技術者が襲来（き）たぞ？

「オレは標（しるべ）、よろしくな」

「行動（うご）くな、本官（オレ）が来襲（き）たぞ」

プロフィール

名前：標（しるべ）メタル

性別：女

年齢：96歳

誕生日：4月28日

身長：148cm

所属：警視庁刑事部捜査第一課

階級：警視

　標ネオンにギアの技術を授けた、「師匠」と呼ばれる人物。粗暴な口調の女子中学生……と見紛うような容姿の老婆、100歳間近のいわゆるロリババア。驚くことにただの人間である。

　昨年の5月から行方不明になっていたが、実はネオンの父が殺された8年前の「ヴァルチャー密売事件」を追っていた。その正体は東京の治安を守る警視庁の警察官、相棒と共に数々の死線を掻い潜ってきた強者である。

容姿・服装

　全体的に細く肌は白い。赤みがかった黒髪を腰の高さで切り揃え、額を出している。トレードマークは炎のような模様が浮かぶ白銀の瞳と、ギザギザの歯。

　白銀の炎のような横縞が入った黒いスカジャンの下に警察官の制服を着ている。

口調

　一人称・二人称はそれぞれ「オレ」と「アンタ」。会話にルビを用いた大量の罵倒・挑発を交えており、弟子の口調の原典となった。

人物像

技術者として

　技術者としての実力は現在でも弟子を上回るが、実は才能そのものは一般人と大差ない。人生の9割以上を研究・開発に捧げたことで獲得した秀才である。

　「一芸に特化したピーキーな性能」と「強度」に拘る。弟子とは異なり反動やデメリットもある程度は許容でき、寧ろ活用可能と見做せば積極的に取り入れる。

趣味

異能〈蒸気の偉業（ブーストスチーム）〉

　「特殊なエネルギーを注ぎ込み、異能の出力・性質を飛躍的に高める」能力。火の粉が混じる蒸気のようなエフェクトが発生する。僅かな量でも絶大な威力を齎す強大な異能。ただしネオンの異能〈泡沫の神業（ブーストフォーム）〉ほどの増幅はできない。

　その反動は凄まじいが、彼女が設計したギアは強度が非常に高いため問題にならない。

技能

・開発

・調整

・修理

・運転

・銃撃（フュズィ）サバット

　爪先での蹴り技を主体とするサバットと銃撃を融合させた格闘術、銃使いのための護身術という側面が強い。シャッセと呼ばれる横蹴りで間合いを測りつつ、銃弾を叩き込むのが基本の型となる。メタルはライフルをステッキのように振るって戦う。

ギア一覧

　弟子と同じく歯車型のコアを採用している。どれも大爆発に晒されようが傷一つつかない常軌を逸した頑丈さを誇る。

『セミオート狙撃銃：反作用（リアクション）』（自作）

　黒を基調に銀のラインが走る大型の狙撃銃。大口径の実弾とエネルギー弾を切り替えられる。反動を意のままに制御する機構が内蔵されており、直立状態での連射を実現した。また打撃武器としての運用を想定して設計されており、反動を利用して打突の威力・スピードを高めることも可能。

『特殊ワイヤー：曲芸師（アクロバット）』（自作）

　特殊なワイヤーを展開する装置。本来の用途はワイヤーに触れた物体を空間ごと絡め取り拘束するというものだが、この原理を応用すれば短距離を瞬時に移動することもできる。

その過去

　標メタルにとって最も古い記憶は、空襲で焼き払われた東京である。身寄りのなかった彼女は警官の標マイカに拾われ、彼の下で機械技術を教わった。自作の機械を売ることで生計を立て始めた彼女は次第に彼に惹かれ、遂には婚約を交わすまで至るが……

婚約者と復讐について

　ある日マイカが突如失踪、惨殺死体となって発見された。殺された理由は彼が組を脱退したため、つまり彼もまた極道の人間だったのだ。

「あの頃は、ただ憎悪（にくしみ）だけで生存（いき）ていた」

　メタルは復讐のため組長の娘を暗殺しようと接触するが、彼女もまた従兄を惨殺した極道の壊滅を望んでいた。二人は手を組み大量の武器を制作すると、たった一夜にして2万人を超える極道の無力化に成功する。そして組長に銃口を向けたその瞬間──

「……大爆発だった。オレ達二人以外は全員焼死（くたば）った」

「間接的とはいえ、オレらが爆殺（ころ）したのさ」

　その後紆余曲折を経て警視庁に就任した彼女たちは、技術者でありながら数々の難事件を解決へと導くエースとなった。多くの実績を残した二人はノンキャリアでありながら警部まで昇進したが……

相棒と決別について

　メタルの相棒、標パールは彼女のよき理解者だった。その実力が才能ではなく、陰で積み重ねてきた努力の結晶であることもまた知っていた。

「彼女はワタクシと違い天才ではありませんわ。ただ努力を蓄積（かさ）ね天才と伯仲（なら）ぶ秀才──天才と秀才、協力（く）めば無敵。そうでしょう?」

　しかしある時、上層部が汚職に手を染めていたことが発覚する。メタルが組織の徹底的な改革を求める一方、腐敗しきった当時の警察に絶望したパールは警部の地位を捨てることを決意していた。スタンスの違いから二人は決裂、長年の相棒は行方を晦ましてしまう……

異能と延命について

　彼女の異能〈蒸気の偉業〉は、実は他者から譲渡されたものである。