二初 性教育を受けていない与一 本文(追記あり)
初代は読書を沢山する人だったっぽいから無いと思うけど、性に関する知識や常識にかなり疎い可能性。
生来の強い正義感があるけれど、それでも知識不足のせいでびっくりするような事をする可能性。
与一はよくEDとして二次創作が書かれる事が多い気がするが、仮にそのように自身が勃起しないとして兄のそういう所を見れるような気もしないから、勃起という現象を全然知らない、あるいは本でその記載があってもよく分からず現実の実際の事象と結びつかない可能性。
https://telegra.ph/%E4%BA%8C%E5%88%9D-%E6%80%A7%E6%95%99%E8%82%B2-%E3%83%A1%E3%83%A2-01-16
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前回その可能性を考えて書いたメモの内容を更に膨らませ、小説の形にしてみた。
ある夜の日、与一はぱちりと目を覚ました。
こんな事は珍しい。与一は昔から路上等の屋外で寝起きする事が多かった。だからどこでも寝れる自信はある。ベッドだから却って寝れなくなるかもと思いきやそんな事は全く無く、駆藤達にここに連れてもらってきてからも病気の時を除けば快眠状態だった。
とりあえず水でも飲もうと寝室にさせてもらっている部屋を出てみると、駆藤がソファで寝ていた。
与一は駆藤の側に近寄る。すうすう寝息をたてていた。腕組みをしながら座るさまはいつもとあまり変わらないが、顔つきは違った。いつもは精悍な顔つきだけど、眠っているとまだ青いなと思わされるような、可愛らしい顔つきをしている。AFOの支配に打ち勝つために仲間を率いて戦っているリーダーだから忘れがちだが、彼は普通ならまだ成人してから数年しか経っていないような青年なのだ。
「いつもお疲れ様。本当にありがとう。」
愛しい気持ちが込み上げてきて、与一は駆藤の隣に座り寄り添った。
そうして駆藤が寝ているところを微笑ましく見ていると、ふと股間が盛り上がっている事に気がついた。なんかの怪我なのか病気なのか、起こした方がいいのかよく分からず、少々の好奇心もあったためとりあえず膨らんだ箇所を触ってしまった。すると駆藤は変な声を出した、気がする。与一はびっくりした。体の他の部位を触っても見られないような反応をしたからだ。しかも心なしか声がいつもより高く甘い気がする。
びっくりした与一は今の一瞬の反応が本当に起こった事か分からず、今のは何だったのか気のせいだったのか気になり今度は少し揉んでしまう。するとやはり明らかに変な声を出している事が分かる。やはり声が高く甘い。
何でこんな事になるのか不思議でたまらなかった与一は、好奇心のまま彼の股間を触り続けてしまった。
与一は本の知識を思い出していた。確か男性の股間には陰茎というものがあるはずだ。しかし触り心地が少し硬い気がする。与一が持っているものはここまで硬くない気がする。試しに自分のものも触り比べてみたが、やはり違う気がする。
与一は昔から様々な本を読んでいた。本を読む事で色んな知識を習得していた。しかしそれらは字や絵によるもので、なまの体験ではなかった。だから現実の事象を目の前にしてもいまいちピンとこなかったりすぐには結びつかなかったりした。その上与一が読んだ性に関する知識の本は、あまり詳しい事が書いていなかった。
しかしそのうちこれが勃起というものではないかという結論にたどり着いた。
なるほど。これが勃起なのか。僕の陰茎と形が違う気がすると思っていたが、勃起すると形も変わるのか。
そう思いながら1人ふむふむと納得していたところ、ドスのきいた声が聞こえた。
「おい、何をしている」
与一が刺激を与え続けるものだから、さすがの駆藤も起きてしまった。
当然駆藤はこっぴどく与一を叱った。
どうやら勃起の事をよく知らず性的同意の事もあまりよく知らず、興味関心が勝ってしまったから起きてしまったようだ。しかしだから不問にしようとはならないし、無知なら余計に教えねばならない。
与一はそういうプライベートなパーツは特に勝手に触ってはダメなんだとか言われ至極真っ当な性教育を受けた。
与一はすぐ理解し、大変な事をしてしまったと謝り、もう二度としないと誓ってくれた。
与一に知識が足りなかった事も、悪気は無かった事も、ちゃんと話を理解してくれている事も、相手が嫌がると分かりながら自己中心的な行いを繰り返すようなヤツでもない事も分かっている。そのため駆藤はその謝罪を受け入れた。
勝手に陰茎を触られる事はもちろん駆藤もイヤだった。おまけに寝ている時で、場所はいつ誰が来るかも分からない共有空間。普通なら触ってきた野郎とは絶交する事も当然考える。
だが、それはそれとして、与一に触られるなら正直良いと思っている。
与一とはかねてより愛しあっていた。しかしせいぜい抱きしめ合う事や軽いキス程度しかしておらず、もっと深い行為をしてみたいという欲は正直あったものの、切り出せずにいた。
