f過去に凌辱された女性との純愛は私の性癖に合っていますよ

f過去に凌辱された女性との純愛は私の性癖に合っていますよ


 小さなテントの外で風の吹く音がした。外を見ることはできないが、もし彼女たちがテントに駆け込むのが遅ければ錆色の風を受けて全身が砂埃まみれになっていた。

安堵のため息は、やはり女性だからだろうか。汗で纏わりつく桃色の髪をかき上げ、耳をふるふると動かせば煙のように砂が舞った。


「フェリジット、無事か」

「あはは、無事も何もただの砂嵐じゃないの。こんなのドラグマの連中に比べたらそよ風と同じ。シュライグこそこの風じゃ上手く動けないんじゃない?」

「どうかな……どのみちしばらく足止めだ。水、飲むか」

「できれば水浴びでもしたいけどね。ありがと」


温い水でも貴重な水だ。荒野の中で水源は貴重で、砂嵐がいつ止むかわからない中で失うわけにはいかない。アジトまで戻れば良いのだが、戦線から一時離脱してまで辺鄙な場所へ来たのだ。のこのこと戻るという選択肢は二人には無い。


「本当にあると思う?」

「さあ」

「『奇跡を阻む六芒星の結界』、太古の魔術師が残したっていう……っかしいなあ、位置はこの辺りのはずなんだけど」


不機嫌なのか、上機嫌なのか。フェリジットは肌を守るために着ていた野暮ったい防護服を脱ぎ、古びた地図を片手に寝転がる。普段の恰好と同じ、肌の露出の多い恰好にシュライグは小さくため息を零した。


「フェリジット」

「っさいなあ、暑いんだから仕方ないじゃん。アンタもその暑苦しいの脱いでよ。見てるだけで暑くなるんだから」

「……わかった」

「あ、ついでにこれも片づけといて」


投げつけられた防護服を無言で受け止め、シュライグは丹念に傷が無いかを点検していく。

二人だけの捜索隊。予備の防護服は無く、応援も来ない。なにせ探している物がモノなだけに眉唾もいいところで、要するにこれは体のいい羽休めなのだ。残り数日の間で宝さがしごっこをしてから戻り、また鉄火飛び交う戦線へと飛び込むことになるだろう。


(……いいんだろうか)


シュライグを悩ませる要素はいくつもある。戦線はどうなっているだろうか、もし自分がいない状態で強敵が来た時に仲間たちは逃げられるだろうか。そして、そして。

すん、と鼻が開く。異臭、ではない。むしろ嗅ぎなれた汗の臭いと、よく知っているどこか甘い匂い。二つが入り混じった香りが防護服の内側から立ち上っている。

反射的に呼吸を止めたシュライグに気付いたのだろう。フェリジットは呆れたように振り返りながら半身を起こす。


「なーに固まってんの。そのくらいいくらでも嗅いでるじゃん」

「いや、これは」

「それとも……二人っきりだから緊張してる?」


からかっているのだろう。悪戯っぽくまなじりを下げ、唇を優しく歪めるフェリジットの声色も、さっきまでとはまるで異なっている。耳を甘く撫でるような声にシュライグは下腹部が疼くのを感じてしまう。

目が泳ぐのを自覚しつつ、シュライグの足が一歩下がった。それは無意識のうちに迷いが表に出た結果だったが、それよりもフェリジットの方が二歩早い。飛びつく彼女に押し倒されて、テントは辛うじて壊れることなく重なる二人を受け止めた。


「フェリ、ジット」

「ん……ふふ、固くなってる。それにシュライグも凄い匂い……汗と、んん、興奮してる……♪」


れろ、と水分不足で粘つく舌がシュライグの首筋を這っていく。ゾクゾクと走る電流が背筋から足までを痺れさせ、普段の俊敏さを失い、羽根をもがれた鳥のように足をもたつかせるばかり。


「ん、ふぁ…ちゅ、んんん…ね、キスして?」

「あ、ああ」

「はぁ♪ ふふ、シュライグ、んん……待ってて、気持ち良くしてあげる……」


互いの呼吸が混ざりあう。熱と唾液を交わし合い、生臭い舌が絡みついていく。思わず抱きしめたシュライグの腕の中で一瞬ビクリを震え、それを隠すかのようにフェリジットの豊かな胸を押し当てながらシュライグの唇に甘く噛みついた。

それだけでシュライグの愚息は強烈に主張してしまう。外套の下、汗まみれのインナーを押し上げる亀頭の先から染み出るカウパーが滲み、シュライグよりも敏感なフェリジットの嗅覚を蹂躙していくかのようだ。


(シュライグの…匂い。これは好きな匂いだから、大丈夫)


顔を離し、向きを変えてシュライグの身体の上に乗る。いわゆるシックスナインの格好だが、これはなにもシュライグのためだけではなかった。

もしも今、シュライグがフェリジットの顔を見たらきっと行為を止めただろう。だからこその安堵の息が漏れる。


(大丈夫、大丈夫。気持ち悪いのじゃない。大丈夫だよ私)


もしも、鏡があれば。今の自分の顔はきっと蒼白いに違いない。脳裏に浮かぶ光景を必死に消しながら、震える手つきでシュライグのインナーをずらしていく。そして飛び出てくる肉棒を見て。


