戦いを終えて(後)

戦いを終えて(後)



< 【戦いを終えて(前)】

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……足音が聞こえなくなった頃、草原にあったのは二つの泣き声と二つの鳴き声。


『……クソ。くそ、くっそぉ……ッ』

『……ごめん、なさい……ごめんね……』


男はオンバーンの前足に手を添え、何度ももう片方の手で地を殴りつけながら。

女はチルタリスの首に手を回して、さめざめと涙を流して繰り返し謝りながら。

オンバーンとチルタリスはトレーナーを慰めるように、そっと寄り添いながら。


それぞれに違う反応をしながらも、彼らの胸中にあったのは、脅威が去った安堵。

それを覚えた自身への悔しさと、自身を信じて戦ってくれた相棒への申し訳なさ。

そして何よりも、『もっと強くなりたい』という、眩しいほど純粋な願いだった。


~ ~ ~


「お疲れ様、二人とも。ゆっくり休んでね」


傍を歩くガチゴラスとクリムガンへ、マドカはそれぞれのボールを差し出す。

クリムガンは素直に前足で中心のスイッチを押し、開いたボールの中へ入っていった。

一方のガチゴラスはと言えば、


「……何、疲れてないって? なにおう、意地張っちゃってさ」


自分はあれしきで疲れたりなどしていない、などと言いたげにジトッとマドカの方を見ていた。


「"ドラゴンテール"で攻撃を掻き消して、
 最後は"もろはのずつき"を二回。疲れは無いかもだけど」

「……やっぱり、多少なりと疲れてるでしょキミ。
 普段ならワタシの指摘、吼えて否定するもんね」


そう言ってニヤリと口角を上げるマドカを、よりジトッとした目で見つめて。

そのまま暫く無言のまま進み、やがて観念したようにボールのスイッチを鼻先で押した。


「うん、それで良いのさ……本当、お疲れ様」


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> 【エピローグ:巣なき竜の思索】

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