そんな相手が実はそういう事に(ある意味)興味を持っているという事実を知った事で、欲も高まってしまっている。
しかし素直にそういう事を誘うのはやはり気恥ずかしく、それに今誘うとまるで勝手に触られた事で喜んでいるような形になる気がして少々気が引けていた。
それでも駆藤は閉まっていた欲をもう抑えきれなくなっていた。
「……気になるか?」
知的好奇心を満たすという名目で与一を誘った。
それまでしゅんとしていた与一だったが、それを聞くやいなや真顔で気になると答えた。
そうして与一の寝室にしている部屋に移動して性行為を始めてしまったのだ。少々張りきりすぎてしまったようで、駆藤は与一を抱っこしお互いいつもより激しめなキスをしながら部屋に向かった。そのまま勢いよくベッドに倒れ込みカチャカチャとベルトを外しズボンとパンツを軽く下げ、最低限の用意だけで事を始めてしまった。鍵をかけたかすらよく覚えていない有様だった。
「いいか与一、あくまでいけないのは勝手に触ったり嫌がっているのに触る事なんだ。…同意が互いに取れていれば、そういう事をするのは、その……自由だ」
「陰茎は刺激しても立ち上がるんだ。親指と人差し指で輪を──」
駆藤は与一に様々な事を教えるという名目で行い始めたので、実践する際に逐一軽く解説説明せねばならなくなってしまった。その解説にへー、なるほどと感心し知的好奇心を刺激されるため与一はどんどん実践をしていった。
与一は駆藤の陰茎を立ち上がらせるため──と言ってももうだいぶ立ち上がっているけども──手で擦り刺激を与えようとした。しかし手加減しているのか元々非力なせいなのか、少しくすぐったいだけで、どんどん高まっている欲を解消するにはとうてい足りない。あまりのもどかしさに苦しくなるほどだった。
「少し優しすぎる…もっと…」
駆藤が恥を偲んで声をかけた。元々の性格上せがむのは気恥ずかしかったが、我慢せず相手に気持ちをきちんと伝える事は大切なはずだ。うん。その方が与一の教育にもいい。そうに違いない。
そんな葛藤なぞいざ知らず、与一は真剣な表情で試行錯誤していた。部屋になだれ込む際は与一ももっと欲情したような甘い雰囲気を漂わせていたはずだが、今は何だか理科の実験をしているような感じに見えた。性行為にそんなに真面目に向き合われると、余計にいたたまれなくなるから、もう少しとろけるような甘い雰囲気になってほしいが……こっちは言う気になれなかった。言ってコントロールできるようなものでもないと思う。
「こんな感じでいい?」
だいぶ強くなってきた。
「そう…そうやって…強く…刺激を与えると…」
喘ぎそうになって何も言えなくなった。
「わあ、大きくなったね」
そんなテンプレのようなセリフを与一から聞ける日が来るとは思ってもみなかった。
そのセリフで駆藤はさらに興奮した。
「ふふ、どんどん硬くなってる」
どんどん感度が良くなっていっているのを感じる。
「与一…少し下の方を…」
それしか言えなかったが、言わんとする事は分かったようだ。
「こう?」
「んっ……あっ」
喘ぎ声が漏れ出てしまう。普段はこんなに出ないのに。おまけに一応人前だから我慢してしまった。
「与一……舐めてみてくれないか」
こんなの教育じゃなくてただの要望じゃないか。しかし欲望に抗えない。
与一はペロペロと舐めはじめた。
正直言ってくすぐったいだけであまりそれ自体では感じなかったが、一生懸命ペロペロする与一に愛おしさが込み上げてきてとても気持ちよくなった。
そうして駆藤は与一に様々な事を教えていき、与一は次々と実践した事で駆藤の欲はどんどん高められていった。
「ふーっ、ふーっ」
駆藤は喘ぐのをなんとか堪えたくて深く息を吐いた。
そしてもう少しでイッてしまいそうと何も考えられなくなっていた。
すると突然刺激が無くなった。
与一は突然やめてしまったのだ。
「何で」
何でやめてしまうんだと思いもどかしそうな目で与一を見てみると、与一は目をキラキラ輝かせてこう言った。
「今度は本で少し読んだ事のあるマスターベーションという行為もこの目で見てみたいんだ!」
「ぇえっ」
こんなところでやめてほしくない。せっかくだからいったん与一の手で扱いてほしい。
素直に自分の思いを伝えられず一方的に妥協し続ける状態というのはよくないはずだ。そうだ、素直に伝えないのはきっと与一の教育に悪い。そうに違いない。
「どうせならまずは自分の手でやってみたらどうだ…?しばらくしたらすぐ復活するだろう…し…」
自分はいわゆる絶倫ではないと思う。しかし今の自分ならわりとすぐ復活してくれはするだろうという予感があった。それくらい欲情していた。
「へえ、復活するんだね。それなら安心だ」
そう言って与一は再び強く擦り始めた。
寸止めされて苦しくなっていた状態から一転していきなり強い刺激を与えられ、駆藤は少々大きな喘ぎ声を出した。しかしもう気恥ずかしいと思っている余裕もなくすぐに絶頂に達してしまった。
