マハーバーラタ神話大戦 その2
https://telegra.ph/マハーバーラタ神話大戦その1-09-04
正体バレ防止のための呼び名
ヴィヤーサ→ドヴァイパーヤナ(島)
アルジュナ・オルタ→シュヴェータヴァーハナ(白馬を駆る者)
カルナ→ヴァイカルタナ(切り離した者)
しかし、どうしよう。
⬛︎⬛︎は⬛︎⬛︎⬛︎だ、このまま地上に降りれば⬛︎⬛︎を⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎しまう。
それどころか、⬛︎⬛︎が⬛︎⬛︎する。
……そうだ、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎を参考にすればいい!
⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎は、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎の生まれ変わりだ。⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎として、⬛︎⬛︎として、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎のために⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎いる。
⬛︎⬛︎も、⬛︎と同じようなことをすればいいのではないか?
⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎は⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎したから⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎を⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎いるが、⬛︎⬛︎ならば⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎を保ったまま⬛︎⬛︎として⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎ことが出来るだろう。
……ここまで考えたところで、問題が発生した。
⬛︎⬛︎は、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎いいのだろう?
⬛︎⬛︎は、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎を救いたい。……⬛︎⬛︎⬛︎を、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎を救いたい。戦争で命を散らすことなく、天寿を全うしてほしい。
ならば、⬛︎⬛︎は⬛︎⬛︎⬛︎に⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎として⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎べきだろう。
だが、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎として⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎はいけない。……流石に、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎に⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎のは趣味が悪いにも程がある。
⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎の⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎として⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎のも、良くないだろう。⬛︎⬛︎⬛︎は⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎と⬛︎⬛︎しているのだ、⬛︎⬛︎⬛︎の⬛︎の立場から⬛︎⬛︎を止めるよう説得しても、⬛︎⬛︎⬛︎は聞き入れないだろう。⬛︎⬛︎⬛︎は⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎。⬛︎⬛︎から⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎でも、⬛︎⬛︎⬛︎は自身が⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎の⬛︎だと知って尚、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎に⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎。
────そうだ、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎の⬛︎として⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎! 彼は⬛︎⬛︎⬛︎の⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎だ、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎になれば⬛︎⬛︎⬛︎とも程よい距離感の関係になれるだろう。それに、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎として⬛︎⬛︎に⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎を⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎することが出来れば、⬛︎⬛︎に繋がる⬛︎⬛︎を止められる可能性がある!
そう思い天から⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎を見下ろすと、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎が⬛︎⬛︎を⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎。彼女は⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎と考えているようだった。
であれば善は急げだ。喜べ、⬛︎よ。
⬛︎⬛︎が──⬛︎⬛︎⬛︎が、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎となろう。
プラティユーシャ
「見て、川の向こうに見えるのがパンチャーラ国だよ! ドルパダ王が治めている大国で、いい国だって噂なんだ。王太子のドリシュタデュムナは武勇に長けていて、義弟のパーンダヴァ五王子の皆さんからの信頼も厚いって風の噂で聞いたよ」
ぐだ
「本当だ! 綺麗だね」
アルジュナ・オルタ(シュヴェータヴァーハナ)
「そうですね。活気を感じます」
ユッダ
「それに、戦士たちが訓練に励んでいますね。おや、戦隊の前で指揮を執っているのは……?」
プラティユーシャ
「多分、あれがドリシュタデュムナだよ! その隣にいるのはシカンディンかな?」
チトラーンガダー
「シカンディン……」
プラティユーシャ
「うん。ドルパダのもう一人の息子だよ」
ヴィヤーサ(ドヴァイパーヤナ)
(シカンディンは、実は生まれた時は女性だったんだよ。性転換して男性になったんだ)
マシュ
(確か、ビーシュマに恨みを持った王女アンバーの生まれ変わりですよね)
ぐだ
(そうなんだ。ここにもビーシュマ関連の人が……)
ユッダ
(ビーシュマが蒔いた種って、実は多いんですよマスター。ドゥリーヨダナが人口削減機構なら、ビーシュマは機構を降ろすための“慣らし”の役割があったと言っていいかもしれないくらいです)
チトラーンガダー
(ユッダは私の勧めた漫画を読んでくれたようだな)
マシュ
(漫画、ですか?)
