囚われのホーキンスを救い出した話

囚われのホーキンスを救い出した話


敵船に数日囚われていたホーキンス。

船員を人質取られて見目がいいホーキンスを奪ったと言う経緯。

敵はホーキンスの前に新人ばっかな海軍の船を襲った時たまたま手に入った海楼石の枷を使う。

ホーキンスが無抵抗で捕まった理由は船員を人質に取られた事、死相がでなかった事、新たな運命と出会うだろうと言う占いの結果があったから。

予測ができていた為合流予定の島を決めておりそこまでしばし同船させてもらう事になった。

から始まる心の距離が縮まる物語が読みとうございます!

ので書きました。


捕虜の最中は殴る蹴るの暴行は当たり前、ホーキンス顔がいいから陵辱もされたんだろうなぁ…

部屋では常に全裸にされてだんだ!

白い肌に赤だったり黒だったりの痣があって顔にも鼻血を拭った跡があったりするんだ!

そんで持って本人は風呂に入りたいとずっと思ってるんだきっと。

とか思ってる書き手が書いたものです。


注意事項

捏造多々あり。

例えばファウストの一人称口調行動の全て。

ホーキンス海賊団にあった出来事。

ホーキンスの好き嫌いについて獣肉はダメで魚肉は大丈夫にしたところ。

その他諸々。


エミュ?下手くそだよ!

突然始まり突然終わる割に長い。




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その日の占い結果は船員たちを震撼させた。

敵船に出会う確率80%

勝利する確率23%

船員の生存率は89%、死相は見えない

不幸が起こる確率91%

運命に出会う確率98%



「運命、ですか?」

「ああ。運命だ」

「それは…人ですか?」

「わからない。が、人であることの方が多い」

「でも不幸って……離れ離れになるってことですか?この前と同じように……?ぼく嫌です」

ファウストがホーキンスを抱きしめてぐりぐりと頬を押し付ける。

以前離れ離れになった時は集合する島を決めていたとはいえ全員帰船するのに約3ヶ月かかった。

それがあるからか船員は離れ離れになるのを嫌がる。

とはいえ占いに出た結果はおそらく叶うだろう。

そうなればいいとホーキンスが思っているからだ。



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「……っ、ぐッ」

掛け声と共に腹に減り込むつま先の衝撃に出そうになる声を抑える。

ホーキンスにとって痛みより舐め回すような視線の煩わしさの方が不快だった。

海楼石の枷をされていた為能力が使えないのもなかなかに不幸である。

あらかた服は破かれて首足首に申し訳程度切れ端が残っている程度だ。

対して慣らしもせずに獣のように盛った奴らが取っ替え引っ替えしていたが噛むわ舐めるわ吸うわ不快以外の何者ではない。

面倒なのか真水ではなく海水をかけられている為肌がヒリヒリと痛みを訴えて来ている。

はやく風呂に入りたい、ホーキンスの心はそれ一色だった。


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ルフィ達麦わらの一味は久々に自分達ではない海賊船を見つけた。

見張に付いていたウソップが声を張り上げる。

それに釣られて甲板に出て来た仲間達は前回の戦闘の傷がすっかり癒え戦闘意欲のある者、未だ傷はあれど戦闘意欲のある者、相手が弱く人数が少ないことを祈り震えているものなど三者三様の様相で接敵する敵船と合間見えることとなった。


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運命とは光であり、衝撃だとホーキンスは考えている。

物であればそれとの出会いは雷に打たれたかのように鮮明な衝撃となって手を取るように導かれる。

人であればそれとの出会いは絶望の中の一筋の光のように出会うべくして出会い共に過ごすものだ。

どちらも離別や再会があり、どの時点で運命と分かるかは定かではないがそれでも何かしらの兆しがあるものなのだ。


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大したことのない数だけ多い相手をたった4人で気絶させありったけの縄を持って皆んなで敵を縛り上げる。

