2スレ112触手姦経由の純愛ユママコ(序)1/2
まだ完成してません! 加筆修正するかもです。BL・純愛になる予定・純愛だけどリョナ凌辱前提・触手姦描写・その内セッッッするけどこの段階だと触手姦メインですーーーー
https://telegra.ph/アーカイブから押収した映像データ68件目-09-10
これの純愛続編(BL分岐)です
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「はじめるよ」
開始の合図は、緊張というには慣れ過ぎているが、どこか堅い響きをしている。声は、肉体の内から発せられる音だから、どうしたって振動が生じる。密着していればより感じるその振動がこそばゆくて、マコトは苦手だ(と思いたい)。
もっと苦手だと思いたいのは、マコトの肯首を認めてから、一呼吸置いて動き出す指だ。同じ身長ではあるが、マコトが背後の少年に寄りかかるようにして座っているのに対し、少年は膝立ちになっているから、彼の指は上から降ってくる。
髪の隙間を縫って、少しだけ頬を撫でてから、指の腹でトントンと開口を求められる。そのまま素直に口を開くのも癪で無視を続ければ、唇を撫でられた。不快そうに眉間に皺を寄せるマコトの上から、くつくつと忍び笑いが溢れてきた。
「いれてくれないの?」
嫌いだ。
いつも、ちゃんと勘違いしないように言い聞かせている言葉を、マコトは頭の中で唱えた。
屈辱的だ。恥ずかしい。無様だ。こんな施しは要らない。
キミにだけは触れられたくなかった。
お馴染みの言葉が脳裏を過っては消えていく。お前は応じるべきではなかったという理性の囁きに対して、どうしてだかマコトは口を開けてしまった。
マコトと彼はキスをしない。
代替のような行為として、マコトは指が口腔の柔らかい場所を撫でていくのを、じっと受け入れる。もう半年になるのだから、いい加減どこがより快感を得られるかというのも相手にもわかってくる。
涎が垂れて不快だ。
刺激にビクついた足が勝手にシーツを蹴ってしまうのも好きじゃない。
好きなんかじゃない。
そんなマコトの抵抗のような暗示を後押しするように、柔い口内に爪が立てられる。
「んむ」
「ごめんね、痛かったかな」
声だけ柔らかい相手の爪は、相変わらず頬肉の内側に食い込んでいる。
最も、行為の為に短く切り揃えられ、ヤスリがけしてある爪で与えられる痛みはたかが知れている。超越的な腕力でも持っていれば話は別だろうが、今マコトの口内に押し込まれた力は極々微力である。
マコトは煩わしくなり、指にすこしだけ歯を立てるも、相手は意に介さない。
暫くして、指が残らず抜き去られると、マコトの背に相手が覆い被さってきた。そうして何をするかといえば、剥き出しだったマコトの太腿に平手を振るった。
別に、然程痛くはない。そもそも思いっきり振りかぶっていないのだから、派手な音も鳴らない。精々ぺちっと可愛らしい音が鳴るだけだ。
「痛い?」
「……」
SMと言うにはあまりにも振り切っていない相手の言動は、意図的なものだ。マコトは半年でそれを嫌という程教え込まれてきた。素直に痛いと口にしたのは最初の方だけで、今はそれよりも——。
「マコトさん?」
マコトの耳元で囁きかける者は、マコトの逡巡をよく理解している。理解を示しながら、答えを促し続ける。彼の望む解答に応えれば、どうなるかなど火を見るより明らかなのだが……マコトは短い抵抗を終え観念した。
「…………痛い、から」
「うん」
「助けてくれないか」
「うん」
続けられる「喜んで」という返答に、マコトの身体が本人も気付かない程度に力が抜ける。何度も教え込まれ、とっくの昔に学習を終えたその反応を、彼に覆い被さっていた相手——ユーマだけは知っている。
ユーマが覆い被さるのをやめると、マコトはちらりと後ろを覗いた。
既知の不安と、それ以上の期待が混ざった表情は、どんなおねだりより有効的である。それに、助けを求められた以上、ユーマが動かない理由はない。
