83後日談 3.論外の男
72 そもそもはエンデヴァーの恋愛適正が論外って話題がツボって…「一つ確認いいすか?エンデヴァーさん緑谷くんのことどう思ってます?」
「並外れて勤勉で誠実。純朴だが柔軟な思考にも極めて優れている。…オールマイトが後継にしただけはある」
「人としては?」
「?今話した通りだが?」
「あー…もう…ズバリ恋愛対象としてアリですか?」
「はあ??何を言ってるんだ!??俺は既婚者だ。別居はしているが妻も子もいる!そもそも可愛い顔してるがデクは男しかもまだ学生だろうが!」
「今の言葉が本心ですよね?」
「ああ」
「胸がキュンとするとかは、一切ない、で良いですね」
「くどい!ない!そして胸の話はやめろ」
「あーあーはい、わかりました。…まあでも『可愛い』とは思うんですね」
「子供の…そうだな、じゃれつく子犬のような感じか」
「エンデヴァーさん、明日その扱いは絶対ダメです。読みました?あの文面。…緑谷くん相当な覚悟で来ます。まだ学生とはいえ、一人の人間、一人の男として扱ってあげて、一度は気持ちをまっすぐ受け止めてあげてくださいよ」
「感情を…受け止める???まさか全て言う通りにしろとでも?」
「違いますよぉ」
「じゃあどうしろと!」
「要は告白をちゃんと聞いてあげたうえで、上手くフッてあげてくださいってことです。大人として」
「何が、なんだかわからんぞ!告白だと??」
「はい。メッセージの文面からしてほぼ決まりです。大人の余裕でやさしくきっぱり断ってあげてください。エンデヴァーさんモテますもん朝飯前っしょ」
「何が…朝飯前だと」
「だから恋の場数ですよ」
「………」
「エンデヴァーさん?」
「……ない」
「は?」
「そんなものはない…!」
「え…だって」
「ないものはない!」
「マジで?」
「…マジだ」
「…ちょっとあなたへの見識改まりました」
「黙れ貴様」
「結構ピンチですね」
「………」
「若い子を傷つけないようフるて割とハードル高いですからねえ」
「…どこの馬の骨でもなくデクなんだ…俺の不用意な言動で傷つけたくはない」
「確かに今後を考えたらうまく対応しないとまずいっすよね」
「……ホークス…俺は…どうしたらいい…」
「あなたが俺を素直に頼るなんてよっぽどッすね」
「いつも頼りにしているだろうが!」
「それ言ってくれないと伝わりませんよ…いくつかシミュレーションしましょう」
「…助かる」
***
「『気持ちは嬉しい』か…さして嬉しくなくとも言うのか」
「言ってください。つーかそこから??ファンサで言えたでしょう?好意への礼だし同じですよ」
「ここで礼を言ったら受け入れたことにならないか」
「そのあと否定するんで。わー道のり遠いっすね」
「‥‥‥」
***
「ようやくまともに仕上がってきましたねエンデヴァーさん!日が暮れるどころか夜が明けましたけど…」
「恩に着る…ぞ…ホークス」
「ほんと頑張るなあ…緑谷くんがよほど大切なんですね」
「戦力として…いやそれ以上にヒーローを率いるリーダーとしても逸材だと思っている…俺のつまらんミスでその芽を摘むわけにはいかん」
「未来を担う優秀な若者ですよね」
「お前だってそうだ…ホークス。俺は…期待してるんだ…」
「…エンデヴァーさん‥‥」
「30分寝る」
「そういうとこですよ…」
つづく
続き