【試作】砂糖堕ちハナエちゃんのお話 ゲヘナ編 第4話ヒナ(4) 後半

【試作】砂糖堕ちハナエちゃんのお話 ゲヘナ編 第4話ヒナ(4) 後半

砂糖堕ちハナエちゃんの人


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この物語はトリオ過去編氏の砂漠の砂糖SS「アリウス勧誘 その後の一幕」「空崎ヒナの推理、選択、決意」「アリウスモブ小隊長≠スバル説」から設定・台詞・情景描写などを引用しております。


また、該当作品よりオリキャラ(モブ)さんをお借りしました


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前話 目次 次話




「うへ~、ただいま~」


「ホシノさんっ!!今までどこに行っていたのですか?侵入者と激しい戦闘が合ったって聞いて連絡も全然取れなくてずっと心配していたんですよ!」


アビドス高校へ戻ったところでホシノ達を出迎える一人の少女。トリニティ総合学園の生徒、浦和ハナコが居た。

不安そうに飛び出してきたハナコだったが、ホシノとその隣に居る少女の姿を見た途端、表情が一変する。


「あら?……あらっ!あらあらあら~~~♡♡♡」


目を細めて満面な笑みを浮かべるハナコ。


「ホシノさんったら♡ また女の子を誑かしてきたんですか?」


よく見れば二人とも着衣が乱れており、視線を下げれば腰当たりの制服、スカート周りが不自然に湿り何か粘液の付いた染みが広がっている。

ホシノの隣の少女は顔が上気し瞳は潤み、両足の内ももには何本もの体液が垂れた跡が残っている。


「うふふ、誑かしただけではなくて食べちゃったんですか♡ホシノさんは手が早いですね、鷹さんから狼さんへジョブチェンジですか♡」


「もぉう~~、揶揄わないでよハナコちゃん!おじさん大変だったんだよ」


「ごめんなさい、あとでお赤飯炊いておきますね♡」


「うへぇ~人の話を聞いてよぉ~」


「うふふ、ホシノさんが可愛いのでつい揶揄ってしまいました☆」


「もぉ~~。あ、そうだ、紹介するね。この子はヒナちゃん、うちに入ってお砂糖広めたいって言ってくれたんだ。あ、ヒナちゃんにも紹介するね。この子はハナコちゃんって言ってね、ヒナちゃんと同じく自分の学校を飛び出ておじさんのお手伝いしたいって言ってくれたんだ。元の所属はトリニティで……あ」


自己紹介を済ませようとしたところでホシノは二人の所属学校を思い出す。

トリニティとゲヘナが仲が悪く度々対立や衝突をしていたのは有名であり、それらを防ぐエデン条約も両校の反対派の思惑に別の組織の思惑が乗り混乱の末ご破産し立ち消えとなった。

ヒナもハナコも排外主義は無く、穏健派なため、心配はいらないかもしれないがもしかしたらホシノ達部外者には見えない何か確執が残っているかもしれない、と言う事をすっかりホシノは忘れていた。


「あ、あのね……二人とも……お互い色々何かあると思うけど……今はね、落ち着いて、ね?」


慌てて二人を取り成そうとするホシノを前に静かに近づきじっと見つめ合うハナコとヒナ。


おろおろと心配するホシノをよそに最初にハナコが口火を切る。




「ホシノさん、いいですよね♡」


「いい……」



ヒナが答えると満足げにハナコは頷く。


「改めまして、浦和ハナコです。よろしくお願いしますね、空崎ヒナさん♡」


「空崎ヒナ。私の事はヒナって呼んで」


「はい♡では私の事もハナコって呼んでください、ヒナさん♡」


「よろしくね、ハナコ」


ピシガシグッグッ!とマンガのような強い握手をお互いに交わし意気投合する二人にホシノは困惑する。


「ね、ねぇ、二人にも、何を通じ合ったの?」


「ホシノさんのおかげです♡」


「ええ、ホシノのおかげね」


「うう~小隊長ちゃん!二人がおじさんの知らないおじさんの話題で盛り上がってるよぉ~~~~!!」


謎の結束力を見せるヒナとハナコに対し、ホシノは傍に居た小隊長に泣きつく。



「諦めろ、ホシノ様は二人の脳を焼いた責任を取る事だな」


そんなホシノをバッサリと切り捨てる小隊長、さらに彼女の口から飛び出した謎発言にホシノは驚く。


「何その表現!?人間は脳焼かれたら死んでしまうんだけど!?またどこかで変なサブカル知識を仕入れちゃって……仕事押し付けすぎて不安だったけど、実は結構エンジョイしてない?小隊長ちゃん?」


