玉座の揺籃 蟲の王と妃の誕生②ぼかし解除

玉座の揺籃 蟲の王と妃の誕生②ぼかし解除


ワンクッションを兼ねた説明、寄生ローがロビンを性的に襲うSSのR-18解禁版

分けた理由は、普通に文章が長いのと、このSSのエロ表現が一般的では無いからです

独自解釈+エロ+グロ+触手+エグい描写(肉体、精神含む)+発狂シーンあり

前半はマイルド(多分)ですが、後半に進むにつれて狂っていく感じです

これらが全て平気な方だけお読みください 1/8加筆完了

↓これの裏でナニしてたかを詳しく書いた感じです

https://telegra.ph/%E7%8E%89%E5%BA%A7%E3%81%AE%E6%8F%BA%E7%B1%83-%E8%9F%B2%E3%81%AE%E7%8E%8B%E3%81%A8%E5%A6%83%E3%81%AE%E8%AA%95%E7%94%9F-12-11-2













ここはドレスローザで最もグレードの高いラブホテルの一部屋

5人は余裕で横になれる程の広いベッドのある地下室だ

寝具の上には眠れる美女と、それに跨る醜い肉蔦を生やした美しい男

悍ましくも美麗で官能的なこの空間で、番の儀式が始まろうとしていた……



3度目の目覚めは彼の妖しい愛撫がトリガーだった。あんな事が起きたのに

私の意識は、まだ私のまま。でも、身体の一部は確実に狂ってしまった自覚がある

「やっとだ、ずっとまってた」

あの沈むような低い声の男の、上擦り甘えた声が聞こえる

「あぁ…いいにおい」

彼の高くて形の良い鼻が、私の首筋をくすぐった。時折湿ったものが肌に吸い付く

キスしてるのね?…らしくない、彼の行動発言全てが狂ってる

そんなの最初から理解してるのに、止めて、離れて、怖い、みたいな

身を守る為の感情が全く湧いてこない。脳の危険信号が全て切断されている

むしろ、もっと近づいて私に触れて全てを知ってほしい、とさえ思ってしまう

「気に入った?」

優しく頭を撫でてあげると、顔がこっちを向いた。玉虫色の美しい瞳と目が合う

今までどうして化物だとか、怪物だとかと呼んでしまったのだろう

こんなに綺麗な姿をしているのに、触手も愛嬌があって可愛いじゃない?



手持ち無沙汰に揺れていた1本の触手を、私の胸まで引き寄せてみる

「ねぇ、こっちも触って…」

彼は何も言わなかったけど、返事代わりの熱い吐息を鎖骨に残していった

手に導かれた肉の蔓が、ゆっくりと乳房の形に沿って巻き付いて

服を皺くちゃにする。もう…そんなに絡み付いたら、肩紐が切れちゃうわ

「これは、いらないな」

刺青の入った左手が服を引っ張った。脱げって言いたいのね?

