麦わらの一味に世話になるホーキンス
の続き。
《あらすじ》
占いに従い捕虜としてモブ海賊に捕まっていたホーキンスは麦わらの一味に助けられた。
交渉の末1日7万ベリーで乗船する事になったホーキンスは4日ぶりの風呂を楽しむのだった。
※注意
色んなところに捏造がたくさん
キャラエミュも甘いところあると思う頑張ったけど
誤字脱字たぶんある
今回はルフィに連れ回される回。
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「風呂、万歳」
2メートルと少しあるホーキンスが足を伸ばしてもなお余裕のある風呂など陸に上がってもそうそう無い。
あるとしても公衆浴場で必ず他人が居る。
1人で入っていいとなると尚更希少だ。
それを海の上で満喫できる、しかも約4日振りに堪能できるとなればホーキンスはそれだけで1日7万ベリーの価値はあるなと思った。
交渉でもぎ取ったケア用品のカゴの中には女性用ではあるがシャンプートリートメントボディーソープの他にもヘアオイルや化粧水、乳液なども入れてもらった。
代わりにホーキンスが覚えている自家製シャンプーやトリートメントのレシピを渡したので心置きなく使える。
さらに海楼石の手錠は既に外れておりこの後ちゃんと服を着れることが確定している。
何と嬉しいことかとホーキンスは微笑んだ。
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「あれ、ワラ男は?」
「彼ならお風呂よ」
チョッパーとホーキンスから聞き取った自家製シャンプー&トリートメントのレシピに必要なものについて話をしていたロビンは顔を上げてルフィの問いに答えた。
「アイツもうちょっと揺すれば自家製化粧水のレシピも出してきそうね」
「悪い顔してるナミさんもすってきだぁ~っ!!」
クネクネと身体をくねらせてメロリンしているサンジから受け取った食後のお茶を飲みながらナミは悪い笑みを浮かべていた。
ルフィにはわからないし興味がないが島から島に移動する海賊が安定して商品を手に入れるのは難しい。
グランドラインの出鱈目な気候の中で安全な航路は少ない。近くの島同士なら定期便や行商の行き来はあるが一部地域の話である。
よって基礎のケア用品などは最終的に自分で作った方が安上がりで好みに合う物ができるのだ。
チョッパーに確認させた所、使用する薬草や薬品は比較的安価で何処の島でも手に入る物だし毒性より薬効の方が強く配合は副作用を出さないようになっている。
「このレシピだけで売れば2、3万するのに化粧水と乳液、ヘアオイルに化けるとはねぇ~」
「何に価値を見出すかは人それぞれということかしら?」
「そうだとしてもお風呂にこだわりあるとは思わないわよ。まさか2時間は1人で使わせろって言われるとは思わないし」
女達の言葉はちんぷんかんぷんだが風呂に2時間という部分はルフィにも分かる。
そして2時間という言葉に戦慄する。
「そんなに入ってふやふやにふやけねぇのかな?」
「さぁ?…あ、効果的なマッサージの方法とか知ってるかしらアイツ」
「海賊歴はそこそこ長いんじゃ無いかしら?北の海に長く居たみたいだし。聞いてみればいいと思うわ」
「よーし、搾り取るわよ~!」
ナミなんか楽しそうだなぁ、ワラ男可哀想と言う2つの感想がルフィの中に生まれた。
それはそれとして興味関心の対象が近くにいない事に不満が募る。
そんな不満顔のルフィに気づいたナミは大浴場下の測量室に誘う。
「邪魔しないなら居ていいわよ。風呂出たところで遊んでもらいなさい」
「おう!」
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しばらく測量兼図書室の図鑑を眺めるもののじっとしてるのも暇になってきたルフィは一向に風呂場から出てこないワラ男に焦れていた。
床をころがり不満を叫ぶ。
「ひーまー」
「まだ後30分はあるわねー。外にでも行ってきたら?」
「ウソップは見張だろー、フランキーはなんかつくってっし、チョッパーはロビンと話してる」
「ゾロは?」
「寝てた」
「あらそう。残念ね」
「ワラ男死んで無いか見てくるっ!」
「んー、まぁいいでしょ。文句言われても見上げて首傾げて心配したからって言っときなさい」
「わかった!!」
閃いた言い訳をナミから後押しももらいルフィは大浴場の脱衣所に続く梯子を登った。
ひょっこりと脱衣所に顔を出せばトランクスを履き終わったワラ男が居た。
次にズボンを手に取って履き始める。
じぃっと観察していたら気づかれていたようで振り向かずに声をかけられる。
