目先の欲:砂糖編
ソラがアビドスの仲間入り==================
カメラマンの生徒「はぁはぁ…ギリギリだったわ…危なかった…」
ソラに砂漠の砂糖をPRするための広告塔をやらせたアビドスの生徒は、トラックを走らせ急いでアビドスへと戻る
広告を大々的に打ち出した事で、新たに砂糖の素晴らしさを知る人々は増えた。効果は覿面だったが…街中やネット広告で目立った結果、砂糖が麻薬同然の物質だという確証を得られてしまったのだ
それによりD.U.を始めとしたキヴォトス全域では砂糖規制の動きが急速に進んでいき、広告は軒並み撤去された
砂糖広告の責任者であるカメラマンは、規制の動きを察知すると撮影に使用した小道具や家具などを纏めてアビドスへと帰還した…
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カメラマンの生徒「申し訳ありません!D.U.での広告作戦は瓦解しました!」
ホシノ「う〜んダメだったか〜まあまあしょうがない。OKを出したおじさん達も考えが甘かったよ〜」
「もう少し長いことやれると思いましたが…まさかこんなに早くだなんて…」
ヒナ「看板は全て外されてネット広告も削除されたわ。こういう時だけは迅速な対応が出来るのね連邦生徒会…」
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[選択肢]
【ソラについて尋ねる】←
(ソラアビドス入り√)
(ソラの最悪バッドエンド√)
《「目先の欲:HELL」への分岐》
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ホシノ「ところで広告塔の…ソラちゃんだっけ?あの子は何処にいるのかな?」
カメラマンの生徒「えっ、知りません…けど…」
「…連れてきたんじゃないの?」
ホシノの顔から笑みが消えた
「い、いやそれどころじゃなくて…」
「は?まさか置いてきたの?」
椅子から立ち上がる
「す、すみませ…!」
「何やってんの?広告が規制された以上あの子も砂糖の宣伝に加担したって見做されて逮捕されるかもしれないでしょ?なのに置いてくるとか…どういう事?」
ヒナ「ホシノ抑えて。今ネットニュースを見たけれど…ソラが逮捕されたらしいわ」
「なっ!?ほらやっぱり…!お前が…!くっ!砂糖…!」
怯えてるカメラマン生徒に怒鳴りかけたホシノだが、歯を食いしばって無理やり言葉を止めると懐から純度40%の砂糖を取り出して乱雑に口へ放り込む
「はぁ…ふぅ゛ーっ…!」
「ご、ごめ…なさ…そこまで、あたま、まわらなく、て…」
「どうするの?最悪の場合彼女は牢屋の中で一生を終えるかもしれないわ」
「………私がアビドスへ連れて来る…!ミヤコにも…こほん、ミヤコちゃんにも手伝ってもらう。ヴァルキューレの牢屋ならあの子も知ってるだろうし」
「そう…この子はどう処分する?」
「…とりあえず、ハナコちゃんに再教育させてあげて。寸止めコースで」
「ひっ!?寸止めコース…!?」
「これは貴女にも非があるわ。大人しく受けなさい」
「まずはソラの判決がどうなるか様子見して、もし牢屋送りになったのなら私とミヤコちゃんで襲撃して救出する」
「そう…なら今のうちに準備しなさい」
「うん。ミヤコちゃんにも伝えとくよ」
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ホシノ「──というわけなんだよね〜」
ミヤコ「ソ、ソラさんが…」
「もしかして、ネット広告見ちゃってた感じかな…?」
「…はい。モエが教えてきて…」
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モエ『ミヤコー!これ見てみなよ!この子ってもしかして廃棄弁当くれた子じゃない!?』
ネット広告や街中の看板に大きく映ったソラの姿を見るRABBIT小隊の4人
ミヤコ『え…うそ…!?』
サキ『あの店員も砂糖食ったんだな!…てことはまた会えるかもしれないな?』
ミユ『もうお弁当はいらないけど…一緒にお砂糖食べたいな…あ!あのおでこ、殴ったらいい音出そう…!』
ミヤコ『………』
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ミヤコ「ということが…」
ホシノ「あー、なんかごめんね?ミヤコちゃんにも情報共有しておくべきだったかもしれない」
「…つまり救出作戦、ですか?」
「話が早くて助かるよ〜。まあ今はまだソラちゃんがどんな判決を受けてどこに送られるか分からないから、様子見するしか無いけど…判決が決まったら救出しに行くよ」
「…RABBIT1、了解しました」
ソラさん…絶対に助けます。少しの辛抱です。どうか待っててください…!
