【閲覧注意】TSボタン:初回事後(改訂版)

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新しい身体に適合するために、この世界の『私♂』の因子を取り込むことが必要。

元の世界の推しの力になれる(かも知れない)と自分の果たす使命を選んだ以上、×××せずに能力低めで細々……とは行かない。

私が美少女な割に向こうもあまり気乗りしないながらも、協力を取り付けて×××する事になった。


……初めて『私♂』の因子を受け入れる試みは、そもそも双方初めてで手間取ったり、痛みに耐える私を相手にして完遂する度胸が『私♂』に無くて結局私が主導する体勢で仕切り直しに。とか諸々グダグダになったが、どうにか完遂したのだった。


シャワーを浴びてからベッドに戻る。

「えーっと、その、色々とごめん」

「そもそも頼んだのは私だし、こんなことに協力してくれてありがとう……おやすみなさい」

「おやすみなさい」


……『私♂』は隣で私に背を向けて、深呼吸で気を落ち着かせている。

私からの頼みで合意の上でも、罪悪感を拭うに足りないのが痛いほどわかる。

なんかこう、無言で抱き締めて……みたいなよくありそうなヤツは、TSした本人がやっても何だし……


私は、まだ痛みも異物感もある中、すぐには結果が反映されないのだろうか?と、転生する時に女神様に渡されたペンダントをぼんやりと眺めつつ微睡む。


今思えば、昼間なり夕方なりにして、起きたまま経時的に記録を取るべきだったが、『普通の×××』のイメージが『愛し合って、添い寝して、朝チュン』程度な童貞とTS同一人物では、初回からそんな気は回らなかった……


……少し時間が経ち、何かを感じて目が冴える。

お腹の奥で波打つような温もりと共に、具体的でないが、耳や脚や尻尾の状態が段々良くなっていると確信できる感覚。

ペンダントを見なおすと、『この世界の因子を受け入れた量』や『現在の能力発揮度合い』を示している箇所が、今まさに逐次増えている。


ギョッとして思わずお腹をさする。


(女神様は受精のメタファーとか言ってたけど、そうきたか〜)

説明と状況から察するに、私の奥に達した『種』が、卵の代わりに具現化した私の魂の一部に群がって、私は1つ1つ因子を受け入れている。といったところ。

つまり、この熱の波の1回は、成人向けフィクションで何故か受精を知覚しているアレで、それが辿り着く数百個の分リピート中。と……


「うぅ……」

孕みエンドとか、断面図に吹き出しコマで受精シーン付けた差分とかがドチャクソ苦手な私は、自分のそういう絵面を連想してしまい、その度にゾクゾクと背筋が冷えて、重たい感じと、吐き気もするような……


(うーん、思ったよりキツい……)

出来てしまう心配は無いと頭では知っていても、心身が慣れるまで毎回この感覚を味わうというのは中々に気が重い。

貞操観念を使命感で早々に越えても編入まで中弛みさせない女神様の嫌な計らいがこのスリップダメージ?

使命感を覆す程ではないし、元世界の推しの引退後の繁殖生活の成功を願う、験担ぎの儀式とでも考えて耐えれば……?

混乱してよく分からないことを考えてしまう。


とはいえ、ひとまず因子の摂取が確認出来た安堵も少し。そして、明らかに身体が改善している雰囲気、どの程度『馬』に近づいたか早く試走したい気持ちも膨らむ。

色々なことで頭がグルグルするが、とにかく明日に向けて寝なくては……


気を紛らわすために、隣で眠る『私♂』に背中を合わせて体温を感じ、お腹に手を当てて、深呼吸しながら眠気を待つ。

ちゃんとした恋人とかが相手なら、抱きしめて貰うなりなんなり出来たのだろうか……?

次回はお互い余裕が増えるだろうから、くっついて温めて貰うとかも色々試すか……

取り留めない事をぼんやりと考えながら眠りに落ちてゆく……


(2)翌朝

カーテンの隙間からの朝日で目が覚める。ちょうど『私♂』も起きた様子。

「兄さん、おはよう」

外で従兄妹のふりをするための二人称を意識できる程度には心の余裕が戻る。

「おはよう。昨日は色々とごめん、身体は大丈夫?」

起きて早々謝られてしまう。身体の心配をされると、改めて昨夜のことを実感して変な気分。

「……ありがとう、本当に気にしなくて大丈夫だから」


シャワーを浴びたり着替えを済ませ、二人で朝食をとる。

昨日買っておいたのはコンビニのおにぎりと野菜ジュース。

……恋人でもなく変な理由の変な関係とはいえ、初めて結ばれた朝、何かそれっぽい準備をしておけば良かった。焼く物は無理でもバターロールと温かいコーヒーとか?

