汚れた世界にあった光

汚れた世界にあった光


「いつもすまないな、トラファルガー殿。本当に貴方達には感謝している。時折現れる海賊達を退治しては、戦利品を分けてくれるなど…おかげで随分、我が国も豊かになった。

必要とあらば、キュロスを始めとする我が国の軍隊も戦力として使ってくれ」

「いいえ、リク王。私達の方こそ、海賊の身でありながら居場所をくださり、ありがとうございます。

賊どもの退治などお任せください。部下達の鍛錬にもなりますので」

いつもと変わらぬ笑みで黒衣の彼は穏やかに話す。最初にやってきた時も、彼は海賊退治を助けてくれた。

その礼として王宮に招いたのがきっかけだ。宴の席で、不意にこんな事を問いかけられた。

「リク王。例えば、巨万の富を齎す代償として、未来の民を傷つけるモノがあったとしましょう。今の民が豊かになる事と、貧しくとも未来の民が笑う事、どちらをお取りになられますか?」

「無論、後者だ。たとえ今の民が豊かになっても、その子孫が傷付くような真似などあってはならない。まだ顔も知らないとしても、私の愛する民に変わりはないからな」

例え仮定の話だとしても、答えなど決まっている。少しだけ彼の笑顔が崩れた気がしたのも束の間、静かに手を叩かれた。

「素晴らしい。全ての為政者が貴方のようであれば良かったのに。どうか私達を置いていただけませんか?こんな平和な国を守る手助けがしたいのです」

不思議な魅力のある笑みと共に投げられた申し出に思わず頷いてから、彼とその部下達は本当に良く働いてくれている。軍属にならないか?と誘った事もあるが、有難いですが他の国も助けたいので…と断られてしまった。

非加盟国・加盟国問わない助言者として活動的な彼は、時折港を利用して食料品や医療物資を支援品として送っている。為政者の一人として、頭が下がる思いだ。

袋に詰まった黄金を置いて去っていった彼を見送る。ギロギロの実の能力者である可愛い娘は、こんな事を言っていた。

「あの人が初めて来た日、気になって心を覗いてみたの。殆ど何も読めなかったけど、お父様が彼の変な質問に答えた時だけ、『やっと理想を見つけた、本当だった…』って。だから、悪い人じゃないと思うの!」

優しいあの子がそう言ったのだ。私自身も彼は悪人では無いと思う。ヴィオラの能力が効かなかったのは、過剰な覇気を纏っているのだろう。底知れない素質の持ち主なのか、余程の鍛錬者なのか。

賑やかな国民の声が聞こえてくる。今日も、愛するドレスローザは平和だ。





備忘録も兼ねた自作まとめ(題名違うけど続いてる)

『静かなる聖域』

ラミちゃんには綺麗なままでいてほしいローによるミニオン島。

https://telegra.ph/静かなる聖域-12-06


『無知は罪なりや?』

上に至るまでの話。ヴェルゴさん視点。

https://telegra.ph/無知は罪なりや-12-07



「お帰りなさい!王様はどうでした?」

「いつもと変わらない。こちらの方は?」

「こっちも変わらずさ。最初に港を使う時、指示通り普通の物だけにしておいたから、今じゃ検査もパスできる。積荷はすっかり変わってるって言うのにな」

頷いてから奥に入ると、スーツを纏った男が出迎えてきた。

「なぁ、なんでこんな国、拠点に選んだんだ?態々あんな小芝居打ってまで」

「ギムレットの容態は、その後どうだ?」

「え?アンタに救ってもらってからは健康そのものさ!ルシアンも感謝してる。まァ、嘘がバレてから数ヶ月は口も聞いちゃくれなかったが… まさか、俺の息子のために!?」

「俺も一応医者だ。此処は気候が穏やかだからな。今は無事とはいえ、環境を整えておくに越したことは無いだろう?」

「なんて言ったら良いか…一生を賭けてこの恩は返す」

嘘ではないが全てでもない事を答えると深々と頭を下げた男は勇み足で仕事に戻っていった。


きっかけは些細な事だ。根城にするなら綺麗な国が良い。そう漏らした言葉を覚えていた部下の一人がこの国を提案してきた。

「こちらの国はいかがでしょう?あまり豊かではないですが…王が高潔です。戦争をしないために、他国の全てを射殺しそうな方です」

世界会議に潜り込ませた彼女が語った光景に興味を惹かれて、部下を使い一芝居打った。

そして、気になって問いかけた言葉に、どこかで求めていた答えが返ってきた。

俺以外は立ち入り禁止にしてある扉を開けると、少し寒い部屋の中、可愛らしいオモチャとヌイグルミ、大好きなアイスに囲まれて、何よりも堅牢な棺の中でラミが眠っている。

「この国なら、お前を安心して寝かせられる。王様は立派な人だし、怖いことは何も無いよ。豊かになったから、もうすぐ祭りがあるんだ」

綺麗なキレイな妹を眺めて話す。汚い事が起こるかもしれない国に、何よりも大切な宝物を預けることだけは、できなかった。王が汚れていないこの国なら安全だ。

静かに出て部屋に戻ると、ベビー5が慌てた様子で入ってくる。

「若様、大変!ヴェルゴさんから連絡が来て、世界政府が貴方を王下七武海にするつもりだって!」

壁から出てきたピーカが笑う。

「ピッキャピッキャピッキャララ!世界政府嫌いのアンタが、入る訳無いだろ!」

「いいや、入ってやろうか」

二人が驚いた顔で俺を見た。理由を説明しておく。

「海軍の相手をしなくて良くなるんだぞ?あと、一度見ておきたい。俺のラミを誑かした、海のクズ共の面を」



自作まとめ番外編

『壊れた世界に差した輝き』

今回チラッと出てきた世界政府に潜り込んでるローの崇拝者の過去話。ifローに脳を焼かれる話。

https://telegra.ph/壊れた世界に刺した輝き-12-08


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