目先の欲:前編
ソラのバッドエンド導入【目先の欲:後編】
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今日も私は、お客さんが殆ど来ないお店でぼーっと突っ立ってる
先生やRABBIT小隊の人はまあまあ見る。それ以外のお客さんはさっぱり
だからレジカウンターで携帯を弄ってても何も言われない
…本部の人からさえ何も言われないからこの程度は許容されてるんだろうな
ソラ「はぁ…暇だなぁ」
ただしこう暇だと、楽な代わりに賃金はかなり微妙である
ほぼワンオペで回してる事もあり、自宅に帰る事もあまり出来ずお店で寝泊まりすることもある状況…
どうせ24時間ずっといなきゃいけない訳でもないだろうと思った私は、コンビニとは別口のバイトを片手間ながら探していた
…最近はRABBIT小隊の人達も全然お店に顔を見せなくなっていたので、暇つぶしがてら新しい収入先を探す
「何か良い感じの…勤務時間少しで多めに賃金貰える場所ないかなぁ」
そんな都合の良いバイトあるはずないと思いながらも、携帯求人サイトを流し見していく
ボケっとした顔で適当に下へ送った
その時
「あっ」
今一瞬何か良さそうなのが映った
急いで上に戻す
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【商品モデルバイト募集中!】
【勤務時間はたった1時間足らず!】
【1度のモデル撮影で30万円!】
【反響が良かったらボーナスも!】
【採用されればお金持ちかも!?】
【今すぐお電話かメールを!】
(※お電話の方は面接を致します)
(※メールの方は顔写真添付が必要です)
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「すごい…こんな高待遇…!?」
あまりにも魅力的だった
一度撮影をするだけで30万円!勤務時間もたった1時間足らず!
記載されてる住所がアビドス地区の番号だったのは少し気になったけれど…
私は我慢できずに、そのメールアドレスへ自分の顔写真と共にメールを送った
面接の方が採用率上がりそうな気はしたものの、そこまで本気でやりたい訳でも無かった
それにサイトをよく見ると
【採用人数は1~2人程です】
とも書いてあったので、多分無理だろうなと考えた結果、手っ取り早くメールで応募した
それが全ての間違いとも気づかずに──
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数日後
例のサイトからメールが届いた
結果は…
「えっ!?採用…!?」
なんと採用だった
採用するのは1人から2人程だって書いてあったはずなのに、私は選ばれたらしい
正直メールを送った後になってあの文を見た時、ダメだろうなと思っていたから腰を抜かしちゃった
メールの下の方に撮影会場の住所が記載されていたのを見て、私は後日行く事を決心した
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カメラマンの生徒「貴女がソラさんね?採用おめでとう!よくぞ応募してくれたわ!」
ソラ「あ、ど、どうもありがとうございます…私なんかでよろしかったんでしょうか?」
「そりゃもう!うちの本部の方々も採用に好意的だったし、自信持って!」
「あ、ありがとうございます…えっと、撮影はどういう感じに…?」
「えーっと…まずこの服を着て、その後これを持ってポーズ決める感じかしら」
渡されたのはオシャレな水色の服
エンジェル24の制服と少し似てる…?
これだったらあまり気を張らずにやれるかも
同時にカメラマンさんが取り出したのは砂糖の小袋…
砂糖?
「あの、これって何の商品ですか?」
「ん…あーごめんなさいね!何をPRするのか言い忘れてたわ!あまりにも可愛いからついうっかり!」
「…可愛い…」
少し嬉しくなっちゃう
「貴女にPRしてもらうのはお砂糖よ!」
「お砂糖ですか?」
「そう!今やあちこちで人気のお砂糖…その名も“砂漠の砂糖”!実は何度か宣伝を出そうとしていたけれど良い宣伝方法が思い浮かばず悩んでいたらしいのよ…そんな中、『モデルさんを雇って広告を打ち出すのはどうか』って意見がカル…うちの社内で出たらしいわ!」
「な、なるほど…」
「採用期間は諸事情で短めに切り上げる方針だったし、その間に良いモデルさんが来るか分からなかったから正直お試しで募集かけたけど…ソラさんが応募してきて『この子だ!』となって…」
「今に至る、という事ですか?」
「その通り!じゃ、早速撮るから着替えてくれるかしら?」
「は、はいっ!」
私はオシャレな水色の服に着替えた
そしてスタジオ内のテーブルや椅子等のセットへと向かい、砂漠の砂糖の小袋をロゴが見えるように持つ
「う〜ん、いい感じにキマってるわ!」
「え、えへへ…」
少し恥ずかしいな
つい顔が赤くなっちゃう
「お!その赤い顔可愛いわね!」
「あ、あぅ…」
カメラマンさんはハイテンションで撮り続ける
時折構図やアングルを変えたりしながら撮影は続いていった…
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数十分後
撮影が終わりスタジオを片付けた
カメラマンの生徒「いや〜最っ高だわ!貴女に会えて良かった!」
ソラ「お、大げさですよぉ…」
「謙遜しないの!それじゃこれ、今回のバイト代!お疲れ様〜!」
カメラマンさんは封筒を渡すと上機嫌でスタジオから飛び出して行った
…ほんとに1万円札が30枚入ってる…!
「これ…最高の副業かも…!」
私の姿が広告として大きく載るのは少し恥ずかしいけど…
でも名前とかは出さないだろうし、私は有名人ってわけでもないし、多分大丈夫だと思う
そんな風に軽く考えながら、少し浮かれ気分でエンジェル24へと戻った
──でもその考えは何もかも甘すぎた
撮影バイトを受けたのは間違いだった
私のPRした商品は麻薬だった
後々それにより、キヴォトスの人達から憎悪を向けられるだなんて
目先の欲に釣られた結果、“広告の女”になるだなんて
この時の私には知る由もなかった…
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