【R18注意】二人の初めて

【R18注意】二人の初めて



デート編


普段の三倍は念入りに体を清めたヤクモは腰にバスタオルを巻いた状態のまま、自室で全身の熱を冷まそうと試みた。

今正に、ソラがヤクモと入れ替わる形で我が家の浴室の中にいる。

本人が家主であるヤクモ(正確には両親の家だが)に先に入浴するよう固辞したので素直に従ったのだが、これはソラに最後の心の準備をしてもらうという意味も含んでいる。

ではヤクモの方は準備万全かといえばそんなこともなく、いつもの癖で部屋着を着てから慌ててこういう場合どんな恰好でいるべきなのか調べてバスタオル姿に戻ったり一人であたふたしてしまった。


(まさか本当にお泊りしてみたかっただけだったりは……)


そんな日和った考えまで脳裏を過るが、ソラとてヤクモと同い年の女性であって純真無垢な幼子ではない。

一度受け入れた以上、今更逃げ道を探すのはあまりにも情けないことだ。

バカな考えを振り払い、ヤクモは脇にある引き出しに手を伸ばした。

一見しただけでは分からない奥に仕舞い込んでいた小さな箱には、大きく数字が印字されている。

予めこれを出しておくのはあからさますぎるかもしれないが、必要な時にすぐ取り出せるだけの余裕があるとは限らない。というか十中八九ないだろう。

こればかりは確実な用意が必要だった。


「…あの、お風呂上がりました……」

「っ!? う、うん……」


不意に部屋の外からかけられた声に心臓が跳ねる。

もしソラがいきなり入室していれば、箱を握りしめて百面相している姿を見られていたところだ。

冷や汗を流しながらひとまず机の上にそれを置くと、興奮と緊張で手が震えるのを抑えながらそっと扉を開ける。


「こ、こんばんは……?」


ぎこちない挙動で挨拶したソラは普段のサイドテールを下ろしたストレートの状態だった。

見慣れているというほどではないがヤクモも何度か目にしたことがある。

しかし、その更に下はヤクモと同じく頼りないバスタオルが一枚巻かれているだけだ。

隠すべき面積が多い分タオルが薄くなってしまい、体のシルエットがほとんどそのまま分かる。


「はは……こんばんは」

「み、見すぎじゃないですか?」


口角が緩むのを愛想笑いで誤魔化したが、誤魔化しきれなかったようだ。

咄嗟に我が身を守るように肩を抱くソラと、それでも好きな女の子の薄着から目を離すことなどできないヤクモ。

数瞬の間をおいて、ヤクモは弾かれたように腕ごとソラの体を抱きしめた。


「ひゃっ!?」


驚いて身を固くしたソラだが、それ以上の抵抗はない。

初めて抱擁を交わした中学時代はお互いの肩口から顔が覗く形だったが身長差が広がった今、ソラの頭はヤクモの顎のすぐ下に来る。

頬や耳が触れ合わなくなってしまったのは少し残念に思ったが、ソラの全身がすっぽりと自分の腕の中に収まっているような気がしてこれもまた大変にいいものだ。

ソラがおずおずと腕を解いてヤクモの背に回すと、薄布を挟んだだけの今までにない密着度。

彼女の肌の感触や体温がよりダイレクトに伝わってくる。

当然それはソラの方も同様、早鐘を打つヤクモの鼓動と、筋肉とは別種の固い感触が下腹部で主張してきていることにすぐに気が付いた。


「あ、あああの、ヤクモさんコレ」

「……ちょっとでも嫌だと思ったら、思いっきり抵抗してね」


必然的に上目遣いで見上げたソラは、囁いた言葉に反して有無を言わせぬギラついたヤクモの目に息を吞む。


「ぅあ、は、はい……んむっ」


それでもソラの了承を待ってから、ヤクモは唇を寄せた。

首を傾けて食むようにすると、それに応えようとソラの口も開く。

それを好機と捉えたヤクモは舌を彼女の口内に滑り込ませた。


「んぅ!? ちゅる…ふあっ……」


どう動かすのが正解なのか分からないヤクモは、ひとまず劣情のままソラの舌に自分の舌を這わせてみる。