ユーマは再び動かし始めた指をマコトの口腔に潜り込ませる。
その前に、くすぐるように頬を撫でた時、殺し切れなかったであろうマコトのはにかみをユーマは黙認した。今度は素直に口を開けて自身の指をマコトが迎え入れたのも、黙認した。多分マコトは隠しているつもりだろうから。
もう前に向き直ってしまった顔は、随分蕩けるようになった。
「ふ……んぃ……ンん」
快楽を逃そうと首を振ろうとする頭を片手で捕まえると、それ以上の抵抗は収まる。
代わりにくんくんと鳴く口の、柔らかい舌を中指と人差し指で挟み込む。知っている愛撫に強張ったマコトの髪を梳きながら、ユーマはゆっくり親指の腹で舌をすり潰した。さり、さり……っと味蕾を摩ると、投げ出されていた足が一際シーツを引っ掻いていた。
マコトの緩やかな勃起の兆しを認めたユーマは、彼を引き倒した。伴って自身も寝転がり、向かい合える位置に移動する。
大人しくユーマと転がっているマコトはといえば、ぼんやりとした恍惚の残滓を反芻する為に視線を彷徨わせていた。
普段の怜悧さを内包する瞳は鳴りを顰め、甘やかな情動が滲んだかのように、薄く涙を湛えている。定まった視線の先には、転がる際に己が口の中から抜け落ちたユーマの指がある。
物欲しげな口元から涎の雫が落ちる。
「もうちょっとお口の中、触る?」
「それは」マコトは言葉に詰まりつつ、なんとか「もういいから……先に進めて、ほしい」と答えることができた。
それをユーマは内心「意地っ張りだなぁ」と思ったが、口にはしなかった。
彼らがこのような関係になった起点は、半年前まで遡る。
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その日、ユーマがカナイ区に訪れたのは偶々だった。
風の噂で街の名前を聞くことはあれど、事件以降訪れたことはない。残した手紙の手前クルミに会うことは出来ないが、足を運び様子を見るぐらいはいいのではないか?
そんな思い付きといっていい心持ちで、ユーマは物見遊山を決め込んだ。ドーヤ地区やマルノモン地区が復興しているのを見たり、ラーメンを啜るついでに本当のユーマ=ココヘッドだった彼に顔を出したりした。ネオンが雨でぼんやり光るのを尻目に、かつて暮らした街をバスも使わず歩き回る。中々に郷愁を感じる一時だった。カナイ区は——正確には、夜行探偵事務所は、記憶を失ったユーマにとって得難い場所となったから。実質故郷のようなものである。
そんな散策中、よくユーマはマコトと間違えられた。そもそもユーマはマコトのオリジナルに当たるのだから、当然と言えば当然である。
この街を文字通り建て直しているのは彼だから、住民によく慕われていた。
彼が託された通り尽力しているのは、伝え聞く話でも、街の様子からも伺える。ただ、働き詰めではあるかもしれない。自分のことを棚に上げ、少しユーマは心配になった。
(近況でも聞きに行こうかな)
アポ無しで行くから、不在だったり、セキュリティに阻まれたらそのまま立ち去ろう。
そんな「出来れば会えたらいい」程度の動機でユーマはカナイタワーまでやってきた。セキュリティに阻まれることもなく、最上階まで通される。恐らく以前の設定が生きていたのだろう。
なんの気無しにチャイムを鳴らし、暫し待つが返答はない。
「……忙しいだろうしなぁ」
そのまま、ユーマは踵を返す——筈だった。
「……〜〜〜〜ッッッッ」
「え?」
部屋の中から、声が聞こえた気がしたのだ。単なる物音や会話なら、居留守を使ったのだろうと検討をつけることも出来た。
分厚い壁や扉を隔てて微かに聞こえたそれが、悲鳴に聞こえなければ。それは、マコトの声に聞こえた。
「マコトさん?」
ユーマは扉をノックしてみた。次第にそれは扉に拳を叩き付ける形に転じていく。既にチャイムを鳴らしても反応がなかったのだ。
中で何かが起きている?
