オフの昼の仁王

オフの昼の仁王


一応この文の続きですが読んでなくても楽しめるよ

オフの朝の仁王 – Telegraph

㊟このスレに書き込まれた仁王概念を使っています。文を読む前にこのスレを一読ください。

【閲覧注意?】推しの仁王のプロフィールが何もわからないので

㊟斬鉄くんが登場します。解釈違いでしたら申し訳ございません。

㊟筆の赴くままに書いていますので閲覧注意です。

スレ主様のレスを参考に書いてます。

㊟何も仁王の事が分からないので全て想像で書いています。解釈違い等ありましたら自爆するか、即telegraphを閉じることをお勧めします。


朝ごはんを食べ、図書館に行く。試合の日はもちろんの事、普段も練習があったり何かと忙しいのでこんな一日オフの日は貴重だ。閃堂は「なんで折角のオフに図書館なんか行くんだ」とか不思議そうに言っていたが、こいつは読書の楽しさを知らないのだろうか、

サッカーしか出来ない、分からない俺に他の世界の入り口を魅せてくれる。俺だけでは到底理解できる筈がない世界がそこには広がっている。

まぁ閃堂だからな。閃堂らしいや。

館内に入り返却カウンターで借りていた本を返す。ついでに妹達が返し忘れていた本もmo謝罪の気持ちを込め、「ありがとうございました」と返す。

 

心を躍らせ本棚と本棚の領域に踏み入る。どんな世界と出合うことが出来るか楽しみだ。

心を掴んできたタイトルを引き出し、本と出合う。慎重にくっと引き出し腕の上に載せる。紙の厚みや重さが俺に知のドアノブを握らせる。

 

...どれだけ素敵な本であろうと本棚の隙間を占領するのは迷惑行為だからなぁ。

足取り軽く跳ね、机と椅子のスペースに向かう。昼前だからか勉強している学生や新聞を読むご老人もいて少し混んでいる。そこに見たことのある身体を見つけた。確かブルーロックの剣城斬鉄だ。こいつも休暇なのだろうか?

斬鉄もこちらに気づいたようである。

「お前、U20の時のにおう...?だよな」

「...ああ、そうだよなんか様か?」

斬鉄は俺の方に向かってきて小声で囁いてきた。

「なぁ、この問題分かるか?」

困った顔をして俺に問題用紙を差し出してくる。どんな難しい問題を聞かれるのだろうか。俺だって頭が良いわけでは無いし。ドキドキしながら問題を覗き込む。

ⅹ²+7ⅹ+6=

拍子抜けした。...こいつ簡単な因数分解でも出来ねぇのか。まぁ説明出来そうな問題で良かったから教えてやるか...。

「ん~これはたすき掛けやったら解けるぞ。たすき掛け分かるか?」

「たきす掛け?なんだそれは。」

「た・す・き掛けな。たきす掛けじゃ無い」

「えーと、まずなⅹ²って何と何を掛けた数か分かるか?」

「なんでえっくすが出てくるんだ?このえっくすって何だ?」

...そこからか。

「...ⅹってのはな数字じゃないんだ。分からない数字を〈ⅹ〉と置いてるの」

斬鉄は少し諦めたような顔をして「分かった」と呟く。こいつ絶対分かってねぇな...。

「本当に理解したのか?まだ分かんなかったらちゃんと言え。」

「...すまん、理解出来ていなかった。」

てか、こいつ九九さえ分かんないんじゃ.覚えて無いんじゃ..。不安になった俺はスマホの検索エンジンで「九九表」と打ち画像を斬鉄の目の前に出す。

「ほうほうなるほど」

(本当はちゃんと解説シーン書くつもりでしたが色々ありまして...。私の文章書く能力とスケジュール調整能力が悪い。少し端折りました。すみません。)

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

こんなに自分が「教える」という行為が出来ないとは思わなかった。自分では問題を解くことが出来ていたし、教えるという行為も同じように出来るものだと思っていた。

それでもこいつを見捨てる訳にはいかない。必死に問題を理解しようと奮闘する

「出来た...!!他の問題も同じようにやれば出来るかもしれん」

そう言って斬鉄はよし!と自らを鼓舞し、紙に一つ一つ数字を書きだしては慎重に計算していく。ゆっくりながらも確実に鉛筆を持つその手は動いている。数式の列に果敢に挑み、勝負を仕掛ける勇ましいその姿はサッカーをしていなくても引き込まれてしまいそうで...。

少しの計算間違いもしないぞと意気込む黒ガラスのような目だ。柔らかな緊張が俺にまで伝って心の中で「頑張れ頑張れ!!」と叫ぶ。

一時間程経過しただろうか...。斬鉄は全ての問題を解き終わったようだ。それと同時に緊張が解けたようだ。くあっと伸びをし、わざとらしく眼鏡を外してシャツの端で拭く。俺もなんだか嬉しくなる。

「なんだよ、やればちゃんと出来んじゃないか」

「こんなに丁寧に教えて貰ったの初めてだ。先生も俺の馬鹿さに矢を投げた。仁王はいい奴だな。俺に馬鹿とか言わないし。」

「なんで矢を投げるんだよ。当たったら怪我するぞ。『匙を投げる』だろ。さ・じ!」

「そうなのか...お礼したいんだが、こんなもんしか無い...」

と歯ブラシを渡された。ぴっちりとパッキングされた新品のそれは持ち手が黒くてらてらとしていて高級そうだ。ドラックストアで投げ売りされている3本セットで180円のお買い得歯ブラシを使っている俺にはいつもなら縁の無い良品である。でもなんで歯ブラシなんだ...?戸惑いを隠せない俺に斬鉄は

「歯は大事だからな。うちの親が監修したやつだからいい奴だぞ。」

と自慢気に呟く。だからと言っていきなりお礼に歯ブラシかよ...。まぁ消耗品だからあって困ることは無いが。

ふと時計を見ると2時半だった。3時に閃堂と会う約束をしているのでかなり時間ギリギリだ。「約束があるんだ」と斬鉄に別れを告げ早足で間に合え間に合えと念じ、図書館を出る。風が気持ちの良い昼過ぎだ。

きっと彼は優秀なストライカーになるだろう。いや、なってくれるに違いない。

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