古龍アルト

古龍アルト




「…あれは、不味いな。」

突如空から降ってきた赤と黒で構成された塔。おそらくはキヴォトスの象徴であったサンクトゥムタワーが何かしらに原因によって反転した。それもこの世界ではなく別の世界のサンクトゥムタワーが。そう言ったものだろう

「この感じだと2週間ってところか…」

それの性質は異常だった。あの中にあるものが解き放たれれば、その後に残っているのは俺とダラ、あとはその辺りに住んでいる古龍級の生物くらいだろう。もっともその生物達もただでは済まないだろうが。そして,俺自身も今の体であれば自分も危ないだろう。

「破壊しなくちゃいけねぇか…?だが破壊してアレがバラまかれたりしたら最悪だ。」

焦りが思考を鈍らせる。当然、自分やダラが本気を出せばあの程度のものを破壊することなど造作もないことだ。だが、それはすなわちキヴォトスの滅亡と同義になる。

「どうする、考えろ…」

・俺が本気を出して片っ端からへし折る

ーーー却下だ。そんなことをしたら塔だけじゃ済まねぇ。

・ダラに地下から潜らせ破壊する

ーーーだめだ。地脈がズタズタになってどのみちキヴォトスが滅亡しちまう

・ダラの隕石をぶつけてへし折る

ーーーだめだ。そもそもアレをへし折れるような隕石を落としたらキヴォトス自体タダじゃすまねぇ


どうすりゃいいんだ…シグレも、ノドカも失いたくねぇ、いや、このキヴォトスもだ。どうすれば…


「いた!アルトちゃん!」

「よかった、どこかに行ったわけじゃなかったか。」

「ノドカ…シグレ…」

失いたくないニンゲン達が声をかける。あのニンゲンたちが言っていたように、俺を受け入れてくれた奴ら、人の形をとって尚人を遥かに超える俺[バケモノ]を受け入れてくれた奴ら。

「どうしたんだ?そんなに焦って。」

「はぁ、はぁ、先生の部屋に仕掛けた盗聴器から聞いたんだけど、今、キヴォトス中に降ってきたあの塔達,それの攻略戦をするんだって。」

「アルトはメチャクチャに強いでしょ?だから先生に力を貸してあげて欲しいんだ。」

「でもそれじゃお前らが危ない…」

「大丈夫、これでも闘争まみれのレッドウィンター生だよ?自分の身くらい自分で守れるさ。」

「そう。だから心配しないで行ってきて!」

「……わかった。でもダラは置いてくからなんかあったら使ってやれ。」

「おっけー」「うん、わかった」

「あとこれ、アルトちゃんが初めてきた時に持ってた槍と盾、全力を出す時は使うって言ってたから持ってきたよ。」

「ありがとな、行ってくるぜ。」


そう言い放ち、全力で跳躍する。翼がないのは不便だがこのサイズなら跳躍で十分に移動できる。周囲の風を切りながら考える。

………おそらくあの塔の下にいる奴ら…番人みてぇなもんか…が問題なんだろう。確かに俺みてーなヤツからすれば大したことはないが、ニンゲン達からすれば十分に強大な存在だ。

「なら、先回りして潰す!突入と攻略は他の奴らに任せた!!!!!!」

なすべきことは決まった。本気を出す必要もない。全力の10%も出せば消し飛ばせる。

「さて、一番エネルギーがデケェとこから潰すか。」



続き

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