「ああ、これもホシノ様のおかげで、だな」


「もぉ~~小隊長ちゃんまでそんな事を言う~~~」


ホシノと小隊長のやり取りを見ていたヒナやハナコも思わず笑みをこぼす。


アビドス高校に暫くの間少女達の賑やかな笑い声が響いていた。









「それでホシノ、私はこれから何をすれば良いかしら?」


アビドス高校でのヒナの歓迎を祝うパーティーが終わった後、ヒナはホシノに呼び出されていた。横にはハナコも同席している。


「うん、この間、ハナコちゃんにも伝えたんだけど、ヒナちゃんには一旦ゲヘナに帰って貰いたいんだ」


ホシノのその台詞にヒナの表情が曇る


「そんな……仲間に入れてくれたんじゃないの?どうしてそんなこと言うの?」


青ざめた表情で責めるヒナ。どうやらホシノに「お前やっぱ要らないから家(ゲヘナ)へ帰れ」と言われたと感じたようだ。


「あー、違うよ。落ち着いてヒナちゃん」


「もう駄目ですよホシノさん。ちゃんとヒナさんに説明しないと、私だって最初「トリニティに帰って」って言われた時、とってもショックだったんですから」


「ううぅ~ごめんねハナコちゃん。あのねヒナちゃん、落ち着いて聞いて欲しいんだ」


「ぐすっ……何?ホシノ……?」


「私はヒナちゃんを要らないとか仲間じゃないとか言ったんじゃないんだよ。ヒナちゃんはもうかけがえのない大切な仲間なんだよ」


「だったらどうして……」


「おじさんはね、ヒナちゃんにゲヘナを任せたいと思っているんだ。まだ完全に染まってないゲヘナをお砂糖でたっぷり染めて漬けるのをヒナちゃんにやって欲しいんだ」


「ゲヘナを砂漠の砂糖で染める……私がするの……?」


「うん、本当は砂糖を最初に広めた責任を取る為に私がゲヘナも管理したいんだけどおじさん忙しくてね、此処(アビドス)も面倒見ないといけないし、D.U(連邦生徒会)にミレニアム、百鬼夜行に山海経にクロノスにレッドウィンターにヴァルキューレにハイランダーにワイルドハントにオデュッセイアに……とにかくいっぱいの学校を見て回らないといけないんだ」


「そんなにたくさんの学校をホシノ一人で……?」


「うん、もちろんいずれはそれぞれの学校に信用できるおじさんの仲間を作ってお任せしたいんだけど中々上手くいかなくてね。そこでまずはハナコちゃんにトリニティを、ヒナちゃんにゲヘナを任せたいと思ってるんだ」


「私がゲヘナを……。ハナコはトリニティを担当してるの?」


「はい♡ホシノさんからお任せしてもらっています。既にティーパーティーは壊滅して、今は正義実現委員会を攻略中です。まぁ、あとはツルギさんとイチカさんだけで他の正実の皆さんお砂糖大好き烏ちゃんになっちゃいましたけどね」


「ハナコちゃんはえらいね~がんばってるね~」


「はい、ホシノさんの為ですから♡褒めてください」


「うへへ~~、頑張り屋さんなハナコちゃんにご褒美だよ~」


ホシノの前にしゃがみこんだハナコの頭を優しく何度も撫でた後、ポケットから飴玉を取り出すとハナコの口に入れるホシノ。


「う"う"ぅ"~ん"……幸せですホシノさぁん♡♡♡」


芳醇な甘い香りを漂わせて甘味の暴力に酔いしれるハナコ。気が付けばヒナの口からは大量の涎が垂れていた。


「ってこんな感じでご褒美もあるからヒナちゃんにもお願いしたいんだ」


「じゅるる……っごめんなさい。それで私はゲヘナで何をすればいいの?」


慌てて涎を袖口で拭い、残った涎を啜って飲み込むヒナ。未だにハナコの口から漂う高純度の砂糖の飴玉の香りがヒナの嗅覚と神経を揺さぶり続けている。


「とりあえずはゲヘナ内での砂糖の流通の管理かな?あとは砂漠の砂糖を悪用する連中を監視して必要なら実力排除してほしい」


「砂糖を悪用する連中が居るの?」


「うん、残念だけどね。混ぜ物を入れたり偽物を砂漠の砂糖と偽って粗悪品を流している連中。砂糖に麻薬やその他禁止薬物を混ぜて狂わしたり、砂糖を餌に監禁や誘拐、性暴力や売春に人身売買とか酷い事をしてる輩が居るんだ。――残念だけどゲヘナにも大勢いる」


