第一章
砲弾を作成しろ志波家
「織姫殿!! おお! なかなかスジが良いですぞ!!」
「石田殿!! おお! えらく細いが形にはなってますな!!」
「なんかこの細さは性格的なものが原因っぽいですな!!」
「チャド殿!! お…おおっ! やや不安定ながらこれはパワフル!!」
「カワキ殿!! おお!? スジが良いというか…実は前にもやったことがあるのでは!?」
『ないよ』
一通りチェックした金彦、銀彦が唸る一護に目を向ける。
「ぬふあああ…!!」
⦅…球体どころか形を作ることすら出来ないのか……⦆
霞のようなものを漂わせながら、一護が霊珠核を手に唸っていた。金彦と銀彦の二人が一護に迫りながら、その有り様を酷評する。
「一護殿!! ……これはひどい!! 何ですかなこれは!? 見るにたえませんな!」
「いやまったく! これはもうヤル気云々というより元から才能がないとしか思えませんな!! ひどい! ひどすぎる!!」
『私もそう思う。これは無いな、“致命的”と言うやつだ』
二人の言葉に頷いたカワキが無愛想な表情で追い討ちをかける。青筋を浮かべた一護が銀彦に霊珠核を投げつけた。
「ゴフッ!!!」
「銀の字ィ!!」
「わかんねえっつッてんだろ!! もっとこーコツっぽいのとか教えろよッ!! ちくしょー!!!」
腹を立てて開き直る一護。カワキをその様子をぼんやりと眺めながら思案する。
⦅ある意味これは好都合かもしれないな……⦆
◇◇◇
「はぁっ! はぁっ! はぁっ! はっ!」
夜になっても砲弾を作ることができない一護。仲間達が肩で息をする姿を心配そうに見つめていた。
『まさかここまで時間をかけても出来ないとは……』
カワキが独り言を囁くように呟いた。扉の前で寝転がっていたガンジュが夕飯の支度ができたと室内に声をかける。
⦅一護が習得できなくても、それは私の困り事じゃない。ここで救出劇が終わると言うならそれも良い⦆
カワキはそう結論付けて扉へ向かって歩いていった。残る仲間達にも一護が先に夕飯を食べてくるように促し、残りの面々はガンジュと一護を置いて部屋を出た。
***
カワキ…「これが出来なければ瀞霊廷には侵入できないし、好都合だな〜」と思っている。それはそれとして、一護の操作能力には「ウワァ…」とドン引いている。