R社第4群隊長s in ETD ルドルフ編

R社第4群隊長s in ETD ルドルフ編


〜前回までのあらすじ〜

ミョ隊長の下半身はもうめちゃくちゃ


最初のキメラとの遭遇以降は何事もなく、一行はいくつかのフロアを通過し研究所のような施設にたどり着いた。

「これは…この階層の地図か?」

「これまでは見かけなかった類のものだね。広さもせいぜいがひと部屋くらいだったし」

「今までのフロアとは様子が違うな。手分けして手がかりを探すぞ。なにかあれば無理な戦闘はせずほかの者と合流するように」

「りょうか〜い」

ゆるく返事をするミョからルドルフはさりげなく目を背ける。全身の感覚が異様に鋭くなってしまったミョは強化スーツのほとんどを脱ぎ捨て、現在の格好はといえば局部と胸部をかろうじて覆っているだけの破廉恥極まりないものだ。しかも肌で敏感に違和感や環境の変化を察知するものだから、これでいて非常に実用的かつ戦闘能力も若干増している。目の付け所に困る以外は文句の言いようがなくタチが悪い。

(見ないようにするしかないな)

小さく息を吐いて、割り当てられた方向に足を向けた。扉をそっと開き、中にめぼしい資料や文書らしきものがないかざっと視線をめぐらせる。それを繰り返して複数の部屋を調べたところ、現在彼らが迷いこんでいる施設の詳細がぼんやりと見えてきた。

(おそらくは強化施術の研究所、それも外付けじゃなくて肉体のポテンシャルを引き出す方向での研究だ。それがなんらかの理由で投棄された、と)

資料を片手にさらに通路を進むと突き当たりの扉にたどり着く。今までと変わらず無機質な白のそれを開くと、そこは中心に拘束具付きの椅子が一脚だけ置かれた小さな部屋だった。特に敵がいる様子もなく、しかし室内の異様さに慎重に覗きこむ。頭部が中に入ったタイミングでアナウンスが響いた。

【入室者を確認しました】

「!」

【スキャン実行。施術適性を確認しました。脳機能拡張施術を行います。速やかに着席してください】

「はあ…」

今度こそため息をついてルドルフは背を向ける。得体の知れない施設での施術など怪しいにもほどがある。崩落した穴から登ってきたミョからの報告も頭をよぎった。あんな醜態など想像するだけで怖気が、と顔をしかめる彼の行く手に赤い光が乱舞する。

「…は?」

【対象者の未着席を感知。防衛プログラムを起動します。本施術の円滑・安全な進行にご協力願います】

「なにがご協力だ…!」

吐き捨てるもレーザーの乱舞は少しずつ迫ってくる。スーツがほとんどの機能を喪失した今となっては光線を打ち出す杖もただの鈍器に過ぎない。レーザーの出元を破壊するのは不可能と判断してやむなく道を引き返し、入るまいと決めた部屋の中に駆けこんだ。当然のごとく扉は閉まり、天井から降りてきた機械のアームが椅子に座らせようと誘導する。

【警告。抵抗行為は侵入者とみなされる可能性があります。侵入者と認定された場合強化防衛プログラムが発動し、当施術室ごと投棄される恐れがあります。対象者は速やかに着席してください】

(…座るしかないのか)

逃げ場を完全にふさがれ、再発してきた頭痛をなだめるように眉間を揉む。ここまでかもしれないという諦観とともにルドルフは椅子に腰かけた。意外にも柔らかく座り心地もよいそれに一瞬面食らうも、直後に作動した拘束具にまたしかめ面に戻る。機械のアームが注射器を腕に刺し、なにかもわからない薬液が注入されていく。

(これで終わり…だとよかったんだけど)

近づいてくる別のアームを観察する。非常に細く繊細な動きができそうなそれは、鉄色の機体をうねらせながら視界を通り過ぎた。耳元で聞こえる微かな機械音が、肩口で停止したことを示している。ふとルドルフの中に嫌な疑念が生まれた。

(なんだっけ、アナウンスは確か…脳機能拡張施術、って)

どぱりと脇の下に汗をかく。暴れようとした彼を察知したようにさらに複数の機構が作動し、身体をがっちりと固定する。特に頭部は鉢巻きのような拘束具で直接椅子に縛りつけられ、ろくに動かすこともままならない。

「くそッ!やめっ、やめろ!止めろ!」

【施術を開始します】

抑えきれない恐怖に歯を鳴らすルドルフを無視して、細長いアームは彼の耳の中に入りこんだ。両耳から伝わる異物感に荒く息を吐き、それに慣れる間もなくばちっと痛みが走る。うめき声とともにますます深く侵入してくるアームを、彼は震えながら迎えることしかできない。いくらR社の歴戦の傭兵とはいえ、脳を直接蹂躙される訓練などしているわけがない。すぐに訪れるであろう地獄に目をぎゅっとつむり、必死に深呼吸を繰り返す。

