コユキとヒヨリと先生とカレー

コユキとヒヨリと先生とカレー


ジーーーーーー”…どうかしたの?コユキ”

シャーレの執務室、コユキは先生を見つめていた

「先生、お腹がすきました」

”そっか、もうそんな時間か、それじゃあカレーでも食べに行く?”

「え!カレーですか?食べます!」

”ははっ、コユキはカレーが好きなんだね”

「はい!それはもう毎日カレーでもいいくらいには!」

カレーに対する喜びを隠せないのか、嬉しそうにそう言った

”それじゃあそろそろいこうか?”

「はい!行きましょう先生!」

元気よくそう言い、先生とコユキは外に出た



外に出てしばらく…

「そういえば先生はどこのカレーを食べに行くんですか?」

”んー、チェーン店の○○ってとこにしようと思うんだけどどうかな?”

「あ、いいですねそこ、期間限定のメニューがあるみたいですよ」

”へぇーならそこにしよっか”

そんな風に先生とコユキが喋りながら歩いていると


「あ…先生、こんにちは」

ゴミの山を漁っているヒヨリと遭遇した

”えーと、ヒヨリは何してるのかな?”

「ミサキさんとアツコちゃんはお仕事でいなくて…私は暇なので雑誌漁りをしていました…」

”そっか…そうだ!ヒヨリも一緒にカレー食べに行く?コユキもいい?”

「私も大丈夫です!」

「え…カレーですか?うわぁん!ぜひ連れてってください!ついでに、アツコちゃんとミサキさんの分も買ってください!」

”…ワカッタヨ…”

先生は渋々承諾した

そして三人はカレー屋に歩を進める

その間に自己紹介を済ませ少し雑談をした後、席に着いた

会話は弾んだようだった


「これがカレー屋ですか何を頼めばいいんでしょう…」

「ヒヨリさん?でしたっけ、辛いのが苦手だったらこれを頼むといいですよ」

「本当ですか?えへへ…ありがとうございます」

そんな感じで三人は注文をした

”コユキはカレーが本当に好きなんだね”

「はい本当に大好きです!毎日カレーでもいいくらいには!」

「あ、きましたよ」

そしてカレーが運ばれカレーの香辛料が鼻腔をくすぐる

「「”いただきます”」」

そう三人は言い、カレーを口に運んだ

”ん、美味しい”

「辛くて熱いですがそれ以外にも旨みが広がってて美味しいですね…」

「やっぱりカレーは美味しいですね!」

そんな風に三人が食べ進めていると…


バゴーン!

爆発が起きた


「「”!?”」」

突然の爆発に三人は反応が遅れた


爆発で瓦礫が崩れ落ちる

ヒヨリはそれに頭をぶつけ気絶した

先生とコユキは戦闘を開始した



十数分後、コユキはなんとか勝つことができた

すぐにヒヨリを助けようと後ろへ顔を向けるが…そこにはヒヨリと同じように倒れている先生の姿があった

コユキはそれを見て呆然とした

だがすぐに救急車とヴァルキューレに連絡することにした


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その後、二人は目を覚ました

所々けがをしているが処置をされている

そういえばコユキはどこだろう?

辺りを見回した先生はそう思い連絡してみるが既読がつかない

ユウカなら知っているかもしれない、そう思い連絡してみる


プルルルルル ピッ

"もしもしユウカ?"

「あっ先生!?爆発に巻き込まれたと聞きましたが大丈夫ですか!?」

”うん、私は大丈夫だよ”

”ただコユキの姿が見えなくてね、何か知らないかな?”

「…」

そう聞かれユウカは少し沈黙する

”もしもし?ユウカ?”