スカート部分を浮かせて余裕を作り、下から一気に脱ぐ。ニップレス付きの

服だから、1枚脱ぐだけで乳首が露わになった。私の身体変じゃないかしら

なんて質問する前に、彼が跳び付いてきて杞憂に終わったのだけど



「あまり吸うと跡が付いちゃう」

触手と手で胸を揉みつつ無差別に吸い付いては、肌に赤い落書きを残していく

「いいながめだ」

目を細めて私を見る瞳の奥に、ギラ付く刃のような性欲が一瞬見えた

多分、彼の体内に巣食う者の本性なのだろう。ジワジワとお腹の辺りが熱くなる

微かに体内で蠢く感触…私の中にいるナニカが、共鳴しているのかもしれない

「こんな感覚、生まれて初めてよ」

人差し指と中指で下腹部の窪みを押してみると、いつもの5倍くらいの快感が走り

思わず、くぐもった声が口から漏れてしまう。そんな私の姿を見逃すはずも無く

「そんなによかったか」

2本の触手が股間へと伸び、片方は下着を乱暴に絡め取って、床に投げ捨てた

身体を守る防具はもう何もない。太ももの肉を捏ねて遊んでいた片割れの触手が

割れ目に向かって這い寄り、先端でそこの中心部分をゆっくりと突いた

「あっ…」

ぐぷり、と水気の無い所で鳴るはずの無い音が立つ、私の耳に入る程の音量

彼は肉を前にした獣のように、舌舐めずりして笑った



「あ゛っ、あぁッ…待って…わ、たし…!」

硬すぎず柔らか過ぎない弾力の触手達が、人間の手指では不可能な動きで

ロビンのクレバスを攻める。腟口、大陰唇、小陰唇、陰核、その全てに

肉の蔓が襲い掛かった。何度絶頂を迎えても動きを止めてくれない

その奇怪なモノたちは、溢れ出た愛液と潮でテラテラと怪しく光っている

「また、イ゛ッちゃう、から゛ぁぁぁッッ…!!!」

悶えながら潮の飛沫を上げる女の崩れた表情を見て、蟲の王の本性を露わにした

男は喜んだ。触手に絡み付く雌の体液を、美味しそうに舐める姿は狂気そのもの


(もう、ナカでイキたいの、だから……早くこれを、私にぶち込んで)


性欲が最高潮にまで高まったロビンが、遂に雄の象徴である男根へと手を伸ばす

覚醒時、既に勃起状態だったが一連の行為の影響で、更に凶悪な姿へと成長していた

硬質なジーンズの生地が裂けそうなくらい隆起し、その形状まで分かってしまう程


「ねぇ、お互いもっとイイコトしましょ?」


挑発的な態度と共に、布越しでその膨らみを強く扱くと、蟲に侵された哀れな男

トラファルガー・ローは、熱く長い息を吐きながら、ロビンに覆い被さった







封印から解放された男の生殖器が、妃である女の膣口に突き立てられた

十分すぎる程に濡れた穴は、凶悪な怒張をすんなりと受け入れ、飲み込んでいく


「あ、あぁ……入って、くる…ッ」


気の早い女の両腕が、男の背中に回される。逃がすまいと必死にしがみ付き

男もまた、それに答えるように、細くくびれた腰に触手を絡める


(一線を、越えてしまったわ)


とんでもない事をしてしまった自覚はある。でも、止めたいとは思わない

思えないの。裏切るような行為をして、ごめんなさい、今まで出会った大切な人達

快楽に屈した、私を許して…………








性交の経験は何度かあった。悪魔と呼ばれた人間がこの世で生き抜く為に

仕方なく受け入れたセックスは、ただ欲求を満たすもの、私の身体を支配したいもの

ばかりで、自ら快楽を求める為に進んでシタことは1度も無い。今日を迎えるまでは


「あ゛ぁっ、んあぁっ、きも、ち、イイっ…!!」


こんなに気持ちの良い抽送は初めてだった。亀頭で性感のツボを押し潰されたり

奥を絶妙な力加減でノックされることも、全てが初体験

人生の悩みを、快楽で消そうとする人達の気持ちが分かった気がする


「はぁ、はぁ……っぐ…」


私の上で腰を振る男の額から、汗が滴り落ちる。蜂蜜を混ぜたムスクに似た香りが

より一層強くなった。多分、彼の中の蟲が作り出すフェロモンの一種だろう

嗅いでいると変な気持ちになる。ムラつくだけじゃない、妙な安心感がある


「あっ、あ゛はぁッ、んあぅっ……ひゃァッ!?」


腰の動きが一段と早くなった。加減されていた突きが、遠慮の無いものになり

ドンッと重い連撃が、私のナカをぐちゃぐちゃにかき混ぜて、乱していく


「はぁっ、う゛ぅ……が…ぁ」


彼の息遣いが、獣のような荒い呼吸に変わる。限界が近いのね

なら、一緒にイキましょ?…貴方の熱を、私のお腹の中に注いで欲しいの

身体の中の同居人も、きっと同じことを思ってるから、ねぇ、早く……



「ひィっ、うぐ、い゛ひ…ィ!?あぁぁぁぁぁぁ————ッッ!!!!!」

「ん゛ぅッ…!!!」



体重の乗った一撃に耐えられず絶頂を迎えた膣内が、腹の中の一物を強烈に

締め付ける。その刺激で堰を切ったかのように射精が始まった。寄生虫に侵され

半異形化したローの、明らかに異物の混ざった悍ましい精液が、胎内に注がれる

結合部からどろりと溢れる程大量に。そんな状況にも関わらず、ロビンの表情は

幸せと喜びに満ちた笑顔で、全てを受け入れていた。彼女もまた寄生者なのだから







たった1回のセックスじゃ足りないわ、貴方ならもっと交われるでしょ

繋がったまま体勢を代えて、今度は私が上になる。騎乗位の体勢は初めてだけど

好きなポイントに当たった時、より深く刺激されるのね、クセになりそう…


「んっ……上手に、出来るかしら?」


私ばかり気持ち良くなってちゃ駄目だから、不定期に膣をクッと締め上げて

上下させてみた。これなら彼も私も一緒に気持ち良くなれる。ワザと大げさに腰を

動かして乳房を揺らすと、彼の目が嬉しそうに凝視してくるのも、可愛くて素敵ね




(………熱い泥の中に浸かってるみてェだ………)