「マコトさん!!」
外からの呼び掛けにも答えない。
マコトは希少な成功例であるホムンクルスだ。喉から手が出るほど欲しい組織も多いだろう。しかし、正体を明かした上で表舞台に立った彼を拐かすのは目立ち過ぎる。だからこそ、その方面での被害をマコトは受けないとユーマは考えていた。
(ヨミー周りの信者からの怨恨……カナイ区の住民からの不満……いや、セキュリティを抜けることができるのか?)
中で何が起こっているかは不明だが、とにかくマコトが悲鳴をあげるような事が起きている。
(ピッキング……いや、機械仕掛けだぞ! ……機械仕掛け?)
以前マコトの自宅を訪れた時、あっさりと扉が開いた訳だが、これはどの段階で開錠されていたのか?
ユーマは意を決してドアハンドルを握る。ひとりでカナイ区を発って以降、片時も手放したことのない拳銃を構えるのも忘れない。
(もし、この扉の施錠管理が全自動で、許可された人物が近付いた時点で開錠するなら……)
かくして幸運にもユーマは室内に足を踏み入れることに成功した。
最も、彼が相対したのは、想定された仮想敵ではなかった。
玄関口を通り抜けた先、開けた広い部屋がある。入って左奥、大きな窓に面したジャグジーの縁を見覚えのある手が引っ掻いていた。その小さな手を絡めとるように、気味の悪いものが巻き付いている。
弾かれるように駆け寄ったユーマが目にしたのは、異形としか言いようのない何かだった。
それは、刺胞動物の軟体部を集めたようなもので、幾重にも犠牲者の下半身に絡み付き蠕動している。軟体部からは涎のような重たい粘液が滲んでいるようで、ジャグジー内の湯と混ざり合い不気味に泡立っていた。その軟体の一本一本には、細かな小突起がびっしり生え揃っている。
そんな異形に引き込まれ、溺水しそうになっている者がいる——言うまでもなくマコトだ。
辛うじて衣服を身に纏っているが、水を吸い、破かれたそれらの原型を察するのは難しい。下半身を異形に絡みつかれ、水底に縫い止められようとしている小さな体躯。辛うじて浴槽の縁を引っ掻く手は、いつ異形の元へ引き込まれてもおかしくはない。
これらの景色に、ユーマは既視感を覚えた。記憶を失う以前の自分である「ナンバー1」は、この光景を知っているのではないか?
(——確かに、ボクはこの光景を知っている)
同じような生き物に嬲られ、惨殺され、尊厳を破壊される誰かがいる。それを——いや、それを含めたあらゆる外道に翻弄される彼を何度も閲覧した自分を知っている。
性的虐待や人間では耐えきれないような拷問。死を前提としたあらゆる加害行為と、ピンク色の血溜まり。無機質なスプリンクラーによるシャワー。
目は死んでいないにしても、傷付かない訳がない。怯えた茄子紺の瞳は、実験映像の中で泣いていないことの方が珍しくて——。
「うっ……っ!」
そこまで思い出し、ユーマは込み上げる吐き気になんとか耐えた。自身を叱咤し、銃を触手に向けるも思い留まる。マコトが近過ぎるのだ。至近弾を狙うにしても、負傷は免れない。
他に何かないかと見回したユーマの目に入ったのは、ほぼ新品の状態でキッチンの肥やしになっている包丁だった。行儀良く包丁入れに入れっぱなしだったものを一本拝借し、引き剥がしにかかる。
突然の乱入者に対し、怪物は無関心だった。触手の一本に切り付けるも、手応えがない。分厚い蒟蒻の表面でも撫でたかのようである。怪物は相応の防御力を持っているらしかった。包丁がそもそも殺傷を目的とした武器ではないにしても、今ユーマが行使できる武力で殺し切るのは難しいだろう。軍用であることを念頭に入れるなら、拳銃程度の銃火器で傷が付くかすらわからない。
マコトは依然湯船の底だ。うつ伏せのまま長い髪だけが揺らめいている。
怪物の動き自体は然程早くないどころか、こちらに注目すらしない。ユーマに絡みつく気配すらない……ホムンクルスの軍事運用補助の為に生み出されたクリーチャーだ。その使命に従順に設計されているとでも言うのだろうか? ユーマひとりだけが逃げるのならば、今の段階でも安易であると言える。しかしそれでは意味がない。
(マコトさんが死んでしまう……!)