敵船の錨を下ろし横付けしたサニー号と敵船の間に板を置き行き来をしやすくしたらあとはお宝探しの時間である。

ルフィは一番乗りと船内を走り回り扉を開ける。

奥の部屋に近づくに連れ眉を顰める生臭さが臭ってくる。

時折すぐに陸に帰る為か死体を安置している船もあるが大海原の真っ只中、それはないだろう。

であれば何かしら食材か、もしかしたら宝があるかもしれないそう思って部屋のドアを開ければ薄暗い部屋にきらりと光る金髪とぼんやりと浮かぶ白い肌を見た。

目を閉じて壁を背に座っているそれはまるで人形のようで頬や腹、他にもところどころ鬱血や噛み跡、擦り傷がなければ置物だと勘違いしていただろう。

特徴的な三角眉毛の下から朱色の瞳が現れた。

「次はお前か?」

「お前、誰だ?」

「…おれの名はバジル・ホーキンス。ここに囚われている捕虜だ」

「ふーん。なぁ、宝がどこにあるか知らねぇか?」

「さあな。だが大抵船長室か船底の近くにあるだろうな」

「そか、あんがと。あとお前臭い」

「だろうな。さっさと風呂に入りたいものだ。この船の奴らは?」

「さっきボコって縛ったぞ」

「全員で36名ほどだが」

「人数はわかんねぇ。じゃな」

「あぁ、」

応える声を聞く前に麦わら帽子の少年は走り出していた。

そうか、この船の奴らはやられたのかと呑気に思う。

ならば自分の身は自分で守らねばとホーキンスは力を込めて立ち上がりふらつきながら近くの荷物隠し用なのかでかいボロ布を手に取った。

破り捨てられた服の中からタロットカードを探し当てる。

これでなんとか体裁は保てるだろうか?

体を包み隠すように布を羽織り前を握りしめる。

てるてる坊主のような状態になった頃毛玉が声を上げた。

「まだ人がいたのかっ?!」

「動物が喋っているとは珍しい」

「お、おれはヒトヒトの実を食べたトナカイ人間だっ!」

「…あまり自分の能力を言いふらすのは良くない。トナカイくん?」

「チョッパーだっ!!」

小さすぎて膝を折ってもまだ距離がある。

チョッパーと名乗った帽子を被ったトナカイの子供を見下ろす。

先程の少年もだが構成員が若すぎる。

見習いが家探しいや、船探ししているのだろうか?

麦わら帽子…、手配書を真似ている可能性もあるから断定はできないな…。

見上げたトナカイの子供はこちらの顔を見て怪我人っ!と叫んだと思ったら医者ァッ!!おれダァ!!?!と1人コントを始めてしまう。

どうやらこのトナカイの子供は医者らしい。

動物系の能力者は常に獣人形態で素顔や年齢を隠す者もいるから見た目の年齢と合わないことがある。

その類かと思ったが先程の申告で人間型のトナカイが正解かと思い至る。

敵意がないからか呑気に構えていたら急に大きくなり可愛げがなくなる。

抱き上げられたと思ったら走り出すものだから慌ててこちらの要望を伝える。

「チョッパー、まずは風呂に入りたい。風呂を探して欲しい」

「でも手当を」

「汚れを洗い流したい。そのあと手当の方がいいだろう?」

「そう、だなっ!お前賢いなっ!」

「そうでもない」

軽く風呂がありそうな場所を探すもそもそもこの船に風呂場はないらしい。

不潔だ…。

「うーん。おれ達の船には大浴場があるけど、連れてっていいか分かんないし…」

「ならまずは服を調達しよう。全裸で人前はあまりしたくない」

「さっきの部屋だな!」

趣味は悪いが着れそうな服を見つけた部屋に戻る。

手伝ってもらいながら適当な下着とズボンを履きシャツを羽織る。

替えにもう1セットもらっておく。

やはりサイズより背の方が問題らしくツンツルテンになった。

「軽く診せてもらったけど、大怪我はないようでよかった」

「残念ながらもう1箇所、おそらく怪我をしている場所がある」

「あ、分かるから言いにくいなら言わなくていいぞ!」

「分かるのか」

「うん、臭うし…。ドクトリーヌ…おれの師匠が人間の下半身の怪我は恥ずかしいから申告しにくいって言ってたし、海賊の捕虜がどう言う扱いされるかは話だけだけど知ってるつもりだ」