「わあ、いっぱい出たね」
いたたまれない。
達した直後、実験中のような与一は鳴りを潜め、また甘い雰囲気の与一が戻ってきた。
口に、頬に、胸に、体中に口づけをしてくれ俺は冷静になる暇など無かった。
こんなに性的な与一は初めてだ。冷静になってる暇なんかない。駆藤は愛撫で愛を返しキスも返し、愛し合い続けた。さっきは脱ぎそこねた服は脱ぎ捨てぴったりくっつき抱きしめ合い、駆藤の腰は与一に下腹部を押し付けるかのように勝手に動いていた。
陰茎が元気を取り戻すのにもあまり時間はかからなかったと思う。
「本当だ、また元気になった」
ニコニコ笑顔で与一は言うと、陰茎をそっと撫でキスを落とした。
「んっ…うぅ…」
それは素でやっているのか。
これは陰茎よりも直接心に来るやつである。気持ちよくなるには大して意味の無い行為だろうなと思っていたが、これはある。少なくとも与一からやられる分には。
しかし最高に甘い雰囲気の与一はここまでだった。
「さあ、マスターベーションという行為も見せてくれないか」
目をキラキラさせながら言った。
また実験中の与一に戻ってしまった。こいつの情緒はどうなっているんだ。
少し心の中でツッコむも、既に冷静さを失っている駆藤は黙って自らの手で陰茎を扱きはじめた。
「へえ、手で握って上下に動かすんだね」
解説する余裕も無いほど発情してしまっている駆藤に代わって与一が解説し始めてしまった。
「おまえもさっきやってたろ」
それは無視された。
「これはどれくらい繰り返すの?」
「……わから…ない」
「いつもどれくらいしてるの?」
「えっと……さいきんは……あまり……」
質問攻めまで始まってしまい、与一は真剣な目でまじまじと見続けている。本当に理科の実験みたいだ。ある意味本当にそうかもしれない。生物学の……。
いたたまれない。それでも手は止まらない。
「そっか。君はいつも休む間もなく頑張っているからね。今日はゆっくり休んでほしい」
そう言った与一は愛撫を始めた。さわさわと触る感じはゾクゾクさせるも刺激は足りなく、また気持ちいいのにうまく発散できず苦しくるような感覚に見舞われた。しかし心地よさのある苦しみだった。
さっきまで理科の実験かと思いきやこれだ。油断もすきもない。
まあとにかく、駆藤はゆっくり休んでなどいられなかった。与一と性の時間を楽しむので、忙しい。
与一がまた甘い雰囲気になりつつある事で、駆藤の欲もどんどん高まり喘ぎ声も隠さなくなってきた。
「普段は何を考えて自分を慰めているの?」
「……よいち」
「僕の事をいつも思ってくれているんだね。嬉しいな」
そう言いながら与一はお腹のあたりを愛撫した。腰がズンと重くなるような感覚を味わった。
「どんな僕を考えていたの?」
「……おれの」
「君の?」
「……おれの手で……あえぐ……よいち」
与一はニコリと微笑む。
「君ってば案外スケベなんだね」
「なっ、ちが」
いや違わないかもしれない。
現に今、乳首に刺激を与え始めた与一にすごく興奮しているようだ。自分でも自分がよく分からない。
「僕がするのと自分でするの、どっちが気持ちいい?」
「よっ…よい…ち…」
自分ですれば最適な刺激を与え続けられるし、一番気持ちよくする方法も難なく分かる。しかし、与一の愛おしさに勝るものはない。
だから、自分でするとしても与一がこうしてくれているだけでも全然違う。
「ふふ、これからもやってあげるよ」
次があるのかと思わず微かな笑みを浮かべた。本人は気づいていなかったが。
与一はそれに気づいたからか違うのか、耳元で囁かれた。
「愛してるよ、マイヒーロー」
耳元で囁かれたその瞬間、駆藤は果てた。
駆藤は息を荒くして最低限の衣服だけを身につけてベッドの上でぼーっと天井を見ながら寝転んでいた。
隣で駆藤を向いて寝転んでいる与一はお腹を撫でている。撫でるのが好きなのだろうか。また下腹部が元気になってしまいそうだからやめてくれと言おうとしたけど言わなかった。遠慮して言わなかったのではない。自分の意思で言わなかった。
与一の愛しい仕草をやめさせたくなかったからだ。この時間も終わらせたくなかった。
駆藤も与一の方に向いて、彼の頬を撫でた。
愛しい。
体温を感じて、ああ生きてる、と思った。
殺伐とした日常の中で生を実感する時といえば、命からがら生き延びた時だろうか。
お互いいつ死ぬかも明日何が起こるかも分からない身、たまには、たまにならこういう時があってもバチは当たらないだろう。
「愛してる、与一」
「僕も愛しているよ──」
与一は駆藤の名前を呼び、互いにきつく抱きしめ合った。
「あ、また元気になったね」
そして不意に太ももで陰茎を撫でられた。
突然の事に喘ぎ声を我慢できなかったが、まあいい。もう我慢せず与一と愛し合いたい。
今の今までで駆藤の体は与一の愛を敏感に受け取れる体となっていた。余すことなく受け取りたいし、伝えたい。
絡み合い睦み合い、2人の夜はまだまだ続いた。