既にユーマがマコトの悲鳴を聞いて飛び込むまでに1分は経過している。
死は等しく平等な筈だが、マコト含むホムンクルス達はその法則から外れる。それにしたって、こんな怪物に貪られるような死が容認される謂れはない。
(おまえが無関心だって言うなら……!)
現状役に立たない拳銃と包丁を残し、ユーマは湯船に飛び込んだ。
ざぶっと衣服が水を吸う音がする。ユーマは、触手毎マコトを湯から引き出しにかかった。自分の体格と同じ相手と追加して、気味の悪い生き物を引き揚げる作業は難儀するかに思われたが、幸か不幸か触手自体はマコトに密着することを選択し、触手からの妨害はなかった。
最もそれは、触手からの積極的な妨害がないと言うだけであり、触手の生み出す状況が帳消しになるわけでは無い。
ぬるま湯は触手の粘液と混じりとろみを帯びて重くなっていたし、滑りを帯びたブヨブヨとした生き物が身体を掠めるのは不快極まりない。一方で、不気味な程に触手はユーマに絡みついてはこない。あくまでも獲物はマコトなのだろう。
状況に顔を顰めつつも、ここに飛び込んだ段階でユーマは覚悟を決めていた。「よし……」という一言を残し水中へ潜る。
然程深さは無いにしても、とろみを帯びた重たいぬるま湯を掻くのは難儀したが、マコトを抱えることに成功する。マコトに密着すると、必然的にユーマに対する触手の接触も増える。衣服越しでなお、粘液、そして細かな突起物がびっしり生え揃う表皮……何より絶えず蠕動し続ける触手への不快感は耐え難かった。
それでも、腹を弄られているであろうマコトよりはマシであるとユーマは断ずる事が出来た。あの凄惨な映像を見たなら誰もがそう判断するだろう。
あの映像を思い出した以上——ユーマはかつての自分から託された願掛けを放棄する訳にはいかない。そして何より、今危機に瀕している彼に報いなければならない。
纏わりつくような水の中、薄ぼんやりとした視界に助けるべきひとを映す。
誰を助けなければいけないかしっかり認識し、ユーマは浴槽の底を蹴った。
触手や重たい水に足を取られそうになりながらも、どうにかマコトの顔を水中から浮上させることに成功する。
「……げほっ、ガハ」
「大丈夫?!」
泡立った水が吐き出され、ユーマは少し安堵する。咳き込み蒸せているが、マコトは呼吸を再開したらしい。
もう一息と、ユーマはマコトを触手ごと浴槽から押し出した。
環境が突然変わった触手は、縋るようによりいっそうマコトに絡みつく。
「あ゛、え゛?」
ドンっと胎を内から殴られ、マコトはここで漸くはっきりと覚醒した。部屋の照明と、ぬるま湯からあがり、少し冷える身体。いつもの触手。
……自分は触手に引き込まれ、溺水するところだったのでは?