ニコ屋は無事なのか?忠告した後の記憶が殆ど無ェ、唯一覚えているのは

腹ン中のクソ蟲が、おれの声帯を使って名を呼ぼうとした時に、抵抗した事だけ

……それにしても下半身がヤケに気持ちが良い、何だ?一体何が起きてんだ?



「はっ、ンあぁっ、今度も……一緒に、イキましょうね…」



おれの意識が戻って最初に見た光景は、いやらしい台詞を呟きながら腰をくねらせる

ニコ屋の姿だった。両目は自分と同じ位に玉虫色に輝いていて、ここに至るまでに

自分が『とんでもない横暴』をやらかしたのを理解した。あァ、クソ…………最悪だ



「に、ニコ屋……早く、そこから、退け…!」



身体を突き放そうと手を伸ばしても、筋肉が震えるだけで動かせない

多分、おれの意識が元に戻っただけで、身体の支配権の殆どは蟲に奪われたままだ

これは意図してやってんのか?だとしたら、これは過去最悪の拷問だ!ふざけんな

世話ンなった連中の一員で、辛ェ過去を背負いながら必死に頑張ってきた奴だぞ!?

そんな人間を、自分が、全部ぶち壊した。壊したかったのはそれじゃねェんだよ!!



「…トラ男、くん…?」



行為に耽っていた全裸の女が、おれの異変に気付いた。良かった、脳味噌丸ごと

乗っ取られているかと思ったが、違うみてェだ。催淫毒でも喰らったのか?

畜生……やらかしたモンが重すぎて、首を描き切って詫びても足りねェぞ

なぁ、そこから降りてくれ、頼むから。覚悟は出来てんだ、死なせてくれ



「イヤよ」



クソ野郎の愚息と繋がったまま、ニコ屋の顔が近付いてくる。でかいなおい

じゃなくてだ、こんな時に何考えてやがる!頭狂ってるな、おれもお前も

淫毒が回ってんだ。頭では死にたいと思っているのに、アソコが萎える気がしねェ



『家族になるんでしょ、貴方が言ったんじゃない』



それはおれじゃないと言い終える前に、声が引っ込んでしまった。何だ今のは

チンポが熱くて滑ったモンに包まれて、強く扱かれた。ニコ屋の腹ン中が蠢いて

おれを逃がすまいと、いや、違う………あァ、そうか。あのクソ蟲めそういう魂胆か


快楽の海で溺死させるつもりなんだ、おれの人間性、理性を。あえて支配しない事で

宿主自らが、人の倫理を放棄するように促してんだ、雄雌2匹掛で。ここまで来ると

焼かれた故郷の怨念が、この蟲に憑いてんじゃねェかとさえ思う







おれの人生は性欲にかまけてる余裕など無かった。でも人並には湧いてくるモンで

適当に一人で済ませたり、立ち寄った島の娼婦でサッと済ませるかの2択

そんな生活を続けてきたんで、こんな淫らな状況に陥るとは…想定していなかった


「ン、ふぅっ……ね、どう?…気持ち良い?」

「っ」


あァそうだ、良すぎて今すぐにでも腰を突き上げたいくらいだ。畜生め

動く度に揺れる乳に齧り付きたくて堪らねェ。ぶっ壊れた蛇口みてーに

性欲が溢れて脳がグラつきやがる………なァ、頼む。支配権をおれに寄こせ

1回で良いからよ、好きにさせてくれ居候それがお望みなんだろう?


