浦原喜助

浦原喜助

スレ主

目次


「ツバキ!」

「『孤天斬盾』!!私は…『拒絶する』ッ!!」


ナムシャンデリアは顔の真ん中から切断され何か鈍い音を漏らしていた。

結果は璃鷹の予想している通りになった。しかしどうにも最後があっけなく面白味のない劇になった。必死に抵抗していたのは良い、自身を強者だと錯覚した虚が先程まで同級生や友人を使って甚振っていた女に糸も簡単にやられたのだ。璃鷹は内心不服そうにしながらそれを観劇した。

織姫は汗を流しながら息を何度も切らせて目の前の虚が消えて原型が無くなっているのを確認した。


「……………! …や…っ…た…?」

「…わぁい…」


か細い嬉々の声を出したかと思えばどうやら限界が来たようで倒れた織姫が地面に着く前に抱えた。

それを見た織姫の力らしき小人達は慌てて駆け寄ってきた。

璃鷹は「井上さん大丈夫?」と声をかけた。どうやら気絶しているだけのようだ。


『やれやれ…』

『やっぱりイキナリ全員を使うのはムチャだったか…』

『ぼくらはもう戻るけど 織姫さんをよろしくね』


そう言って璃鷹に手を振ると小人達は地面に転がっているいつも織姫が大事につけているピン留めに戻っていった。

頼まれはしたが璃鷹ぎそれを聞く義理はない。


「アナタが朽木サンの言っていた滅却師の生き残りさんですかね」

「…!」


さてどうするかと考えていればすぐ近くで声が聞こえた。

璃鷹はその声の主に鞭をしならせて斬撃のような神聖滅矢を放った。

「店長!!」と体格の良いエプロン姿の男が声を出した。その男の肩には同級生の茶渡が気を失った状態で背負われている。土埃で見えない自身の矢を放った場所を見るとそこには既に誰も居なかった。


「いやぁ残念当たらなかったスね」


どうやら自身の背後に移動していたようで後ろで涼しげに杖を指にかけてくるりと一回転させて遊ばせている。


「?試しで打っただけなので別に残念では無いです」


そう言ってから浦原の風貌をジロリと見た璃鷹は一つの確信を持った。


「貴方はこの間テレビ局が来た時の」

「おっと覚えてくれてました?いやぁ照れるっスね」


璃鷹は内心を隠して浦原に言った。


「…幾つか貴方に質問をしても?」

「別に構いませんよ」


一応、真実を確定させるために聞き返しただけだった璃鷹はその件についてそれ以上何かを追求することはなく軽薄そうなその態度をスルーした。


「先程の話、滅却師という単語が聞こえましたが」

「言ったスからねぇ」

「…本題に入ります」


恐らく外れていないだろう言は分かっていたが璃鷹はそう言って次の質問に移った。


「滅却師について知っていると言うことは貴方は死神側の、しかも朽木さんより長く生きている滅却師が滅びるより以前の死神という事ですか?」

「いやぁ参りました えぇ、概ね鳶栖サンのご想像通りでスよ」


まだ名乗っていないのに自身の名前を知っている事に関しては、まぁ調べれば直ぐにでも出てくるものだと璃鷹は特に驚かなかった。

少し茶化した様な態度で答えた浦原「でも」と言葉を続けた。


「死神『ソウルソサイティ』側と言われればちょっと違いまスね。まぁ昔はそうでしたが‥」

「そうですか…では貴方に私の事を教えたのは朽木さんですね」

「いつも朽木サンにはご贔屓にさせてもらってまして…その際に色々と」


璃鷹は成程の顔には出さずに納得した。恐らくルキアがいつも使用している道具類はこの男の元で購入しているのだろ。


「警戒してまスねぇ、アタシ達は先程言った通り貴方の敵ではないでスよ」

「こんな状況で疑わない方がおかしいとは思いませんか?」


そう相手に問いかけると浦原は口を開けて笑った。

「あはは、そりゃごもっともっスよ」

帽子で見えなかった瞳は浦原が帽子を少し上に上げた事で見えた。


「でも知りたくないでスか?今黒崎サンがどういう状況でどうなっているのかを‥」


今一護がどこいるのかは想像がつかず携帯にも出ない状況だった。浦原からは璃鷹の顔は髪で隠れて見えなかった。


「ついて来てくれますよね?」

「…」


返答はしなかったが璃鷹は手に持ってきた霊子兵装を下げた。


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