83後日談 4.メリーゴーランド
72 おっぱいふたたび「…遊園地など久しぶりだな」
「エンデヴァー!!」
「デク…」
「お忙しいところ急にすみません」
「話があるというので来たが、こんな屋外とは」
「エンデヴァー…」
「…急にひっぱるな。なんだ」
「そこと向かいとあそこにいる狙撃手…公安でしょうか。距離をとりつつ移動しましょう。害意を感知すると僕、頭が痛くなっちゃって」
「分かった。そもそもそんなもの俺が当てさせん」
「……えっ…あっ……その…ち、近い…です」
「むっ…すまない…二人が公安。もう一人は私服警官だな」
「やはり僕が警戒されてるんでしょうか」
「俺もだろうな。燈矢のこともある」
「じゃあ耐火性の散弾銃かもしれないですから油断しないでください」
「無論だ。加えて可能性は低いがデトネラットのものならかなり悪質な改造がされている。君も気をつけるんだ」
「はい…」
「死角を伝ってとりあえず入り口から離れるぞ」
「はい」
「結構…警官もいますね」
「ああ」
「遊園地てこんな物騒なとこでしたっけ」
「まあ気が紛れていいな」
「そうですね… あの、折を見てお話を」
「分かっている」
***
「ようやく適当な場所に出たな」
「ええ。ここなら何かあってもすぐ対応できる」
「頭痛は大丈夫か」
「あ、はい大丈夫です。ありがとうございます」
「公安はともかくなんで私服警官までいるんだ」
「失礼…!エンデヴァー、あなたでしたか…不審な大男が少年を連れまわしてるという通報があって」
「通報…??」
「今日は友人とプライベートで来ている」
「そうでしたか、失礼いたしました。お疲れ様です」
「一体誰が通報なんぞ…」
「僕もあなたもマークされてるみたいですね」
「我々二人がイレギュラーな動きをしたら警戒されても仕方あるまいな」
***
「みっけ!お二人ともお疲れっす!」
「げッ…ヘラ鳥」
「ホークス…見つかっちゃったかあ」
「オールマイトさん。やはりあなたでしたか。昨日の采配、やはり緑谷くんにはブレインがいたんですね」
「私は何も…」
「またまた!こちらの成功のために緑谷くんから分断させてもらいますよ」
「いやむしろ我々、緑谷少年のストッパーという感じで。少年、無意識に8人分の力が乗ることがあるんで」
「何言ってるんすか。ここはこっちのペースでいかせてもらいますんで」
***
「さっきから園内のルートの出入り…すべて見てますよね」
「つい習慣でな…」
「僕がこんなところを指定してしまったから…ごめんなさい…でも話す前にせっかくなので、何か乗りませんか?」
「…身体が拘束されないものならな」
「じゃあそこのメリーゴーランド乗りましょう!視界も確保できます」
「標的にもなりそうだが」
「馬がすっごく小さく見えました!」
「ほぼ無理矢理付き合わせておいてその感想か」
「しかも真顔で乗ってるからなんだか可笑しくて」
「とってつけたような笑顔もおかしいだろうが」
「ふふ…ようやく落ち着いてきたかもしれないです…揺れる背中を見てて僕…インターンの時のあなたを思い出しました……全然追いつけない背中だったなあって」
「追いついたろう。しかも一週間で」
「今年のお正月なのになんだか遠い昔みたいです」
「ああ…そうだな」
「エンデヴァーあの…ちょっとだけお茶しませんか?」
「構わんが」
「クレープ!買ってきましたよ!!!!」
「嬉しそうだな。一つでいいのか」
「前からずっとやってみたかったんです。このクレープ半分こ!!てやつ!!」
「…構造上、これはどこで切ってもクリームまみれになる」
「はっ…確かに…!…じゃああの、先に最初の一口で…思い切りいってください」
「いいのか俺が先で」
「ど…っどうぞ」
「うわクリームが…あっっ!……すみません…お顔…さわ…触ってしまって…!うわ僕の指が…あっそんな綺麗なハンカチ…わっ‥‥!!!」
「どうした本当に。大丈夫か?」
「だ…大丈夫…です…」
「頬が赤い…本当に具合が悪いんじゃないのか…顔よく見せろ……クマが酷いな」
「こ…ここのところ寝れなくて…」
「なぜ目をそらす」
「あなたの目を見るとドキドキしてしまって…」
「動悸か…」
「ちょっ…エンデヴァー、手え…ッ」
「むっ脈がかなり速いぞ。頭痛もするんだったな?具合が悪いならなんでもっと早く言わん!」
「あっ‥‥あ…ちが…違うこれは違って…ええと…さ、さわらないでいただけるとおおおお!」
「少し横になって休むといい」
「かっ…かかえないでぼく…飛べっ…とびます」
「何を言ってるんだ、ほら」
「うあっ…あっ…わあっ……おっ…p」
「デク?しっかりしろ…!…移動するぞ…!」
***
「あーもう見失ったじゃねーかよ!ケエーの野郎…」
「やっぱりエルクレスじゃないと無理だったね‥ホークス、エンデヴァーはどういうつもりなの?」
「いやあ俺も正直ちょっと想定外で…これから二人で話をするんじゃないかとは思うんだけど」
「行先に心当たりはないんかよ」
「俺エンデヴァーさんのプライベートは一応尊重してるんで」
「そーいう問題かよお!」
「なんか抱きかかえられてたけど…エンデヴァーって万が一にも緑谷少年にその…手を出したりしない…よね…」
「あの人の恋愛観まっとうすぎるほどストレートなんで大丈夫でしょう。緑谷くんだってそれは」
「…そのことなんだけどね」
つづく
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