「あァ、だがよ……こうヤると、もっと良くなる、な!」

「ひゃあァァッ!!!?」


不意の一撃に仰け反るニコ屋の姿を見て、なんてイイ女なんだと自覚させられた

今すぐ抱きしめて、あの白い肌におれの跡を残したい。この触手で全身余す事無く

弄り尽くしてやりたい。全身の支配を返せクソ蟲が、1匹で楽しんでんじゃねェよ


「ン、はぅっ、ああッ、あ゛ッぐゥっ!!」

「ハァ………ンすっげェ、気持ち良い…」


今まで1本も動かせなかった触手が、おれの意のままに動き出した。その全てが

女の性感帯へと伸びていく。新しい刺激を加える度に、ニコ屋の腹ン中が不規則な

動きで一物を喰ってくんのが最高だ。あーイキてえ、思いっ切りぶちまけてェよ…


「な、出していいか?この中に、よ」


左手で子宮の辺りを押したら、ニコ屋が切羽詰まった良い声で頷いた。イキたいよな

お前も、一緒に。限界に近かったが、何とか耐えて動きを速める。頭が回らん

もう何も考えらんねェ……あぁ…


「ンツ゛ぅッ————————!!!!」

「う゛ぐ…ァッ……!!」


甲高い嬌声が耳に刺さる。それと同時におれも果てた、とんでもない量の精液が

出てくのが分かる。多すぎて終わんねェ………でも気持ち良いから、いいか







あれから何回交わったのだろう、もはや人の性交の範疇を超えている

ニコ・ロビンの身体は噛み跡だらけ、支配時のローが付けたキスマークを

上書きするように、トラファルガー・ロー本人が付けたのだ。首筋を噛みながら

後背位で交わるその姿は、動物の交尾そのもの。お互い言葉も交わさず

荒い息と、精液でどろどろな穴から零れる水音のみが、地下室に響くだけ







「はぁ……はぁっ…ん……も、っとぉ…」

「う゛ぅ……ま、だ…足り、ねェ」

空が白んできたというのに、2匹の雄と雌はまだ交わろうとしていた。疲労困憊で

這いずるのが精一杯でも、下腹部だけはお互い漲っていたからだ。この寄生虫なら

この程度のコントロールなど造作もないのに。2人は何となく、それに気付いていた



まだ、私はセックスし足りないの。ねぇ、弄れるんでしょ?私のカラダ、自由にして

良いから。もう降参よ、だって後戻りする気無いもの、壊したものはもう戻せないわ


おい、数十年間おれの身体に居候してた悪魔、聞いてるか?本懐を遂げた後なんだ

もうどうなってもいい。好きにしてくれ、どうせ壊してばかりの人生だ







宿主が、寄生虫『フレバンスチョウバチ』を心身共に心の底から受け入れる

それがあって初めて、この蟲は完全に寄生を完了させられるのだ

2匹の蟲達が、2人の脳味噌へ辿り着きその内部へと潜り込むと、根を張るように

神経を伸ばして、その優秀な知識を経験を蓄えた脳と一体化していく…………………


「ガあ、あぁッ、はぐアァっ!!!?」

「ひギッ、あが……ウゥッ…!!?」


部屋中に悲痛な叫びと呻きが木霊し、瞳が四方八方出鱈目に動いた後

事切れたかのように2人は倒れた。久々の静寂が地下室に戻ってくる




暫くすると、何事も無かった様子でローが立ち上がった


「こんなに目覚めの良い日は、初めてだ」


トラファルガー・ローであり、そして蟲の王でもあるこの存在は至って冷静で

体液塗れではあったが、スッキリと憑き物が落ちたような姿と表情をしていた


「おはよう、清々しい朝ね」


隣で倒れていたニコ・ロビンであり、蟲の妃でもあるこの存在もまた

同じ様子で立ち上がった。濡れた髪をバサリと掻き分けて、ローと向き合う


「なァ『ロビン』」

「なぁに?『ロー』」


お互いの名を呼び合って、抱き合った。先程までの激しい性欲が嘘みたいだ

一部の異常さえ無ければ絵画ような美しさすらある。だが、彼らは所詮、蟲なのだ



「沢山『家族』を作ろうな」

「えぇ、そうしましょ」



突如、王の触手が部屋全体を覆い尽くすかのように広がった。見渡す限り一面の赤黒

優し気な笑みはそのままに、浮かぶ瞳は抜き身の刀に見える程、鋭く輝いている

そんな雄の笑みに釣られて、妃も妖しく光る虹色の瞳を細めて、微笑んだ







ぐちゃぐちゃと大量の粘液と肉の擦れ合う音がする。触手の繭の中で

雄と雌が交尾をしているのだ、誰にも邪魔されない2匹だけの特別な空間

