72号入院録
h保守日記をつけると良いと聞いたので、日記アプリで日記をつけることにする。
1日目
ゲヘナに来た4号お姉様の診断の結果、全く分からないとのことで、そのままメンテナンスを兼ねて修理工場に行くことになった。
この日は移動中にシャットダウンした。
2日目
メンテナンス室のベッドの上で目が覚める。やはり体は動かない。
4号お姉様曰く、駆動系が多少劣化していただけだったとのこと。
パーツ交換などをして完璧な状態になったそうだが、やはり動かない。
3号お姉様にも見てもらったが、やはり異常はないとのこと。
昨日から数えて1週間、様子を見ることになった。
午後に「主任」を名乗るアリスがやってきた。彼女にヘイローが輝いていることに驚いて少し話をした。
その後なぜか話が怪しい方向性になり、「実験」に興味がないか誘われた。そこで「主任」は別のアリスにスパナで頭を叩かれて連れ戻された。
実は作業を抜け出していたらしい。それはよくない。
夜にメンテナンス室から保護財団の保健室に移動することになった。
基本的に人間用で、普段はあまり使用していないらしい。
3日目
3号お姉様にお休みプログラムを導入してもらった。半日ぐっすり寝て起きたが、やはり体は動かない。
結果を伝えると、3号お姉様は神妙な面持ちになり、わたしに謎のUSBレシーバーを付けた。
3号お姉様曰く、「保険」らしい。
何に対しての保険なのかは教えてくれなかった。
ミレニアムに居る戦闘型の妹たちがお見舞いに来てくれた。
戦闘について、いろいろな悩みを相談されたので、知る限りを答えた。
途中部屋が埋まってしまい、2号お姉様が雷を落としていた。
2号お姉様にヘイローが輝いていることに驚いた。
話したかったが、2号お姉様は忙しいらしく、謝ってからどこかへ行ってしまった。
保護財団という大きな組織を纏めているのだ。仕方がないと思う。
4日目
体は動かない。
アリスネットワークの緊急パッチが出た、と館内アナウンスがあったので、久しぶりにアリスネットワークへ接続した。更新がたくさん溜まっていた。
本スレで話を聞いてみたところ、最近は日常的にバグ修正が行われているらしい。
自分たちはこの先大丈夫だろうかと、少し不安になる。
この日は面会制限がかかっていた。
検査以外は基本的に暇なため、どれだけ来てくれてもいいと伝えると、廊下まで溢れかえって移動の邪魔になるからダメ、と言われた。
様々な経験をした、たくさんのアリスが来てくれた。
その中の一人、着物を着たアリスが、アリスネットワークで話をすれば良いと言っていた。
確かにそうだ。
当たり前のことを忘れていた。
ユウカが来てくれた。
会うのはゲヘナに行く前以来となる。
ゲヘナで起きたことを正直に伝えた。
いろいろと話をしたが、ここには書かないこととする。
5日目
うへうへした雰囲気のアリスがやってきた。ヘイローが輝き、しかもアホ毛が生えていた。それはどうなっているのか聞くと、そのアリスはアホ毛を外した。
実は高性能レーダーになっているんだ~と言った。わたしが感心していると、冗談を真に受けるのはよくないと言った。
冗談だったらしい。
ただ、アホ毛は拡張パーツの一つらしく、エンジニア部に提案するために持ってきたとのこと。
一つあげると言われ、手を伸ばした。
そこで自分が動くことができることに気がついた。
すぐに4号お姉様が飛んできて、エンジニア部の皆さんも飛んできて、大騒ぎになった。
動けた理由はよくわからない。
検査の結果、やはり機体には一切の問題がない。
メンタルその他数値にも問題はないらしい。
明日もう一度検査をして、明後日退院ということになった。
アホ毛のアリスは帰る時間が来てしまったらしく、アリスネットワークでごめんね~というメッセージがあった。
ほとんど1週間も風紀委員会から離れてしまった。妹たちは大丈夫だろうか。
6日目
懐かしい声を聴いた。もう1週間も会いに行けていないから、心配しているのかもしれない。
帰ったらすぐに行くからとだけ、心の中で返事をして、眠りについた。
7日目
朝目を開けると、3号お姉様が椅子で眠っていた。周りにたくさんの機材があった。
顔に大きな隈ができていた。大丈夫か聞くと、大丈夫ですよと言う。
何かあったのか聞くと、何もありませんでしたと言う。
こういう時は絶対に何かあったと思うのだけど、聞かないことにした。
それから3号お姉様に鍵のアクセサリーを貰った。
正確には量産型アリスの視界にしか映らない特殊な電子アクセサリーで、常に持っていてとのこと。何の理由があるのかはわからないが、断る理由がなかったのでポケットに入れておくことにした。
3号お姉様はみんなにバレる前にとそそくさと撤収していった。USBレシーバーは回収された。
午後に検査が行われた。問題はなかった。
お祝いにパーティをやろうと誘われたが、断ることにした。
私だけスイーツを食べるのはいけないと思うからだったが、それを言う訳にもいかないし、返事に困った。
ユウカが助け舟を出してくれて助かった。
8日目
朝、ゲヘナに帰ることになった。荷物は特にないので、身一つだった。
4747号とヒナ委員長が迎えに来てくれた。
元気になったことを報告した。
今週末が休日になったらしい。今度こそスイーツに挑戦する。
カレンダーを確認するとまだ月曜日だった。今週は軽い業務から復帰になるとのこと。
今週も頑張ろう。
この日記は印刷することにした。また、心配しているだろうから、供えることとする。