鳶栖璃鷹の秘密
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一護は河川敷の草が生い茂った場所で辺りを見渡す。
そうして何も居ない事が分かると「はぁ」とため息をついた。
「おい虚の姿見ねぇぞ」
方向を変え、ルキアに抗議の声を入れながら斬魄刀を肩に担いだ。「うーむ…」そう言って周りを見渡すルキアに一護は呟く。
「それ壊れてんじゃねぇのか」
「な、そんな筈はないだろう!」
それを聞きルキアはむっとしながら一護に答えたが何処か不安そうにケータイを見ていたがパッと前を見ると「あ、」と声を出した。
「ほら見ろ!居たではないか!!」
そうしてルキアが指を刺した方向には虚が一体河川敷の川近くを飛んでいた。
それを見てどうせ今回も何もいないと思っていた一護は口を開けてその虚を見ていた。
「まじか…」
「呆けている場合ではないぞ!早く向かうのだ!!」
そう叫んだルキアの声を聞きながら一護は構える。斬魄刀を柄を握り思いっきり上に振り翳した。
「分かってる、ッよ!」
──が、しかし一護が切るよりも先に何か青い光の弾の様な、或いは斬撃の様な物が一護が虚を切るより先にそれを仕留めた。
「、何だこれ!」
一護がその倒された虚を見て困惑していると河川敷の舗装された道の方から何か青い光を放つ鞭のような物を持った人物がこちらにも向かってきているのが目に入る。
「何者だッ!!」
先程の弾のせいかまだ土埃が辺りを待っており中々姿は見えなかったが相手がこちらに近づくにつれて段々と体の全体像が見えてくる。
──そこに居た人物は見知った水色の髪に、そして空座第一高等学校の女子制服に身を包んでいた。
「あ、ごめんね死神さんもしかして邪魔だった…あれ一護?」
目の前の人物は間違いなく、一護たちの前に出てきた少女は同級生である鳶栖璃鷹本人だった。
「あれは鳶栖か──?」
ルキアは目を見開いて言った。しかし璃鷹はその言葉には反応せずに覇装姿の大剣の斬魄刀を手に持った一護の方をジッと見ていた。
「なんで一護が死神になってるの?」
「璃鷹っ?!!おま、なんだよそれ、なんでお前が虚を倒せて…しかもその手に持ってるの、」
漸く今起こっていることを理解した一護は驚愕し璃鷹に問い掛けた。
「それはこっちの台詞でしょ、まずはそっちから説明して。それになんで朽木さんもいるの?」
「そ、それは」
少し躊躇った一護を見た璃鷹は少し考えると手を叩いていつもの笑顔に戻ると二人を交互に見てから答えた。
「…ここじゃ何だし何処か落ち着いた場所で話そうよ、一護も私に沢山聞きたいことがあるはずだし」
「一護の家でいい?」そう言って何かここでは話したくないことなのだろうと話がしやすい様に一護を誘導する。
その姿を見た一護が頭を掻きながら少し唸ると納得した様に呟いた。
「…分かった、その代わりちゃんと話せよ」
「うん、それは勿論」
しかし瑠鷹はその後自身の家に向かおうとして居た一護を呼び止め言った。
「あ、でも少し待ってね」
「なんだよ」
「ちょっと今から用事があるの、それを済ませてから行くからごめんね。朽木さんも」
その〝用事〟を終わらせてから此方に向かうと言って手を振りながら逆方向に歩みを進める。ルキアは一言「…あぁ」と答えた。
「ちょ、おい」
まだ困惑している一護は慌てて引き止めようと走って璃鷹を肩を掴んだ。前を向いて歩いていたら璃鷹を顔を一護の方へ向ける。
「それが終わったらちゃんと一護の家に行くから…私のこと信じられない?」
そう言って自分の肩を掴んでいる一護の手を握りいつもはしっかりと開いている琥珀色の瞳が伏せられているのを見た一護は少し驚いた。
「…別にそう言う意味で引き留めたんじゃねぇよ」
一護が手を離すと「知ってるよ」と言っていつもの人懐っこい笑顔を見せる。
「直ぐに行くから、家で待っててね。じゃあ後で」
璃鷹が行ったのを見て今まで押し黙っていたルキアが口を開け疑問を口にする。
「何なのだあれは…あの様な奇怪な術を使う人間など聞いたことがないぞ」
ルキアは何処かへ足を進めている璃鷹の後ろ姿を見て無言のまま立ち尽くしている一護に問い掛けた。
「あの力…本当に友であるお前にも聞かされていなかったのか?」
「…あぁ」
一護はただルキアの問いにそう答えるしかなかった。