(落ち着けっ、落ち着け…!無理に暴れたら取り返しがつかなくなる、冷静に、落ち着いて、アームがひきぬか、か、あ、え)

整理しようとした思考が突然霧散し、かと思うと背中がぞっと冷たくなる。

「ヒッ、う゛、あ゛、さ、さむ、い、は、なに、な、に…!?ぎッ、あああっ!?うあ、お゛えっ…!」

寒さに歯を鳴らしたかと思うとめちゃくちゃに視界を掻き回され、激しい吐き気に襲われ、その最中にカッと暑くなる。いまこの瞬間脳をいじくられていると察するには十分すぎた。

「うあっ、あ、うぅっ…!へへ、えへへ、はははっ、んふふっ、はっ、ぐっ、クソがッくそったれ!なんでこん、こんな、め、に、うああっ、たすけ、んへへぇ、あはは!うあ、は、ああッ…!?」

感情もまるで制御が効かない。怖い、悲しい、憎い、嬉しい、楽しい、ワクワク、怒り、不安、ドキドキ、高揚、幸福感。恐怖でいっぱいの目からひっきりなしに涙がこぼれ、口元はだらしない笑みを浮かべる。手足が不規則な痙攣を繰り返し、死にかけの虫のように暴れたがる。トナカイチームを統率する者として常に冷静であれと律してきた隊長の姿はそこにはない。

整った顔が涙とヨダレと鼻水でぐちゃぐちゃになったころ、異変が起きた。

「うあっ、あ、あっ、あ、ぎィッ…!お゛ッ!?う、あ、お、あ…?」

明確な快楽がルドルフの身体を貫く。性器はもちろんのことそのほかの性感を得られそうな部分にはまるで触れられていない。にもかかわらず感じたそれに困惑しながらも、再び与えられた甘い蜜に抗する術を彼は持ち合わせていなかった。

「んぃ゛ッ、お、あ、あ゛ッ、あひッ!?うあ、あー、あー…?にゃ、に、らに、こえ、お゛、う、あ゛〜…!」

僅かに残された余地のなかで背がしなる。強化スーツの中でペニスは痛いほど勃起し先走りをこぼしていた。無論そんなことを気にする余裕はなく、むしろ気づいてすらいないルドルフは、脳を直接快楽で殴打されるのに必死に耐える。

「あ、ひ、えぁっ、お、お゛ッう゛〜っ!ら、え、らめっごえぢぬじにゅっぅお゛ッあ゛あ゛あ゛ッ!!あぎゅっぇでっやえでっ!あだま゛ぐちゅぐゆじにゃあ、あ、あ、い、お、あ〜…!」

ここで流されれば人には戻れない、最後の理性がかろうじて意志を繋ぎ止める。歯を食いしばる彼を嘲笑うように脳に触れるアームが蠢く。全身が硬直した。

「あ」

ぐるり。束の間見開かれた目は裏返り、口が大きく開く。許容外の快楽信号に肉体からの出力が追いつかない。声なき悲鳴が喉を駆け抜ける。スーツの中で欲望が爆ぜた。

「あ、あっ、お゛、う、あ、えッ、あっ、お゛お゛ッ、ん、ぃ、あ゛〜…」

無意味な母音が締まらない口から落ちていく。拘束具がミシミシと音を立てるほど身体に力をこめ、脳を探られるごとに白目をむいたままルドルフはぶぴゅ、びゅ、と子供のおもらしのように精液を吐き出し続ける。タイツからにじみだした白濁が、スーツの隙間からこぼれて床に垂れた。

「あ、あ、あ〜…お゛ッ!?」

ビクンッとひときわ大きく身体が跳ねる。目の焦点が合い、砕けていた意識が集まってくる。精神と身体の制御権が少しずつ戻ってきたことに安堵し、しかし、ルドルフの口は妙に媚びた響きの言葉を紡いでしまう。

「……も、っと。あたま、ぐちゅぐちゅ、ほしい…♡」

なにもかもを呑みこむ幸福感と強制的な絶頂が脳に焦げついて離れない。いけない、だめだと理解していても、先ほどの目もくらむ快楽を期待してしまう。ルドルフにとって幸運だったのは、相手が意思もつ人間ではなくどこまでもシステムに過ぎないプログラムであったことだろう。

【施術は成功しました、お疲れ様でした。最後に鼓膜を修正して当施術は完了いたします。いましばらくお待ちください】

ぬぷ、とアームが引き抜かれると同時になにかが投与される。その正体を確認する体力もなく、やっと終わったという安心感とかすかな落胆を抱いてルドルフは意識を閉ざした。



脳をいじられ、強制的に絶頂させられた!

ルドルフは状態:ブレインリミット限定解除を獲得した!充電なしでもスーツや武装をある程度運用できるが、性欲に抑えが利かなくなる!

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