6.fatalcrack・後篇

6.fatalcrack・後篇



 再度の忠告に、海燕は一瞬だけ瞼を伏せ、男を見つめ直す。

「……わかっています。これはただ、自分が後悔しない為だけにしている事です。アイツはきっと…俺に関わるなと言うでしょうし、もし…ヘマをこいて俺が死ねば、アイツを苦しませるだけ苦しませて終わっちまう…!」

「解っているなら何故だい」

「…アイツと"友達"でいると決めたからです。

───だから、俺はアイツを一人で、行かせるワケにはいかねえんだ」

 意思の固い瞳を、男は暫し見据えた後、浅打からそっと手を放す。

「…そうKai。キミ達は良い仲間を持ったNe」

 そう言いながら横を通り過ぎる男の顔に、僅かな愁いが滲んでいるように思え、海燕は返事に窮した。


「───精々その誇り、大切にするコトだYo。それが刃を振るうコツSa」


 数人の男衆を連れて立ち去って行く背中を、海燕は物寂しげに見送り、自身もまた踵を返した。

 魄動が早まるのを感じつつ、玄関の前へ立つ。手に持っていた浅打を腰側の帯に差し込んだ。

 この先に居る者達は、話し合いで解決できるような簡単な相手ではない。最悪、梨子を連れて尸魂界中を逃げ回る事になるだろう。そうなれば家族にも迷惑をかける。

 しかし…ここで逃げたならば、それこそ親父達は俺を笑うだろう。

 よって、海燕に迷いはなかった。

 扉を引こうと、手を伸ばす。しかし、それよりも先に内側から扉が開き、五歳ほどの童女が顔を出した。


「あ〜〜!やっぱり海燕だ!久しぶり!」


 そう言って気の抜ける笑みを浮かべる童女。その姿は確かに…この二週間、海燕が探し続けた友のものだった。


「梨子…!? 無事だったのか! 怪我とかねえだろうな!?」

「怪我はないよ?」

「そうか!良かった!じゃあオマエ、今すぐ帰るぞ!」

「…? どうして?」

 梨子は心底分からないといった様子で首を傾げる。

「どうしてって…オメー」

「…ああ!もしかして心配してくれたの?それなら大丈夫だよ海燕!わたし実はね!


───綱彌代の"養子"に入ることになったの!」


 そう、童女は満面の笑みを湛えながら「だから大丈夫だよ!」と、呆ける海燕へと言い放った。


「ぜっ……全ッ然・大丈夫じゃねえ!!!?」


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