石田雨竜

石田雨竜

スレ主

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啓吾と水色の茶番が終わった後一護は腕を組、み視線を逸らせながら昨夜の事を思い出していたた。

──とても寒々と冷たい目で此方を見据えていた男。


『〝君を 憎む・と〟』


(くそっ…何なんだよあいつ…なんで初対面で あんなこと言われなきゃなんねんだよ 大体 死神の仕事邪魔してきたのはあいつじゃねーか なに勝手にちょっかい出してきて勝手に怒ってんだよワケわかんねーよ)


その時に自分達に向かって言い放った言葉に再び怒りが湧き上がった様で次第に眉間に皺が寄った。


(でもまさかあいつと璃鷹が親友だったとはな‥)


一護と璃鷹はこうして虚退治をする前から仲は良かったがお互いに家庭環境や昔の話などは避けていた。意図的にではないが話す機会も特になかったのもその要因だろう。なのでこうして内側を自分達に見せてくれたという事は少なくとも多少は心を許せる存在になったということなのだろう。

一護はそれを喜ばしく思った。


「…名前何つったけな…? ウォーリー…? ダメだ違うコレじゃ永遠にさがしだせねぇ…」

「石田くんがどうかしたの?」


最初から一護の様子を伺っていた織姫が一護に声をかけた。「井上」と顔を織姫の方向へ向ける。一護はある単語に釘付けになった。


「知ってんのか?石田を!」

「知ってるもなにも…ウチのクラスだもん 石田くん」


一護は織姫に尋ねると予想より斜め上の返答が返ってきたことに動転し「えぇッ!?」と声を出した。すると織姫がある方向に指を刺す。


「石田雨竜くんでしょ ほらここ」

「な…」

(い…1位…ッ!!)


一護は真面目に探してた自分が馬鹿らしくなったのと同時にその張り出されている期末考査の結果の1番上のつまり1位の人物の名前を見て眼を点にしながら驚愕していた。


「ね?3組でしょ 思い出した?」

「ダメよ 織姫 コイツ人のカオと名前全然覚えられないんだから 多分まだクラスの半分も憶えてないわよ」


すると横からたつきがジト目で織姫の肩に手を乗せながら少し呆れ気味に言ってきた。それに一護は「うるせぇよ」と返事を返す。



「あいつ知ってたなら教えてくれてもよかったじゃねぇか…」


それを聞いたたつきは恐らく璃鷹にも聞いたのだろうと当たりを付けその独り言の様に一護が呟いた言葉に「あんたねぇ」とため息を出した。


「鳶栖さんだってまさかクラスメイトの顔覚えてないとは思ってなかっただけでしょ あんたが悪いわよ」

「うっ…」


それを言われるとなにも言えず唸った一護に織姫がフォローを入れた。


「あーでも石田くんてあんまり喋んないし…黒崎くん達みたいに目立たないから憶えにくいのかも…」

「くわしいな 井上仲いいのか?」

「全然! ただ石田くんあたしと同じ手芸部だから…」

「手芸部ゥ!?」


扉の近くで隠れて自分達の教室を覗くと確かに昨夜見た石田雨竜が席に着席していた。


「…ホントだ…ウチのクラスだ…」

「ね?」


そうして観察していると石田は鞄を取り出して教科書を鞄に詰めている。


「あっ帰るぞ!」

「ちょっとまって!みちるちゃんが壊れたぬいぐるみを持ってったよ!」


丁度帰る支度をしていた石田にみちるが駆け寄ると「どうする気だ?」と一護が呟いた。


「? 何だ?ペンケース?」

「ううん裁縫セット」


石田は長方形の鉄の箱を取り出す。それを見た一護が疑問を口にすると織姫がそう訂正を入れた。


「裁…!?]

「ほー!」


素早くソーイングセットから針に糸を通すとそのまま敗れた箇所を縫っていく。そしてその縫い終わったぬいぐるみはみちるの手に戻った。


「な…なおった!!ありがとう石田くん!!」


みちるはあっという間に治ったぬいぐるみを上に上げて喜ぶ。


「いいよお礼なんて たいしたことしたわけじゃない」

「え…あ… ……うん… …ごめんなさい…」


仏頂面のままメガネの位置を直す石田にみちるは少し俯きながら気まずそうにしている。


「‥‥‥‥‥」


それを見た一護は黙ったまま口をへの字にしてその様子を見ていた。


「あー まただよ ああいう言い方しなければいい子なんだけど…」


織姫は眉を下に下げながら言うと自分の上から覗いている一護の方向に顔だけを向かせて聞いた。


「ねぇねぇ 黒崎くん石田くんと何かあったの?」

「イヤ…ちょっとな 大したことじゃないよ」

「そっか たいしたことじゃないか…」


織姫はそう言って誤魔化した一護の横顔を見ながら少し寂しそうに笑った。

一護はそのまま織姫と別れるとあの言葉の意味の真偽を確かめようと石田が教室を出てからも追跡をした。

恐らく石田と帰り道らしき通りを後ろで尾行していると階段を上り切った先で石田が立ち止まった。


「家までついてくる気かい? 黒崎一護」


物陰に隠れていた一護はそれを聞いて石田の前に姿を現した。


「ちぇ バレてたか いつから気づいてた?」

「井上さんと教室のドアの所から僕を盗み見てた時から」

「ほー すげーすげーたいしたもんだ」


一護はそれを聞いてパチパチとやる気のない拍手をした。


「君の霊力は馬鹿みたいに垂れ流しだからね 猿でもわかるよ、どうやら鳶栖さんにはやり方は教えてもらわなかったみたいだね」

「何だとォ?」


一護はその棘のある言葉に反応した。


「君はどうもそういう霊力の高い人間を察知する能力は欠けているみたいだね ──その証拠に今日まで僕の存在に気づかなかった」

「悪かったな!俺は人のカオとか憶えんの苦手なんだよ!だからオメーのことも…「そうじゃない」


石田は一護の言葉を否定し言葉を続けた。


「僕は気づいてたよ この学校に入学した時から君の霊力の高さに、その君が5月の半ばに死神の力を身につけたことにも そして──」

「朽木ルキアの正体も」


その後突如現れたひらひらと白いタスキの様なものが舞う。一護はそれを見て目を見開いて驚いた。


「…これは……!!」

「そう“霊絡〟だ 大気中の霊気を圧縮して視覚化したもの 上位の死神にしか視覚化することはできず また上位の死神にしか触れることはできない 死神ならそう聞いている筈だ」

「だけど」

「!」

「知ってたかい?死神の“霊絡〟は色が紅いってことも」


石田は一護の顔の近くの霊絡を鷲掴むとそれを千切っった。


「──僕は滅却師 虚を滅却する力を持つもの…勝負しないか黒崎一護 死神とぼくとどちらが優れているのか」


「解らせてあげるよ 死神なんてこの世に必要ないってことをさ」


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