「その…反省部屋に閉じこもってます、先生たちがけがをしたのは自分のせいだってずっと引きずっちゃって あんなコユキは初めて見ました」

”そっか…教えてくれてありがとう”

そう言い電話を切ろうとするが「先生」ユウカが

「コユキはとんでもなく傷ついてると思います なのでお願いします

コユキを助けてあげてください」

”元より、そのつもりだよ”

そして電話を切った

ヒヨリにそのことを伝えコユキのもとへ向かうことにした


そのころコユキ

私のせいだ 私が早めにお昼ご飯に誘ったから

もし少しだけでも我慢していれば二人はきっと怪我をすることは無かったはずだ

私のせいだ 私の私の

無限に続く自罰的思考で頭が痛い

そんな時ドアがノックされる

「コユキちゃん?お腹空いてますよね?ごはん外に置いていきますからね」

そういわれ窓を見る 外が暗くなっている

そんなに時間がたっていたのか考える間に自分がご飯を食べてもいいのかと思案する

だがどれだけ自罰的思考になっていても食欲には抗えなかった

ドアを開け見てみるとそこに置いてあったのは…

カレーだった

「ヒュッ」コユキは喉を鳴らした

きっとノアなりの優しさだったのだろう。辛い時には好きなものを食べよく眠るのが一番だと 実際今までも今回ほどではないにせよ辛いときはそうやって忘れたり気を紛らわせていた だが今のコユキには逆効果であった

見ただけであの時の記憶がリフレインし…「…ッア」コユキは吐き気を催した

だが幸か不幸かあまり食べられなかったのもあって胃液しか出てこなかった

コユキは半ば無心でそれを片付けフラフラとしたまま眠りについた


目を覚ました 時計を見れば朝八時を示していた

コユキの心とは反対に日の光が窓に差し込んでまぶしかった

ドアがノックされる 「どうぞ」と返事をすればすぐに開いた

見たコユキは驚いた 先生とコユキがいた

先生が口を開いた ”コユキ体調は大丈夫?連絡しても既読がつかないし

この部屋でずっと眠ってたきいたから”「私も心配したんですよ…?」

コユキはさらに申し訳なくなった

「ごめ…ごめんなさい」「わたし…私が早めにお昼ご飯に誘ったから…私が”コユキ”

先生がコユキの言葉を止めた

”そう自分を卑下しないで” ”誰だってお腹はすくしそれを急かすのも悪いことじゃないよ” ”…それにコユキが私のためにお昼休みを取ろうとしたのも分かってるよ”

「…っなんで」

”あの時コユキ、私の顔見てたでしょ?”

”その時は気付かなかったけど後から思い返してみればあれは気遣ってくれてたんだなって” ”目を見れば分かったよ”

”とにかく、コユキは悪くないよ あの時私たちが怪我をしたのは事実でコユキが行きたいって言ったことで起こったことではある”

”でもそれは結果論で結局は私のことを気遣ってくれたこと” ”私はそれがとにかく嬉しいんだよ”

”だからコユキは悪くない そうでしょ?ヒヨリ”

「はい えへへ…こうやっていうのは恥ずかしいですけど、コユキちゃんは私のためにカレーのこととか一緒に好きな雑誌のこととかいっぱい教えて優しくしてくれたじゃないですか だからこそ感謝はしても恨んだりしませんよ?」「まぁ私は恨まれても大丈夫ですけど」


「にはは…何ですかそれ」

コユキはまた泣きながら言った 泣きすぎてのどが痛くなり目も腫れてきた

その涙が昨日までのと違うのは言うまでもなかっただろうか


”そうだヒヨリ、コユキにあれ渡そう?”

「そうですね きっと喜んでくれますよね」


”はいコユキ 中を開けてごらん”

先生にお弁当を渡され開ける 中にあったのはカレーだった

コユキはあの日の記憶がフラッシュバックしたが…もう大丈夫だった

”私とヒヨリで一緒に作ったんだ 昨日結局何も食べれてなかったでしょ?だからはい”


そういわれお腹が鳴った コユキは恥ずかしくなった

コユキは差し出されたスプーンに乗ったカレーを食べた


「っおいひ…美味しいです」


コユキは泣きながら言った 先生とヒヨリがその様子に(美味しくなかったか)と思い慌てた 確かに整った味ではなかったしところどころ具が少し硬いところもあった

でもコユキは本心でそういったのだ




(このカレーはしょっぱいですが今までの人生の中で一番おいしいですね)

そう思ったのは涙のせいか先生の調理ミスかは誰も知らない

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