チトラーンガダー
(呪術◯戦という。カルデアに帰ったら貴様も読むといい。戦士がたくさん出てきて異能力で戦う面白い漫画だぞ)
ヴィヤーサ
(呪術師って、戦士なのかな……?)
マシュ
(シャクニさんも魔術で戦うタイプの戦士ですし、あながち間違いではないと思います)
ヴィヤーサ
(なるほど、そう言われると納得できるね)
プラティユーシャ
「……それで、パンチャーラ国からヤムナー川を下っていくと、あの英雄ラーマのコーサラ国が……あれっ? お話し中かな?」
アルジュナ・オルタ(シュヴェータヴァーハナ)
「そのようですね……。(彼には念話は通じないでしょうし、そう言うしかないですね)」
プラティユーシャ
「そっか、じゃあそっとしておいてあげようっと。……ねえ、シュヴェータヴァーハナさん。あなたとヴァイカルタナさんとユッダさんは顔を隠しているけれど、何か込み入った事情があるの?」
カルナ(ヴァイカルタナ)
「ああ。オレ達は決して他人に素性を知られてはならないからな」
ユッダ
「ん? ああ、そうですね。……何しろ、顔が知られたら一大事になりますし」
プラティユーシャ
「ふうん、そうなんだ」
アルジュナ・オルタ(シュヴェータヴァーハナ)
「プラティユーシャ。貴方はどうなのですか?」
プラティユーシャ
「僕?」
カルナ(ヴァイカルタナ)
「ああ。昨晩、お前は自分の素性を一切語らなかっただろう。カルデアとの通信の間、カルデアのスタッフは皆お前を訝しんでいたぞ」
プラティユーシャ
「あー……そうだったんだ。ごめんね、僕も実は、素性を隠していないといけないんだ」
ユッダ
「顔は見せているのに、ですか?」
プラティユーシャ
「これでも思い切って髪型も服も変えて、口調も変えて、アイシャドウも塗って……って感じで、バレないように対策したからね! ちょっとやそっとじゃ分からないよ。声も、わざと低い声出してるし。喉がイガイガする時もあるけど」
アルジュナ・オルタ(シュヴェータヴァーハナ)
「それは由々しき事態ですね。そうなった時にはドヴァイパーヤナに言うように。彼ならばマントラでどうにかしてくれるでしょう」
プラティユーシャ
「ありがとう、シュヴェータヴァーハナさん! そっか、やっぱりドヴァイパーヤナさんってすごいバラモンなんだね! ってことは、皆も実は凄い人だったりするのかな? 特にマスターさんとマシュさんは、あんなに若いのに貫禄があったなぁ。たくさんの旅をしてきただけあるよね」
ユッダ
「貫禄……」
マシュ
「皆さん、なんの話をしていらっしゃるのですか?」
カルナ(ヴァイカルタナ)
「プラティユーシャが素性を明かせない、という話だ」
ぐだ
「そういえば自分も気になっていたんだった。どうして明かせないの?」
プラティユーシャ
「あはは。……実は、その、お父様と、大喧嘩しちゃって……」
チトラーンガダー
「喧嘩か?」
プラティユーシャ
「うん。……色々あって、お父様のバカ! って言っちゃって。あっやばい、って思った時には、お父様は悲しそうな顔をしていてさ。……だから、どうしようどうしようって思って。気がついたら、家出してた」
スヨーダナ
(罵倒の言葉がバカ、しかないのか。育ちがいいのか……? 以前見た悪属性のサーヴァント達の喧嘩では、もっと汚い言葉が使われていたような……)
ヴィヤーサ(ドヴァイパーヤナ)
「そうだったんだね……。お父さんと仲直りしようとは、思わないのかい?」
プラティユーシャ
