キスの日

キスの日


大学生景和×高校生英寿くんの話

・とある日の二人がずっとちゅっちゅしてるだけ






「英寿くんってさ、キス、好きだよね」

「ああ、そうだな」

 そっと引き寄せると、抵抗もなくこちらに身を委ねてくる。そのまま顔を近づけて唇を塞いだ。

 柔らかく吸い付いてくる唇の感触を楽しんでから、薄く開いている口に舌先をそっと差し込む。

 英寿くんが俺の首にするりと腕を回してくる。

 そのまま舌を絡め、唾液を交換する。角度を変えて、何度も。

「…ん…んん、……んっ、ふ……」

 その度に英寿くんから漏れる、鼻にかかった甘い声。それをもっと聞きたくて、英寿くんの腰を強く抱く。

「んぅ…、ぁ、ん……、っ、は、」

 そのまましばらく甘い口内を存分に味わって、唇を離した。

「…んっ、…はぁ…はぁ……」

 少し震えながら、荒い息をついているのもかわいい。

 その後は、いつもなら濡れた口唇もそのままに、蕩け始めた目で俺の事を見つめてくる…はずなんだけど。

「………」

 今日は、何故かわずかに眉根を寄せている表情で。

「どしたの?」

「なんか、いつもと違う」

 いつもと…?なんかしたっけか…?としばし考え、

「…あー…、タバコかな?」

 そういや、ここに来る前に吸ってきたんだった。

「嫌だった?」

「別に…慣れてないだけだ」

 口調は拗ねているようで、でもぺたり、と体を寄せてきて俺の肩口に頭を擦り付けてくる。もしかして、いつもと違うから驚いちゃった?

「…ふーん?」

「何だ」

「いや、なんでも?うーん、そっかそっかあ、じゃあさ」

 へらり、と笑いながら腕を引くと、素直に膝の上に乗ってきてくれる。

 首を傾げてこちらを見る英寿くんの頬を撫で、そのまま口唇をそっと親指でなぞる。ふに、と指の腹で軽く押すとまた期待するように薄く開く口唇と、その奥に赤い舌が見えた。

「早く慣れるように、いっぱいしようか、キス」

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