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それから1週間後
ネットニュースにソラさんの判決結果が載った
【正式な処分が決まるまでの禁固刑】
…信じられない
ソラさんは騙されて広告塔になったのに
あの人は収入が少なくて大変だと言っていた。それ故こんな危険なバイトを引き受けてしまったのだろう
ホシノさんが救出作戦を持ちかけてくれて本当に良かった
こんなの、到底見過ごせるはずない
今の私が正義を語る資格など皆無なのは重々承知だ。しかし恩人を見捨てるまで落ちぶれてはいない…!
私とホシノさんは、即座に荷物を纏めて夜の闇の中、砂漠を超えて隠密にヴァルキューレへと向かった
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到着した私とホシノさんは、ソラさんが収監されているらしいヴァルキューレの牢屋近くに潜伏する
ホシノ「ミヤコちゃん、準備良いね?」
ミヤコ「はい。ヴァルキューレの本館に爆弾を設置しました」
それはモエが使うような、破壊力の高い危険な爆弾だった
勿論人的被害が出ないように建物の裏手へ設置している
これを起爆させ陽動している間に牢屋へ忍び込み看守を制圧、鉄格子を破壊してソラさんを救出する作戦だ
「3、2、1…作戦開始っ!」
(チュドォォォォォンッ!!!)
ヴァルキューレ本館の裏手が派手に爆発する
それに合わせて行動を開始した
案の定、署員達は爆発に大慌て
SRTならもっと冷静に対応するだろう
そんな風に見下してしまう自分がいた
殆ど全員が爆発に対応しているお陰で、難なく牢屋棟へと忍び込めた
中には警報を聞いて驚いてる様子の看守が3人…
まずホシノさんが出入り口を銃でノックする
(コンコン)
看守A「…?なんだ?」
のこのこ現れた警戒心の薄い看守
「ふっ!」(ドゴッ!)
A「ぐあっ!?」
ホシノさんは瞬時に銃床で胸元を殴って昏倒させた
同時に牢屋へ入り込んだ私はサングラスをかけてスタングレネードを投げつける
(バッ!キィィィーン…!)
B「うぁぁっ!目がぁっ!」
C「くっ!?まぶし…!」
ソラ「ひゃぁぁぁっ!?」
「はっ!」(ドガッ!バゴッ!)
B&C「ぎゃあっ!」
目が眩んだ2人の看守を殴って気絶させた
「…よし、早く鉄格子を壊そう」
ホシノさんは、スタングレネードで気絶して倒れたソラさんがいる牢の鉄格子を両手で掴むと、横に歪ませ大きな隙間を作った
こんな芸当が出来るのは、ホシノさんかヒナさんぐらいだろう
そう思いながら倒れたソラさんを抱えて牢から出す
「それじゃ、さっさとズラかろっか」
「はい」
倒れた3人の間抜けな看守を尻目に、私達は早急にヴァルキューレから逃走する
行きと同じように砂漠を越え、アビドスへと無事帰還したのだった
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ソラ「う、うぅぅ…ん…ここ、は…?」
なんだか柔らかい寝心地で目が覚めた
寒くて暗い雰囲気じゃない
ここは…一体…?
