身の上話と寮を寝床として活用する話
raikふと見ると未だに一部穴ボコがあるじゃあないか。というわけでKumano dorm. Advent Calendar 2019の18日目の記事として、だらだらと駄文を書いてみる。
ここ半年くらいの私を知る人間ならば口を揃えて嘘だろと言う予感もするが、私は別に熊野寮に入るつもりは毛ほどもなかった。かといって今現在熊野寮に来たことを後悔してはいない。同郷の人間や直系の先輩も居て、居心地は非常に良い。
さて、私は1浪して入学しているが、
・浪人で私立大学を1校も受けてない
・受験料を500円貯金から出した
・宿代がないために受験当日に先輩の家に転がり込んだ(Kくんありがとう)
・地元から往復全部在来線で済ませた
そんな馬鹿な。一番ビックリしたのは私だ。なんでこうなった。落ちたら2浪とかそういうレベルではないぞ。
まぁ冗談はともかく(今でこそ持ち直したので)タネを明かせば、当時は次の日があるかわからないレベルで家業がそれはそれは大ピンチだった。百万単位の借財の督促が郵便受けにドッサリ入ってるのを見た勉強帰りの私の気持ちを答えよ。軽く病む。めっちゃやむ。夢見りあむ~~~~~~~
今でもふと思うがこんな状況を背負っててよく冷静に試験受けられたものだな。入試成績結構良かったし。2019年2月24~26日の私はなんだったのだろう。
話が逸れた。
そんなわけで大学入学後の私自身も家業を回すしかなく、授業開講期の間ずっと京都にいることはまず無理だった上にそもそも唯一の家族である母親は当然とても京都に来られるような状況になかったために、下宿を探すという選択肢はそもそもなく、地元から始発(というほどでもないが)で通うことになるはずだった。
吉田寮と熊野寮を思い出したのは受験前日。寮を寝床として確保するのは悪くないんじゃあないかと思いながらそれぞれのパンフレットを受け取り、安さもあって吉田寮に傾きかけていたのだが、ふと、高校時代に非常に世話になり尊敬していた先輩のことが、思い出と共に頭に浮かぶ。
熊野寮の話を母親にすると、"この時代にそもそも学生運動は流行らないし、右翼思想のお前が染まることもないだろう"と割と快諾だったのは記憶に新しい。
どこに行くにも使えるだろうと買っておいた青春18きっぷを握りしめ、最寄り駅からJR東海道本線をひたすら下り山科で下車、地下鉄で三条まで、乗り換えて神宮丸太町まで、と今振り返れば随分面倒で高額な経路で熊野寮の入寮面接にやってきたのは3月14日。暖かい陽気と妙に冷たい風がアンバランスで、熊野寮の明るさと不気味さを腹の底で感じていた。
寮での生活というのはなかなかどうして興味深いもので、高校で生徒会中枢部に長く居た自身の経験から出来るだけ関わらずに居ようと思っていても結局関わってしまう、魅力的で社畜的な寮自治。出身地も、下手をすれば年代すらも大きく違う様々な背骨を持って活動する寮生の存在。どれをとっても独特で活気ある素晴らしいものだと思う。
だが一方で、"自治寮という恐ろしく安く済む環境を頼っている"だけであって、寮自治や活動に大した興味を持たない人間や否定的な存在も蔑ろにすることがないようにしたい。私自身は参加こそなかなかできないものの、寮自治や活動に肯定的だし同BLの1回生たちが活動の中枢で忙しなく走り回っている事実は喜ばしい。だが、先述のような人間もまた、何らかの活動に多くの場合全力をあげている。それはサークル活動かもしれないし、勉強かもしれないし、アルバイトかもしれないし、趣味かもしれない。ごく少数ではあるが"京都大学に入ること"がゴールとなって燃え尽きてしまっている人間の存在もあるものの、彼らもなんとか生きている。
私自身、先述の家業もあって金曜日の授業が終われば地元へさっさと帰り、土日にせかせかと製作や営業をこなし日曜夜や月曜に帰ってくるという状況にあるので、休日にワイワイ楽しむ活動になかなか参加できていない。だが、平日の大学生活を支えるために、私にとっては熊野寮の存在に大きく依存しているのが事実である。維持費は安く、帰れば飯があり、寝床がある。寮内の治安が悪いという者もいるが、"毎週土日必ず空くことになる"アパートを借りるよりずっとマシである。
あえて、このご時世に寮に、しかも熊野寮を選択するような人間は一癖二癖ないほうが不自然だ。その"癖"は人格的なものだけではなく、様々なバックボーンに依存していると私は考えている。寮自治等に関心がある人間もそうでない人間も、寮が必要であることに代わりはない。"大学の福利厚生施設"であるならば、やはり寮の学生同士お互いに尊重していきたいものである。
長文となってしまったが、もしここまで読んでくれた諸氏が居られるならば心から感謝を。何か影響をお渡しできたかはわからないが、もし考えるところがあったならば大変に嬉しい。それではまた熊野寮で会いましょう。