【閲覧注意】TSボタン:強制イベントは無いと油断してたら
――ボタンの効果でウマ世界の『私♂』、対外的には従兄……のもとに転がり込んでしばらく。学園への編入に向けて、この世界での生活の勉強をしたり、デバフ緩和の『儀式』の効果の持続の実験をしたりと準備中で、最後に行なってから数日経った、ある日の午後。
ここ数日うっすらと出始めていた不調、例のスレで見た、限界が来て抱いてもらう状況を思わせるもの……が急激に悪化してきてへたり込む。
身体が火照るような、悪寒もするような。身体の内側に何か足りないような感覚やジンジンとする熱さ……汗が吹き出し、呼吸が荒くなる。
私は使命感で済ませちゃったから今頃……?いや、×××したことで期限延長されたのなら、他と違って1回きりじゃなく効果切れ毎の禁断症状的な感じ……?
ご丁寧に、ウマ化に関わるものであるという点はペンダントから読み取れ、関係ない病気?という心配は無いらしい。良くも悪くも至れり尽くせりで泣きそう。
使命感で縛るだけなのエモいな~と感心して損した感や、油断したなーとか、効果切れ毎で1週間持たないなら、寮生活では週2で会うのか、数日耐えながら週1か?という不安……頭の中がぐるぐるする。
定期なら今後のために耐久実験も必要だけど今回は……
『出来れば定時で帰ってきて欲しい』
早退を頼むのも迷惑、かといって帰りが遅かったときに睡眠時間を奪うのも悪いし、あと直接表現で何をして欲しいのか頼むのもまだ恥ずかしいし……と捻りだしたメッセージを『私♂』に送信する。
それから、どうにかお茶のペットボトルを取ってきて、着替える気力は無いが、せめてもの汗対策にバスタオルを敷いてベッドに寝転ぶ。
気が紛れないか、深呼吸してみたり、自分で身体に触れて刺激を与えてみたり。
女の子が一人でする系作品に興味薄で良い感じのやり方がわからないとか、後ろに興味無いので『私♂』は内側に使うような物を持ってないとか、癖が裏目に……
それでも多少楽にはなるが、寮生活でどうするか?とか、いっそ『私♂』に引っ越してもらって学外から通ったりできないか?とか悩みがグルグル巡る……
(○○○ちゃん、ごめん、私、戦い抜けないかも……)
一方的に類感呪術で益を与えられるかも?程度の立場のくせに、心の中で推しに謝ってしまう。
……しばらく経って、慌ただしく鍵を開けて部屋に入ってくる音。『私♂』は、わざわざ早退してまで帰ってきてくれたようだ。
「ただいま。待たせてごめん、大丈夫?……じゃないよね?何が必要?」
「ありがとう……飲み物と、とりあえず抱きしめて欲しい……」
「うん、わかった」
こんなに余裕のある時間なら、傍に居てもらって耐える練習でもした方が今後のためかもしれないけど、今回は甘えてしまう。
彼は冷蔵庫から取ってきたペットボトルを私に手渡すと、汗で濡れても良いよう仕事着を脱いでシャツと下着だけになり、ベッドの上で私を抱きしめる。服越しに『私♂』の体温が伝わり、火照りと寒気と溶け合って薄まっていく気がする。
「こんな感じで大丈夫?汗びっしょりだし、一旦着替える?」
「ありがとう、これで楽になりそうだから……まずは、もう少しこのままで……」
焦燥感と外側の変な温度感が落ち着いてくると、内側の疼きや熱がはっきりしてくる。次は欠損感を埋めて、緊張をほぐして、奥に……何が必要か想像出来過ぎて恥ずかしい……
「兄さん、だいぶ良くなってきたから、一回シャワー浴びたいな」
支えて貰いながら、汗まみれの服を洗濯機に入れて、風呂場に行き、汗を洗い流す。
「兄さん、次に必要なことなんだけど……」
『私♂』も例のスレは読んでるので察しは付いている様子で顔が赤い。
これまで数回は、事前に話して計画的にしてきたから、初めて突発的に×××を頼むのは思ったより恥ずかしい……が、意を決して。
「えっと、たぶん兄さんが今想像してる通りだとは思うんだけど……」
……身体を拭いて二人でベッドに戻る。
ひとまず、もう一度抱きしめてもらい、しばらく素肌で体温を感じる。それから……
…………
……事を終えて、『私♂』は息を整えた後、私の横に寝転ぶ。
欠損感が満たされて緊張は解れ、身体の奥がじんわりと温かい。呪い的な物の反動なら、本物の女の子より気持ち良いのかな?などと余計な事にも気が回る。
隣の『私♂』は、余韻を感じる以上に、本人の頼みとは言え不調な女の子に……という罪悪感がコミュ障の私でも読み取れる。嫌ではないと、ちゃんと伝えないと。
「兄さん、ありがとう……すごく楽になったよ……」
「ど、どういたしまして。」
「……兄さんも、気持ち良かった?」
うわぁ、気分が良くなった勢いか、余計なことを聞いてしまった。そういう雰囲気ではないなと、言ってから後悔する。
「え?えっと……凄く良かったよ。アニマも良かったなら嬉し、あっ……ごめん……」
(あー……)
答えてしまったが不調な私の治療的な変な状況でこんな話をして良かったのか……という後悔が手に取るようにわかる。悪い意味で私らしい……
「……気にしないで。本当の体調不良じゃなく呪い的な感じで、こうするのが正解みたいだし、その……今後のこともあるから、一緒に気持ち良くなれて嬉しい……」
考えてみれば、これまで痛くないか心配される程度で、事後にこんな感想を伝え合うなんて今回が初のような……連鎖的に恥ずかしくなり二人で赤面する。
二人でシャワーを浴びて服を着て、ベッドに戻って休む。少し経つと、じんじんする熱の発生源がもっと奥に。例の『偽の受精』の感覚が出てくる。多少慣れたとはいえまだまだなので、弱まってくるまでの間、抱きしめて貰ったり、お腹をさすって貰ったりして気を紛らわせる。
心身が回復したところで『私♂』に買い物に行ってもらい、夕食を楽しむ。
『私♂』は早めに明日の準備を済ませて、改めて二人でお風呂、ゆっくり湯船につかる。
「今日は疲れたでしょ?早めに寝るならいつでも良いから」
一人暮らしだったワンルームなので消灯は合わせる必要がある。
「ありがとう、兄さん。じゃあ、お言葉に甘えてもう寝ようかな」
歯を磨いたり寝る準備を済ませて、二人で布団に入る。
「兄さん、今日はありがとう。おやすみなさい」
「えっと……どういたしまして。助けになれたなら良かった。おやすみなさい」
……
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なお、結局1回目の×××を誘導するギミックが、先に済ませても発生する酷い条件だったようで、懸念したように週1~2で酷く苦しむようなことにはならずに済むのだった。
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