そこまで頭が回ったところで、浴槽からの音をマコトは耳にする。
ざばっという音は「まるで誰かが湯船からあがる時の音」のようで、マコト以外誰もいない部屋の中では到底聞こえる筈のない音だった。
不運にも、押し上げられたマコトは、ジャグジーに向かってくの字の格好で転がっていた。身体を動かすまでもなく、視界に浴槽から出てくる者をおさめられたのである。
チューリップハットとレインコードを脱がないまま頭まで濡れた小柄な人影。ラベンダー色の、ツーブロックのような髪型。
可愛らしいと評される自身と同じ顔は、状況によって青ざめている。その茄子紺の瞳と、マコトはかち合った。
頭を埋める疑問符。目の前の彼に勝るとも劣らないレベルで青ざめていく顔色。過呼吸のようになる呼吸音は、死に頻したからでも、快楽によるものでもない。
「みないでくれ」
マコトが口にできた一言は、そんなありふれたものだった。それがどんなに痛ましいか、ユーマが認識するより先に、その簒奪者は蠕動する。
触手である。
「やめ、やめてくれ……今は、たのむから……っ」
弱々しい懇願が聞き遂げられたことはこれからのこの先もない。それでもマコトが触手に懇願せずにいられなかったのは、よりによってこの場にいたのが彼だったからだ。
守るべきカナイ区の住民に無様を晒すのも耐え難い。敵の方が多い外の人間にだって嫌悪感は募る。研究所の人間に観察されるのも、酷く怖かった。
しかしそんな中でも、マコトが最も見つかりたくなかった相手がユーマである。
最も惨めを晒したくない相手がユーマであった。
そんなマコトの心情を知覚できるほどの知能がない触手は、その生態に沿った削掘を再開するだけだ。懇願に意味がないことは、マコトが誰よりもわかっている。
はじめたからには、死ぬか若しくは気絶するまで耐え忍ぶ。それが彼が触手に対して行える行動の全てだった。
だから、その懇願に応えられる者はいない筈だったのだ——本来は。
「この……やめろ、彼から離れろ……っ!」
ユーマである。彼はマコトの鳩尾あたりに陣取り、拾ってきた包丁を触手とマコトの間に捩じ込んだ。両手を使い、テコの原理で引き剥がそうとしているが……足りない。
「マコトさん、何か棒状の細長いものないかな……? 包丁だと、危ない、から!!」
ユーマは決して非力ではない。記憶を失った状態でも、敵に囲まれた際は巧みに回避できたし、レンガを投擲できるだけの筋力もある。謎迷宮での身体能力こそが彼の素の能力であったのだ。
それを加味しても触手が引き剥がせないのは、触手自体の筋力もその理由の一端ではあった。それに加えて、包丁のリーチが短いのも原因であると言えた。せめて解刀のようなロングソードでもあれば、危険度はともかく有効打になり得ただろうが……。
「そんなこと、しなくていいから……ほうっておいて……かえって……くれ」
胎の中を荒らされながら、マコトは懇願する相手を変えた。触手よりは懇願が通じそうだったからだ。最も、大人しく帰るような人間であるなら、彼はここにいない。
「あなたをこのまま放置して帰れない! 現に死にかけていたじゃないか……!」
「ボク、ボクが、のぞんでやった……やったことだ、キミはかんけいな」
言葉は続けられなかった。代わりに続いたのは、嫌悪感というには快楽の滲んだ「やだやだやだ……」という悲鳴だった。
「イき、イきたくな……やめて、やだ、みるな」
「マコトさん……? 、! わぁ?!」
縋る先を探すマコトの腕が、近場にあったユーマの首に齧り付く。そのまま譫言のような拒絶の声が耳元で囁かれる。まるっきり自分と同じ声で吹き込まれる嬌声に、流石にユーマも狼狽えた。
自分も彼のような境遇に陥れば、こんな風に乱れるようになるのか?
