玉座の揺籃 蟲の王と妃の誕生②

玉座の揺籃 蟲の王と妃の誕生②


ワンクッションを兼ねた説明、寄生ローがロビンを性的に襲うSSですが

一応全年齢対象とさせていただきます。ヤることヤってるverは別に用意する予定

作者の独自解釈、エログロ、無理矢理、触手等々の気持ち悪い描写注意です

またドレスローザ編を一部都合の良いように改変しております

長くなりそうなので2分割しました

玉座の揺籃 蟲の王と妃の誕生その①はこちら

https://telegra.ph/%E7%8E%89%E5%BA%A7%E3%81%AE%E6%8F%BA%E7%B1%83-%E8%9F%B2%E3%81%AE%E7%8E%8B%E3%81%A8%E5%A6%83%E3%81%AE%E8%AA%95%E7%94%9F-12-11













蜂毒に侵された私の身体では、空を舞う羽虫の針や、様子のおかしい住人の襲撃から

身を守るのは不可能だろう。そんな状況なのに、今、目前にいる彼のフリした何かが

私に向かって手を伸ばしている。今すぐ駆け出してここから逃げたい、でも、無理だ

「血の臭いがするな、怪我してるのか?」

すんすんと鼻を鳴らして匂いを嗅ぐナニカが、顔を覗き込もうと近付いてくる

普通の人間の嗅覚なら、微かに擦りむいた傷口の臭いに、気付ける訳がない

「…」

視界が少し暗くなった、彼が私の真横に来て影が落ちたから。眼を少し横に向ければ

彼の皮を被ったナニカの顔を見られる……心臓が痛むくらい鼓動して、警告を鳴らす

怖い、見たくないのに、頭の中の罪悪感とほんの少しの好奇心

愚かな怖いもの見たさが、私の首を動かして



「……綺麗」



恐怖で一杯だったはずの脳が、震えて声も出せない口が、紡いだありえない言葉

でも、本当に綺麗なの、彼の瞳……まるで虹、極彩色で、玉虫の翅みたいな色

そんな2つの目が、私の視線と交差する。不気味すぎるくらい、穏やかな笑顔と

一緒に。不自然なのは分かっている、だけど、そう思わずにはいられなかった




誰も居ない裏路地で、2人の男女がキスをしている。両方とも容姿端麗だ

こんな光景を見て大概の人間は、羨ましい、美しい、と、思うだろう

美女に絡む美男の身体に、赤黒い醜悪な肉の蔦が生えていなければ


何でこんな事しているの?早くここから逃げなきゃいけないのに

彼が逃げろって必死に訴えてくれたのに

あれ?今、私その彼とキスしてる……いや、違う!彼はローじゃない!


「ん……ァは、ッ」


離れたくても、手足に力が入らない。麻痺は治ってきているけれど

私の身体を抱きしめる美しい化物の左腕が、微かな抵抗すら許してくれない

そんな哀れな人間の唇を、愛おしく情熱的に愛撫して、離さない


「ンんっ、止め、て!」

「っア……なんで、だ?」


大きく首を振って、何とかキスを解除した。玉虫色の瞳が寂しそうに

揺れ動いて、私を見つめてくる。恋人に向けるような甘い視線

絵に描いたようなロマンチックな雰囲気…不気味過ぎて、気持ち悪い


「もう、こんな事するの、終わりにしましょう?」


後30秒もすれば、能力が使えるくらいの筋力が戻ってくる

今までの経験に養われた感覚でそれが分かった。黒い布から覗く

多数の触手が襲い掛かってきたら、私の能力でも捌き切れない

だから、少しでも距離を離しておきたい、一歩だけでも良いから………


「…」


ローに擬態していたナニカが、私の企みを察知したかのように、スンと

真顔になった。1秒前まで綺麗に見えていた瞳が、急激に恐ろしいものに

見えてきて、背筋が凍る。密着し熱が籠っていたはずの、身体が、寒い




「ン゛ー」

「!?……ん゛ん゛ッ、ん゛ぅ゛うううううッ!!!!!」




憎悪の怪物が、遂に化けの皮を剥いだ。人の声と程遠い奇声と共に

再びロビンの唇を、いや、口全体を奪い、その内部を蹂躙し始める

息が吸えないくらいに深く、息が吐けぬくらいに激しく、彼女の口内を嬲った


「ん゛ぅー!!!!!ム゛グウゥゥッ!!」


魔物の餌食にされた哀れな女が、手足をバタつかせて抵抗する。麻痺毒は解けた

でも、こんな状況で能力を使う余裕なんてない


ブジュ……グジュル…ズルッ…ジュルルル…


変異した男の右肩に宿る触手が、暴れる獲物へと伸びていく。身体を屈服させる為に

右足、左足、右腕、左腕、それぞれの部位へ不規則かつ無造作に絡み付いた

この状態では、もうロビンの取れる行動は何もない。ただ、されるがまま


「ウ゛ゥゥ!!」


突然、異形の身体が震え出した。地を這うような低い唸り声と共に

体内に潜む沢山の蟲たちが、出口を探そうと蠢いて宿主を急かしているのだ

ザワザワと皮膚の下で踊り狂うモノ達、その振動は哀れな供物に自身の行く末を

否応なしに理解させた。そう「寄生」だ



「ん゛うッ、ムグゥゥッ、う゛ぅぅぅぅぅぅ………!!!」

(嫌あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!)





















