戦闘! マドカvsドラゴン使いたち(前)

戦闘! マドカvsドラゴン使いたち(前)



< 【交わされる視線、そして】

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『一気に行くぞ! オンバーン、"りゅうのはどう"!』

『チルタリス、息を合わせて! "りゅうのはどう"!』


指示を受け、飛び上がったオンバーンとチルタリスが口から衝撃波を放つ。


「クリムガンは避けて。ガチゴラス、掻き消せる?」


対するクリムガンは二匹の下へ素早く潜り込むように衝撃波を避け、

ガチゴラスは一歩踏み出すと体ごと尻尾を振るい、衝撃波を掻き消した。


『……チッ! "ドラゴンテール"か、竜には竜ってことかよ』

『それでも、あの二匹は近距離の相手に強いポケモンよ。
 遠くから少しずつ攻めれば……』


「……だってさ。どうする? クリムガン」


マドカの問う声に、クリムガンは行動で応える。

その場に身を伏せ、やにわに体を揺すり……頭上を飛ぶオンバーンへと、その腕を振るった。


『は? いきなり何を……っ、オンバーン! 避けろ!』


"りゅうのはどう"を撃ち終え、体勢を整えていたオンバーンに向かって、何かが下方から弾丸の如く襲い掛かる。

幾つかそれに当たりながらも、オンバーンは慌てて射線上から抜け出る。見れば、その飛来物は紅色をしていた。


『"スケイルショット"……! クソ、そう来るかよ』

『近距離戦だけでなく、遠距離攻撃の手段まで……これは慎重に攻めなくちゃ……』

『んなこと言ってる場合か! チンタラ攻めてたら埒が明かないぞ!』

『でも……!』


「喧嘩するのはいいけど、バトル中だってこと忘れてない?」


方針で口論になる二人組の耳に、冷たい声が再び届く。

背筋の凍るようなその響きは、ヒートアップした彼らの意識を急激に冷ました。

そしてその温度差は、却って彼らに焦りに似た感情を齎す。


『……! いけない、チルタリス! "りゅうの——』


主の指示を聞くが早いか、再び口を開いて衝撃波を放——


『——っ!?』


とうとして、チルタリスの身体を強烈な衝撃が走った。


『……やられた!』

『"ふいうち"……!』


洞窟内を縦横無尽に駆ける脚力で跳躍したクリムガンが、強靭な腕力から繰り出した一撃。

攻撃のために意識を割いていたチルタリスの死角から襲い掛かったその攻撃は、過たず目標を捉えた。


『オンバーン、"ふきとばし"! 交代まではさせなくていい、距離を稼げ!』


空中で制動が効かないクリムガンへとオンバーンは強く羽ばたき、その身体を遠く吹き飛ばす。

無抵抗のままマドカの元へと飛んでいくクリムガンを、ガチゴラスが受け止めた。


「ナイスキャッチ」


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