目先の欲:HELL

目先の欲:HELL

かわいそうなソラ…閲覧注意!

【目先の欲:後編】

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この√は、「目先の欲:砂糖編」の序盤にある選択肢から分岐した√です

もしアビドスのみんながソラの事を完全に忘れてしまい、収監されたまま過ごす羽目になった状態
&
最終的にアビドスは敗北しアポピス討伐まで到達できず、カルテルトリオが死刑判決を受けてしまった…

という、起こり得る限り最悪のバッド√を進んだ末のエンドです


ソラが滅茶苦茶酷い目に遭う陰鬱&猟奇描写があるので閲覧は自己責任でお願いします

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「目先の欲:HELL」を閲覧しますか?

【はい】←

【いいえ】










後悔しませんね?

【はい】←

【いいえ】



















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[選択肢]

【ソラについて尋ねる】

(ソラアビドス入り√)

【カメラマンを労う】←

(ソラの最悪バッドエンド√)

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ホシノ「ま、それなりにでも宣伝効果はあったみたいだし、あれ見て砂糖食べて来てくれた子もある程度いたから…一応成功ってことにしよっかな?キヴォトス全域で砂糖規制始まっちゃったけども、裏ルートは残ってるし物好きな子がまた新しく来てくれるだろうし…よくやったね〜お疲れ様〜」

カメラマンの生徒「お褒めの言葉、痛み入りますっ…!」

「とりあえず急いで帰って疲れただろうし、さっさと寝て休もうね〜?」

「はーい!」



カメラマンのアビドス生徒は、部屋から出て自分が住んでるアビドス自治区へと飴を齧りながら戻った

「…なーんか忘れてる気がするなぁ…?ま、いっか」

騙されただけで収監された哀れなバイトを忘れている事に気付かぬまま…








アビドスの生徒達がソラの事を再び思い出したのは、自分達が戦争に負けて捕縛された後のことだった──


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あれから、何日経ったんだろう

有罪判決を受け禁固刑にされて…

朝起きて、質素な食事を2回ほど摂って、何もせずに部屋の中や鉄格子の向こうを眺めるか寝てるかして、また朝起きて…


何回繰り返したかも分からない

看守さんに話しかける気も起きなかった

本を持ち込もうという気も起きなかった


私の人生はこの暗い牢獄で終わるんだ

その感情を延々噛み締めながら

無気力に生き続けるしか出来なかった



先生やRABBIT小隊の人達の事さえ、考えられなくなっていた

自分がソラだという事以外忘れかけて…









(ワーワー…!)

…?

今日はなんだか騒がしい気がする

やっと訪れた変化に反応したくなった


耳を傾けてみる



「アビドスは倒れた!悪辣なカルテルは全員捕縛されたぞーっ!」

「主犯の3人は公開処刑予定だーっ!」

「こいつは見逃せないぜ!」

「ついでにあの女も…“広告の女ソラ”も引導を渡してやれーっ!」

「どうせあいつも砂糖摂ってるはずだ!ならトリオと一緒に処刑すべきだー!」

「「あいつを引きずりだせーっ!」」




え………

まさか、この声は

私を断罪しようとしてる人達の…?