「あー」

これは早急に風呂に入りたい。

ここまで2回臭いと言われているのだ相当だろう。

それに幼なげな声にそう言われると相手が医者だとしても絵面が事案である。

ホーキンスが気まずさに耐えられない。

「風呂に入りたい。早急に、1番に、今すぐに」

せめてキッチンでお湯沸かして拭き取りするだけでもマシになるだろうとトナカイの子供に食堂はないかと尋ねる。船内に入る途中で寄って来たと言うので案内をさせれば先客がいたようで海賊では珍しいスーツを着た青年だった。

やはり構成員が若い。

「おいチョッパー、そいつは誰だ?」

「あ!そういえば名前聞いてなかったっ!」

「この船で捕虜になっていた者だ。バジルと言う」

「怪我してるんだ。それで身体を綺麗にしたくて、でも風呂っぽい場所がなくて…」

「それで湯を貰えたらと思ってな」

「なるほどな。ちょっと待ってろ、チョッパーそっちの奥の部屋にデケェタライがあったから持って来てくれ」

「わかった!」

「お前はこっちだな。そこの部屋使え、タオルかなんかねぇか探して来てやる」

「感謝する」

「どーいたしまして」

スーツの男に指さされた部屋に行く。

小部屋の中は鉄の匂いがほのかに強い。

武器庫というよりは掃除道具などの倉庫だろう。

汚れが取れないのか薄汚れている割に使えそうな雑巾を選ぶ。

最初に使っていた布を部屋の真ん中に敷きその上に使えそうなものを置いていく。

そうこうしているとチョッパーが大きなタライを、スーツの青年がお湯と水を持って来てくれた。

「タオルはなかったが、なんとかなりそうか?」

「あぁ、重ね重ねありがとう」

「おれ、手伝うよ。後で手当てもするからな」

念のため同席させてもらうというスーツの青年を一瞥して羽織っていたシャツを脱ぐ。

「背中を頼む、手枷をしていると流石に届かない」

「おう、わかった!」

硬く絞った雑巾で体を拭く。痛みはないが瘡蓋になっているところや痣になっている箇所が多くてなかなかに悲惨な状態だと改めて思う。

何度か拭いて下半身へ移る。

「すまないが、出て行ってもらえるか?他人に下半身を見せる趣味はないんだ」

「言われなくてもでてくよっ!誰が野郎の裸好き好んで見るかッ!」

音を立ててドアを閉め出ていく青年にチョッパーはサンジはいつも男相手だとあんな感じだから気にするなと言った。

ズボンを脱ぎ下半身を拭う。

「じゃあ、尻見せてくれ」

言われてあまりしたくないが四つん這いになって尻を向ける。

でかい手が尻たぶを両側に軽く引っ張る。

それだけで身体が硬直する。

自分が思っていたより嫌な思いをしていたようだ。

「見たところ大きな傷は無いけど、感染症の危険や内臓の方に炎症があるかもしれないから後で検査しよう。それを見て薬を処方するよ。軟膏塗るの自分でできそうか?」

「手枷が取れればできる」

「なら次は甲板で鍵探さなきゃだ!」

最後にタライに座り上から程よく冷めたお湯を肩から全体にかけてもらう。

持ち上げていた髪を下ろし身体を乾いた雑巾で水を吸う。

なんとか身支度を終えればやはりチョッパーがホーキンスを抱き上げた。



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海楼石の手錠を外すかどうかは勝利者の匙加減だろう。

そんなことを考えながらホーキンスは揺れに身を任せる。

甲板に出れば縛り上げられた大人どもと積まれた宝物、そしてそれを運び出す子供らがいた。

やはり構成員が若すぎる気がする。

「誰だテメェ」

「戦利品だ」

「ハァ?」