反射的に逃げようとするソラの舌を追いかけて絡ませ、更に右手で後頭部を抑えることで退路を塞いだ。


「んくっ……れろ、ふぅ……はひぃ………」

「んぇっ? ソラさん?!」


逃げ場を失って抵抗が弱まったかと思うと、くったりと全身の力まで抜けてしまった。

慌てて抱き支えると、ソラは荒い息をしながらもこちらに微笑みかけてくれる。


「はぁ、すみませ……ちょっと、力が入らなくて」

「こっちこそ、夢中になり過ぎた。ごめんね」


顔を上気させながら口の端からどちらのものか分からない唾液を垂らして笑うソラは艶めかしいという言葉を体現しているかのようだった。

ヤクモまでクラクラとしてきたが、立つこともままならなくなったソラを床に投げ出すわけにはいかず必死に踏ん張った。

どうにか体に喝を入れると、なるべくソラの体に負担がかからないように優しく抱き上げる。

同年代の一般女性とは比較にならないほど鍛え上げられたソラの体は、残念ながら羽のように軽いとは言えない。

まともに力の入らない状態ならば尚更だ。

だが、お姫様抱っこというのは女子だけでなく男子も夢見るシチュエーション。

思春期男子の妄想力が、その夢に耐えうるだけの筋力を得るエネルギー源となっていたのだ。

この日の為にトレーニングを欠かすことのなかった自分に、ヤクモは心から感謝した。


「「あっ……」」


斯くして無事にソラを横抱きにする夢を叶えたヤクモだったが、想定されていない体勢の変化にソラの体を覆っていたタオルがいとも簡単にはだけた。

驚いた声が重なり、思わず眼下のソラを見つめる。

上から覗き込んだことで、彼女の胸の膨らみが真っ先に目についた。

巨乳というにはやや慎ましいが、それでも十分な存在感を放つ母性の象徴を目の当たりにして感嘆の声を漏らす。


「……おぉ」

「おお、って……」

「いやごめん、なんか感動したっていうか」


ヤクモの言い訳を聞き流しつつ、ソラは一層頬を紅潮させてそっぽを向いてしまう。

そんな反応もまたヤクモの本能を刺激し、逸る気持ちを抑えてできる限り優しく部屋のベッドにソラを下ろした。

ヤクモが普段寝ているベッドに、生まれたままの姿のソラが横たわった。

未だに深い口付けの余韻から抜け出せずにいるのか、荒く息をして双眸を上下させている。

かつてない色気と女性特有の男を誘う匂いが鼻孔をくすぐり、たまらずソラの顔の横に両手を付いた。


「ソラさん……触るね?」


最早返事を待つだけの余裕はなく、形ばかりの断りを入れてから右手で彼女の腰から胸をなぞるように触れる。

しっとりと手に吸い付くようでいて滑りのいい肌触りに、弾力がありながら柔らかな感触。


「ん……ちょっと、くすぐった…ひゃぅ!?」


こそばゆさに身じろぎした拍子に、指が胸の先端に触れた。

途端に体を跳ねさせたソラに、ヤクモも驚いて手を止める。


「だ、大丈夫?」

「ええ……ビックリしただけです」


そう言いつつ、本人も急な刺激に戸惑っているようだった。

もし、昼間のデート中にそんな反応を見れば大層心配したに違いなかった。

だが初めて女体に触れて興奮したヤクモを止めるには及ばない。


「あっ!? ま、まってくだ」


左胸を固定するように右手を置き、親指で頭頂部を撫でる。

悲痛さすら感じる声を上げても意に介さず二度三度と指が往復し、その度にソラは二の句を告げなくなってしまう。

それをいいことに、ヤクモは両手を使い始めたばかりか散々刺激されて張りつめた突起に顔を近付けた。

ソラは何をされようとしているのか瞬時に理解したが、熱に侵された体はまるで言うことを聞いてくれない。

緩く体を震わせるだけの抵抗は何の障害にもなり得ず、ヤクモはそのまま乳嘴を口に含んだ。


「~っ!?」


熱い息と冷たい舌が同時に襲い、ソラはベッドの上で大きく仰け反った。

