目先の欲:後編

目先の欲:後編

ソラ収監まで

【目先の欲:前編】

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──それから私は、撮影会へ週に2、3回程行くようになっていた

つまり週に60から90万円は稼いでる


素晴らしいバイトに採用された事は幸せだったけど…

そんな生活は長続きしなかった


そもそもこんな美味しい話がノーリスクな訳がなかったんだ

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2週間後


カメラマンさんから「私の写真を使った広告が市街地や駅等で掲載されるようになった」という話を聞いた私は、帰り際D.U.シラトリ区へ少し寄り道をする

そこには確かに私の姿が大きな看板広告としてデカデカと載っていた


うぅ…今見ると凄く恥ずかしい…

しかも話によると、D.U.だけでなく他の自治区でも掲載されているらしい


つまりキヴォトス中に私の顔が知られているという事…

いくら名前は出してないと言ってもこれは流石に恥ずかしかった

顔を伏せてさっさとエンジェル24に戻る


私は羞恥心を代償に、高額のバイト代を手に入れたんだなぁと考える



本当はもっと大きなものを代償としていたのに、この時はまだ気づいていなかった…

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1ヶ月後の月曜日


今週の予定を尋ねようとカメラマンさんにメールを送ったけど…今回は1日を過ぎても返って来なかった

普段なら早めに返信が来るはずなのに、少し気になる

でもこの時は、別の仕事で忙しいのかもしれないと考えて放置した


2日経っても返信が来ない

3日経っても返信が来ない

いくらなんでもおかしい


今度は電話をかけたが、その番号は現在使われていないという無機質な機械音声が聞こえるだけだった…

まさかと思ってサイトを覗こうとする


【Not found】


ソラ「そんな…」

私は何か騙されていたのかもしれない

連絡がつかなくなり、サイトまで消えた


いやでも、だったらなんで毎回30万円もくれたんだろう?

詐欺なら普通私からお金を取るはず…

余計に意味が分からなくなる

なんで消えてしまったんだろう


こうなったら自分の足で確かめよう

コンビニの仕事を抜けてあのスタジオへ向かった



スタジオはもぬけの殻だった

テーブルや椅子、背景の幕まで全て消え失せ、殺風景な部屋だけが残っていた



途方に暮れながらコンビニへ足を進める

途中、足を止めガラケーを取り出した

もしかしたらニュースサイトに手掛かりがあるかもしれないと思って、早速検索をかける




しかしそこに書いてあったのは

私が望む情報とは違うものの

看過できない内容のニュースだった


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【“砂漠の砂糖”による依存性!】

【キヴォトス中で蔓延する甘い麻薬】

【広告の看板に映る女は、某コンビニ店員!?】

【エンジェル24のグループ系列代表に突撃インタビュー】

【速報:ヴァルキューレ警察学校がソラ容疑者の行方を捜査中】

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「え…?え…!?」

ニュースサイトは“砂漠の砂糖”と“私”の内容で埋まっていた


脳が理解を停止する

砂漠の砂糖が麻薬…?

私は麻薬を宣伝していたの?

だから蒸発したの?


あまりにも突然過ぎて意味が分からず、手からガラケーが落ちた


その時

???「いたぞ!容疑者を発見!」


パトカーが目の前に停まった

ヴァルモブ「貴女が広告の女…ソラさんですね?署までご同行願います」

「え、い、いや…あれは、ちが…!」

「すみませんが話は署で聞きます」


私は有無を言う暇も与えられないまま、ヴァルキューレの警官さんに手錠をかけられてパトカーで連行された




なんで

なんでこんな事に

なんであの時あの広告を見つけちゃったんだろう

なんで採用されたんだろう

なんで引き受けちゃったんだろう



なんでなんでなんでなんでなんで

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裁判官「〜〜以上により、ソラ被告には正式な処分が下されるまでの間の禁固刑を言い渡す」

ソラ「………え?」


あの後、私は自分の身に起こった全てを話した

軽い気持ちでバイトに応募した事

そのバイトが広告のモデル撮影だった事

1ヶ月ほど経った現在、相手が蒸発した事


嘘は一つもつかず正直に話した


それなのに

いざ法廷で告げられたのは【禁固刑】

それも正式な処分が下されるまでの間という曖昧な期間…


「な、なんで…何故ですか…!?」

「…発言は許可していませんが、特別に返答しましょう。貴女の犯した罪は国家反逆罪に相当するものです。例え知らずにやったとしても、麻薬を蔓延させるという行為に手を貸していたのは事実」

「で、でも…!」

「そして“砂漠の砂糖”と称される薬物の悪質性は、軽く見れない有害性を秘めている物という見解が出ました。しかし、このようなケースは前代未聞なので後程改めて処罰を決定します。それまでの間禁固刑に処するという結論が出ました」

「…そん、な…」


思わずその場にへたり込む

「ではこれにて閉廷!」(カンカンッ)




私は強制的に立たされて歩かされる


向かう先は、ヴァルキューレ警察学校の奥地にある頑丈な牢屋

(キィィィィ…)

冷たい鉄格子が軋む音をたてながら扉が開かれた

看守「入れ」

大人しくコンクリートで覆われた部屋に入る


「………」

これから、こんなところでずっと暮らすなんて…

RABBIT小隊の皆さん…

先生…

誰か、助けてください…

こんなところ、いや…


誰か…

ああ

届くわけ、ないか

「うぅ…ぐすっ…」

簡素なベッドに倒れ込み布切れみたいな布団を被って涙を流す


私の人生は

ここで終わりを迎えるんだ──

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[この後おじさんとミヤコがソラを救出しに行った√(途中分岐あり)]

【目先の欲:砂糖編】

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