思うところがあるのは『私♂』も同じか、それとも、落ち着かない私の耳の動きに気付いたからか、お湯で溶かす粉末の麦茶を用意してきて二人で苦笑い。

温かい飲み物で心が落ち着くと、ちゃんとした恋人との初めての朝っぽい気がする……想像だけど。


ひとまず体調の把握と、ペンダントに表れる情報の記録。

まだ時折『因子を受け取った量』が増えると同時に苦手な感覚が来る……が、体調自体は良さそう。


「兄さん、試しにちょっと走ってくる」

「うん、行ってらっしゃい」

洗濯は『私♂』に任せて、ジョギング程度で走ってくると、明らかに昨日より動きが軽くなった気がする。元は不摂生でインドア派だったのに、今は走るのが気持ち良い。


「ただいま」

「おかえり」

部屋に帰ると『私♂』は片付けや掃除で気を紛らわせていた。ソシャゲやSNSやあにまんの余裕が無い程なのは、思ったより自己嫌悪が大きそう……

私も家事を手伝いつつ、定期的に身体の状態を記録したり掲示板を眺めたり。

例のスレ、他の世界と混信して本物の体験談も混ざっているらしいが……私たちは×××が下手なほうでは?今後がちょっと思いやられる。


お昼は私がコンビニで弁当を買ってきて、午後も同じ感じで過ごす。


『因子を受け取った量』の伸びは止まった雰囲気で『能力の発揮度合い』はまだ緩やかに伸びる……ピーク手前の様子。嫌になるあの感覚も考慮すると、レース前に×××するとしてもギリギリにする必要はなく『もっと直前に出来てたらマシだったのに』みたいな後悔はせずに済みそう。


掃除をしていると、身に覚えのある埃を被ったウィッグやあれこれが目に入る。転生前の頃にもっと女装していれば、『私♂』もその分マシだったはず……とついてしまった溜息に彼が気付く。

「……ごめん。女装で出来れば多少マシだったよね。」

なるほど嗜好が同じなので察しが良い。なんだか、ひどく理不尽な理由で謝らせてしまった。

「いや、多分ほぼ同じ生活してたわけで、サボってたのは絶対私も連帯責任……」


午後も一度ジョギングに出かける。

今回は途中で専用レーンで速度を上げてみる。

うん。加速感とか、明らかに昨日までより良い感じ。

入学したら推しの作戦を再現したりとか……わくわくして、妄想でにやけてしまう。



――夕方

これまでより強い空腹感。

考えてみれば、今日まで人間の時と食事量が特に変わっていなかった。リミッターが緩んだといった感じだろうか。と思っているうちにお腹が鳴ってしまう。


「そろそろ晩ご飯食べに行こうか?」

「えっと……昨日の効果が出てきたみたいで量が分からないから、買ってきて家で食べるのが良いな」


二人で夕食の買い物に行く。お総菜を中心に、残っても明日食べられるような物を多めに買ってきた。

……今夜は2人前ぶんほど食べて適量な感覚といったところ。デバフ状態の変化と運動の負荷と……見極められるようになるまで外食は細かく追加注文しないと面倒そう。

分け合って種類を楽しめるのは地味に有難いな、と気が付くと『私♂』も罪悪感での地獄みたいな雰囲気から、だいぶ回復している気がする。

なるほど『少食過ぎず、分け合って色々食べれる相手』に私が憧れてたのだから、彼も同じ傾向なわけだ。


協力のお礼に何かメリットを返そうにも、『美少女と×××できる』すら慣れるまでは苦行の気配だし、あとは家事の手伝いぐらいで申し訳なかったが、『楽しく食事ができる』は結構マシかな?



――夜

効力の落ち方も確認するので今夜は×××はしないが、間近で見ることに耐性を付けるため、お風呂は一緒に入ることに。昨日は、女装でもない男体を×××な心持ちで見るのが思いのほかキツくて……

考えてみれば後ろからで済む話だが、初×××の流れで双方思いつかない位なので、好みの体位に適応しておきたい……


……お風呂でドキドキして我慢できず今夜も……みたいな展開は無く、尻尾をしっかり乾かしたりとか、歯磨きとか必要なことを済ませる。

昨日一緒に寝たので、今夜からはベッドと床にわかれるのはやめて、二人で布団に入る。

「おやすみなさい」「おやすみなさい」

明日は『私♂』は仕事。留守番しつつ、今後の計画も立てないと……

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