「うん……。きっと、お父様はまだ僕に怒っているからさ。僕がお父様のところにいたら、また喧嘩になっちゃう。だから、僕は家出するしかないんだ……。そんな顔しないでよ、ドヴァイパーヤナさん! 家出した理由は、喧嘩だけじゃないし」
カルナ(ヴァイカルタナ)
「そうか。……オレ達は今でもお前への不信感を抱いているのだが、それを払拭するにはどうしたらいいか分からぬほど、お前は愚かではあるまい」
プラティユーシャ
「あはは、ヴァイカルタナさん。そんなに凄まなくても、もう一つの理由くらいはちゃんと話すよ。もう一つの理由はね、この戦争を止めることなんだ」
全員
「……なんて?」
プラティユーシャ
「皆も知っての通り、パーンダヴァとカウラヴァで戦争が始まろうとしているよね」
ユッダ
「そうですね。昨日戦争準備を見ましたし」
スヨーダナ
「このままだと戦争は不可避だな!」
マシュ
「はい。……あれだけ大勢の軍勢が既に動員されている戦争を、止める、といいますと……」
チトラーンガダー
「あえてはっきりと言おう。戦争を止める? そんなものは夢物語だ」
カルナ(ヴァイカルタナ)
「オレもチトラーンガダーと同じ意見だ。たとえパーンダヴァ側が和平を望んでいようとも、カウラヴァ側が戦争を望んでいるのならば避けられまい」
アルジュナ・オルタ(シュヴェータヴァーハナ)
「ええ。貴方がカウラヴァ側の有力者とのパイプがあるならば別ですが……そうでもないのでしょう?」
プラティユーシャ
「……うん。こんなただの戦車乗りの言うことなんて、王様が聞いてくれるわけないからね」
ぐだ
「詰みでは……?」
ユッダ
「詰みですね」
プラティユーシャ
「いや! でも、考えがないことはないんだよ!」
ヴィヤーサ(ドヴァイパーヤナ)
「そうかい? それなら、君の考えを聞かせてもらうことはできるかな?」
プラティユーシャ
「うん。……実は僕、聞いちゃったんだ。ナーラダ様が、ビーシュマ様にお話してるところ」
カルナ(ヴァイカルタナ)
「! まさか……」
プラティユーシャ
「うん。僕、知ってるんだ。……カウラヴァのアンガ王カルナ様が、パーンダヴァ五王子のお兄さんなんだ、ってこと」
全員
「!?!?」
〜夜〜
シオン
「警戒してください。どう考えてもプラティユーシャは只者ではありません」
全員
「知ってた。」
アルジュナ
「……それで、問題のプラティユーシャは今は何を?」
ヴィヤーサ
「私の膝でぐっすり眠っているよ。ニドラー女神由来のマントラを使ったから、何があっても私が起こさない限り起きないよ。安心して話してね」
ラクシュマナ
「あー、私と同名のラーマの弟の奥さんのウールミラーが、ラーマとシータを護衛してる夫の分まで寝るから私を眠らせてって頼んだ眠りの女神ですね。それなら安心だ。姉さん、喋って大丈夫だよ」
ラクシュマナー
「そうね。……ありがとうございます、ヴィヤーサ曽祖父様」
ビーマ
「…………ドゥリーヨダナとその関係者が山程増えたから頭の片隅に追いやっていたが、言われてみれば確かにカルナは俺達の兄貴でもあるんだよな、血縁上」
カルナ(ヴァイカルタナ)
「ああ。オレはお前たちの兄にあたる。……カルデアでは、生前は果たせなかった母の願いを叶えられているとオレは思っているが」
水着バーヌマティー
「カルナが思うならそれでいいんじゃない? ……で、この作戦会議の方向性は何? カルナが兄であることを持ち出してパーンダヴァとカウラヴァの和平を結ぼうという話? 情に絆されやすいユディシュティラには効果覿面でしょうが、そんな事実を告げられたドゥリーヨダナがパーンダヴァとの和平を結ぶとでも? むしろ“カルナがパーンダヴァに寝返った”となれば、まずドゥリーヨダナはどんな手段を使ってでもカルナを殺すでしょう。人は信じていた者に裏切られた時、その者に向けていた愛が全て憎しみへと裏返るものよ」
