響き渡る往生の唄:3

響き渡る往生の唄:3

中毒者特攻の実験記録

【響き渡る往生の唄:2】

【響き渡る往生の唄:4】

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終盤に、閲覧注意レベルのエグい描写が含まれていると事前警告します


そして、砂糖中毒者が苦しむ仕組み等について綴って下さった先駆者様の概念を参考にしました。この場で謝罪と感謝の言葉を述べさせていただきます

【中毒者だけ苦しむ仕組みへの妄想みたいなやつ】(Part81 69レス目)



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ウタハ「さて、悪いけどヒビキ。中毒者が悶え苦しむような方法を薬品研究部の同志達と共に試行錯誤してくれるかな?私は兵器開発に専念しなければならないし、ノアは“影の新たな生徒会長”としてミレニアムの統治と他自治区の同志達を集めるという役目があるから…」

ヒビキ「うん、分かった。2人とも忙しいもんね?…ただ医療系はちょっと専門外な気がするけど、薬品研究部が協力してくれるなら多分大丈夫かな」

「ああ、君は監督役として実験の経過を観察すればいいだけだ。専門的な部分は同志達に任せるといいよ」

「了解。じゃあウタハ先輩もノア先輩もがんばってね」

「ノアにもちゃんと伝えておくよ。一旦コトリの様子は私達が見るからそっちの心配も無用だ」

「そっか、ありがとう」



ヒビキはミレニアム自治区の一角に建設されたばかりの秘密実験室へ向かった…

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秘密実験室に着く

すると数人の同志達が出迎えてくれた


A「どうも初めまして。エンジニア部の猫塚ヒビキさんでしょうか?」

ヒビキ「うん。今日からよろしくね」

B「皆さんの尽力によって、私達の恨みを晴らせる基礎を築いていただいた事に多大なる感謝を…」

「そ、そんな大袈裟な。私は特になにもやってないし…」

C「ご謙遜なさらず!ノア先輩とウタハ先輩、そしてヒビキさんのお三方は私達アビドス滅亡を望む同志にとって一番の働きをして下さった“三英傑”です!」

「…大袈裟すぎるよ…」

ちょっと恥ずかしくなる

「と、とりあえず、監督役って事で来たけれど、あまり畏まらず接したいように接していいからね?」

「「「「「はいっ」」」」」

「じゃあまずはどうするの?」

A「まずは此方のマウスを使って、砂糖摂取した生物と免疫との関連を…」




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【実験記録1】

◯月◯日

今日から実験結果を書き記す事にする


砂漠の砂糖を投与したマウスへの実験


免疫体を解析し マウスを実験台とした治験を開始

四日程で 砂漠の砂糖に効果を発揮する試作品が完成

マウスへの効果は覿面だった

身体的な負荷もない

試行段階なので まだ判断するには早い

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【実験記録2】

◯月◯日


マウスの体内にある砂糖濃度は日に日に低くなった

凶暴な様子を見せていたマウスは 現在穏やかな性格に戻っているみたい

同志達は「ただ治療薬を作っただけ?」と肩を落としていた

私は落ち込むみんなを励ましつつ 次の実験を開始しようと提案した

みんなは笑顔とやる気を見せてくれた

次は違う生き物で試そう

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【実験記録3】

◯月◯日


先日ミレニアムに来たゲヘナの同志の子が 温泉へ訪れた一体の猿を連れてきてくれた

見る限り 人懐っこくて穏やかな性格の個体だったが 砂漠の砂糖を摂取させて間もなく凶暴性を露わにした

檻の中でかなり暴れ回ったが 麻酔銃で眠らせてから実験開始

やはり砂漠の砂糖は非常に危険な物質だと再認識した

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【実験記録4】

◯月◯日


実験記録3から一週間後

猿はすっかり大人しくなった

やはり砂糖濃度は低下して ほぼ完全に0になった

どうやら動物相手では限界があるみたい

同志のみんなは「人相手でやるべきだ」と私に伝えた

すると猿を引き取りに来たゲヘナの同志が 私が実験台になると志願した

彼女の意思も尊重し 近日中に人体実験を開始する

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【実験記録5】

◯月◯日


志願者の彼女は 当然ながら砂糖未摂取の身だ

病床に着いているミレニアム生の 砂糖中毒症状のデータと照らし合わせて色々と実験してみた

もちろん砂糖は投与しない


結果 特に何も起きなかった

しかし比較が出来たのは大きな成果だと思う

志願者の同志に感謝してから帰らせた

やっぱり ある程度摂取してなきゃダメなのかもしれない

でもいくら実験だからって 素面の子に砂糖を摂取させたら アビドスの連中と同じになっちゃう

どうしようか私達は悩んだ

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【実験記録6】

◯月◯日


なんと 病床から復帰したばかりの子が私達の同志になりたいと言い出した

まだ完治していない身だというのに

どうなるか分からないと伝えたが 彼女は決意に満ちた声と目で実験を志願してきた

死なせたくないので 今まで以上に注意を払うようみんなに伝えた

みんなは頷いた


先の実験を経て作った抗体を投与

すると対象者は数十秒で苦しみ出した

急いで中止して投与を止めた

対象者は呼吸を荒げ 苦痛に顔を歪ませている

検査したところ 全身の器官や血管等の体組織全般が傷ついていたらしい

流石にこれ以上は危険と判断し この子は実験から外す事にした



意識が回復した志願者に結果を伝えた

彼女は死んでも良かったのにと答えた

とりあえず再度入院させる事にする



研究メンバーの同志達が言うに 動物と人間でこれほど差が出ているのは 神秘が深く関わっているかもしれない…とのこと

ここが重要になりそう

