藍染一派

藍染一派

スレ主

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 藍染は恋次にルキアを置いて下がるようにいつもと同じ声色でそう恋次に告げた。忠告のようにも受け取れるが〝次はない〟と、案に従わなけれな自身の命がない、ということは恋次も理解できた。


 斬魄刀は折られ、片腕は使い物にならない。そんな状況でルキアを逃がしてくれるほど現実は甘くはない。

 自身の命を天秤にかけられ絶体絶命の状況下において恋次はそれでも腕に抱いたルキアを放す事なく藍染に吠えた。


「…誰が放すかよ…」

「そうか 残念だ」


 力の差は先ほどの戦闘で痛いほどに理解している──それでも、それが退く理由にはならないと恋次は笑う。

 藍染は斬魄刀を構え、恋次の体に目掛けて振り上げる──金属同士がぶつかる鈍い 音がした。

 しかしその振り上げた刃は恋次の体に突き刺さる事はなかった。

 自分の物ではない。数刻前に藍染に壊され破片になった斬魄刀では精々一秒その動きを食い止める程度だろう。

 恋次は藍染の刃を防いだ人物を見上げる──そこには、見覚えのある派手なオレンジ髪の青年と、水色の髪の少女が、恋次とルキアを庇うように立っていた。


「…よォ」

「お前ら…!」

「どうしたよしゃがみ込んで 随分とルキア重そうじゃねぇか」


 驚愕している恋次に気にする事なく、一護は冗談を言うように話しかけた。


「手伝いに来てやったぜ恋次」

「2人とも無事……とは言い難いけど間に合って良かった」


 一護に続いて璃鷹も言葉を発した。一護は卍解の修行での交流があるが、璃鷹は現世での彼らとの戦闘での恋次のイメージしかない為一応確認のために本人に質問を投げかけた。


「今は味方…ってことでいいんだよね」

「あ、あぁ……!そうだ…!」


 見覚えのある顔、現世にて戦った少女の姿に少し驚いたが、直ぐに安堵の表情を浮かべた。

 恋次はここまで来てくれた2人にお礼を言おうとしたが、その言葉は途中で途切れた。


「…お前ら……助けに来てくれたん…「何だァ!?ルキア運ぶだけで随分ボロボロじゃねーか やっぱ逃げるだけでもオメーにゃ荷が重かったか?」 

「…あ!?」 

「一護…」


 璃鷹は呆れたように声を出した。

そこから売り言葉に買い言葉を重ね、醜い言い争いが続いたが、それに終止符を打ったのは恋次の胸板に口を押さえつけられたまま身動きができていないことに気づいた璃鷹だった。

璃鷹は慌てて恋次と一護を制止する。


「2人とも!朽木さんが締まってる‼︎」


 その言葉に恋次が急いでルキアの体を持ち上げた。


「やベェ…!」


 ルキアは「ぶはぁっ‼︎」と勢いよく空気を吸い込むと、息ができていなかったせいで涙目になっていた。


「お…おうルキア…」

「元気か…?」


 恐る恐る安否確認を取った一護と恋次だったが、次の瞬間、恋次はルキアの拳を顎の下に食う。


「うっ」

 

「たわけ‼︎息止めの新記録に挑戦中か私は!?全力で胸板に押しつけたまま会話しおって 危うく死ぬとこだ莫迦者‼︎」


 呑気に雑談のような会話をしている一護達に対して藍染は特にその間何もアクションを起こさなかった。

 ギンは藍染に一護達を通したことに謝罪した。


「すんません 手ェ出したらあかん思てあの子たちが横通るん無視しました」


 藍染は「あぁ いいよ」と特に気にしていない様子でそれを許した。


「手を出したところで〝彼女〟が邪魔をしていただろうからね 然程結果は変わらなかっただろう」


 その声色からは隠しきれないほどの悦が滲み出ている。それを聞いたギンはギョッとしそうになるのを堪えて「そないですか」と返事をした。

 藍染は続けて、一護達を見据えながら言った。


「それに払う埃は一つでも 二つでも 目に見える程の違いはない」


 慢心と捉えられる態度だが、それに足る実力と経験を備えているのは理解できる。

一護は目の前の敵に眼光を鋭くした。


「…あいつが…藍染か」

「あぁ」

 

 独り言のような一護の言葉に、短く返事をする。

 そして一護は確認をするように恋次に尋ねた。



「…………まだ…逃げる体力残ってるか恋次?」

「残ってるが逃げねぇぞ」

「お前な…」

「…阿散井さん……」

「まだ策はある この折れた蛇尾丸でやれる事はまだあるんだよ──戦うぜ俺は」


 璃鷹は少し考え込むと恋次の言葉に同意するように答えた。


「…でも確かに2人で戦うのは得策じゃないかもね 」


 最低でも、仮に藍染を倒したとしてもまだ2人隊長が控えている。

 白哉1人だけでもあれだけの手傷を負って倒した一護に、3人の隊長相手に大立ち回りができるとは考えにくい。


(めんどくさい……内輪揉めなら処断は死神の仕事なのに……)


 護廷十三番隊の戦力を計るために一護に付き添いソウルソサイティへやってきた璃鷹にとって離反した死神との戦闘は無駄でしかなかった。

 しかしここで逃げれば後が面倒であることはわかっているので、2人が倒れた後の事を考えながら真剣な声で一護と恋次に告げた。


「あの人達の狙いは朽木さんなんだし…そう簡単には逃してくれない、なら3人で戦って朽木さんを守った方がいい」


恋次がその言葉に同意した。


「あぁ… それに、倒すとまでは言わねぇが あいつら何とか動けねぇようにして堂々とここを下りようぜ」  

「はっしょうがねぇなっそんじゃいっちょ…共同戦線といくか‼︎!」


 一護は果敢に笑った。

武器を構えた3人に、藍染は以前余裕を崩さず、強者の笑みを浮かべている。


「中々いい見解だが…少々見通しが甘いな……〝戦力差〟が頭から抜けている」

「……?……」


 視線をこちらに向けてきた藍染に璃鷹は疑問符を浮かべながら警戒を強めた。


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