「どうした。何かあったか?」
「や、死んでないかと思って。風呂長ぇな」
「確かに悪魔の実の能力者が風呂好きと言うのは珍しいかもな。よく心配される」
おや、とルフィは思う。
最後ちょっとだけ声色が違ったきがする。
もう一度聞きたい。
「なー、北の海って寒いのか?」
「他の海のことはよく知らないが、冬が長い島は多いな。冬島ほどでは無いが、寒い時期に雪が降ることは多い」
「雪!雪なっ!おれグランドライン入るまであんなに積もってんの見たこと無かったなぁ~」
「さらに北の方では海も凍る」
「ひぇ~っ!?海が凍るっ?!」
「船も専用のものでなければ凍った海を渡れないんだ。氷を割って進むらしい。おれが知っているのはそんな凍った海から流れてきた流氷と呼ばれる氷の塊だがな。眺めていただけだが分厚い氷で見えている範囲より海の中の氷の方が大きいと言う話だった」
「そんな海があんだなっ!!」
海が凍っているとは何とまぁ寒そうである。
しかもでかい氷が海から流れてくると言うでは無いか!見てみたいとルフィは強く思った。
脱衣所に登り終え床に座ればワラ男はバスタオルを敷いて珍妙な格好をし始めた。
「なにしてんだ?」
「ストレッチ」
「?」
よくわからないが少しして格好がころころ変わるのは面白いと思う。
次々と変わっていく格好に興味が膨れる。
「なぁーそれ何のためにやるんだ?」
「筋肉を伸ばしてほぐすのが目的だな」
「ほーん?」
「お前の体は何処までも伸びそうだな」
「そーでもねーよ?こう、伸ばしすぎるのもいてーんだ」
「ほう」
「いい感じのとこで止めるのが難しくてよ、戻ってくるのも勢いつけねぇとへろへろになんだ」
「ゴムの身体も大変だな」
「ワラ男はどんな能力なんだ?」
「ひけらかすものでもないだろ」
「おれは話したぞ」
「……藁になる。ほら」
差し出された袖の短いところから出ている腕が乾燥した植物の茎になる。
ワラワラと言うから笑うのかと思ったが違ったようだ。
「触っていいか?」
「…ああ」
触ってみればカサカサと乾いていて硬い。
何処だったか動物の餌として藁が使われてなかったっけか?
あとは寝床とか、無意識に自分の麦わら帽子を触る。
感触が全然違う。
「全然ちげーな。おんなじ藁なのに」
「?それはそうだろう。今は藁そのものにしているのだから。そうだな、製品と同じとなるとこんなくらいか……。もう一度触ってみろ」
「んん?…!ツルツルしてるし柔ケェ!」
「藁は何度も打ちつけて繊維を柔らかくしてから製品にする。麦わら帽子然り、籠然り」
「すっげェ!すっげェなワラ男!!」
さっきの硬いのも出して触り心地の違いをもう一回とねだれば両腕の一部が藁になってくれる。
何回も触って違いに目を輝かせば幾分高いところにある顔が少し笑っていた。
見上げると朱色の瞳とかち合う。
「どうした」
ぱちぱちと瞬きしている瞳に自分がいる事に嬉しくなる。
「んにゃ、何でもねぇよ。でもよー、藁になって何ができんだ?ロギアじゃねぇんだろ?」
「分類はパラミシアだな。まぁ、色々できる」
「ふーん。教えてくれねぇんだ?」
「手の内をすぐにバラしてはダメだろ?」
両手は引っ込められ暗に仲間じゃ無いから、いつか敵になるからと言われている気がしてルフィは不満顔になる。
「なぁワラ男ー。一緒に冒険しよーぜ?」
「世話になっている間な」
あっという間に広げられていたあれこれは片付けられ使ったタオルの処遇を尋ねられたので答える。
梯子を降りるのを見届けて自分も下にジャンプした。
「おかえり~」
「おう、ただいまっ!」
海図を書いていたナミがこちらを見ずに声をかけてきた。
邪魔しちゃダメな状態なのでワラ男を引っ張ってダイニングまで行く。
「どうした麦わら」
「今のナミは邪魔するとヤベェからダイニング行くぞ」
「ヤバいのか」
「怒り狂うとめちゃくちゃ怖えし痛え」
能力の関係で物理打撃は基本無痛であるはずのルフィにダメージを与えられる稀な人間なのだ。まぁ、この船の人間から殴られると大体ダメージ入るけど…。ルフィの祖父曰く愛ある拳は何者にも勝ると言う奴である。
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麦わらがダイニングまで引っ張ってきた腕を離したのはロビンにナミのことを話したあとだった。
「あら、そう。なら行かなきゃ」
「ロービンちゃ~ん!ビスケットなら用意できてまぁ~す」
これまたくるくる回ってお湯の入っているだろうポットとティーセット一式、ビスケットの盛った皿が乗った盆を渡している。
麦わらはビスケットに釘付けになって盆が動くのと同じ方向に顔が動いている。
犬かな?
