを目にしたからである。まずはこの、「雑記帳」についての話から始めたい。

 

 京都大学熊野寮の事務室には雑記帳が置いてある。文字通り、日ごろのよしなしごとを筆記するためのノートである。内容は様々だ。最近知った豆知識を披露する人も、自分が好きなコンテンツの布教をする人も、昨日何してたか書く人もいる。この時期だと、卒業を間近に控えた人が、回顧録や後悔を綴るなんてこともよくある。

 あと、内容もそうだが書き方にも個性が出る。敬体か常体かに始まり、一文の長さや句読点の使い方、使う言葉のセンス、そういうものが皆違う。同じ場所に住んで、大体似たようなものを見ているような気がしていても、人ひとりひとりが持つ世界ってこんなに違うんだよな、と思い知らされる。

 自分の横で住んでいる人が、思考を具体化して雑多に放り投げる場所があるというのは、かくも面白いことなのである。寮の事務当番など、荷物も電話も来客もなければ暇同然だから、僕は当番が回ってきた時は嬉々としてこのおかしなノートを読んでいる。

 得は何もないが、何となく読み進めてしまい、気付いたらクスッと笑っているようなことも日常茶飯事だ。雑記帳が使い切られ補充されるまでの合間の時に事務当番に入ると、ちょっと落ち込む。その程度くらいには、僕は雑記帳のことが好きだ。

 だから、雑記帳の延長のような形でこのアドベントカレンダー企画が実施されていることには、実は人一倍感謝を覚えていたりする。小心者に加え行動力もないから、自分から企画することはしないのだけど、相乗りする勇気だけを引っ張り出して今年も文章を書いている。もう今年で寮は出てしまうが、もし来年もこの企画があれば是非読みたい(あわよくば書きたい)。

 

 色んな話題が載る雑記帳だが、個人的に最も面白いのは「その人自身」について書いてあるようなものだ。いわゆる「自分語り」というやつである。まあ、空気も読まず延々自分語りをする奴はうっとおしいことこの上ないというのはそうだが、雑記帳やアドカレの企画にはむしろそっちをどこか期待している僕がいる。あなたが何を見てどう思うか、あなたが何に触れてどう感じるか、それが聞きたい。あなたの身にこれまでどんなことがあって、故にあなたはどうなったのか、それも聞きたい。

 別に他人を理解したいとか図々しいことは考えていなくて、ただ聞きたいなと思うだけ。それ以上の動機はないか、或いは言葉に出来ない領域にあるか、そんな感じ。

 去年のアドカレは、そんなような話題が目に入ったように思う。clippaさんの『泣いて16畳』とか、raikさんの『身の上話と寮を寝床として活用する話』とか、その辺がお気に入りだったりするのだが、まあ読みやすくて中身も興味深い。僕じゃあこうはいかないな、とちょっと羨ましく思う。1年前からちょこちょこ文章の練習をしているが、上手くなっている気配がまるでない。

 まあ名文の横に拙文が載っていることも、雑記帳の醍醐味ということで。

 

 そういえば、今年は色んな人の自分語りを読みたいな、と思って、僕は知り合い2名に声をかけた。

 1人は今年の当ブロックの新入寮生で、大酒飲みかつ駅寝のプロかつガンダムオタクかつ特撮ファンという、属性を盛りすぎだお前と言いたくなるような奴だ。お分かりの通り、いくらでも聞きたいことがある。ガンダムとか仮面ライダーの話でもいいし、駅寝の話でもいいし、酒の話でもいい。関係ない身の上話でも面白そうだ。

 でも彼の返事は「自分語りできるようなことはないです」というもので、僕も無理にとは言えずそのまま退くことにした。残念だなあと、一言だけ残して。

 しかし、その直後に驚くべきことが起きた。彼は、参加した寮祭企画の「エクストリーム帰寮」(詳細は後述記事で確認されたし)にて、約70kmの道のりをスマホ・財布なしで徒歩完遂するという偉業(苦行?)を達成して伝説になってしまったのだ。当然僕に勧められるまでもなく、彼は今年のアドカレにその行程を仔細に記して投稿した。まさかの展開すぎて大爆笑したのは勿論だが、彼の文章が読めるというのは思ってもいない僥倖で、僕はこの巡り合わせに感謝した。

 その記事はこちら。また一つこの世に名文が生まれたので読んでみて欲しい。文章のリズムが良くて、トントンと読めてしまう。唯一無二の経験をここまで面白おかしく文章化できる彼の一面を知れて、僕としても非常に嬉しい限りだ。

 

 僕が声をかけたもう1人というのは、同ブロックの同期である。時折、自らの過去に関してツイートしているのを見ていたから、折角ならその話題をアドカレに載せないか? と打診したのがきっかけだ。お世辞にも明るい話題ではないのかもしれないが、それでも読んでいてふむふむと常々思っていて、出来ればもっと解像度が高い情報を知りたいなと思ったのが理由の1つ。加えて、多分この手の少し暗めの話題は共感という観点から需要もあるんじゃないか(=僕以外にも読んでみたいと思う人がいるのではないか)と思ったのがもう1つの理由である。

 本人が乗り気じゃなければやめておこうかと思ったが、需要の話をしたら結構乗ってきたので、結構ノリノリで勧めてしまった。普段雑記帳に書かない人を引っ張り出せたので、個人的にも満足している。

 当該記事は「その1」の12月7日の記事として投稿される予定である。

 今から少し楽しみだ。

 

 思わぬところから生まれたクレイジーな話題と、常々気になっていたことを深掘りして書かれる話題。その性格は両者ともかなり異なるが、文章の種って意外なところからポンと生まれるのだと思わされ、ちょっと愉快だった。前者は自分語り、とは少し違うが、自らの体験の回想録と考えると近しいところもあるだろう。

 本日でこの企画は5日目になるわけだが、今年はこの先どんな自分語りが、或いはそれ以外の話題が見られるのだろう。とても楽しみだ。

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 本当は12月5日までになんか小説的な物を完成させて投稿しようと思っていたのだが、卒論が死ぬほど忙しくて無理だった。上の文章を書いたのは12月4日なので、誤字脱字チェックもしていない。本当に限界である。これを読んだ皆さんは、すべての予定は早め早めに片付けるように努力しよう(血涙)。

 あと、これを書いている途中にずっとBGMにしていたamazarashi『辻褄合わせに生まれた僕等』と、noto(feat.みきなつみ)『Telescope』に最大限の感謝を述べさせていただいて、この文章は本当にお終いである。お粗末様でした。

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