第二章

第二章

チャドとカワキ②

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瀞霊廷内部・倉庫内


(…夢か)


 倉庫の中。積み上げられた木箱に寝そべって、一護と出会った日の夢を見ていたチャドが体を起こす。


(…昔の夢を見るなんて…老人みたいだな…)


 木箱の下で壁にもたれかかり、座っていたカワキが顔を上げた。


『起きたのか。ちょうどいいタイミングだ』

「…ああ。…カワキ、ずっと起きていたのか? ……俺だけ休んですまない」


 チャドが立ち上がるのと同時、こちらに向かっていくつもの足音が響く。


「いたか!?」

「いや!」

「よし! 次はこの蔵だ! 二班は裏へ回れ!!」


 閂で閉じられた扉が外からドンッドンッと激しく叩かれた。カワキが立ち上がり、チャドが腕を変化させながら扉を見据える。


『構わないよ。私も休息はとれた。このくらいなら、行動に支障もない。――…寝起きのようだけど、動ける?』

「ああ。…早起きしてよかった。こんなノックで起こされたら……最悪の一日になってたとこだ」


◇◇◇


 扉を壊して入ってきた隊士達が次々と倒され、蔵の外へ向かって吹き飛ばされていく。


「ごフッ!! …うぐ…くそ…! ば…化物め…!!」


 吹き飛ばされた隊士達の中で、意識のある者が地べたを這いながら恨み言を口にする。その襟首を大きな手が掴んだ。


「ひいっ!?」

「懺罪宮ってどこだ?」

「せ…せせせ懺罪宮…?」


 チャドにそう尋ねられた隊士が吃りながら聞き返す。チャドが尋ねている間、カワキは武器を持ったまま、周囲の様子を見渡していた。


「朽木ルキアの居所を訊いたらさっきの奴はそこまで言って気絶した。場所がわからない。教えてくれ」


 涙を湛えながら遠くに見える白い塔のようなものを示す。場所を教えてくれたことに感謝の言葉を述べ、チャドは隊士に背を向けて塔を目指して歩き出した。


「フハハハハ!! 敵に後ろを見せるとは愚かなり!!」


 背を向けたチャドに先程まで怯え切っていた隊士が斬りかかった。すぐにチャドに手に刀を曲げられ、戦慄の表情で命乞いをする。


⦅本当に平の死神はこのレベルなんだな…⦆


 カワキが路傍の石ころを見るような目で隊士に視線を向ける。銃を持つ手が持ち上がろうとするのをそっと押さえてチャドが首を振った。


「もう……向かってくるなよ…」

『……』


 カワキはチャドを一瞥すると、何も言わずに腕を下げる。隊士に警告した後、二人は走り去っていった。


◇◇◇


 ――その姿をどこかの室内から男女二人の死神が眺めている。床に寝そべる男に、もう一人の女が声をかけた。


「…来ました。旅禍です」

「え〜〜〜。な〜〜んだ、もう来ちゃったのかあ…。仕方ない、そんじゃ行くとしますかね」


***

カワキ…モブ隊士のレベルの低さに驚き。弱い奴はそんなに好きじゃない。


チャド…カワキの事を「どこかのマフィアに育てられた孤児ではないか」と思ってる疑惑がある。何も言わずにやんわり止めてくれる優しい男。


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