くいを無くせエース! いい加減晴れろ!

くいを無くせエース! いい加減晴れろ!

つ蛸

スレ内共通部分

・現代に記憶持ち転生 記憶は有ったり無かったり

・記憶持ちエースが記憶無しロジャーに複雑な感情を向けている

・主要人物ではエースとサボ、白ひげ海賊団が記憶持ち。ロジャー、ルージュ、ルフィは記憶無し


これまでの無いあらすじ

・前世から地続きなエース

・自分を庇ってロジャーが大怪我を負った

 自己嫌悪が凄い

・ロジャーが突然居なくなる可能性を、ロジャーが突然死にかけてやっと思い当たるエース

 平和な世界だと舐めきっていた

・くいの無いように、前世込みで素直にぶつかろうと腹括るエース






──前世でおれゴール・D・ロジャーは海賊王で、その息子のエースはロジャーの影響に振り回された、らしい。

 エースにとってどうしようもなく無理な人間だとか、そんなんではないらしい……な?




 エースが前世の事を、ロジャーに話し終わった直後だった。


「ふっ……はははっ! なんだそれでかよ!

 前世ときたか! 海賊王!

 ア゛〜……悩んでたのが馬鹿みてぇだなァ」


 病院の個室に、ロジャーの笑い声が響いた。その音には多大な安堵が含まれている。


「……馬鹿みたいだと?」


 しかし緊張からか、視野が狭くなったエースは気付かない。

 顔を歪めるエース。緊張を孕んで重苦しかった部屋の空気がより重くなる。

 ロジャーはエースの反応に片眉を上げて一拍。ニイと口端を吊り上げ、含んで嗤った。


「ああ。お前は馬鹿だなあ、エース」

「あァ?」


 エースはロジャーを睨んだが、ニヤニヤとした笑い顔にふいと顔を背け目を閉じる。


「……そうかよ。まあ、さっきのは」

「おいおいおい! 勝手にいそぐな。

 は〜あ……ま、いい。

 どうやら前世のおれが原因らしいのは分かった。

 さてエース、おれを一発殴るか? 殴っていいぞ、サービスだ」


 驚いたエースが振り返る。

 ロジャーはずいと顔を近づけるが、驚き冷めやらぬまま拒否するエース。


「信じたのか……いや違ェ! あんたと海賊王は別の人間だ。恨みをぶつけるつもりはねぇよ。

 あと一応入院してんだ、大人しくしてろ」

「あん? もう元気だぞ!」


 ムン! とポーズ。

 実際、ロジャーはもう包帯が取れている。


「あとなァエース。殴るかって話に、前世の人間は関係ねえ。

 下手打って死にかけたこのおれにも、怒ってただろう。さっき馬鹿にもした。

 殴っていいぞ」


 エースがピタリと動きを止めた。

 ふと気付いたようにロジャーは視線を動かし、


「おっ──白ひげか? 入ってこい! 海賊王について聞きたいんだがよ」


 ぎょっと病室の扉を振り返るエース。

 間を置いて、のっそりと大きな身体のニューゲートが入ってくる。不本意そうだ。


「はあ……。ジャマするぜ、エース。

 ロジャーお前は……あぁいや、今じゃねェか。

 聞きてェってのは何の事だァ? ロジャー」

「わはは! ありがとよ、白ひげ。

 でよ、おれが知りたいのは前のおれが処刑された時、命乞いはしたのかってのが気になってな。 喚いて暴れて、逃げたりよ」

「ロジャー、お前……。

 ──すると思うのか? お前が、そんな無様に命乞い?」

「……だよなあ!」


 ぽんぽんと随分な会話を交わすロジャーとニューゲートに、複雑そうなエース。

 そんなエースに、和やかな笑顔を引っ込め向き合うロジャー。


「なあエース。

 お前の恨みはな、正当だ。

 お前がおれを恨むのは当然なんだよ。

 平穏な人生に親、無くしたのはおれの身勝手だ。そこの白ひげ巻き込んでおまえが処刑されたのはおれの血のせいだ。

 海賊として好き勝手生きて、死ぬ時もろくに抵抗しなかったんなら、自分で置いてくって決めたんだろうよ。おれだからな。

──いいかエース、ガキ産まれるってのに勝手に死ぬ父親なんてなあ、ろくな親じゃねぇよ。

 百発殴っても足りないくらいだ、なあ!

