レッドウィンター防衛戦
「ノドカ、チェリノ会長見なかった?」
「いや、こっちにはきてないと思う」
「そっか…」
「どこ行ったんだろう?」
小さきものどもが言葉を交わす。しかしこの小さきもの達は我が主人の友だという。突然現れ、このあたりで最強だった我をその爪で、牙で、叩きのめし従えた主人。
こんな小さなもの達がその友など不相応だと思うが……我もこ奴らは嫌いではない。主人にこの地を、この小さきもの達を守れと厳命された以上、この命に変えても守って見せよう。
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こうして始まったレッドウィンター防衛戦は、もはや防衛戦の体をなさないただの蹂躙であった。蛇王が一度咆哮を上げればこの地に許可なくして足を踏み入れた者に裁きが下る。それは比喩でも何でもなく、ただ無慈悲に、物理的に、空から石の雨が降り注ぎ足を踏み入れた不届きものを砕いていく。蛇王が一度その身を動かせば抵抗など無意味とでも嘲笑うように侵入者は砕け散る。その蛇王は主人に命令されたことを忠実に守り街を砕かず、地脈を引き裂かずただ敵だけを粉砕する。
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「ダラちゃん…すごいね。」
「うん…やる事がないよ…」
『あの蛇に遅れを取るな!突撃ー!突撃開始だ!!』
『同士よ行くぞ!労働者の権利のために!』
『『プリンのために!』』
我が戦っているというのに戦場に突っ込んでくる小さきもの達、何故だ。我が守ってやるというのに、なぜ己の手で戦おうとする。理解できぬ。
理解できぬ、が……嫌いではない。そうか、主人と共に過ごすうちに我も絆されていたか。よかろう共に戦い、共に守り抜こうではないか!!!!!!
蛇王が叫び、星が降る。しかしレッドウィンター生には当たらず、的確に重要な敵だけを撃ち抜き排除していく。少なくともこの数倍の敵が来なければこの守りを突破する事など不可能だろう。