ナンバー1だった時には黙殺できた恐怖が、じわじわとユーマの中で蘇る。それを押し留められたのは、ユーマが触手の中で揉まれているマコトのペニスを発見したからだ。
取り分け細い触手を鈴口に差し貫かれたそれは、吐精の兆しを見せている。いつか見た虐待の一例だった。
「ひ゛、やだ、やだやだやだ……」
「見ないで」と言っている言葉と裏腹に、マコトはいっそユーマの首にしがみ付いた。今まで縋る相手すら居なかったのだ。思わず縋った人間に、力加減など分からず混乱のまま抱き付いている。堪ったものではないのはユーマの方だ。
「マコトさん、離して!」
ぎゅうっとしまる首をそのままに、彼は今も触手に対峙していた。状況を見ればマコトがパニックになることはわかる。
しかしご覧の通りユーマは刃物を手にしているのだ。手元が狂えばマコトを傷付けるかもしれない。そんなことを気遣う余裕などないマコトの高いフィジカルによって、よりいっそ首が締まる。ユーマの呼吸が乱れたのは必然であり、案の定手元が狂ったのも当然であった。
触手に弾き飛ばされることは辛うじてなかったが、ユーマは指を切った。「っ痛」という短い悲鳴と共に、血が溢れる。それは至極当然にも、触手の一本に滴った。
触手は今までマコトに対してそうしたように、排泄物や分泌物を摂取する。基本的な餌は排泄物となる触手であったが、体液の類からも微弱ながら栄養補給は可能なのだ。だから触手は間食でも摘むように、その液体も吸収した。結果、触手の動きは全停止するに至る。
それをユーマとマコトが知覚する前に、悍ましい音を立てて、触手は後退を開始した。
急速にマコトの拘束を解き、ふたりからなるべく離れようとする。
ユーマの手から離れた包丁は無数の触手に巻き込まれ、呆気なく折れた。包丁によるユーマとマコトへの負傷がなかったのは、ただの運が良かったに過ぎない。
それらに対してユーマが唖然とする間もなく、絶叫が聞こえた。
「き゛、あ゛〜〜〜〜っっっ!!」
マコトである。彼に起こったことは何かといえば、無理矢理、内襞を刮げるようにして触手が引き抜かれたのである。
言葉にしてしまえば単純であるが、性感帯として成熟し切ったアナルと尿道をなんの心構えもなしに虐待されたのだ。
余談であるが、尿道への触手は膀胱や精巣を犯していたし、アナルの触手は結腸まで達していた。これが一気に引き抜かれたのだから、マコトが人目も憚らず絶叫したのもなんら可笑しくはなかった。
「ひ」
急激かつ危険な性感を与えられたマコトの意識は悲鳴を残し即座に刈り取られていく。ユーマの首にしがみ付いていた腕の力も伴うように抜けていった。
マコトが床に倒れ伏すまでには触手は後退を完了し、彼の部屋の2階部分へと跳躍を果たしていた。
ユーマは、自身の武装があっさり奪い去られ使い物にならなくなるのも、触手を引き抜かれたマコトのペニスが力なく水っぽい射精をし萎れるのも見ていた。見ていることしか出来なかった。
辛うじて功績と言えるのは、マコトが触手にそのまま引き摺られて捕えられたまま逃げられる……という結果を避けられた事だろうか。それもユーマが意図して行った結果ではない。単にユーマの姿勢がマコトの重しになったのだろう。
「……」
完全敗北だった。何故か運良く触手は離れたものの、マコトはこうして嬲られ意識を失いつつある。助ける為に、守る為に飛び出したのにこの体たらく。
ユーマは冷え切ったマコトの手を握った。握り返されることも、振り払われることもない。そんな力も残ってないのだろう。
「ごめん……ごめんね……」
間も無く気絶するだろうマコトに、ユーマは詫びることしかできなかった。切った手から血が流したまま、ユーマは暫くその場を動けなかった。
続き