RABBIT Answer (前編)

RABBIT Answer (前編)


「…いよいよ…か」

「……そうだね」

「き、緊張するね……」

FOX小隊の先輩達に一週間後に真実を語ると言われて、

今日でその一週間…

私たちは、自分達の真実を知ること以上にユキノ先輩の最後の一言が気になっていた。

『月雪小隊長は『薬』を摂取していない』

ミヤコが『薬』を摂取していない…

私たちは砂祭り事件の時、『薬』の中毒者となってFOX小隊の先輩達と戦った。

他の中毒者達の中で、ミヤコが中毒者じゃなかった…

つまりミヤコは素面でありながら秩序を破壊する側に着いたのだ。

それはどう考えても、私たちが知っているミヤコの行いとは思えなかった。

他の疑問もほとんどわかっていない。ぴょんこの件も砂狼シロコの件も結局は有耶無耶のままだ。

一週間の間、結局私たちはなにも思い出せなかったのだ。

そしてついに…その時が来た…

FOX小隊が何やら機材を抱えて到着したのだ。

「全員……月雪小隊長以外、全員いるな…」

ユキノ先輩は訂正してミヤコの名前を口にした。

ユキノ先輩は、ミヤコをまだRABBIT小隊だと認めているのだろうか?

「それじゃあ改めて聞くけど…」

ニコ先輩がそう言って、私たちに質問をした。

「……本当に何をしたのか聞きたい?」

前と同じ問いだった。

「…もちろん」

前と同じようにモエが答えた。

「……どんな真実でも受け入れられる?」

オトギ先輩の質問も前と同じだった。

「こ、怖いけど…知らない方が嫌です」

こちらも同じようにミユが答えた。

「……自分の罪と嫌でも向き合うわよ」

そして、クルミ先輩の質問も同じだった。

「構わない」

私も前と同じように答えた。今更ここで、聞かないなんて選択肢はない。

しかし、前回までと違うところ…それは…

「……わかった」

ユキノ先輩が何も聞いてこなかったことだ。

「それでは…FOX2、FOX3、FOX4は『空井隊員』『風倉隊員』『霞沢隊員』を拘束!私は記録映像を再生する準備を行う!」

「「「了解!」」」

はっ?拘束?

「えっ、ちょっとなんで!?」

突然の拘束命令にモエも驚いていた。

「ごめんね。映像を見たらみんな興奮して、何かするかもしれないから」

「アンタ達を思っての事よ。別に取って食おうってわけじゃないから安心しなさい」

「そうそう、抵抗しなければ痛くしないからね~」

そう言って、先輩達が私たちを椅子に座らせて縛り上げた。

手足だけではなく身体も固定されて、

ユキノ先輩が用意する映像装置から目を背けられないようにされた。

「ま、まるで……拷問が始まる前みたい……」

ミユが自分達の現状をそのように例えた。

「…強ち間違ってないんだよね」ボソッ

オトギ先輩が何かつぶやいた。

「…準備は出来たか?」

ユキノ先輩が他のFOX小隊の先輩達に確認をしてきた。

「できたわよ」

クルミ先輩が報告をした。

「…わかった。では今からこの公園の映像記録の一部を再生する」

子ウサギ公園の…ということは…

「映像記録を盗んだのって先輩達だったのか!?」

「…そうだ」

私の問いにユキノ先輩が答えた。

ここに戻ってきたとき、映像記録が盗まれていたが…犯人が先輩達とは思いもよらなかった。

「なんで盗んだの?」

モエがどうして盗んだのか疑問をぶつけた。

「…それについては後で話す。今は映像を見てもらう」

しかし、答えは得られなかった。映像の方が優先らしい。

「…改めて、映像を再生するぞ。覚悟はできてるか」

「「「……」」」コクリッ

「……」

そして無言のまま、ユキノ先輩は映像を再生した。


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中編に続く(SSまとめ

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