「テメェらの分はあっちだ」
サンジが指差した方向には5倍ほどの大きさの皿にさらに山盛りのビスケットとその周りにバスケットや袋、小皿に数枚のビスケットが置いてある。
「先にマリモとウソップの分もあるから持ってけ。いいか、マリモとウソップの分は食うんじゃないぞ、くれ、ぐれ、も!!!」
コクコクと首を縦に振る様はお使いを言い渡された幼子のようだ。
バスケットに袋を入れて麦わらが外に走り出たと思ったらいつのまにか腕を引かれていてゴムの弾性のせいか強く引っ張られる。
一瞬バランスを崩すが持ち直してついていけばマストの上に登り始めている。
「ワラ男もいくぞ!」
否と言ったら多分また巻き付いてくるよなとマストに巻きついて飛んできた麦わらを思い出す。
麦わらの下から空を伺えばもう夕方も過ぎて夜も深くなる頃だった。
ちらほらと星が見える。
やることが増えたなと思いながらマスト上の一室に入っていく。
「ゾロ~、ウソップ~!サンジがビスケット焼いたってよー!」
「おう」
ぴょんぴょんとゴム鞠のように弾む調子でたしか、海賊狩りだったか…?の方へ近づく。
ちょっと理解し難いダンベルを上下してた海賊狩りはダンベルを降ろして首にかけているタオルで汗を拭った。
床抜けないのすごいな…。
「あ?何だ戦利品じゃねぇか」
「バジルだ」
「ゾロだ。で、何のようだ?」
「連れてこられただけだ。あともう1人届け物がある」
「あぁ、ウソップの分か。あいつ今日見張だからな」
「ついでに望遠鏡でも借りれればとは思うがな」
「ア?あー…、星読めんのか」
「専門ではないが、出来んことはない」
「行くぞワラ男~」
「わかったから引っ張ろうとするな」
伸びて来た手をはたき落としてその方向に向かう。
「アイツやるな…」
なんか言われた気がするが、たいしたことはないだろう。
部屋の向かい側にベンチに座り何やら敷物を敷いて細々と作業している。
ウソップと呼ばれた男は手をひらひらさせてあとちょっと待っててくれといい集中する。
手元はわからないが丸い入れ物に何かを詰めているようだ。
すでに何個か入れ物別に山になっている。
見張は?
「おー、おまたs…って近っ!デカっ!」
見下ろしていたから驚かれたようだ。
しゃがんでみる。
「サンジがクッキー作ったから、届け物だっ!」
「おーサンキューなーって涎すごっ!汚ねぇなぁ」
麦わらが涎を垂らしながら袋を渡す。
手近にあったタオルを渡して涎を拭くのを見るに割とよくあることなのだろう。
ウソップの横に飲みかけのボトルがあるから飲み物は先に持っていたらしい。
なるほどそれでバスケットの中にボトルが一本と袋は二つあったのか。
納得して届け物も終わったからはしごから降りようかと体勢を変えれば腰あたりに巻きつき強く引っ張られる。
「あ」
「あ」
「っ?!」
「まってろよビスケットーっ!!!」
踏ん張るよりもよろめき床の穴に吸い込まれる。
重力に従って落ちるのを感じたのはいつぶりか。
全体的に藁に変換さらに背中の方を膨らませて藁伸ばして衝撃を吸収に努める。
わわっ!?と驚いた声が聞こえたが知るか、まずは自分の身の安全の確保だ。
背中に芝生の感触が伝わる。
なるほどこれのせいで木ではなく芝生なのか…などと空を見て考える。
「ワラ男~急に危ないだろ~」
「それはこちらのセリフだが?」
「おーい大丈夫かー?!」
上の穴から長鼻のウソップが声をかけて来たので見上げて大丈夫だと手を振る。
とりあえずこのクソガキの頬を引っ張る事にした。
「ひたひひたいひやまめほほー」
「貴様、急に人を引っ張るな。そもそもこの高さから落ちたら普通の人間は死ぬぞっ!」
「ひゃんと、受け止めるつもりだったって」
「ならそれをきちんと先に言いやがれっ。何も言わずに引っ張り落とされたこっちの身にもなれ。死ぬかと思ったぞ…っ」
「…ごめんなさい」
くっ、しょぼくれた顔が元の幼なげな容姿と相まって雨に濡れた小動物の幻覚が見える…。
しかし騙されるな自分、コイツたった今おれを殺しかけた奴だぞ!
許さん。
がいつまでも甲板で時間を無駄にするのもよくない。
ダイニングに足を向けながら麦わらに質問する。
「…あの部屋以外に見晴らしのいい場所はあるか?星が見たい」
「ならメインマストの上か風呂場の上だな!」
「望遠鏡が借りたいのだが」
「ナミに聞いた方が早えと思うぞ」
「わかった」
質問の答えをもらい今後の動きを考える。
さて、まずは心落ち着きたいのだがコイツがどっかいけばいいのに…とルンルンとダイニングの扉を開ける麦わらを見た。
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余談
ホーキンスは別にぼられたと思ってない。
船内の案内より先に風呂を所望し案内された風呂が素敵だったので長時間独り占めすることの価値を上乗せしてるだけ。
ナミとロビンから貰った化粧水と乳液、ヘアオイルは2人が買って肌に合わなかったものをリサイクルした。
ケツに薬を塗る時は医務室を貸し切りさっさと終えた。
血液検査の結果はご飯後にチョッパーと2人で医務室行ってた。
ホーキンスの船は薬草園ありそうだなと思ってる。そうでなくとも船員の中には薬草に詳しい人多そうなので自然と覚えたりしてそう。
なので、自家製の化粧品や保湿剤、シャンプーやトリートメントも作ってそうだなって思った。
ハンドクリームとかは作りやすいよね。