まるで先程の口付けを場所を変えて再現されているようだ。

ヤクモの舌にねぶられ、唇で甘噛みされ、少しだけ口が離れたと思えば外気までもが唾液に塗れた乳首をひんやりと刺激する。


「ひぅ…ぐく……っ」


ソラは歯を食いしばって声を堪えるが、せめてヤクモが次に何をしでかすか見ておかなくてはと必死で胸元に目を向ける。

すると、ヤクモの好奇に満ちた目が合った。

こちらの反応を伺いながら嬲っていることは火を見るより明らかだ。


「なんか、楽しそうですね?」

「正直、かなり」


少しばかり怒気を込めた声音にも一切悪びれる様子はない。

会話の為に舌こそ止まったものの、手は未だにソラの胸を弄り回している。

見つめられればまず間違いなく照れて目を逸らすはずのヤクモが、絶対に逃がさないとばかりにソラを見据えていた。


「何で、こんな時に限ってそんな真っ直ぐ見てくるんですか……!」

「なんて言うか、目を離すのが勿体なくて。今のソラさんは俺にしか見れないソラさんだし」


柄にもなく歯の浮くような言葉が口をついて出る。

質の悪いことに、こうして肝心な時だけはハッキリと好意を示すヤクモのことがソラはどうしようもなく好きだった。

キュっと心臓が締め付けられる錯覚を覚えたのを知ってか知らずか、その隙をついて再びヤクモの右手が腰に、いや更にその下へと伸ばされる。


「くあああぁっ!?」


胸の刺激に備えて無防備になっていた秘部を中指の腹で撫でさすると、ソラは遂に絶叫した。

反射的に強く脚が閉ざされたが、既に陣取ったヤクモの手を追い出すことは叶わない。

却って指が割れ目に密着し、それでもなお塞ぎきれない勢いで露が溢れ出てくる。


「ふーっ……や、くもさ…」

「よかった、俺だけ楽しんでるわけじゃないみたいで」


絶頂の余韻に痙攣しながらも懸命にヤクモの名前を呼ぼうとするソラに、更なる昂りを禁じ得なかった。

自分の手で、ソラが快楽を感じてくれている――その確信はヤクモの劣情をこの上なく煽った。

これ以上は手遅れになると察知したヤクモは名残惜しくもソラの体から両手を離し、体を起こす。


「ちょっと待ってて」

「ほぇ?」


絶えず体をまさぐられていた感覚が突如消え失せ、ソラは呆けたようにヤクモの姿を目で追った。

ひょっとして、一度休憩だろうか。

ぼんやりと思考しながらヤクモを眺めていると、思いの外早く彼は戻ってきた。

手には、小さなビニールの包みが握られている。


「あの、それって」

「あ、スカイランドにはなかったりする? コンドームって言うんだけど」

「いえ、似たようなものはありますし、知っておいた方がいいってましろさんとあげはさんから教わりました」


またあの二人か。

ヤクモはそんな感想を抱かずにはいられなかったが、男女にとって重要でありながら面と向かって説明しづらい代物であることは確かだ。

今回は僥倖だったと認めざるを得ないか。


「ソレを、ソコに、はめるんですよね?」

「そ、そうだよ」


ソラが指差した先には未だタオルが巻かれていた。

早々に脱落したソラのものとは違い、しっかりと役割を果たしていて感心である。

しかし、その内側のモノは窮屈だとばかりにタオルを押し上げているようだった。

この様子を『テントを張る』などと称すことがあるのだが、幸いにもソラはその表現を知らない。

もし知れば暫く彼の趣味であるキャンプに付き合えなくなってしまうことだろう。


ともあれ、ヤクモは今にも暴発しそうな程いきり立ったそれを一刻も早く封じ込めなければならない。

股間に突き刺さる視線に一瞬躊躇したが、自分も散々ソラの痴態を観察したのだ。

意を決して自ら腰に巻いたタオルを取り払う。


「ぅわ……」


ソラが小さく驚嘆の声を上げる。

あまりいい印象を受けた驚き方ではなさそうだが、こればかりは慣れてもらうより他にない。