「患者だよっ!この船に捕まってて怪我してるから治療するんだ!」

手配書で見た記憶がある人物がこちらに近づく。

緑髪のこの中でおそらく年上だろう青年がこちらに声をかけて来た。

応答すれば素っ頓狂な声を上げて訝しむ。

が、チョッパーの言葉に少し納得したのか元の宝物運びに戻って行った。

次にチョッパーはオレンジ髪の女性の元に足を向ける。

「チョッパー、どこ行ってたの?後そいつ何?」

「ゾロにも言ったけど患者だよ。捕まってて怪我してるから治療したいんだ」

「ふーん。戦利品ってことね。あんたも大変だったわね」

「そこそこに…。乗船許可が欲しい。船長は?」

「船の中動き回ってるわよ。いいわ、乗せてあげる。でもタダじゃ無いからね」

「ふむ…。おれに出来ることは占いだがそれで良ければ」

「あら、占い師なのあんた」

「似たようなものだ。時間を貰えれば恋占いから失せ物探し、今後の危険も占おう」

「そうね、だったら…っ!ゾロっ!」

「…嵐が来るな」

「分かるの?」

「多少は。普段は占いでより精度の高い結果を出せるがな」

「そう言うのはいらないわ。でもうかうかしてられなくなったからとりあえず乗って。ルフィには後で言っとく。嵐が来るわっ!急いで運んじゃって!!」

「ひとつ」

「何急いでるんだけど」

「この手錠の鍵を知らないか?海楼石製だ」

「あぁ、必要なのね。じゃあ後で交渉しましょっ。チョッパーさっさとその人運んじゃって荷物運び出す方に手を貸してっ」

「わかった!」

チョッパーは船を移動しマストの下の椅子にホーキンスを座らせるとドタドタ走って行ってしまった。

荷物の移動を眺めていると襟が派手でアフロな骸骨が寄って来た。

「ヨホホ、初めましてミスター。わたくし、死んで骨だけ、ブルックと申します」

「バジルと言う。死んでいるのか?」

「はい。一度死に、そして生き返りました」

「それは、数奇な人生を送っているな…」

「ええ。して、バジルさんは何故ここに?」

「あの船の捕虜でこちらの戦利品だ。後は心優しい船医が治療してくれるとな」

「なるほど、チョッパーさんは優しいですから」

「そのようだ…。もうすぐ嵐が来る。手伝わなくていいのか?」

「ホホっ、そうですねお手伝いしないと叱られてしまいそうです。では、失礼」

礼儀正しくシルクハットをとって一礼した骸骨が去って、わちゃわちゃと作業が終わり板が外される。

オレンジ髪の女性が音頭を取って船が動き始めると伸びた腕がマストに抱きつき遅れて人が飛んできた。

「ひっでぇなぁ、ナミ。置いてく気かよ」

「ちゃんと帰って来れたでしょ」

「ちぇーっ」

麦わら帽子の少年が唇を尖らせて不満げな顔をする。

仲の良い海賊団だし、気のせいではなかったらしい。

目の前の少年が麦わらのルフィその人のようだ。

その身体は巨人の如く巨体だとか、100人前の飯を食って店を閉店にしたとか、魚人もかくやの腕力だとか、政府に楯突く残忍な人柄だとかまぁさまざまな憶測や背鰭尾鰭の付け加えられた噂話はこちらの耳にも入って来ている。

が実際はゴムのように伸び縮みする身体を持つ少年であった。

噂話は所詮噂話やはり物事を判断するには自身の目で見る必要があると改めて思う。

さて、捕虜から保護となったものの余所者であることは変わりない。

自分の沙汰が決まるまでは大人しくしていた方が良いだろう。


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ルフィが人形みたいな人間を見た後船の扉という扉を開いて船長室らしき豪華な部屋を見つけあらかた宝を物色した後彼方此方船を探検する。