 おれが殴っていいっつってんだ、ほら、やりゃあいい。

 お前は海賊なんだろう」


「……おれは海賊じゃねェ。今はただのガキだ。

 あんたも殴らねぇ! おれは、恨みはねえ。あんたは前世とは違う、真っ当な人間だ。

 海賊王のロジャーが良い父親かなんざ知らねぇが──あ、いやすまねぇ!」


 とっさに謝り、はたと口を覆う。別の人間だと、ついさっきエース自身が言ったのに何を謝る。

 そんなエースを見て、ロジャーは真面目な顔を止めた。だらりと脱力し、ベッドに寝転がる。


「……海賊王のおれは、違う人間なんだろう? 謝る必要はねえ。

 おら、海賊王でもおれへの不満でも今、吐き出せ。また何も言わねぇで避けるのは勘弁だぞ」

「!」


 エースの肩がぎくりと跳ねる。そうだ。くいばかりの関係を変える為に、今日は話をしに来たのだろう。

 エースが口を開け、閉じる事数回。



「………………。

 おれをどう思ってるのかは、ずっと知りたかった。

 おれが産まれる前に死んでたから、答えなんて分かる訳がなかったんだが、ずっとあった。

 あんたは記憶が無い。

 答え合わせをしたかったのに、無いのはあんたのせいじゃないのに、それも恨んだ。

 あんたが馬鹿やった時、一発殴ろうと思った時。あんたには身に覚えのない恨みを含めやしないかと不安だった。

 あんたは、恨まれる事をして無いんだ。

 ……父、さんは、良い父親だ。こんな面倒くさいおれには、勿体ないくらいでよ。

 だから……殴れねぇよ」



「『だから』、なあ。

 ──エースはおれに向き合わねぇままだな。

 おれはそんな評価される部類じゃねェ。

 やりたい事やって恨まれる事はあった。

 勿体ねぇとかも何だァ? 聖人にでも見えてるのかよ」


 肘を枕に寝転がり、ふんと不満そうなロジャー。

 不意を点かれたエースは目を丸くし、だが反論はしなかった。ルフィに似てると、いつかにエース自身が思った筈だった。



──前世からのエースの思いは、問いはどこにぶつける。

 おれは記憶が無い。どう思ってたかの正解は言ってやれん。

 今のエースの思いもあるだろう。

 お前は怒ると手が出るクセして、おれには何にもやってこない。

 ぶつかるのを避けて溜め込むなよ、勿体ねェ。


 ロジャーは寝転んだまま、天井に向かって言葉を放る。


「なあ。おれにぶつけろよ、エース。

 お前の前世も丸ごと、おれが相手してえんだ」



 エースにやりたい事を言ったロジャーはそのまま黙った。そうして天井を見ていたロジャーの目の端、大きな人影に視線だけを動かす。

 病室の扉近くでエースの様子を見ていたニューゲート。バチリとぶつかる視線に途端顔を歪め、ため息を吐く。


「ロジャーお前は……面倒くせぇ男だなあ」

「……白ひげの野郎には、前世っから息子が世話になったみたいだな」


 ガバリとベッドに起き上がり、ニューゲートに威嚇するロジャー。


「エースはやらんぞニューゲートォ!

 エースはおれの息子だあ!」


 これまでの愚痴も出てくるロジャー。


「そんで前のおれのせいで今おれが割りくってんならどこに抗議すりゃいい!

 喧嘩もしてえんだエースとは。反抗期なんざぶっ潰してやると意気込んでたのに、ぶつかるどころか避けやがる。

 ぶつかるのを避けても……つまらんだろう!?

 なあ!」


 再びエースに顔ごと向き合うと、呆けた顔のエースと目が合いふらりと視線がそらされる。

 ロジャーは衝動のままベッドから身を乗り出し、エースの顔を両手で鷲掴み、がしりと動かないように固定する。


「エェス! かまえ、見ろ、このおれを!