「ソラを出せーっ!」

「広告塔にも報いをーっ!」

「ええい埒があかない!強引にでも牢屋から引っ張り出すんだーっ!」


ヴァルモブ1「ちょっ…!ヤバいヤバい!こっちにもっと応援寄越して!」

2「あっちも一杯一杯だよっ!」

1「このままじゃガチで抑えられなくな…うわああああっ!?」




大勢の足音が牢屋棟に響く

段々こっちに近づいている



「広告塔は何処だーっ!?」

「牢屋を片っ端から調べろ!」

「看守は邪魔だから縛っとけっ!」

看守1「はぁ!?や、やめ…ぎゃあっ!」


看守さん達の悲鳴が聞こえてくる

大勢の怒号が聞こえてくる


怖い

怖い

いやだ

助けて

誰か


でも逃げられない私は、独房の隅で震えながら蹲るしか出来なかった



看守2「9番独房の看守に告ぐ!現在暴徒達が牢屋棟を襲撃中!なんとか対応を…ぐわああああ!」


アナウンスが響き渡るも、悲鳴が聞こえそのまま切れてしまった

自分に近付く人々の足音と怒号に恐怖を抑えられない


看守3「嘘だろ…!?おい2人とも!全力でここだけは死守するぞ!」

看守4「えぇ!?無理でしょそんなの!たった3人で抑えれるわけ無いじゃん!」

看守5「もう無理だ!早く逃げなきゃうちらも襲われるって!」

3「バカ!看守なのに牢屋を守らない奴がいるか!とりあえず部屋の鍵はかけた!今のうちにバリケードを張るぞ!…ってうおおっ!?」

(ドンドンドンッ!)

「ここだけ鍵かかってるぞ!この中だ!さっさとブチ破れーっ!」

(ドガンバゴンズドンッ!)


扉を破壊しようと銃撃する音が聞こえる

看守さん達は必死で抑えようとしていたけれど…


(ドガァァァンッ!)

3&4&5「「「ぐわあぁっ!?」」」


扉が爆破された衝撃音と同時に悲鳴が3つ聞こえた

大勢が乗り込んでくる足音


そして…


「見つけたぞ!こいつだ!」


鉄格子の向こうから、敵意に満ちた目が複数向けられる

ソラ「あ…あぁ…」


「チッ…鉄格子切るぞっ!ガスバーナー持って来い!」

「そう来ると思って持って来といた!」

「よし、みんな一旦下がれ!」

(ゴォーーーッ…!)


保護マスクと厚手の作業服を着た生徒がガスバーナーを手に持って鉄格子を切断し始めた

その強烈な光を放つ火が、集まった人達の狂気に満ちた顔を照らす


(バキンッ)

「っらぁっ!」

(カランカランッ)

上下を焼き切られた鉄格子2本は蹴られて独房内へ転がる


「早く捕まえるんだ!」

「まだ熱いから切断部に気をつけろ!」

「さっさと来い!このスパイめっ!」


ソラ「い、いや…誰か…助け…」


乱暴に両腕を縛られ捕えられる

私は、泣きながら誰かに助けを求める事しか出来なかった…




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「砂糖を広めた戦犯め!」

「アビドスのスパイは極刑だーっ!」

「命を以て償えーっ!」

「のうのうと獄中暮らししやがって!」


大勢人達の憎悪を浴びながら、私は連行されていく

恐怖と絶望で顔がぐしゃぐしゃになる

そんな状況下でまともに歩けるはずないのに

両腕を縛った縄を無理やり引っ張られて痛みに耐えながら強制的に歩かされる



「お前のせいで私の友達はまだ苦しんでんだ!責任取れっ!」

(ガッ!)

ソラ「い゛ぅっ…!」

石を投げられた

額の右寄りに当たって血が流れる

それを皮切りに次々と石が私に向かって投げられ始めた

引っ張ってる人は遠い位置から長く縄を持っているので石は当たらない

当たるのは私だけ



ソラ「ごめん、なさい…ごめ…なさ…」

四方八方から投げられる石と罵声に対し泣きながら謝る事しか出来ない



そして辿り着いたのは…

サンクトゥムタワー前の広場だった


そこには十字型の台が置いてある

ソラ「ひっ…!?」

額や後頭部から血を流しながら、目の前の台に怯える


「これからお前に極刑を下す。覚悟しておけよ」

引っ張ってた人は、まるで十字の姿勢でうつ伏せに寝かせるように私を拘束した

すると台は90度の角度で持ち上がって、私は人々に背中と羽を見せつけるような状態になる



そして隣に置いてあった木箱にシスター服を着た生徒が登壇し、マイクを持って宣言した



「是より!砂糖の広告塔ソラの断翼刑を始めます!」


(((((ワーワー!!!)))))

(((((ヒューヒュー!!!)))))