でもやはり扉を開ける度に頭の中にあの人形みたいな人間がチラつく。

なんだか全然楽しくない。

もう全部の部屋を回ったルフィの耳に嵐が来るからずらかるぞ!という声が聞こえる。

持って帰りたいものを見つけられなかったルフィが頭によぎった金髪の男を求めて最初の部屋に戻るもののそこに男の姿はない。

何処に行ったのかと思うものの甲板に出れば自分の船のマストのベンチに座っている男を見つけて嬉しくなる。

すでに出航しかけている自分の船に腕を伸ばして飛び乗れば呆れて怒ったようなナミがこちらを見ていた。


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「さっきの臭いおっさん!こっちに居たんだな!」

「……あぁ。心優しい船医殿のおかげだ」

男に声をかければ眉間に皺がよる。

一瞬だったが不快なようだ。ではなんと呼ぼうか?

三角眉毛と呼ぼうか?

「勝手に乗せちゃったけど、彼も一応戦利品だからいいわよね?」

「かまわねぇぞ」

どうやら人形みたいな男はナミやチョッパーと交流していたらしい。

自分が一番最初に見つけたのにという気持ちが湧いてくる。

だが男が自分の船に居るならこれから話したり遊んだり出来るだろう。

そう思ったら嬉しい気持ちの方が強くなった。

近づこうとしたら甲板に出て来たロビンが珍しく大きな声で静止しろと言う。

「ナミっ、ルフィっ、その人から離れてっ!!」

「どうしたのロビン?」

「…貴方、なぜここに居るの?」

「何故と問われればそうなる運命だったからとしか答えられんな。悪魔の子」

「その名前で私を呼ばないでくれるかしら。懸賞金2億9400万ベリー、ホーキンス海賊団船長、ワラワラの実の能力者魔術師バジル・ホーキンス」

「自己紹介の手間が省けたな」

「に、2億9000~っ!?!なんでそんな奴が対して強くない奴らに捕まってんだよ!」

「船員を人質に取られてな。無駄な争いをする必要もなかったから捕まっただけだ。そもそも、死相が見えなかったし、運命にも出会ってみたかったからな」

騒ぐウソップの言葉に答え、ほら死ななかっただろう?とでも言いたげな男はルフィの理解の範疇外でとても面白い奴だった。

不思議なことと面白いことは冒険と同じくらい好きなルフィにとって目の前の男は魅力的に見えた。

「お前おもしれーな!!ワラ男!」

「ワラ男?」

「ワラワラの能力者だからワラ男っ!」

「呑気にしとる場合かっ!」

「いでっ!」

あだ名をつければナミが容赦なく頭を殴ってくる。

痛い。

「億超えの賞金首なのよ!?海楼石で能力使えなくたって私たちよりうんと大きいんだから力だって強いはずよ!」

「そうでもないぞ、船では非力な方だった」

「あんたは黙ってて!!」

怒ったナミは相手が億超えだろうと気にせず突っ込む。

やっぱりナミは怖いし肝が据わってると思う。

ギャーギャー喚くナミを落ち着かせる為に声をかける。

「でもよー、コイツ戦利品なんだろ?なら好きにしてもいいんじゃねぇか?」

「大人しく言うこと聞いてくれると思ってんの?!相手は海賊よ海賊っ!」

「なーワラ男ー」

「そうだな、無理難題でなければできる範囲で要望を叶えるのはやぶさかではない。助けてくれたんだ、流石に礼ぐらいはする」

「だってよ!」

少し考える素振りをしてワラ男はルフィが欲しかった意味でそう答えた。

結局ナミが怖がるのと暴れられては困るからと海楼石の手錠はそのままとなった。

ちょうど医務室から出て来たチョッパーがワラ男を呼ぶ。

どうやら怪我の手当てをするらしい。

そう言えば最初会った時も怪我があったような気がする。

よく見れば服の隙間から痣が見える。

ルフィは少しだけ腹がモヤついた。


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「船に乗っていいって!良かったな!」

「あぁ。海に捨てられなくて心底よかった」

血液の採取をされながらホーキンスは頷く。

流石に海に放り出されたら死んでしまう自信がある。