お互いの身体を絡めて、くねらせて、空気すら入らぬくらいに密着させて

言葉は無かったが、蟲同士の共鳴で意図が伝わるから、必要ない


私の中にいる家族は、いつ生まれるのかしら

人と違うからなァ、こればかりはおれでも分からん

じゃあ、しっかり種付けしてくれないとね

そうだな……沢山、注いでやらねェとな


王の一物だけでなく、数本の触手からも陰茎に似たモノが生えてきたが

グロテスクな物体を見て、妃は心から喜んだ。なんて素敵なの、と

そんな愉楽の混じった甘声を聞いた王は、遂に興奮の極致を迎えた。言葉にならない

獣声を上げながら雌の穴という穴にペニス化した触手をぶち込んだ


喉奥どころか食道まで貫かれたせいで、王の期待していた声は無いがその代わりに

脳に直接、雌の共鳴が響いてきた。生殖と性愛の洪水としか表現出来ない嬌声


嬉しい……性欲の化物になっちまったおれを、お前は受け入れてくれるのか


淫語の濁流の中から、家族、繁殖、異性愛、おれの人生と縁遠い単語が飛び交う

そうか、おれは、この化物になって良かったんだ…幸せになって良いんだよな?

えっと名前………もう思い出せねェけど、ありがとう、皆。


おれは、こっち側に行くから。こいつと一緒に


咆哮が聞こえる。人の声とも違う、獣の声とも違う、じゃあなんだ?

もはやどうでもいい事か、2人はもうどちらでもないのだから







床に精液の水溜りが出来た頃、2匹は繁殖行動を止めた。「種付け」が完了したと

蟲が判断したのだ。荒ぶる性欲が鳴りを潜め、身体中に浮き上がっていた血管が

消えていく。膨張し暴れ狂っていた触手が収縮し、静かに揺れる程に静まった

蟲の王トラファルガー・ローと、蟲の妃ロビンはお互い見つめ合って動かない


30秒くらい経った頃、惹かれ合うように2人は口付けを交わした。情欲の無い

相手を労わるような優しいキスを、涙を流しながら。何故か押し寄せる心の悲痛を

理解出来ぬまま。重ね合う唇は、やがて涙を舐め取る舌へと変わり


貴方も私も、ぐしょぐしょになっちゃったわね

早いとこ綺麗にしないと身体によくねェな


塩辛い涙を枯らして、今度はお互いの身体を舐め合う。毛繕いをする猫のようだ

何種類もの体液が混ざった汁を1滴残さず清掃する為に、2人の舌が都合の良い形へ

変異していく。30cmくらいまで伸びた舌が柔軟に長さを変え、太さを変えて

身体中を這い回る。その感覚がくすぐったいのか、蟲の王は喉の奥で静かに笑い

蟲の妃は柔らかく微笑む。なんて穏やかな時間なのだろう、こんな狂った状況なのに



流石に疲弊した2匹はベッドの上で仮眠を取り始めた。目を瞑って微睡むロビンを

見て、ローは頭を優しく撫でながら、今後どのように活動していくか考えた


家族を増やすってのは、交尾するだけじゃ駄目らしいな

そうね、また前回みたいに焼かれて終わりよ

この脳で考えるとよく分かる、どうやらニンゲンはおれ達が邪魔なようだ

気持ち良くなれるのにねぇ、どうしてかしら?

理解出来ないが、少なくとも今まで通りのやり方じゃ繰り返すだけだろう


IQの上がった脳内会話が続く。この蟲達はフレバンスの悲劇を経験し、理解している

更に宿主の脳と混ざった事で知性も知識も得た。この世で一番賢い寄生虫だ


なァ、お前の「能力」はどうだ?

身体の調子がいつもと違うから、使えないの

おれもだ、早く慣れて元通りの力に戻さねェと

貴方と私が使えるようになったら、凄い事が出来そうね


この蟲は悪魔の実の能力にも目を付けていた。ローの体内で十年以上過ごしていれば

当然ではあったが、この学習能力は異常だった。それもこれも全部フレバンスで

一人の少年が生き残ったからこうなった。彼も蟲も偶然巻き込まれただけだが


家族は増やす、でも慎重にだ。吟味して1匹ずつ選ぶことにする

私達を怪しむ人間が来たらどうしましょ?

距離を取る。もっと家族が増えたらその時は「こっちに来させる」

ふふ……頑張らないとね、私達

あァ、家族が死なェよう上手く立ち回ろうな


 














今度こそ、家族が、住処が、宿主が、炎に包まれないように………………

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