自分のソレに、ゴムを押し当てて慎重にずり下げた。

万が一にでもソラが一切関わらないこのタイミングで暴発するわけにはいかないからだ。

ややきつく感じるが、手のひらサイズのゴムを引き伸ばして使っているのだからそんなものなのだろう。

ひとまず無事に装着できたことに安堵し改めてソラの方へ向き直る。


「!」


いつの間にかシーツにくるまって体育座りになっていたソラが慄いて息を呑む。

少しだけ傷付いたが、こんなものを自分の中に入れられると想像すれば気持ちは分かる。

ゴムの装着に時間をかけてしまったのもあって再び緊張が走っていた。

しかし、そんなことはお構いなしにヤクモの下半身は今すぐソラの中に入りたいと訴えてきている。

いい加減に我慢の限界が近い。


「ソラさん、俺……」

「いいですよ」


どうにか絞り出した言葉を、ソラが遮った。


「任せてください。私、ヤクモさんなら全部受け止めて見せます!」


ソラはヤクモの衝動を抑えるどころか受け入れると宣言し、早々にシーツを脇に追いやって腕を広げる。

不安や恐怖がないはずはない。

それでもソラは満面の笑みでヤクモを迎え入れようというのだ。


「……ありがとう。 でも、お願いだからあんまり煽らないで」

「あおる? な、何か変なこと言いました?」


ヤクモは跪いて愛しい恋人の両手を取ると、腕を閉ざすように手を合わせる。

思った通り、彼女の手は小さく震えていた。


「そんなこと言われたら俺……ソラさんを傷付けても止まれなくなりそうだよ」

「ふふっ」


ソラの手の震えを強く意識してなんとか保った、最後の理性だ。

切実に忠告したつもりだが、ソラは何故か噴き出した。

自分の方こそ何か変なことを言っただろうかと自問していると、俯いたヤクモの額にソラの額がこつんと合わさった。

何の憂いもないかのように、安心させるかのように目を閉じて頭を預けている。


「ヤクモさんにはそんなこと絶対できません。貴方はずっと私を大切にしてくれたヒーローで、最高の恋人ですから」


今度はヤクモが心臓を掴まれる番だった。

初めて会った時から、どうにも彼女はヤクモを買い被りすぎると思うのだが、そこまで全幅の信頼を寄せられては応えないわけにはいかない。

何故なら男というのは惚れた相手に格好をつけたがる生き物だからだ。

『惚れた弱み』とはよく言うけれど、ヤクモは彼女に惚れたお陰で強くいられる気がする。


「……敵わないね」


諦めたように笑ったヤクモは文字通り目と鼻の先にあるソラの唇に触れるだけのキスをして、そっと肩を押す。

何の抵抗もなく、というより自ら倒れ込むソラは素早くヤクモの背中に手を回して抱き込んだ。


「おわっ!?」


不意を打たれたヤクモはなす術なく引き倒される。

自分達の間に一分の隙間も残さないとばかり、ぴったり体をくっつけたソラは以前のように顔のすぐ横に来たヤクモの耳に囁いた。


「私だって我慢してるところなんです。早く……来て」

「っ!!?」


ハッとして生唾を飲み込む。

ソラの口から、そんな言葉が出てくるなんて思ってもみなかった。

どうやらヤクモの忠告は徹底的に却下されたようだ。

ソラの為という言い訳を完全に失ったヤクモはただコクコクと頷いて、手探りでソラの脚を開かせる。

ようやく覚悟が決まったらしいと悟ったソラに上半身を解放してもらい、濡れそぼったそこに自分の股のモノを擦り付ける。

先に絶頂した際の分だけでなく、今現在もとめどなく愛液が溢れ出ているようだ。

ソラの言葉に偽りがないことを改めて認識すると、心臓と股間が痛いほどに脈打った。


「行くよ……」

「うんっ、う…ああぁ……っ」


先端が、ソラの中に埋まり始めた。

彼女の意思にかかわらず体が異物を拒絶しようとするが、ヤクモは吐き出されまいと腰を抑えて更に奥へと侵入していく。