 おれをちゃんとわけて考えようとしてんのはご立派だがな、わけられてねぇんだよ。

 お前結構馬鹿だから」


 ニューゲートの顔が不満げに歪む。

 エースは頬を潰されむすっとしていたが、馬鹿と言われた瞬間盛大に顔をしかめてロジャーの両手を引き剥がした。

 距離をとり、それでも怒り出さないエースの頭にニューゲートの手の平が乗せられる。そのままゆるゆる頭を撫でられ、グラグラ揺られるエース。

 頭に乗せられた手の平は温かく、熱を伝え、離れてゆく。


「ロジャー、お前はもう少し待てねェのか? 次から次へと……考える時間をくれてやれ」

「……。白ひげ、おれはここっからだ。やっとだぞ、やっと! その親父面かましてられるのも今のうちだァ!

 あとエース!

 前世と今をわける必要はねぇ。

 どっちもお前で、どっちもおれの息子だろう?

 前世だ今だ考えるな、自由にやろうや。

 お前はどうしたい、エース。どんとぶつかって来い! ──おれはロジャー。お前の父親だ。

 お前を受けとめるなんてわけねェよ」


 ニカッと、破顔一笑するロジャー。


「……よくそんな自信が出てくるな」


 ああでもまた避けるのは勘弁な。いや! これからはこっちから絡んでいっても大丈夫か。

 ほらエースこっちゃ来い! 撫でてやる! 白ひげ邪魔!


 ぎゃいぎゃいロジャーが騒がしい。

 小さく笑うエース。


──海賊王の罪を背負わされた。罪を被せる行為を人にしたくなかった。

 だが、ロジャーをわけて考えなくていいらしい。

 前世も、おれの人生らしい。

 どちらであろうと、ロジャーの息子に変わりはなくて。

 ……ああいや、また考え過ぎた。

 全部ひっくるめて、とっぱらって、囚われすぎずに。

 おれが今、自由に、心のままにやりたい事は──



 ロジャーを見据え、腹から声を出す。


「オヤジ」


 真っ直ぐロジャーを見る事もしていなかった。眼光放つロジャーの正面に立つエース。


「悪かった! 今まで逃げ続けた!」


 直角に腰を折り、綺麗な謝罪。

 姿勢を戻すと、ロジャーのポカンとした顔がある。


「まァ、それはそれ」


 息を吸う。片頬吊り上げ不敵に笑う。


「白ひげはおれの尊敬するオヤジなんだ。オヤジに喧嘩売るっつーんなら、おれが相手になってやるよ、クソオヤジ!」


 ふはっと笑声が上がる。

 エースが振り上げた拳骨は、迎え撃つ拳で防がれた。



「はぁッ!? 殴られんじゃねェのかよ!」

「お前それ白ひげの為だろが! だれが当たってやるかァ!」

「グララララ! 当たってやれよ、ロジャー!」






その後

・ぶつかりあっての肉弾戦有り、健全反抗期に入ります ギャラリーが増えていく、挑戦者も増えていく親子喧嘩

・親子喧嘩しない時は割と仲が良くなります

・海賊成分がもろり出てくるようになったので、物騒さが上がりました



補足

・ロジャーは驚異的な早さで回復しました 一応の入院

・白ひげはロジャーが元気に退屈してるらしいので寄っただけです 巻き込まれました

・白ひげがエース構うようになったのはエースを気遣ってですが、ロジャーに対する嫌がらせも兼ねてます 巻き込まれたし放置されたし ……おれの息子馬鹿にしやがったこいつ

・ロジャーは「オヤジ」とエースが言った時おれ!? おれだよな! とソワソワして目キラキラ(ギラギラ)させてました

・結構エース煽って喧嘩売ってたのに、買われたのは喧嘩売ったつもりもない白ひげへの文句 随分と慕ってるこったな …… 喧嘩ちゃんと売ってやるから白ひげェ、喧嘩しようぜ!

・後で喧嘩する

・エースがいの一番にやりたかった事はロジャーをちゃんと呼ぶ事でした でも白ひげへの文句に突っかかるのが3番目に来たので、早々にクソオヤジに降格しました






【元スレ】

【現パロ・転生注意】どうしよう|あにまん掲示板

https://bbs.animanch.com/board/1527260/


【元レス】

159

ロジャーとエースと時々白ひげ

https://telegra.ph/%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%81%8C%E4%B8%80%E5%9B%9E%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%82%B9%E5%BA%87%E3%81%A3%E3%81%A6%E6%AD%BB%E3%81%AB%E3%81%8B%E3%81%91%E3%81%9F%E3%82%89%E8%A7%A3%E6%B1%BA%E3%81%97%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%8B-02-10

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