《永劫怪奇・終焉葬歌-タルタロス・ブレイカー-》
[説明]
鋼鉄乙女がとある"ズル"をして習得した大魔術。大規模魔力を消費して放たれる超高威力の魔力砲であり、単純な威力だけ取っても完全詠唱時なら彼女が保有する攻撃の中では最高峰の威力を誇る。鋼鉄乙女自身の魔力消費は変化しないが、詠唱時に周囲の魔力を収束させて威力を引き上げるため、短縮詠唱、無詠唱で威力が変化する仕様だが、魔力消費の多さが変わらないという事でもあるので魔力残量が重要である鋼鉄乙女にとっては容易に使えぬ手札である。
この魔術の本質は別の所にある。"タルタロス"の名を関するが故に、使用者によってあらゆる冥府に繋がるとされるのが《タルタロス・ブレイカー》であるが、鋼鉄乙女の世界には"あの世"の概念が存在しない。死の向こう側に待つのは無であり、死んだ魂は解けて世界を循環構成する根源要素へと還るのだ。死者の魂を保存することで疑似的に転生することはあれど、システムとして転生は起こり得ない。死んだ者は無へと還り、魂は死後を知覚する事なく世界に解けてゆく。この大魔術は、あらゆる冥府の根源へ通ずる性質からか、鋼鉄乙女の内側に組み込まれた《剋蘭流 零番戦術》を通して彼女の世界における《死後の概念》が現れてしまっている。つまるところ、『この魔術によって"死んだ"存在はその存在の全てを分解され、無へと還される』のだ。輪廻転生の全てを否定し、死後の世界を否定し、安らかなる終わりも永劫の苦痛も否定し、全ての存在の最後に在るべき完全な無へと導く必滅魔術である。
改造時の設計によって、本来新たな魔術や技、能力を保有出来ない彼女がこの魔術を習得したのは、《異端の聖杯》というアイテムをヒントとして「自身の持つスキルと引き換えならば、その分の容量に新しいモノを詰め込める」という事を閃いたためである。彼女が持つ《アイテム制作スキル》と引き換えに、この大魔術は鋼鉄乙女に"書き込まれた"のだ。