エロトラ道中膝栗毛 0F
※アホのターン
※優しさは時に人を傷つける
※0F←いまここ
1F
(中略)
その後
※伏黒の巻き込み事故:あり
怒ったかんな!許さないかんな!オマエを殺すかんな。
何度目かもわからないそんな決意を固めた虎杖は、寮の自室までの道を急いでいた。
先にネタバレをしておくと今回も小僧は酷い目に遭う。
◇
「虎杖。ちょっとこっち来てくれ」
「うん?オッケー!」
その日最後のコマだった座学が終わった後、そんな風に声をかけられ教室を出た。
少し歩いた先の人気のない廊下で足を止めた伏黒は、何か言いたそうに、でも言い出す勇気がないといった風に口を開け閉めしている。
え、何これ。俺今から告白されんの?
絶対違うが、なんとなく居住いを正して伏黒の言葉を待つ。
「あー、虎杖。最近ちょっと…夜中にオマエの、オナニーの声がうるさい」
「ピョッ」
今度は俺がハクハクと口を開け閉めする番だった。
断じてオナニーではないのだが、まさか「殺したい男1位に無様されています。」とは言えない。自分の中に巣食っているアイツへの外部からの対処はほぼ不可能だから、言ったとしても俺が恥をかいて終わるだけである。いやすでにだいぶ恥ずかしいんだけども!!
ていうかよく考えたら当たり前だよな、自分でも思うけどかなりエゲツない声出ちゃってるもん。隣室の伏黒に聞こえないはずがない。
「プライベートなことに口出ししたくないんだが、あんまり遅くまでやってるとオマエも寝る時間短くならないか。お互い任務もあるし翌日に疲れを引きずるのはマズいだろ」
「ハイ、ゴメンナサイ…イゴキヲツケマス…」
「頼む。俺も寝る時は耳栓とか使ってみるから」
「ア…ウン、アリガトネ…」
俺の体調まで気にかけてくれる伏黒の優しさに目頭が熱くなる。
そんな必要ないのに申し訳なさそうな顔をした伏黒は、「この後単独任務が入ってるから帰るのは深夜になる」と言い残して去っていった。…あ、これ「今日は好きにして大丈夫だ」って意味か。その優しさがキツい。やばい死にたい。
──よし、アイツ殺そう。俺が死ぬのはその後だ。
◇
そして冒頭に戻る。
さすがに共有スペースで無様がどうした喘ぎ声がなにしたという話はできないので、早足で自室まで向かっていた。
「なんか最近ちょっと麻痺してたけど、伏黒に迷惑かけるのはさすがに駄目だろ…!今日こそ無様はやめるって誓わせてや、」
自室の扉を開けようとした瞬間、糸が切れたように虎杖がその場に崩れ落ちる。
受け身も取れず倒れたのにぴくりとも反応しない体が寮の廊下に転がっていた。
◇
「──うん?」
宿儺の生得領域に呼び出されたことと、骨の山の上から満面の笑みでこちらを見下ろすアイツに気づいた瞬間に自分の首を絞めにかかる。が、骨をへし折る寸前で両腕を切断されてしまい俺の自殺、もとい生得領域からの脱出は失敗した。
「何をしている。そういう趣味でもあったのか?」
「オマエが笑ってる時はだいたい酷い目に遭うって知ってんだよ!!」
アイツの笑みの深さと俺の災難度合いは比例する。今日のは絶対にヤバい。あれだけ溢れていた殺意が一気に消し飛んでしまった。
いきなり腕が消えたせいでバランスを崩しうつ伏せで喚く俺のそばに降りてきた宿儺は、ふむと頷いて両足を切り飛ばした。今コイツ「なんか出っ張り残ってるしついでに切っとこ」ぐらいのノリでやったろ。
そのまま宿儺は俺の四肢と胴体を両脇に抱えて歩き出した。中途半端に反転をかけられたのか失血死もできそうにない。いやだ、本当に帰りたい。帰して…。
しばらく歩くと五重の塔?のような扉の建物が見えてくる。結構高さがあるみたいで、上の方は暗くて何階建てなのかはわからなかった。
「何これ。こんなのここにあったっけ?」
「作った」
「作ったぁ?」
ここ数日頭の中がちょっと静かだったのは建築作業してたからか。いやなんで?
軽く無量空処されているとドシャっとその場に下ろされた。いつの間にか手足も治ってる。
「よし小僧、入れ♡」
「絶対嫌ですけど?」
答えは聞いていないとばかりにフードを掴まれ中に投げ入れられそうになる。この建物が何かは知らないけど、俺にとって良いことが起こるわけない!100%断言できる!
一度振りかぶって勢いをつけた宿儺の腕を、前に投げ出されるタイミングで俺の方から抱え込む。油断していたっぽい宿儺と一緒にそのまま扉の方へ転がり込んだ。
「うぉおおおお!!死なば諸共じゃあああああ!!!」
「は?おい!放せこぞ──」
二人の姿が奥に消えたと同時に、両開きの扉がひとりでに閉じる。
生得領域には物音ひとつしない静寂が広がっていた。
※直近で上げたSS、宿儺Pの無様描写ちょっと少なかったなあ
※ええ感じの無様思いつかんしまとめて放り込んだろ!