「そう…なの……。それは気が付かなかったわ」


「だからヒナちゃんにはそう言う悪い連中を取り締まり排除して、正しいお砂糖を正しい方法で広めて欲しいんだ。ゲヘナの皆を甘い幸せに包んであげようよ」


「なるほど……つまりは今までと同じく、風紀を取り締まればいいのね」


「そう言う事」


「わかった、任せてホシノ」


「ありがとうヒナちゃん。ゲヘナの事はヒナちゃんにしか任せられないからね。――これをヒナちゃんに上げるよ」


机から分厚い資料を取り出すとホシノはヒナに差し出す。


「これは?」


「アビドス自治区内にある砂漠の砂糖の精製工場、その中でゲヘナに一番近い工場なんだ。これをヒナちゃんに上げるよ。うちの工場群で一番新しくて生産規模は上から2番目、ゲヘナ向けの鉄道路線と直結した専用貨物線があるから列車で大量に運び放題だよ。運用担当はハイランダーでもうすぐヒカリちゃんとノゾミちゃんが"仕上がる"から鉄道運用はお任せ出来るかな」


「こんなに凄い工場を鉄道設備付きで譲ってくれるなんて……ありがとうホシノ」


「期待してるよヒナちゃん」


「ええ、ホシノの望み通り、ゲヘナを砂糖で白く染め尽くして見せるわ」


「うん、お願い。ゲヘナの皆をヒナちゃんの手で幸せにしてね」







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「ふふふっ……甘くて美味しいわ」


【はい、アビドス純正糖100%の飴玉ですからね。今まで食べてた砂糖とは比べ物になりません】


「それにね、この飴玉を舐めるとすごく力が湧いてくるの。最高ね」


口の中でカラリコロリと飴玉を転がす。校内の粘膜や舌を通じて甘い香りと味がヒナを染めていく。

アビドスを出てゲヘナに戻ったヒナが見たのは混乱と混沌の渦に包まれている学園の姿だった。


「空崎ヒナが行方不明になった」「風紀委員会にも誰にも告げずに失踪した」「どうやらゲヘナにはもう二度と戻ってこないらしい」


そんな噂が広まり流れ、まさに地獄の窯の蓋が弾け飛び中身が溢れ出したかのようになっていた。

スケバンヘルメット団、温泉開発部に美食研究会、さらには万魔殿の連中までがバカ騒ぎを繰り広げられていた。

一方の風紀委員会はヒナ失踪の噂を真に受けてしまい戦意が大幅に低下し、崩壊と壊走をしていた。

もはや戦っているのはイオリとチナツとアコくらいで風紀委員会は消滅寸前まで追い込まれていたのである。

そんな中に舞い戻ったヒナは大掃除に着手する。

暴れている連中を片っ端から薙ぎ倒して"掃除"していく。普段なら骨の折れる疲労困憊な作業だが、高純度の砂糖で狂化されたヒナにとっては、雑巾で机を吹くような雑な作業間隔で片づけて行く。


戦闘が終わった後、疲労するどころかむしろさらに元気とやる気が溢れ出てきたヒナは逃げる生徒達を追跡し、徹底に甚振った後砂糖を口に捻じ込んで行く。そんな楽しい作業を繰り返していくのだった。


今はあらかた終わり、それでも冷めやらない興奮を抑えるべく夜風にあたりに来ていたのだ。


「ああ、暴力を振るうのがこんなに楽しいなんて思わなかったわ」


【ヒナ委員長、あなたのそれはただの暴力ではありません。愛です。ゲヘナを愛するヒナ委員長から愚か者達への慈愛なのです。本来はムシケラ如きに与える必要など無いもの。勿体ないくらいです。そんなムシケラどもにも救いの手を差し伸べるのはさすがです。我が王バアル――】


「ふふっ、良いことした後は気持ちが良いよね【アコ】♪……あら?」


【?どうされましたか?委員長?】


「【アコ】……あなた……姿が……見えるわっ!!」


ついいつもの癖でスルーしていたヒナはようやく違和感に気づき、普段本物のアコが居て控えてる立場にその少女が姿を現している事に気が付いた。

今まで声だけで姿は見えない、どこかぼんやりとおぼろげだった少女が目の前に立っている。まるで本物の天雨アコのように。


【はい、委員長がアビドスへ行き小鳥遊ホシノの仲間となり高純度の砂糖を食べてくださったお陰です。委員長だけではなく私も新たな力を、より大きく強い力を手に入れたのです。肉体の完全顕現化、第2フェーズ移行の恩恵です】