チョッパーの指示に従いベッドに横になり肛門の検査も受ける。

やはり傷ついていたらしく軟膏を処方された。

「炎症が数箇所あるから指の第二関節くらいまで入れて全体に塗ればいいよ。無理に突っ込むんじゃなくてほぐす必要があるしワセリン使って保護するんだぞ」

「洗った方がいいか?」

「その方がいいけどここには道具がないから…」

「わかった。なんとかする」

「とりあえず検査結果出たらまた話そう。軟膏は1週間使ってくれれば治ると思う」

「そうか…。ありがとうドクター」

「あ、ありがとうなんてっ褒めてもなんもでねぇぞ!このやろ~っ!」

照れているのかクネクネと身体を動かすチョッパーを眺めながらそう言えば何も食べてないと思い出す。

腹の虫など等に何処かに行ってしまって久しい。

それでもそう思ったのはおそらく甲板に続く扉とは逆の扉から美味しそうな匂いが漂って来たからだろう。

「そろそろ飯だなっ!サンジの飯は美味いぞっ!バジルは好きな食べ物あるか?おれはな、わたあめが1番好きなんだっ!」

チョッパーが回転椅子から飛び降りながら楽しそうにドアを開ける。

カウンターキッチンにはジャケットを脱いだスーツの青年が忙しなく動いており彼がサンジでコックだと伺える。

カウンターにはニコ・ロビンとアフロ骸骨のブルックが、隣のダイニングテーブルにはすでに食べ始めている麦わらのルフィが骨付き肉に喰らい付いているところだった。

「おいアンタ、食べれないものはあるか?」

「肉は受け付けない」

「肉な、魚肉は?」

「平気だ。獣肉以外ならまぁ食べられんことはない」

「サンジ、バジルには刺激の少ない消化に良いもので頼むよ。多分食事してない」

「……あー、そうだな。確かに1日2日食べていないな。たぶん」

「多分ってなんだ多分って」

「時間感覚がわからん。途中疲労での失神や気絶があったせいで体内時計も狂っている」

「今は×月の〇〇日△△時よ」

「なら3日と半日だな。助かった……」

なんて呼べば良いかと考えていたら目の前のニコ・ロビンはくすりと笑う。

「ロビンでいいわ、魔術師さん」

「ではロビン」

後ろのブルックも骸骨で表情筋がないはずなのに笑っているのがわかる。

チョッパーはロビンの隣に座っているしさて何処に座ろうかと悩んでいるとゴムの特性か頬袋を膨らませた麦わらが隣の席をバシバシと叩く。

ここに座れと言う意味なのだろうと席に着く。

しかしよく食べる、10代の食欲は無限とは言うがそれとはかけ離れている気がする。

となると悪魔の実のデメリットがこの燃費の悪さなのだろう。

「ふぁふふぉはふぉむあむふぁお?」

「よく噛んで、飲み込んでから話してくれ。何を言っているのかわからない」

「ふぉう!」

もぐもぐごくんっとゴムの性質をこれでもかと活用して一気に喉を通るおそらく食べ物だろう質量で膨れる箇所にゾッとする。

ゴムと言うことは風船のように膨れることも可能だろうからそのせいで大男などと言う噂が出たのだろう。

見てるだけで胸焼けする食事風景から逃避するように考える。

喉を潤し終えた麦わらが口を開いた。

「ワラ男はこれからどうするんだ?」

「そうだな、何処かの島で降ろして貰えるとありがたい。そこからどうにかしておれの仲間たちと合流する」

「えー、降りるのかァ?」

「勝手をしているが、これでも船長だからな」

そう言ったところ背中に勝手してる自覚あるんだ?とでも言いたそうな視線が刺さる。

あるよ自覚くらい。それはそれとして占いの結果は受け入れて実行するが。

「あら、降りるのはいいけどその手枷はどうするの?」

そう言って向かい側に座ったらしいオレンジ髪が山盛りの肉から覗く。

確かナミと言ったか、実質的な権力者はこの女性だろう。

「そうだな鍵が必要だ。さて、どうしようか」

「助けてくださいとか言わないわけ?」

「これは、少し鍵開けが得意な者からしたら大した鍵ではない。海楼石の手錠は海軍の軍用品、その為市場には出回らん。能力者でなければ鉄より硬いだけの手錠だが、価値を知る者にとっては喉から手が出る代物。鍵開けの代金としては釣りが来るだろうな」