目を開けると、知らない天井が見えた
それは牢屋の無機質なコンクリートではなくて…
「はっ!?」
思わず飛び起きた
寝ている場所は柔らかなベッドだった
それに朝日がしっかり差し込んでいる
ホシノ「あ、おはよ〜。起きた?」
「え、あ…おはようございます…」
思わず挨拶してしまった
「あの、ここは一体…?」
「ここはアビドスだよ〜」
「…へぇっ!?」
「よく来たね〜歓迎するよ〜なんてね」
「え、いや、ということは私をあの牢屋から攫ったって事ですか!?」
「そうそう。おじさんと、優秀な小隊長が…ってそういやミヤコちゃんとは知り合いなんだっけ?」
「ミヤコ…ミヤコさん!?」
「なんかお弁当でお世話になったとか…そんな事聞いたよ?良い子だね〜」
ミヤコさんとこの人が…
私を冷たい牢から助けてくれたんだ
そう思うと涙が溢れてくる
「う、あ…ごめ、なさ…私…」
「あー!泣かないで〜!大丈夫だから!おじさんが悪かったから!ね?」
「ぐすっ…と、いうのは…?」
「えっと…ソラちゃんが砂糖の広告塔になった原因はおじさんだからさ…だからソラちゃんは悪くないんだよ。悪いのはぜ〜んぶおじさん。…なのに警察の連中はソラちゃんを逮捕した上ほぼ無期限の禁固刑なんかにして…!あいつら…!」
突然怒りを露わにした目の前の人
怖い…
話を逸らしたくて名前を尋ねる事にした
「あ、あの、貴女は…?」
「っ、ああごめん…私は小鳥遊ホシノ。アビドスの対策委員会長…つまりは砂糖を広めた元凶で、カルテルのリーダー。即ち諸悪の根源…といったところかな」
この人が砂糖を広めた…?
とてもそんなことをする人だなんて思えなかった
するとホシノさんは私に…
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[選択肢]
【ソラに砂糖を与える】←
(砂糖堕ち仲間入り√)
(後輩達と同様未摂取で大事に匿う√)
《「目先の欲:正気編」への分岐》
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ホシノ「ねえソラちゃん。勝手な事してばかりで悪いけど…一つお願いがあるんだ」
ポケットから飴を取り出す
「これ、食べてくれないかな?」
ソラ「えっ…飴って…あのこれ、まさかとは思いますけど…」
「うん。砂漠の砂糖30%の飴ちゃん」
「なっ、なんでですか!?」
ソラちゃんはベッドから跳ね起きて部屋の隅に逃げる
追い詰めるように近づく
「ごめんね。アビドスに来た以上、このお砂糖を絶対摂らなきゃいけないんだ」
嘘
ミヤコちゃんやノノミちゃん達は未摂取なのに…嘘ついちゃった
「い、いや…!麻薬なんか、嫌です…」
「ほんとにごめんね…でも、これはソラちゃんのためなんだよ」
「こ、こないでください…!窓から飛び降りますよ…!?」
部屋のガラス窓を開けて身を乗り出す
「ダメだよソラちゃん。命あっての物種だって言葉、知らない?それに、ミヤコちゃん達も砂糖を摂ってるんだ。だからソラちゃんも一緒に…ね?」
また嘘をつく
ミヤコちゃんだけは無事なのに
「ひっ…いやああああぁぁぁっ!!」
ソラちゃんは飛び降りた
私は瞬時に後を追う
ごめんね、その行為は無駄なんだ
だって──
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ソラ「─────え…」
私はホシノさんに抱き抱えられている
目の前に悲しげな顔のホシノさんがいた
ホシノ「そもそもあの部屋、2階なんだ。念の為頭から落っこちないように助けてあげたけどさ…多分打撲ぐらいで済んでたかもね?」
「あ…あ…」
ホシノさんはまだ手に飴を持ってた
それを口元に近づける
「っ…んんっ…!」
砂糖なんか摂りたくない
それのせいで人生が終わるところだった
口を固く閉じて抵抗する
「…まあそうだよね。でもごめん、無理やりにでも食べさせちゃうね」
ホシノさんは飴を口に含むと
「んっ」
「〜〜〜〜〜っ…!?」
私の口と重ねた
衝撃的な行動に力が緩む
その隙を突いて、舌と飴を捩じ込まれた
──あ
あま
あまい
こんなにあまいもの
はじめて
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ホシノ「ぷはっ…あーあ、無理やり食べさせちゃった…」
ソラ「えぁ…あま…ぃ…えへへ…」
「…私って、本当に自分勝手だなぁ」
罪悪感と自己嫌悪に陥る
ソラちゃんは幸せそうな顔で飴を転がしていた
その姿を見ながら、私は呟く
「ようこそアビドスへ…ソラちゃん、君を歓迎するよ」
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