素ヨダナ
「バーヌマティー。わし様が言う前にその特異点でのわし様がやりそうなことを全部言うでない」
素ドゥフシャーサナ
「ディ◯ニー詰む詰むじゃねーか!」
素ヴィカルナ
「は?(ドスの効いた低音)」
素ドゥフシャーサナ
「ふざけて悪かったよ。詰んでるって言いたかっただけだって」
アシュヴァッターマン
「……この特異点、どうしようもなくないか?」
ジャヤドラタ
「しかし特異点として成立している以上、何かおかしいところはあるはずでは? 昨日の報告にあるように、一般戦士の間での諍いが妙に多いそうだし。シンドゥ王の私が言いますが、私の知るシンドゥ軍はあの程度の痴話喧嘩など本来はしないはずですよ」
ユユツオルタ
「……まさか、この特異点では12億の削減では足りなくて、さらに削減人数を増やそうとしている、とか…………?」
偽王
「情報が少なすぎる今、有り得ない、とは言いきれないな」
シャクニオルタ
「もしそうなら、その特異点のわしの他に機構補助端末がいるかもしれんな」
ユッダ
「……一ついいですか」
ダ・ヴィンチ
「今はほんの少しの違和感でも有益な情報になる。話してもらえるかい?」
ユッダ
「はい。……今日、移動中にマスター達と話していて思ったのですが……。『マハーバーラタ』の物語の本筋って、ビーシュマの話から始まりますよね?」
カリ化ヴィカルナ
「根本の話になりましたね」
カリ化ドゥフシャーサナ
「そうだけど、それがどうしたんだ?」
ユッダ
「もしかしたら、ビーシュマの時代に何かあったのではないか、と思ったのです。……例えば、ガンガーに川に流されたはずの“光の神プラティユーシャ”が生きていた、とか……」
全員
「…………」
ラクシュマナ
「うーん、そうだったら面白いね!」
ラクシュマナー
「面白くないでしょ!? ママが真剣に話してるんだよ、茶化さないで!」
アルジュナ・オルタ(シュヴェータヴァーハナ)
「しかし、可能性としては絶対に有り得ない、と言い切ることは出来ないかと」
チトラーンガダー
「そうだな。……ドゥリーヨダナ当人の世代と、その親世代に異変が生じた例には今まで遭遇してきたが、その前の世代に異常が起きたことは無かったと言っていい。盲点ではあったな」
スヨーダナ
「あと! これも思ったことがある! プラティユーシャだが、悪口の質が低い!」
アルジュナ
「……それは何か、ヒントに繋がるのでしょうか?」
スヨーダナ
「繋がると思うぞ! このあいだ悪属性のサーヴァントの口喧嘩を見たのだが、プラティユーシャよりもたくさんの言葉を使って相手を罵っていた。だが、プラティユーシャは父に『バカ』と言っただけで、この世の終わりのように凹んでいたのだ」
アルジュナ・オルタ(シュヴェータヴァーハナ)
「帰ったらその方々とお話しますので、教えてくださいねスヨーダナ」
ビーマ
「あー……ほどほどにしとけよ?」
マシュ
「そうなると、プラティユーシャさんの育ちが良い、ということが考えられますね」
カルナ(ヴァイカルタナ)
「流された後に過保護なバラモンに育てられた可能性も捨てきれない、ということか」
アシュヴァッターマン
「バラモンって、ヴァシシュタ様やヴィヤーサくらいになると、苦行で得た霊的な力と膨大な年月で積み重ねた知識で、色々達観してるからな。そんなバラモンに育てられたら、そりゃあ“他人を悪く言う”こととは無縁になるよな」