「あーもうっ!わかったわよ!鍵は外してあげるっ。ウチだってその手錠は欲しいもの」

「ナミに勝つなんてワラ男スゲェな…」

困ったから船を降りた時にどうするかただ事実を言っただけなのだが、どうやら交渉だったらしい。

とは言え錠を外してくれるならありがたいことはない。

そろそろちゃんとシャツを着たい。腹回りダルダルのシャツだろうとないよりマシなのだ。

「それで、乗船代8万ベリーはどう工面するのかしら?」

「8万か…。そうだなまともな衣服を用意してくれるなら満額払おう。それが無理なら5万ベリーだ」

「7万。うちのサンジくんの病人専用食付きよ。寝床も毛布も貸してあげる」

「そうだな、こちらの我儘を聞いてもらうんだ6万」

「6万5千。風呂もつけるわ」

「7万にしよう。無論1人で入れるだろうな?ケア用品込みだ」

「あんた結構神経図太いわね。いいわ、1日7万で寝床毛布、食事と風呂とケア用品ね」

「してやられたな。ふむ、まぁいいだろう。次の寄港先で稼ぐだけ稼ぐか」

「あら、当てがあるの?」

「恋占いと失せ物探しは何処でも繁盛する」

「なるほど」

答えれば納得され彼女は目の前に運ばれた食事に手を伸ばした。

横にいるコックはデレデレと鼻の下を伸ばしくるくると回る身体と口に感心する。しかも盆の上の食事は微動だにしない。

ある意味曲芸じみたものを見せられている。

一通り終わったのかこちらに来たコックはホーキンスの分の食事、目の前のものたちと違う特別仕様のものだろうを並べた。

「ほれ、おまえの分だ。野菜のポタージュと豆腐のドリアだ。熱いから気を付けて食え。それからドリンクは白湯だ」

「ありがとう、サンジ」

「おう」

目の前に並べられた熱々の食事と白湯に感動すら覚える。

食事は五感で楽しむと言うが盛り付け、香りのふた要素で既にこれが美味しい食事だとわかる。

冷めるのを待つ為白湯を手に取る。

こちらはすぐ飲めるほどの温度で心配りが感じられる。

じんわりと胃が温まるのを感じた。

いつのまにか目の前の大盛りの肉や炒飯が消えて向こう側がよく見える。

「寝床は、そうね…医務室のベッドか男子部屋の床、それか倉庫、下のアクアリウムのソファのどれかね」

「アクアリウム?」

船に似つかわしくない言葉を繰り返す。

思わず首を傾げればナミは行けば分かると言い食べ終わったら船の中を案内させるとも続けた。

まぁ、自分の船にもちょっと他の船と違うところあるし個性だな個性とホーキンスは思いながらそろそろ火傷しない程度に冷めたであろうポタージュを口にした。




続く



以下余談




ホーキンスがケツ掘られてるの知ってる、多分掘られてるよなぁと思ってる人

チョッパー

ロビン

フランキー

ブルック

サンジ


知らない人

ナミ

ゾロ

ルフィ

ウソップ




フルネーム呼ぶのもなーとか

名前呼びするほど仲良くないしなーって時に通り名って便利っ!と思ってるホーキンスというアホみたいな設定

でも覚えてるのが麦わらのルフィと海賊狩りのゾロくらいと言うね!悪魔の子は有名なので知ってる。


フランキーが出てこないのはシャークサブマージ3号の製作と整備してるから。

初登場ってシャボンディ前のレッドライン見つけてキャーキャーしてるとこだったよね?(うろ覚え)

ウソップは見張。

ゾロはルフィが近くにいるなら大丈夫だろうとトレーニングしてた。



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