籘蔓の窂に囚はる五輪華・貳

籘蔓の窂に囚はる五輪華・貳


前回

「ん・・・ふう・・・シロウ・・・」

 あの後部屋に戻ったアルトリアは当然ムラムラが収まるわけもなく即座に自分を慰めにかかる。かつて召喚された際に後の恋人、衛宮士郎と交わっていた記憶を思い返し、さらにマーリンから聞いたどこかの世界においてアヴァロンで再会した彼という話をもとにした妄想を思い浮かべながら必死に手を動かす。しかし普段なら十分満足できたその行いも今日は中々飢えを満たさない。結局悶々とした気持ちを残しながら一旦眠りにつくのであった。

「あっ、奏者よっ、ああっ」

  ネロもかつて奏者こと岸波白野に月の聖杯戦争、途中にあった月の裏側での戦いを共にしヴェルバーの一件やカール大帝の一件も乗り越えた後、平和な日々の中でたっぷりと愛された記憶をオカズに自分を慰めていた。週に2回は同衾していたし、一晩で3回くらいは注ぎ込まれ、さらにもう2日は玉藻の前も交えた3Pにも興じていた(偶に元のサイズに戻ったアルテラやエリザベートも交じっていた)記憶、普段なら思い起こしただけで下着が水浸しになりそれをオカズにすれば5回くらいは絶頂を迎えられるほどのものである。だが今日はなぜか一回もイけない。手を中で動かすだけでなく胸を揉み、乳首をカリカリと掻き、なんなら自らの口元に持ってきて舐める(これをやると奏者が興奮した)そこまでやったにも関わらず結局ちっとも発散できないまま疲れが勝ったネロは眠ってしまうのであった。

「あんっ、うんっ、そこっ、志貴・・・」

 アルクェイドも大体同じであった。ワルキューレたちのやり方を参考に再臨ごとの霊基の分割をあっさり行ったアーキタイプ:アース、あくまで霊基第二だった時は霊基第一(真祖の姫)と第三(アーキタイプ)の手前控えざるを得なかった自慰行為もこれを機に再開していた彼女。十七分割されるという出会いをした恋人、遠野志貴との逢瀬を思いながらといういつも通りの行為も今日の彼女に満足はもたらさなかった。

「ん、んんっ、幹也っ」

ここまで来ればお分かりのように式も同じ状態になっていた。愛する者との繋がりは他の四人以上に深く、両儀幹也(旧姓:黒桐)とは高校入学以来の仲で結婚まで果たしており、娘の未那も設けている。浅上藤乃の件に巫条霧絵の件、荒耶の件、更に白純里緒の件といった夫婦仲もよく体だってずっと重ねており全身が夫色に染め上げられていた。そんな愛する夫を想像してのオナニーで満足できないことなど今まで無く常に潮を吹いていたというのに今日は初めて満足するどころか絶頂を迎えることすらできなかった。

自分を慰めていたのは同じだが少しだけ事情、というか度合いが違うのがジャンヌである。

「あっ、あんっ、ジーク君・・・もっと・・・」

ジークとの交わりを妄想しながら自分を慰めるところは一緒なのだが生憎このジャンヌは処女である。実はジャンヌ、ノウム・カルデアにて再召喚された直後にフレンドとして他所のカルデアにお邪魔したことがあったのだが、なんとそこではキャスターとして召喚されたジークと自分がしっかり恋仲になっていたのだ。その際つい好奇心と僅かな嫉妬心に逆らえず二人の情事を霊体化して見ていたのである(結局バレてあちらのジャンヌにボコボコにされた上に出禁をくらった)。とはいえこの時見たのは恋人なりたてのカップルがするような甘く優しいもの、当然その記憶ももとにした彼女の妄想も甘いイチャイチャなシチュエーションであり、あのような激しい交わりを見た直後の彼女を満足させられるものではなく他四人よりムラムラを多く残しながら眠りについたのである。

 結局悶々を解決できないまま翌朝を迎えた五人。記憶にある恋人たちのモノも十分大きいものであったが、それを超えるマスターのモノやそれに突かれて啼くドラコーやリリィの姿が脳裏から離れずぼーっとしながら少し遅めに朝食を食べに食堂へと赴いた。そして、それは新たな地獄の始まりであった。

~~~~~~~~~

私、マシュ・キリエライトは先輩と一緒に食堂で朝食を採り終わった後、二人で部屋への廊下を歩いていました。

「それで先輩、今日の予定ですが・・・」

「ええと、まずは模擬戦で・・・対戦相手に闇コヤンいるんだ、うっかりバーサーカー出撃させないようにしないと」

「折角ですしティアマトさんや言峰さん、ドラコーさん辺りでも組み込んで絆レベルを上げておきますか?」

などと話しながら歩いていたら向こうから誰か歩いてきました。

「ああ、おはようございます。マスター、マシュ・・・」(ガタッ)

「あ、おはようございま・・・って大丈夫ですか!?ジャンヌさん!?」

どういう訳か歩いてきたジャンヌさんが挨拶してきたと思いきや急に倒れてしまいました!!

「はあ、はあ、だ、大丈夫です。昨日あまり寝れなかったので、寝不足みたいです・・・」

「は、はあ・・・お気をつけてください。」

「とりあえず立てる?ジャンヌ。」

あ、先輩が支えて起こそうとしました。

「い、いえ!!本当に平気ですから!!!」

あら?ジャンヌさん、走って行っちゃいました

「何だったんでしょうか?」

「何だったんだろうね?」

先輩?何か笑顔が少し怖い気がしますけど・・・

その後も

「ノクナレアにワンジナ・・・、フォーリナー増えたね。」

「フォーリナー強化用メニューを組んでもらいましょうか。あ、おはようございます、アルトリアさ・・・(ガタッ)アルトリアさん!?大丈夫ですか?」


「召喚されていないサーヴァントって結構いますよね。」

「エルメロイⅡ世とか村正とか来てくれてないしね・・・」

「後は新宿で会ったエミヤ・オルタさん、確かロシアと北欧の間で先輩がレムレムレイシフトした際に会ったジークさん辺りでしたっけ?」

「フレンドで行ってもらった子に聞いた感じだとジークがいるところはそこそこ多いみたいなんだけどね。何年か前にフレンドから帰ってきたジャンヌがなんか怖い笑顔でジークを召喚するように頼んできたな・・・」

「後はエミヤさんでしたっけ?アサシンでもオルタでもないアーチャーの。フレンドで行った皆さん料理を絶賛していますよね、少し気になります。」

「僕たちからしたら冬木で敵対したアーチャーのイメージしかないけどね・・・」

「そうですね。(ガタッ)アルクェイドさんまで!?大丈夫ですか?」


「召喚できていない概念礼装も何個かあるよね。」

「フレンドに行った方たちの話から考えると『投影魔術』に『リミテッド/ゼロオーバー』、『射初の一矢』に『サンセット・ジャム』、『トレジャー・オブ・カリビアン』『月の勝利者』に『始まりの予感』、『老成の翁』、『TYPE LUMINA』『エンジェル・ブレス』・・・色々ありますね。」

「あ、おはようございま・・・(ガタッ)ネロさん!?」


「さっきから皆さんどうなさったんでしょうか・・・(ガタッ)って式さんまで?どうなっているんですか?」

「大丈夫?式」

「あ、ああ。だ、大丈夫だから、し、心配すんにゃっ」

「噛んだ?」

「うるさい!」

「行ってしまいました・・・本当にどうなっているのでしょうか・・・」

「本当にね~」

先輩?やっぱり笑顔が少し怖くありませんか?


續き

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