ヴィヤーサ
「バラモンじゃなくても、徳の高い王だったらそうなる可能性があるね。例えばビーシュマの父、ドゥリーヨダナ達の家系図上の曽祖父のシャンタヌは森でバラモンの子の双子を拾って育てたし」
素ヨダナ
「クリパ師と、アシュヴァッターマンの母クリピーか!」
ぐだ
「ごめん、クリパって誰? アシュヴァッターマンの伯父さん、になるのかな?」
アシュヴァッターマン
「ああ、クリパは俺の伯父上だ。父上がクル国の武術師範になる前は、ビーシュマ様とクリパ伯父上がドゥリーヨダナの旦那たちに武術とか学問とか教えてたんだよな。あと、父上がクル国の武術師範になったのは、俺の母上がクリパ伯父上の妹だから、そのツテだ。……、伯父上は、俺の夜襲についていった一人でもある」
ぐだ
「そんな人がいたんだね」
ビーシュマ(ドヴァイパーヤナ)
「うん。……あの双子の養父がシャンタヌ王で良かったよ」
素ドゥフシャーサナ
「さて、いよいよプラティユーシャの出自が分からなくなってきたな」
カリ化ヴィカルナ
「バラモンか、徳高い王の子か養子か……」
カルナ(ヴァイカルタナ)
「あるいはオレの養父母のように、心優しい御者夫婦という場合もある。プラティユーシャの戦車を操る腕は、シャリヤに迫るものがあった」
マシュ
「カルナさんがクルクシェートラの戦争の17日目にアルジュナさんと対等の条件で戦うために選んだ御者で、マドラ国の王ですね」
ラクシュマナ
「へー、あのおっさんクリシュナに戦車で対抗したんだね。凄いじゃん」
ラクシュマナー
「失礼な言い方しない!」
ラクシュマナ
「ごめんごめん。……うーん、どうにかしてプラティユーシャの素性を掴めないかな。カルナお兄さんもそうだけど、マスターをよく分からない男に任せるわけにはいかないからね。カルデアとして」
ビーマ
「今までのカルデアの記録を見るに、異聞帯だと素性の分からない現地同行者にナビを任せていたケースがあるらしいが……俺たちにとって、『マハーバーラタ』の時代のインドは行き慣れてると言っていい場所だしな。そんな場所に俺たちのよく分からない人物がいるって時点で不審極まりない」
ラクシュマナ
「さっすがビーマ! 初日の定期連絡でマスターに意見求められてアルジュナと二人して食い気味に『そいつは信用するな』って言っただけあるね!」
シオン
「今までの話を強引にまとめると、①プラティユーシャの案は使えない可能性が高い、②プラティユーシャの素性を突き止めるまで完全には信用しない、ということになりますね」
ダ・ヴィンチ
「そうだね。プラティユーシャは少なくとも、良識ある人に育てられた可能性が高いから、心配しすぎる必要は無いとは思うけど……今までのインドの特異点に存在しなかった人物だ。一般戦士の諍いが多いのも併せて考えると、この特異点の鍵になる人物と見ても差し支えないと考えられる。明日以降は彼にナビを頼みつつ、不審な点があればメモしてくれたまえ」
水着バーヌマティー
「これが数々のトンチキ特異点を解決してきたカルデアの首脳部の実力……」
カルナ(ヴァイカルタナ)
「加えてプラティユーシャの正体として、ビーシュマの兄弟にして、“ヴァス神プラティユーシャ”の転生体である可能性があることも念慮に入れるべきだな」
ラクシュマナ
「もしかしてカルナお兄さんもトンチキに慣れてる?」
素ヨダナ
「考えてもみろ。カルナはカルデアの古参というだけでなく、わし様とその関係者の派生がぽこじゃか出てきた事件のほぼ全てに関わっておるのだぞ。慣れるのも当然ではないか。実際わし様もカルデア全体で見れば新参だが、インドのトンチキには慣れてるし?」
