浦原商店にて
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嵐が過ぎ去った後、気を失い重傷を負った一護は浦原に助けられ浦原商店で目を覚ました。
相手との戦力差を考えずに先走ろうとするが、浦原に諭されルキアを助ける決意を新たにした。
そしてあらかた話が終わった後に一護はハッと思い出したように叫んだ。
「…そうだッ璃鷹はっ!?璃鷹はどうなったんだっ!?」
「あぁ鳶栖サンなら…」
一護は襖の開く音と共に聞こえてきた声に反応し振り返った。
「ここだよ」
そこには見知った水色の髪の少女が立っている。服は恋次に斬られた際に破損したせいか真新しい白シャツを着用しており、露出している肌からは包帯がやや目立った。
「璃鷹っ!?」
「あー!だから動いちゃダメですって!安静にって言ったじゃないでスか!!」
一護がそう声を出したと同時に浦原が困った顔をしながら璃鷹にそう言った。
肝心の本人は不服そうにしながら浦原の言葉に返答した。
「一護の付き添いで来ただけなので私への治療は不要と予め言っておいたはずですが…」
「流石にあれだけ血出てるのにアタシたちがはいそうですかで放置すると思ってたのが驚きっスよ…」
不満気にそう発言した璃鷹に浦原が正論で反撃する。
一護はその言葉に慌てながら言葉を発した。
「つうことはおまえ…!まさかっあの変な眉毛のやつに斬られたときのまんま…」
「大丈夫ですよ黒崎サン 無理やり縛りつけて治療したので」
治療されたという言葉を聞き安心したがその後の浦原の〝縛りつけて〟という文言に一護はギョッとした。
「そ、そんな嫌がったのか…」
「えぇ…でも鉄裁サンが押さえつけた時は割と素直に済んだのでそこまで手こずりませんでしたからそこはご安心くだい」
あまり璃鷹がそこまで人の善意?を嫌がるのを見たことがなかった一護は少し意外そうにしていた。
浦原は璃鷹の傷について話した。
「まぁ見た目ほど深い傷じゃありませんでしたので命に別状はありませんでしたが…」
その浦原の言葉を聞いたせいか煩わしそうに璃鷹が背を向けた。
一護はその反応を見て咎めた。
「そっぽむくな!おまえのために言ってるんだからな…!」
「知ってる…」
いつもより少し幼い印象を見受ける。
璃鷹は怪我をジッと見つめた。
「…傷、大丈夫?」
「そこまで体が動けねぇわけじゃないから大丈夫だよ」
どうやら一護の付けられた傷を気にしているらしく、そのせいでいつもより元気がなかったらしい。上半身の包帯姿をある程度見渡し終えるとピタリと璃鷹は動きを止めた。
一護は癖毛かかった髪を少し乱雑に撫でた。数回撫でた後、複雑そうな顔をしながら璃鷹の顔を見た。
そしてぽつりと話し出した。
「……悪かった…俺が弱かったから…こんなことに」
「別に気にしてないよ あの場面ではあれが最善だったし、それに私言ったでしょ。守らなくていいって」
一護に彼らと戦えるほど経験はない。
限定霊印されている隊長達と言えど初対面の時点で既に勝敗は分かっていた。
しかし何にせよ一護達達の前で彼らを殺すことになればそれは自身への不信感を抱く可能性になりかねない。
今回ルキアが途中で一護を庇い自主的にソウルソサイティへ帰らなければどうなっていたかは分からない。
「私たちは精一杯戦った。これはその結果だから」
「…璃鷹」
「もう、気にしないでって言ったでしょ」
一護を気遣いそう返した璃鷹は自身が斬られた後に二人の死神によって付けられた傷があるであろう箇所を見た。
じんわりと包帯に血が滲んでいる。
それを見て璃鷹は少し考え込むと独り言のように小さな声で呟く。
「やっぱり必要かな…」
一護は小さく呟かれた声に反応した。
「?なんか言ったか」
「ううんこっちの話だよ」