私の頭を、誰かが優しく撫でている。ナミ?それともルフィかしら?

いや、違う。もっともっと昔の記憶。私がまだオハラで生活していた頃

サウロに出会う前、この世に生を受けた日。あぁ、思い出したわ!

この懐かしくて暖かい手付きは、お父さんとお母さ




「おはよう」




目を覚ましたのに、悪夢が終わっていない。死の外科医の真似事をする

化物が、居た。夢の中で私を撫でていたのは、玉虫色の瞳の怪物………


「あ……あぁ……ぁ」

「くるしいか?」


自分のお腹に手を当てる。それだけでここが現実だと、嫌でも理解させられた

何かが動いている…臓腑の間を、滑って、潜って、泳いでいる


「わ、私、一体……どうなって、しまうの…?」


恐怖に震える私に縋れるものは、もう何もない。虚空をさまよう手が

彼の手に触れる。そんな私の姿を見て、ローだったものは、まるで

子供をあやすように優しく語りかけてきて



『かぞくに、なるだけだ』



そう言い終えたのと同時に、下腹部から強烈な痛みとそれと同等の

快感が全身へと駆け巡った。悲鳴を上げる事すら許してくれない痛みと

脳が砕け散ってしまいそうな快感が、私の身体を蝕んで、犯してくる



「———————————————!!!!!!」



陸に打ち上げられた魚のようにのたうち、痙攣する女の醜態を

人を被った蟲が蕩けるような目で見詰めていた。恋人に向けるような

熱っぽい視線。さぁ、早くこっちに来い。一緒になろう、と



「あ゛……ア゛、ァッ」



ニコ・ロビンの目がぐるりと回転した、痛ましい断末魔と共に

白目を剥いて動かないロビン『だったもの』を『蟲の王』は

優しく抱き抱え、愛おしそうに頬ずりすると、路地の奥深くへと姿を消した

















あれから数時間経った。町を侵略していた羽虫は全て死に絶え

ギャッツの避難勧告は止み、慌てふためく住人の声も聞こえない

あの愛と情熱の国ドレスローザが、静まり返っている

ただ、一か所を除いて


ドレスローザのとある場所、ラブホテルが多く建ち並ぶこの地区で

フレバンス最悪の怪物『蟲の妃』が誕生した。類稀なる美貌を持って

産まれたこの雌は、その美しさと釣り合う精悍な雄、蟲の王の番となる


その2匹が、この地区で最も豪華なホテルの地下階で交尾をしていた

最初こそ『戸惑い』があったものの、1度経験をしてしまえば、後は生殖本能に

身をまかせるだけ。脳を侵食する強烈な快楽物質から、逃れる術はない

蟲の妃は腰を淫奔に振り、蟲の王は精を放ち続ける


宿主の身体に刻まれた過去のせいか、この2匹の相性はとても良い

それに気づいた体内の蟲は喜び震え、更に脳内を麻薬で薬漬けにし、繁殖を促すと

興奮し切った蟲の妃が触手の束へと飛び込み、猛り吠える蟲の王は

辺り一面を触手の海へと変えた。蠢く肉の束が、人の身を超えた快楽を

2体の怪物に与え続け……朝日が昇るまで、ただ、ひたすら交わり続けた




厄災のドレスローザから一夜明けた今日。蟲の王と蟲の妃が朝日を背に、地下から

戻ってくる。建物の周りには、蜂毒の影響で王と妃の奴隷と化した人間達が

集まっていた。何か荷物を運んでいるようだ

火傷しない程度に温められた湯に、消化しやすいように加工された食品

人間の好む香りのする高価な香水、上等な生地で作られた優雅な衣服

どれもこれも全て王と妃の為の供物だ

初めての生殖行動で疲労した、王と妃の世話を焼きたくてたまらない奴隷共に

身体を清掃せよと脳内で命令を下し、王と妃は休息を取る


日時が正午を回る頃、触手で作られた玉座のようなものから、王と妃が現れた

王は高貴な刺繍の入ったマントを右肩に纏い、絹で出来た黒のスーツを着用し

妃は白と紫を基調にした、優雅かつ動き易いドレスを着込んでいる

蟲が用意したとは到底思えない美しい姿。だからこそ、この蟲は恐ろしい

避難していた住民達の帰還する音が聞こえる。さぁ、蟲から人へ擬態する時間だ







「あっ、居た居た二人とも!……もー、ずっと探してたんだからね!」

ゾウに向かっていたはずのナミが、2人の元へと駆けてきた

ドレスローザが緊急事態だと聞き、シャークサブマージ3号にて

サンジと一緒に戻ってきたようだ。ここに来るまでに大分走り回ったらしい

額には汗が浮かんでいる。ローの目線がこちらを向いている事に気付き

「ふーん、随分お洒落な恰好してるじゃない。珍しい♪」

ウィンクしてその場を離れて行くナミ。彼女の後ろを付いていくローとロビン







日を浴びた2人の目に浮かぶ玉虫色の輝きに、彼女は、まだ気付いていない…………

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