歓声が響き渡る



ソラ「だん、よく…けい…?」

初めて耳にする単語

何をされるか分からなさ過ぎて怖い


「砂糖の蔓延に手を貸した、大罪人のこの翼を切り落とす!命で償うべきという意見もありますが、キヴォトスは私刑での殺害は認められてません!」


ソラ「…えっ………?」

シスター服の生徒は、マイクを一度離しさっき鉄格子を切った生徒へ渡す


「なので、報いを受けさせるためにはこいつにも大事なものを失ってもらうべきだってなりました!そこで使うのが、シスターフッドが嘗て使っていたらしいノコギリと、このガスバーナーでーす!」


(((((おぉー!)))))



…翼を切り落とす?

ノコギリとガスバーナーで?









ソラ「い…いやあ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁっ!おねがい゛っ!おねがいじますがらっ!たすけてぇ゛っ!たすけてくださいっ!だれか、だれかぁ゛っ!!!」


「あーもう騒ぎ出したようるさいなぁ…ちょっと口に布噛ませといて」

ソラ「ゆるしてぇ゛っ!わたしが、わるかったからぁっ!!!それだけはやめてくださいぃっ!」

「ギャーギャー喚くな!お前より辛い目に遭ってる奴らの事考えりゃまだヌルいぐらいなんだよっ!」

(バキュンッ!)

ソラ「ひぃ゛ぅっ…!」


脇腹を撃たれた

痛い

怖い

助けて

誰か


せんせい


ソラ「せんせぇ゛っ!おねがい゛ですからぁ゛っ!たすけて、たすけてくだざいいいぃぃっ!」

「だからうるせぇって言ってるだろっ!いい加減黙れ!」

十字の台に梯子をかけたゲヘナの生徒が私の口に布を噛ませる

ソラ「ん゛んんぅっ!ん゛んーっ!!」

「これなら舌噛み切って死ぬ事も無いだろうし、いいぞやっちまえ!」


「さて、ではまずは鋸引きから!しかとご覧ください皆さん!この大罪人の翼が無様に切り落とされる姿を!」







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[これより先、本気でヤバい描写が続くので最終警告です]

[今なら引き返せますが…]

[それでも、見ますか?]


【はい】

【いいえ】














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そこから先はまさに地獄絵図だった


過激派のクロノススクール生徒がカメラを回す中

サンクトゥムタワー前の広場に集まった過激派の群衆は大熱狂する



ソラの左側の翼を掴んだシスターフッドの生徒は、仰々しいノコギリを手に持ちそれを根元へあてがう

そのまま、右手に持つノコギリを前後に動かし始めた


ソラ「ん゛っぐぅ゛ぅぅぅぅぅっ!!!ん゛んんんぅ゛ぅぅぅーっ!!!!!」

布を噛まされ声にならない絶叫をあげるソラ…あまりの激痛に暴れようとするも十字架の拘束はそれを許さない


ジャコジャコと音を立てながら翼が根元から無惨に切られていく

切断面から血が吹き出し、断罪人の身体とソラの身体を赤く汚す

十字架の下には、小さな白い羽と赤い羽が散らばっていた






(ギコギコ…ブヂンッ!)

「はぁはぁ…!き、切れた…!あはは、アハハハハハハハハハ!!!」


(((((わぁぁぁぁぁーっ!!!!!)))))


狂気の笑みを浮かべるシスターフッドの断罪人

狂乱する群衆

最前列の一部生徒は落ちた赤い羽を拾い集め始めた


ソラ「ッぅ゛…ぅ…ぁ゛…」

ソラは、虚な目を青い空へと向けながらただ呻く事しか出来なかった…

するとその時

(バシャーッ!)