「【アコ】……【アコ】ぉぉっ!!!」


幻覚アコに抱き付くヒナ。背中に回した腕に力を込めればまるで本当にそこに居るかのように、彼女の肉体を、体温を、心臓の鼓動をはっきり感じることができた。

胸に顔を埋めて深呼吸をすれば濃厚な甘い香りがヒナの嗅覚と脳神経を揺さぶり焼いて行く。


【私もとても嬉しいです。こうやってヒナ委員長を抱きしめ、あなたの肉体を体温を心臓の生きる鼓動を感じられるのですから】


「嬉しいっ!嬉しいっ!!ずっとこのまま一緒にいて【アコ】!」


【ええ、ええ。ずっと一緒です。もう離しませんよ私の愛しの委員長……】


「私も好き、愛してるわ【アコ】」


【私もです委員長……】



二人の顔がゆっくりと近づく。目を閉じ唇を差し出すヒナ。一瞬、蛇のような歪んだ笑みを浮かべると幻覚アコはゆっくりと己の唇をヒナの唇に重ね合わせようとようとして――。




微かに聞こえる少女の悲鳴、僅かに聞こえる銃撃音、そして爆発音



すぐに顔を離す二人。そこには風紀委員長とそれを支える行政官の顔をしたふたりが居た。


「行くわよ【アコ】」


【はい、委員長】







「ここね」


数ブロック先の雑居ビルの上に羽を静かに羽ばたかせて着地するヒナ。

眼下のビルの間の裏路地で、一人の少女が複数のスケバンに囲まれて甚振られていた。

既に武器を手放し戦意喪失して蹲って助けを乞うだけの少女に汚い言葉を浴びせ容赦なく暴力を振るい続けるスケバン達。


「くだらないわね」


【ええ、本当に醜い生き物です。ヒナ委員長のゲヘナには存在してはいけない塵ですね】


「さっさと片づけよう……あら?あの少女は……?」


甚振られ続けてる少女にヒナは見覚えがあった。その少女の名前と所属部を思い出した時、ヒナの頭の中に最高の楽しい計画が浮かび上がる。


「ねぇ、アコ……あの娘なんだけど……」


となりに控える幻覚アコに顔を向ける。

どうやら我が右腕たる行政官も同じことを考えていたようで黒い笑みを深める。


【うふふ、委員長。言わなくてもわかります。私も同じことを考えました】


「あの娘を利用するわ。砂漠の砂糖を最高の形でゲヘナに広めるの。そのためにはあの娘(駒)が必要だわ」


彼女の所属部の力を借りれば、食品の形、砂糖の姿である砂漠の砂糖をその見た目や性質を100%発揮して広めることができる。

誰にも気づかれず誰にも怪しまれずに、気が付けば体内は砂漠の砂糖で染まりきりもう逃げる事は出来なくなる。

彼女の立場はそれが容易に出来るのだ。


ああ、ゲヘナに砂糖は浸透しきった時、皆はどんな表情を浮かべ、どんな声をするのか、絶望と悲鳴の最高のハーモニーを利かせてくれるだろう


「あはは……愉しいわね」


【ええ、とても愉しみですわ。ああっいけません委員長。そろそろ動き出さないと彼女が殺されてしまいます】


視線と意識を向ければスケバンの一人、おそらくあのグループのリーダーであろう物が少女の荷物から包丁を取り出していた。

どうやら本気で命を奪うつもりなのだろう。


「行くわよ【アコ】」


【お待ちください委員長、顔が歪んでますよ?】


幻覚アコに言われて雑居ビルの屋上に据えられたステンレス製貯水タンクを鏡代わりに覗く。

そこには邪悪なヘビのような歪んだどす黒い笑顔を浮かべている自分が写っていた。


「いけない、これはいけないわ。あの娘が怯えてしまうわ」


【はい。委員長はこれから彼女の救いの女神になるのですから】


頬を何度も何度もマッサージして歪みを取る。


「これで良いかしら【アコ】」


【はい、完璧です。今の委員長は心優しい慈愛の戦女神に相応しいお顔をしています】


「ふふっ、ありがとう【アコ】、行くわよ」


【はい、ヒナ委員長】


ヒナは一気に床を蹴り空へと身体を羽ばたかせる。そのまま急降下し、目標めがけて突っ込んで行く。

泣き叫び命乞いする少女の頭部に今まさに出刃包丁が振り下ろされようとしていた。





「そこまでよ。何をしているのあなた達」


「絶対に許さないわ……消えなさい」







「大丈夫?もう安心して良いわ」



「あなたは私が護るから。だからもう泣かないで」








「牛牧ジュリ……(ニチャァァァッ)」








砂糖堕ちハナエちゃんのお話 ゲヘナ編 「砂糖堕ちヒナ」話 おわり



砂糖堕ちハナエちゃんのお話 ゲヘナ編 「砂糖堕ちジュリ」話へつづく


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