ジャヤドラタ
「何回もギー壺に入れられてきたお義兄さんだからこその発言ですね」
チトラーンガダー
「わかった。新参者の私は、古参の彼らに従おう」
ユッダ
「まあ、そうするしかなさそうですからね」
ヴィヤーサ
「気になったことは私が記憶するから、マスター達はなんでも気づいたことがあったは私に言ってね。四ヴェーダを編纂し、ガネーシャ神に『マハーバーラタ』を語ったのが私だ。記憶力には自信があるよ」
マシュ
「では、ヴィヤーサさん。メモをお願いします」
ヴィヤーサ
「うん。他にも何か困ったことがあったら言ってね。私のマントラで大体のことはなんとかなると思うよ」
素ドゥフシャーサナ
「やっぱヴィヤーサ様って凄いんだな」
カルナ(ヴァイカルタナ)
「オレ達はこの後休息を取るが、オレとアルジュナが交代で見張りをする。気がついたことがあれば言ってくれ」
アルジュナ・オルタ(シュヴェータヴァーハナ)
「場合によっては私が調査に行きます。私は浮いて移動が出来ますし、カルナがいればマスターの安全を確保出来ますから」
ビーマ
「そうだな。マスター達を頼んだぞ」
ラクシュマナ
「……まだ見つからんのか?」
従者
「申し訳ありません、ラクシュマナ様! 全バーラタに捜索網を巡らせているのですが、一向に見つかる気配はなく──」
ラクシュマナ
「もうよい、下がれ。ドゥリーヨダナ様とドリタラーシュトラ陛下、そしてビーシュマ様には私から報告する。疲れただろう。今夜はニドラー女神に身を委ね、明日の英気を養うことだ」
従者
「はっ! 失礼します!」
ラクシュマナ
「……して、ヴィヤーサ様。何か、気にかかることでもございますか?」
ヴィヤーサ
「やあ、ラクシュマナ。夜分にすまないね。実は、ドリタラーシュトラとサンジャヤの会話が聞こえたのだけど、君には伝えておかなければならないと思ってね……」
ラクシュマナ
「父上ではなく、私に……ですか。不確定要素の多い情報なのですね」
ヴィヤーサ
「そうだよ。……君の御者が、異邦の旅人を見かけたと報告していただろう?」
ラクシュマナ
「はい。奇妙な装いの旅人が、ある御者の案内でマツヤ国からパンチャーラ国に至ったとの報告がありました」
ヴィヤーサ
「その旅人なのだけど……サンジャヤが見たところによると、何やら怪しいマントラを使って、人形と会話をしていたそうなんだ」
ラクシュマナ
「それは、なんと面妖な……」
ヴィヤーサ
「だからね、ラクシュマナ。君の御者や従者に伝えて欲しいんだ。異邦の旅人に会ったら、ハスティナープラに連れてきて、と」
ラクシュマナ
「……いいのですか? ヴィヤーサ様。そのような怪しい者を宮殿に入れて」
ヴィヤーサ
「なに、彼らが万が一攻撃してきてもビーシュマには敵わないさ。大丈夫だよ」
ラクシュマナ
「それもそうですね……。わかりました。明日の朝礼で伝達します」
ヴィヤーサ
「ドゥリーヨダナには内密に、頼んだよ」
ラクシュマナ
「はい、承知しました」
???
「うーん……パパの言いつけでマツヤ国から出ないようにはしてたけど、今日は散歩中に面白いもの見つけちゃったな〜。どうしよっかな〜、僕から話しかけてみよっかな〜。でもパパに余計なことをするな! って叱られちゃうのはヤだな〜……決めた! 伯父さんに相談して、伯父さんがいいよーって言ってくれたら会いに行こうっと! それに……」
???
「────多分、アイツが厄ネタってヤツだから。善は急げだ、伯父さんが帰っちゃう前に話に行かなきゃ!」