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【実験記録7】

◯月◯日

この先 砂糖中毒の度合いに沿った基準として「中毒度」と表記する


これから人体実験を連続で繰り返す事になりそう

もう私達は戻れなくなるかもしれない



三日前、新たな志願者が現れた

しかも元「晄反会」の子らしい

あの時私達と対峙した子がこうして協力してくれるなんて嬉しかった

彼女も砂糖は未摂取

本当に神秘と因果関係があるかどうかを確かめるためにも 早速実験を開始する



結果 記録5の子と同様に何も無かった

やはり砂糖を摂取した人間相手でないと目に見えた変化は訪れないみたい




                怖い

        どうなるかわからない


いや もう決めたんだ

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【実験記録8】

今日は一部の同志と一緒に ミレニアムで砂漠の砂糖を販売していた不届き者を拉致した


中毒度は13

まだ盛られて間もない状態で売りに来たみたい

度合いが軽微でちょうど良かった


嫌がる実験体を拘束して実験開始

記録6の子と同じように抗体を投与する



たった十二秒で苦しんだので中止

息の乱れは前の子より酷かった

体組織の損傷具合も 前以上に傷ついていた


神秘を持つ人間が砂糖を摂取すると強い効果が現れるみたい

なお 途中で止めたのに 中毒度は2まで下がっていた

砂漠の砂糖自体はしっかり抜けている


痛がる実験体は一応入院させる事に



次はアビドスから攫おう

この調子ならいける

理想に辿り着ける

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【実験記録9】

◯月◯日


昨日アビドスの売人を捕まえた

ミレニアムの裏路地で 砂糖を違法販売していた所を取り押さえた


測定したところ 中毒度は32

重度すぎず軽度すぎない程よい度合い

早速実験を開始する



今度は九秒で苦しみ始めた

この手の実験は毎回中止してばっかり

検査したところ 前回よりも体組織損傷が酷く 壊死している箇所もあった

特に内臓や手足が重傷化している

みんなが この人は当分歩けないだろうと言っていた


また病院送り

病床を圧迫して申し訳ない気もする

なお 中毒度は4まで減っていた




あとちょっと

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【実験記録10】


今日はアビドス自治区の境へ張り込んで一人捕まえた

初めてのアビドス生徒の捕虜

助けを呼べないよう 気絶させて連れてきたので 例え消えても誰も気づかない

はず


測定結果 中毒度58

58とは出ているが かなり重症な中毒者だと思う

目を覚ましたタイミングで実験開始



           やっちゃった

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(記録10はここで破れている)

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【実験記録11】


実験体 中毒度77の子





実験はこれで終わり

これならやれる

これでアビドスを滅ぼせる

最終結論を言うと まず神秘が人体から砂糖を追い出そうとするよう仕向ける

これによって 強力なアレルギー反応のような事象が砂糖中毒者の体内で発生

その結果 対象の構成組織は破壊され 耐えきれなくなった肉体は弾け飛ぶ


ヘイロー破壊爆弾なんて要らない

砂糖未摂取の人を巻き込まない 完璧な方法だ

アブズ作戦第二段階は完了目前

ウタハ先輩達も喜ぶはず

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(以上がヒビキが綴った実験結果である)



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ウタハ「──そう、か。これで完了か」

ヒビキ「うん…!これでいける、間違い無いよ…!」

「…お疲れ様、少し休むと良い。私は、人体実験に携わった同志達にお礼を言いに行くよ」

「そう?じゃあちょっと、休むね…」


ヒビキはソファに横になると、そのまますぐ眠ってしまった

私は影の生徒会長に連絡する

「ノア、今時間はあるかい?」

ノア「はい。今は大丈夫です」

「…少し付き合ってくれないか」

「?」



私とノアは秘密研究室の前に到着した

ドアノブに手をかけながら、私は問う

「ノア、ここを開けたら私達はもう戻れない。聞くまでも無いだろうが…覚悟はいいかな?」

「…大丈夫です。こうなる事を覚悟していました」

「よし、じゃあ見るぞ」

(キィィィ…)


目に飛び込んだのは 

ただの赤ではない、赤黒いモノ

何か分からない断片が飛び散っている


中央の拘束ベッドには

人の形をしたなにか


そのなにかの周りで、薬物研究部や他の同志達がノロノロとした動きで片付けや掃除をしている

「─────」


私は後輩に

悍ましい事を強要してしまった

その罪を私も背負おうと思って来たんだ


「ぅ゛…っ…!」

やっぱりノアは耐えきれなかったようだ

その場で崩れ落ち吐き戻してしまう



実験は成功した

砂糖中毒者に抗体を投与し、免疫を暴走させて内部から破壊する

それは注射をせずとも有効らしい


ならばやる事はひとつ

「砂糖殲滅巡航ミサイル…だな」


トリニティで発生したという襲撃事件を思い出す

あのミサイルと同じ威力…いや、破壊力は然程必要無い

アビドスの上空で炸裂させれば、空気中に舞い散った抗体によって砂糖中毒者共は死に絶える



「ノア、大丈夫かい?」

「げっほ…!げっほ…!は、はい…」

「大型兵器の開発…巡航ミサイルを開発する事になった。忙しくなるよ。ノアは引き続きミレニアムの統治と、自治区外の同志をより多くバレないように集めてくれ」

「…はい、分かりました。もう後戻りは出来ないと、理解しています」



アビドス滅亡まであともう少しだ


──アビドスが終わった後は

       私達が終わる番だろうな

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