「……ふふ、ほら大丈夫」

「え?」

「んーん、なんでもない。ただシュライグがいてくれて良かったって話」

「そうか」

「ぷふっ! そうか、だって。そうだよ」


不思議そうな声が聞こえる。きっとシュライグは不思議そうな顔をしているのだろう。それを考えるだけで、フェリジットの背を冷やす汗が引いていくのを感じる。


(やっぱり好き、なのかなあ)


心の中のもやもやの名前はきっと、そうなのだろう。嫌悪感と恐怖でしかなかった男のモノに愛おしさを感じるのだから、きっと。

そこまで考えて――フェリジットは頭を振った。今はそんなこと、考えなくていい。ただ怯える少女の自分に、教えてあげよう。


「ん、じゅる…ちゅ、ぷ…れろ、んん」


ザラザラとする舌が、張りつめた亀頭を撫でる。一度舐め上げるたびにビクリと震える肉棒はとぷ、と我慢汁を垂らし、濃密な雄臭がフェリジットの鼻腔を打つ。

脈打つ肉棒を宝物のように両手で包むと、ゆっくりと上下に扱く。唇で亀頭を覆い、ちゅぷ、と吸うように。


「うぁ、っぐ…!」

「んう、ぷは、気持ちいひ…? いひよ、いつれも、らひて…気にしにゃいれ」


これは本音だ。気にしてほしくない。ただ気持ち良くなってくれて、それでいい。

だが肉棒を咥えるフェリジットには丸わかりだ。下半身に力を込めて射精に耐えている。グッと足の指が縮こまっているのがとても可愛くて笑ってしまう。


「ぷは……ふふ、じゃあ頑張るからもうちょっと我慢してよ?」

「あ、ああ。任せろ」

「うん。お願い」


ビクビクと震える肉棒はきっと限界が近い。そういう匂いがする。

フェリジットは目を瞑った。感じるままに肉棒に頬ずりをして、亀頭の先に鼻を当てる。もうシュライグの匂いしか感じない。あの頃のおぞましい臭いは、いない。

大きく口を開く。唾液が垂れて、亀頭をべっとり濡らしていく。ゆっくりと頭を下ろしていき、桃色の髪がシュライグの太ももに触れる。そして舌が亀頭に触れると、剛直するカリに、亀頭に絡みつく。

すぼめた唇の中に優しく肉棒を収め。


テントの中に響き渡るほど激しく、淫猥な音が響く。じゅるる、と啜り上げる強烈なフェラチオが肉棒を責めていく。


「うぁ、あっ! フェリ、ジット…っ!」


先ほどまでの愛撫するような舌遣いとは全く異なる次元の快感に、シュライグの全身が震えだす。あまりにも強い快楽の波に飲まれないように必死に力を籠めて、目の前で揺れるフェリジットの引き締まった尻には意識を向ける暇もない。

じゅぶ、じゅぶ、と粘つく水音が止まらない。陶酔したように瞳を潤ませ、フェリジットは夢中で肉棒をしゃぶり、溢れ出るカウパーを啜り上げていく。その度に舌が亀頭を撫でまわし、激しく上下する手は既に唾液とカウパーの混ざった液で濡れそぼっている。


「んぅ、ふぅ、じゅる、じゅぶっ…ひゅらいぎゅ、らひて…ひょーらい、せいえき、ひょうらい」


お腹の奥。大事なところが熱くなっていく。フェリジットの腰がもどかしそうに揺れ、濡れていくのが分かる。体も心もシュライグを欲しがっているのだと分かって甘いおねだりが漏れてしまう。

既にシュライグは声を出す余裕すらないのだろう。腰がガクッと震えて、口の中の亀頭が膨らんでいる。


「だ、めだっ! 出るっ!」


叫びと同時にシュライグが腰を引こうとしたのだろう。だが、フェリジットが上にいるのだ。構わずに、むしろ深く咥えこむフェリジットに抗うこともできずシュライグの肉棒は強烈に精を吐き出していく。

まるで一度脈打つごとに腰が抜けそうになる、そんな射精の快楽。汗に塗れたシュライグの顔は苦悶と快感でなんともいえない、普段の彼からは想像もつかないような表情を浮かべていた。


そしてフェリジットも、口の中で吐き出される精液に酔う。


「んぐ、ぅ、んん……」


どぷ、と一度に吐き出される精に、フェリジットは目を丸くする。今まで経験したことのない濃厚な臭いと量。口の中を満たされるような射精は、咥えているだけでは足りず吐き出さなければいけないほど、だが。


「ふー…んぐ、ごく、ふぅう…」


額に汗を滲ませ、呼吸すらままならない状態のまま、喉と口に溜まる精液を飲み込んでいく。ごくり、と粘つく精液を無理やり飲み下し、それでも飲んだ分が戻って来るような吐精に頭がくらくらしてしまう。

やがて射精が止まり、全ての精液を胃に収め。テントの中に互いの荒い呼吸だけが響く。最初はバラバラだった息遣いがやがてシンクロし、大きな音になっていく。


「……フェリジット」

「うん」


ゾクリとするような低音で呼び掛けられ、フェリジットは躊躇なく腰を上げた。短いスカートをまくり上げられ、切なくなった秘所を覆う布一枚に指が掛かる。

外気に触れて冷たさを感じたのはほんの一瞬。すぐに当たった生温い吐息に、やってくるであろう彼の舌を待つようにフェリジットは目を瞑る。

少女だったフェリジットは、もういない。ただここには愛しい人だけがいた。

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