突然ソラは大量の水をかけられた

「焼き切る時に羽と服が燃えたら危ないからな。水かけとけば大丈夫だろ!」

バケツを持ちながらそう告げるゲヘナ生

ソラ「ぅ…ぁ、ぁぁぁ…」

水を滴らせながら、まだ地獄が終わらぬ事に戦慄する



「さっ、次はガスバーナーのターンだ!流石のミレニアムでもバーナーで翼切るなんて前代未聞だから…楽しみだね!」

既に狂った笑みを浮かべたミレニアムの生徒は、保護マスクと厚手のグローブを装着してソラの右側の翼を持つ

そしてバーナーを点火すると…翼の中央を焼き切り始めた


ソラ「ッ゛ん゛んんんんぅ゛ぅぅぅっ!ん゛ッんんんぅぅぅーッ!ん゛う゛う゛うううぅぅ゛ーっ!!!!!」

自分の身体の一部が焼き切られる

焼死は最も苦痛を伴う死に方と評される事があるが…

それを一部とはいえ体感するソラの苦痛は計り知れないだろう


羽や服が延焼しないよう水をかけられたとはいえ、翼を切断するには十分過ぎる程の高熱を発するミレニアム製の強力なガスバーナー…その威力は鉄格子で実証済みだ

あっという間にソラの羽は、真っ二つに焼き切れてしまう


「はい切れましたー!どうだ見たか!?これが砂糖を広めた奴の末路だよ!」

まるでゴミを捨てるかのように切れた翼を地面へ放る過激派ミレニアム生徒


「さっ!名残惜しいですがこれにて公開断翼刑は終了です!とりあえずこいつはアビドスの仲間らしく、砂漠の方にでも追放としましょう!

さて、お次はカルテルトリオの公開処刑だ!こっちは公的に処刑が言い渡されたから、元凶共が死ぬ瞬間を見れるメインイベントだ!急いで会場に行って、奴らが処刑される所をいつでも見れるように良い席を取っておこうじゃないか!」


(((((おぉーーーーっ!!!)))))



過激派の群衆達は、まるで野球の試合を見に行くかのような勢いで次のお楽しみを堪能するためあっという間に広場から消え失せた



たった1人だけ、ソラの後始末を任された過激派の救急医学部生徒を除いて



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救急医学部モブ「後始末…ですか」

十字架を90度変えて横にし拘束を外す


ソラ「っ…っ……ぅ…」

彼女はまだ意識があった

一先ず左側の傷を見る

出血が酷い…ノコギリで切られては当然だろう


とりあえず応急処置の縫合を行う

右側の傷は焼き切られたので、出血などはなさそうだ

しかし火傷は看過できない

この状態では死んでしまうだろう




………私は

患者を救うべき救急医学部だというのに


砂糖が許せず過激派になった末、今回の公開処刑を見物しに来てしまった

主催した生徒達に後始末を申し出たのも彼女を助けるためでなく、本当に砂漠へ捨てるつもりだったんだ




でもいざ見てしまうと

そんな気は起きなくなった


ソラ「せ…ん……せ…ぇ゛……」

先生

恐らくシャーレの先生だろう

セナ部長が話していたあの大人


先生は現在シャーレに軟禁され、後始末を延々させられているという話を聞いた事がある

アビドスに勝利したと言っても、結局は何の解決にもならない


こんな風に人を痛めつけて、拷問しても

カルテルトリオを処刑したとしても



それでどうなると言うのだろう




(プルルルルル)

「セナ部長、急患です。それも間に合わなければ死ぬ程の重傷です」

セナ『…分かりました。位置は?』

「サンクトゥムタワー前の広場です」

『了解しました。すぐに急行します』

「それともう一つ…シャーレの先生に、連絡を入れて欲しいです」

『…なんでしょうか』

「カルテルトリオこと、小鳥遊ホシノ、浦和ハナコ、空崎ヒナは、このままだと処刑されてしまいます」

『っ…!?まさか本当にやるとは…了解しました。万魔殿のマコト議長にも連絡して、無理やりにでも暴挙を止めさせると誓いましょう』

「よろしくお願いします」




電話を切った

正直マコト議長が動くかは不安だが…

でもいくら彼女とはいえ、キヴォトスにおいて禁忌とも言うべき処刑を喜ぶような考えは起こさないだろう

彼女はそこまでの外道ではない




私が過激派の一員としてソラさんの拷問を眺めていたという罪は消えない

でもこれ以上、無意味な極刑を処される事がないように助力するくらいなら…






ソラさんの応急処置を続ける

可愛いらしい両翼が無惨にも切り裂かれてしまった彼女の姿に

私は涙を溢した


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[バッドエンド・目先の欲:HELL]

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