強烈な圧迫感と、それ以上の侵入を阻む壁のような感触――純潔の証を、ヤクモは強引に押し破った。


「い゛っ!?」


歴戦の戦士であるソラですら耐えがたい程の激痛が走る。

それに合わせて一層強く締め付けられたヤクモもまた、苦痛と快感に顔を歪めた。


「く…ふぅ……んんっ…!」


それでも押し進み、やがてコリコリとしたしこりのようなものに先端が辿り着く。

これが最奥だろう。

どうにか受け入れてくれたソラの様子を伺うと、苦し気に目尻に涙を湛えながらも確たる意思で何かを伝えようと口を開いた。


「むぁっ!?」


が、ヤクモは何も言わせず覆いかぶさるように彼女を抱きすくめ唇を合わせる。

これ以上『ソラに言われてやった』形にはしたくないという見栄と、彼女の痛みを少しでも紛らわせたいという気遣いと、純粋な情欲と。

その全てを受け止めて、ソラは突然の抱擁とキスに応じた。

完全に繋がった今、お互いが少し動いただけでソラの中に凄まじい刺激、いや衝撃とも言うべきものが押し寄せる。


「んぐっ、ぁあっ、ふあっ…」


衝動に抗えなくなったヤクモがぎこちなく腰を前後させると、互いの口の中で嬌声が漏れた。

ソラの秘部は次第にヤクモの存在を受け入れ、動きが滑らかになっていく。

このまま永遠にソラを貪っていたいとすら思ったが、そこいらが限界だった。

情けないことだが、今更動きを止めたってどうにもならない。

ヤクモはそれならばいっそ腰を速めることを選択した。


「んぁあっ!?」

「ぅあ、も、もう…」

「ふゅっ、んむ、んんッー!」


モノが一際膨張したかと思うと、考えられない量と勢いの精を放った。

思わず引けそうになる腰を今度はソラが手足で抑えつけ、外からも内からもヤクモを締め付ける。


「ぐ…おぁ……!」

「はーっ、はーっ…」


全てを吐き出すと、モノは収縮していき圧迫感が嘘のように小さくなる。

ソラの中から自然と引き抜かれ、肩で息をするヤクモの背をソラは優しくさすった。


「だい、じょうぶですか?」

「そ、ソラさんこそ……」


何とか体裁を保とうと強がってみるが、元よりソラとヤクモでは地力が違う。

普段よりハードな今朝のランニングに加えて一日中歩き回った末の性行為はヤクモの体力を思う以上に消費した。

対して青の護衛隊の任務を日常的に熟すソラにはなんてことのない運動量だ。

慣れない種類の疲労感はあるものの、十分心地よいと呼べる範囲内。

自分の上でへたり込むヤクモを抱えあげ、逆にベッドに寝かせることなど造作もなかった。


「……あ」


そこで気が付いてしまうのは、汗と唾液と、兎に角様々な体液に塗れてぐちゃぐちゃになったベッドの惨状だった。

今この瞬間は問題ないかもしれないが、このまま寝てしまうのはちょっと考えものだ。


「ご、ごめんなさい私のせいで……」

「いやいや、これはどっちかのせいにはできないって」


疲弊した体に鞭打って起き上がったヤクモはひとまず使用済みのゴムをきつく縛って……実家でどう処分したものかと考える。


「い、イメージだとこのまま二人で寝落ちして朝を迎えるって感じだったんですけど……」

「いざその時になってみるとなかなか、ままならないもんだねえ」


二人は揃って苦笑した。

どうやらゴムを用意する程度ではまるで備えが足りていなかったらしい。


「仕方がありません。ベッドはシーツを替えて、ああ床も拭かないと……ゴムの方は、何とかお願いします」

「……うん、最悪アンダーグエナジーで消し飛ばそうかな。取り敢えずその前に何か飲もうか。ココアでいい?」


初めての甘い体験と呼ぶにはあまりにも色気のない結末だが、それもまた二人の思い出にしていけそうだ。

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